特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『コロナ危機の今』と『今 学ぶべきこと(1)』

 今日から5月。今年も3分の1が終わりました。
 全く、まさかこんな1年になるとは思いませんでした(笑)。
●昨日、NHK『バリパラ』第2部、先週は揉めたそうですが、今週も無事 放送されました。面白かった(コントはいまいちだったけど)。


 今 ボクは週4日くらい、往復20キロ歩いて通勤しています。デモ用に買った安い、真っ赤なスプリング・コートにストールを巻いた真っ黒なサングラス姿(笑)。勤務先の警備員さんがびっくりしてた(笑)。
 歩く距離が少し長くて、流石にちょっと足が痛いけど、普段は知らなかった街の光景が見られて、特に今の気候だと結構楽しい。
●ビルの谷間、朝の空気の中に築100年以上の渋いお堂が立っています。
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 傍迷惑にもマスクをしないでジョギングしてる奴を見ると『死んでしまえ』と思いますが(笑)、あとは今まで気にも留めなかった人たちとすれ違います。

 普段通りスーツを着て通勤している人、子供を保育園に連れていく親、スーパーの前で商品を降ろすトラックの運ちゃん、連れ立って車に乗り込んで仕事へでかける大工のあんちゃんたち、工事に向かうパキスタン人の二人組、病院に通勤する大勢の人たち、客もまばらなバスを運転している運転手、普段通り署の前を掃き掃除している消防署のあんちゃんたち。
●帰り道、夕日を浴びるつつじが美しい。
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 性別・国籍に関わらず、こういう人たちのおかげで世の中は成り立っているんだなーと改めて感じます。医療関係者は勿論、スーパーの店員さんだって今はヒーロー・ヒロインだと思いますもん。人間嫌いのボクでさえ、そういうことを考えさせてくれたのはコロナ危機の良い点です。

 ただし、問題なのは世の中の構造がそうやって働いている人たちに報いる仕組みになっていないこと!


 今朝の NHKおはよう日本』で京大の山中教授がインタビューでこんなことを言ってました。
1.日本は何故かある程度ウィルスが封じ込められているが、感染の実態がはっきりわかっていない。検査も数が少ないだけでなく、再生産数などのデータも発表されず、情報公開が進んでいない。

2.日本は感染による医療崩壊は起きていないが、医療機関の感染防護が不徹底で、院内感染による医療崩壊が起きつつある

3.外国ではウィルスの抗体検査が始まったが目的は集団の感染状況を判断するためのもので、個人の感染を特定するためのものではない。日本でも抗体検査は行ったほうが良いが、目的は集団の感染状況を判断するために行うべきである

 1は日本の現状認識として妥当な考え方だと思います。感染はある程度抑えられつつあるが、現状は良くわからない
 何よりも悪いのは情報公開。海外のリーダー、メルケル首相もジョンソン首相もクオモNY知事もニューサム加州知事もデータを挙げて話をします。

 一方 安倍晋三は一度としてデータで物事を語ったことがない。感染者数や再生産数がどれだけになったら緊急事態を解除するなど語ったことがない。小池だって機械的に感染者数を読み上げるだけで、自分の判断は殆ど示さない。だから信頼されないんです。

 2はボクは医療現場のことは判りませんけど、そういうことなんでしょうね。日本の医療は自信過剰だったのかも。
 日本は他国と比してICUの数が著しく少なかったことが露呈しています↓。税金の無駄遣いとか民営化とか効率ばかり追求していた我々の社会はどこかが間違っていたのでしょう。
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diamond.jp

 一方 ドイツは8年前から感染の大流行に備えて準備していたそうです↓。
business.nikkei.com

 確かにジャック・アタリ先生だって10年前からパンデミック・リスクに言及してましたから、ドイツ政府に感染学者が警告するのは当然だったかもしれない。
 しかし、これには恐れ入りました。そういう判断ができるからこそ、ドイツ人は原発もやめることができた、と思います。
 日本人は他人の足を引っ張ることだけは得意ですけどね。



 緊急事態宣言の延長の件、政府はいつまで経っても はっきり発表しません。観測気球を上げているだけ。

 既に大手企業の中には5月末までのテレワークを決めたところも結構あります。

緊急事態、長期化に備え 三越伊勢丹は休業延長方針 :日本経済新聞

 そりゃあ、報じられているように、期限切れ2日前の5月4日に期限延長を発表されたって困りますからね。

 専門家の意見を聞いて、と安倍晋三は言ってましたが、往々にして専門家っていうのは自分のことしか考えませんから、ギリギリまで判断はしない。論理的にはそれで正しいけれど、現実の生活はそれでは成り立たない。経理でもITでも法律でも原発でも同じですが、専門家にできるのは材料を出すことだけ、です。

 そこを判断するのが意思決定者です。今の日本はそこが致命的に劣っている。かってノモンハン事件ソ連ジューコフ将軍に『日本軍は兵士は最強、指揮官は超無能』と評されたと思いますが、昔も今も変わらないのは日本的体質ですか。


 東京の新規感染者はこの2週間徐々に減ってきています。しかし、まだ毎日100人近い発生者が出ています。
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 連休の結果を見ないと解除するのはリスクが結構ありますから、延長すること自体は仕方ない。仮にボクが総理大臣や知事だって5月6日の期限は延長します。

 しかし、今のような緊急事態が5月末以降も続くとなると経済はマジでおかしくなる。3月より4月、4月より5月のほうが景気は悪くなります
 当面は非正規社員の人が問題ですけど、これからは正規雇用の人だって給料は減るし賞与は悲惨なものでしょう。残念ながら倒産もバンバン出る。緊急事態も5月である程度のケリをつけられるよう、連休は家にこもらないと日本全体がマジでやばくなります。
 少しずつでも、なんとか7月から回復できれば良いのですが。
GDPが2%低下じゃありません。4半期だけとはいえ、20%!


www.nikkei.com


 日本の為政者を見ているとウンザリ、ですが、もっと大事なことは我々が今回の危機から何を学ぶか、でしょう。
 
 今回 隣国の台湾や韓国は感染症を封じ込めることに成功しています。
 台湾が成功しているのは、過去に感染症で痛い目に合った教訓を生かしているだけではないそうです。
『情報をオープンにして共同体全体と信頼関係がある』からこそ、迅速なロックダウンなどが可能になったそうなのです。その背景には『台湾は長年 国際社会でマイノリティ扱いされてきたからこそ、国内のマイノリティも包摂しようとしている』という姿勢があるからだ、という現地在住のライターの話を読みました。 
www.nippon.com

 日本ではパチンコのことで店名を公表するかしないか程度で揉めています。
 が、『台北ではナイトクラブの従業員に感染者が見つかり、全てのナイトクラブやダンスホールの営業停止となったが、無条件で従業員への1~3万台湾ドル(約3.5~11万円)の緊急支援が営業停止から1週間のうちに発表』されたそうです。
●少し前 台湾ではマスクがキチンと買えるというのに驚いたばかりですが、もう医療関係者に寄付までできるようになったそうです。

 日本では朝鮮学校にマスクを配布しないとか言ってたバカな自治体がありましたけど、マイノリティが救済の網から零れ落ちれば感染症はそこから広がってしまう。
 一方 台湾ではマイノリティが活躍しています。女性の蔡総統だけでなく、マスクアプリを開発したトランスジェンダーのIT担当大臣が良い例です。台湾は2019年にはアジアで初めて同性婚が法律で認められ、男女格差を表すジェンダーギャップ指数は、世界9位(日本は121位)。
 今回のコロナ危機でも『台湾・ニュージーランド・ドイツなど、今回のコロナ対策で死者を比較的低く抑えている国の共通点は女性がトップ』なのは言うまでもありません。

 ただし、そういう台湾も一朝一夕にそうなったわけではありません。国内の民主化が進むにつれ、災害や不平等に際して『部外者はいない(没有局外人)』という意識が高まっていったそうです。

 台湾という社会のことはボク自身よくわかりませんし、問題もあるのでしょう。与党を支持する人たちだけでなく、保守的な国民党支持も4割近くもいるわけですし。

 しかし現実にマイノリティを包摂することでパンデミックを抑え込むことができた社会が存在する中国のように強圧的な手段を取らなくても、国民を信頼した情報公開とマイノリティまで包摂するという意思があればパンデミックに勝てる

 これは今回のパンデミックで学ぶべき、実に大きな教訓だと思いました。

『牛肉のクリームソース和え』とBS1スペシャル「欲望の資本主義2020スピンオフ ジャック・アタリ大いに語る」

 朝の気温はまだまだ一桁の日が多くて、例年に比べてまだまだ寒いような気がしますけど、それでも気候も良くなってきました。もう連休が始まった人っているんですか?ボクはカレンダー通り。
 4月から新しい仕事になって、早くも疲れてきたけど、あと1週間の我慢です。

 東京都の感染者数推移、低下傾向が続いています。努力すれば効果は出てくる。
 ですが、感染者が減り始めてからわずか1週間ちょっと。感染者数もまだ、平均では100人を超えています。まだまだ油断できない水準です。

 早く経済を立て直すためにはまず、感染者を減らさなければならない。これからが勝負であることは間違いありません。
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 極力大人しくしていようと思っていますけど、この週末はいつも行っているイタリアンへ行ってきました。普段と違って夜ではなく、お昼に、しかも徒歩で、です(笑)。

 先週 老舗弁当屋の弁松の廃業がありましたけど、こんな状況ですから、やっぱり、お世話になっている店は微力でも応援はしたい。
 しかも昨今は住宅地のほうが人は多い。先週の駒沢公園などひどいものでした。まだ都心のほうがマシかもしれない。
●人影もまばらな表参道
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 もちろん飲食店はどこも大変な状況です。在宅勤務の広がりでお昼は人がいないし、夜はまともに営業できない。しかも営業してると、他人の足を引っ張るこういう人間のクズ↓がボウフラのように湧いてくる。自ら同調圧力の奴隷になるアホがファシズムを作り出す、いかにも日本的な光景です。

●パチンコなんか文化とは思わないけど、科学的な根拠も示さずにつるし上げるのはどうでしょうか。店名を公表するような強硬措置をするのなら説明責任ってものがあるはず。


 2時間かけて歩いて行った店は、出来立てのものを出すのがポリシーだからテイクアウトはやらない。おまけに感染リスクを下げるため、昔から知っているお客さんの予約だけでやっているそうですから、余計に大変だろうと思いました。
●白アスパラ。イタリアのものは入らなくなったので、ドイツ産。イタリアやフランスのものとはまた、味が違うのが面白かった。土の違い、ですかね。

 良い材料を使う店に行くと農家や漁師などの生産者の事も思い浮かんでしまいます。飲食店がおかしくなると生産者だって立ちいかなくなる。飲食店にしろ、生産者にしろ、一度無くなったら簡単には復活できません。文化とは作り手と受け取り手が良きことを続けていくことでもある。

 そんなことを考えながら、ダイエットを忘れてお腹いっぱい食べました(笑)。
●ファッソーネ牛のクリームソース和え。シェフが『ヒマだから作った』(笑)という牛筋から作ったソースはコラーゲンたっぷり、肉に吸い付くようでした


 飲食店だけじゃなく、映画館も劇場も、いや、製造業やサービス業などほとんどの業種が大変な状況です。多くの企業では4月は売上が殆ど蒸発した状態です。更にこれから5月、6月と資金繰りが厳しくなってくる企業がどんどん出てくる。
 他人のことを心配している余裕はありませんが、微力でもできることはやっていきたいと思っています。
motion-gallery.net


 先週放送されて面白かったNHKのバリパラ『桜を見る会』、予定されていた再放送がなぜか他のものに差し替えられたそうです。どういうことなんでしょう。
 今週木曜の続編は大丈夫でしょうか。



さて、先週、4月23日(木) 午後9:00から放送された BS1スペシャル「欲望の資本主義2020スピンオフ ジャック・アタリ大いに語る」、

 これはさすがというか、実に面白かったです。

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www2.nhk.or.jp

 昨年秋に来日した際『日本の現在と将来』について語ったインタビューですが、コロナ危機の現在の状況にも当てはまるものでした。

 アタリ先生はまず、日本の現状について社会の持続可能性が乏しいと指摘します。先進国では断トツの最下位レベルだそうです。
 日本には少子高齢化、女性活用の遅れ、巨大な国家債務などの大きな問題がありますが、最も問題なのは『社会的流動性に乏しいこと』。

 彼は『利他主義が世界の将来を切り開く』としていますが、その理由は長期的な視点に立てば利他主義が最も合理的だからです。自分一人だけが利益をむさぼってしまえば、個人だって、企業だって、長期的には存続が難しくなる。

 この、長期的な視点に立つということがポイントです。アタリ先生は長期的視点という観点からは企業は同族経営が良い、と述べていましたが、現代の資本主義は金融の力が強くなりすぎ、四半期決算など短期的な視点に重きを置くようになってしまった。そこが問題です。
 
 例えば株価を上げるために企業が従業員をリストラするなどがその一例です。
 短期的な視点に立てばリストラをすれば人件費は下がりますから、企業の利益は増え、株主への配当を増やすことができ、株価も上がります。
 しかし長期的な視点に立てば優秀な従業員をリストラすれば、企業の競争力は弱くなります。従業員のリストラは道義的に問題であるだけでなく、長期的な経済的利益を損ねてしまう。

 これはボクも日頃 本当に実感していることでもあります。歴史が長い企業の多くはその傾向があるそうですけど、創業100年以上経っているボクの勤務先も、企業の文化としてそんなに阿漕なことはしないでおこう、という雰囲気が確かにあるからです。
 そんなに立派な会社でもないし、公明正大でもないけど、リストラとかマネーゲームのように利益のためなら何でもする、という傾向はあまりない。地道にコツコツと本業をやっていくだけだ、と経営者も、社員の多くも、そう思っているようです。
 企業を長く存続させることを考えたら、そうやって本業で社会に貢献しながら共存するのを目指すのが得策だと、ボクも思います。


 社会が長期的に存続するためにはまず人口減を防ぐ、そのためには日本は、住宅供給や女性がもっと働きやすくするなど。10年くらいの時間をかけて家族政策への投資が必要、とアタリ先生は言います。
 フランスはGDPの8~9%をかけた家族政策を10年間続けたそうです。それで出生率が回復した。日本の場合 40兆~50兆円かけて公営住宅の供給や教育費の低減・無料化、保育所介護施設の拡充をやれ、と言うことです。確かにそういうことをやれば子供は増える、とボクも思います。あと、男が家事をやらなければいけませんが(笑)。

 そして社会的な流動性です。どんな階級に生まれても頑張れば豊かな生活を送ることができる。誰もがそう思えるから社会に活力が生まれます。国会が2世・3世議員ばかりなことからも判るように日本の場合、そこが根本的に欠けている。『日本は社会的流動性が低い』と指摘するときのアタリ先生の顔↑は実に雄弁じゃないですか。


 今後 世界で起こる可能性があるリスクについて、アタリ先生はテクノロジーで社会の細分化・分断が極端に進む『マイクロ・ヴァルカニゼーション』(バルカン半島化)のほかに、極右と極左が結び付いた過激派の台頭を挙げていました。

 社会が不安定になったり、格差が拡大して、自分の生活に不安を覚える人が増えると、判りやすくて感情を揺さぶるような、『純粋な』言説が増えてくる。ポピュリズムですね。
 しかし『純粋な言葉』は過去しか見ていない。過去は都合の良いように切り取れるから純粋な話を作れますけど、未来は不確定、不透明です。未来は純粋さとは程遠い。

 アタリ先生は、例えば極端なエコロジストと原理主義的な宗教が結び付いた過激派が力を増してくるリスクがある、と指摘していました。どちらも理想を追求する『純粋な』主張です。

 フランスだけの話ではありません。例えば日本でも『消費税ゼロ』を主張する山本太郎は一時期 極右とくっつこうとしていました。消費税ゼロにすれば景気はよくなると主張する山本も、なんでもかんでも韓国や中国が悪いという極右も、主張は判りやすく『純粋』です。しかし、理屈は間違っているし現実を見ていない。

 山本太郎が主張する『消費税ゼロという公約を野党共闘が飲まなければ、選挙区にれいわも候補者を出す』は純粋です。そして実質的に安倍晋三への援護射撃です。そんな山本がいつ、安倍晋三や維新みたいな連中とくっついても不思議ではありません。右だろうが左だろうがリベラルだろうが、アホはアホバカに右も左もないんです(笑)。

 インタビューのなかで『ポピュリズムを背景にした独裁体制が台頭するか、民主主義を守れるか、今後50年が瀬戸際だ』とアタリ先生は述べていました。暗い予想ですが、そのリスクがあることはボクも同感です。

 
 アタリ先生の言葉で最も印象に残ったのは、『未来を恐れていたら、必ず失敗する』です。
 ただでさえ、世界も日本も問題が山積しています。世界的なパンデミックに襲われた現在はなおさらです。
 格差を縮小するための経済構造の変革や気候変動への対応など、今後は従来とは全く異なる路線へ舵を切っていかなければなりません言うだけなら簡単ですが、実行するとなると困難な話です。

 90年代初頭のバブル崩壊に始まって、山一ショック、ITバブル崩壊、小泉不況にリーマンショック、東北大震災+原発事故、そして今回のコロナ危機、と数年に1回は危機が襲ってきています。厭世的な気持ちになりがちなのはボクだけでしょうか(笑)。
 しかし厭世的になって将来を恐れていたら、判断を誤ったり、ポピュリズムや過激派、権力者の間違った言説に惑わされてしまうリスクは高い。正面から未来に向き合え、ということなのでしょう。
 
 ボクはアタリ氏の本、少なくともこの10年くらいのものは全て読んでいるし(パンデミックのリスクも指摘していました)、講演も聞きにいきました。
spyboy.hatenablog.com

 それでも今回のインタビューで『社会的流動性は長期的な社会の存続に必要』なことや『未来を恐れていたら失敗する』など、初めて気が付いたこともありました。
 まるで中国の古典の賢人の話を聞いているかのようでした。TV番組でこれだけの示唆をもらえたのは初めてかも。非常に良い番組でした。3回も見直しちゃいましたよ(笑)。28日深夜にBS1で再放送があります。

『コロナが暴く?日本の民度』と『お弁当屋さんの廃業』

 このところ、片道1時間半かけて徒歩通勤しているせいもあって、街を歩く機会が格段に増えました。普段は知らなかった街の表情をうかがい知ることができて、新鮮な感じがします。マスク越しでも新緑の香りが漂ってきます。

 マスクなしでジョギングや自転車に乗っているアホは京大の山中教授の警告もあり山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信、多少 減る兆しは見えてきたかな?。今週になって、10人に2人くらいはマスクをする人を見かけるようになりました。
 それでも集団、時には家族ぐるみでマスクなしでジョギングしてる低能には呆れてしまいます。あと老人会のべちゃくちゃ喋りながら道をふさぐ集団散歩も勘弁だなあ。
 日本人はなんでつるみたがるんだ
●道端で見かけた町内会の掲示板(笑)

  小池百合子が『スーパーでの買い物はせめて3日に1回』と言ってたのも驚きました。そんなヒマ人ばかりなんですか??ボクは普通は週1回、多くて3日に1回です。店に行く回数が増えれば増えるほど、無駄遣いするじゃないですか(笑)。
 
 連れ立ってスーパーへ買い物に来る連中も減りませんね。それも所在投げなジイさんが奥さんについてくるのをよく見かけます。
 『密』の問題だけでなく、慣れないスーパーでジジイが呆然とつっ立てるから邪魔です。動きがトロいのは仕方ないけど、人との距離を取ろうとする奴が少ないのは問題。そのくせ奥さんの荷物を持ってるような殊勝な奴は殆どいない。

 ジイさんの中には会計の際にわざわざレジの店員さんに話し込むボケ老人もいる。しかも飛沫防止のスクリーンの脇から喋ってやがる。そういう中高年のジジイの多くは普段から頭も気も使ってないのでしょう。
●最近はしゃべらなくてよいように、レジにはこんなカードもあります。

 バカにはつける薬はないから仕方ないですが、『男は仕事』という戦後一時期のみの『性分業という妄想』が、如何に粗大ゴミのような使えないバカ男どもを作り出してきたか、改めて実感します。
●23日放送のE-TVの『バリバラ』、伊藤詩織氏と崔江以子氏がゲスト、面白かった。NHK頑張ってますよ。来週も続きます。



 テレワークで住宅地の昼間人口は増えているのですが、広場などで小さいお子さんを抱えて所在無げにしている親御さんが増えてきたような気がします。そういうのを見ると、この親子はどうしているんだろう、と思ってしまいます。

 緊急事態宣言で保育所の多くも閉まっています。東京都はベビーシッター補助とかはやっているようですが人出不足だそうですし親がテレワークをできない仕事だったら、いったいどうしたらいいのか、正直 ボクには想像もできません。子供だけでなく、デイケア/デイサービスなどが閉まって介護で苦労をしている人もいる。


 近年『改革』とか『生産性』とか『民営化』など、この国でも色んな言葉が使われてきましたけど、要するに金儲けやコストダウンを追求してきたわけです。しかも多くの場合 社会に不可欠な仕事をしている人たちを踏み台にしてきた。そのツケが回ってきている。

 (医師会という強力な圧力団体がある開業医は別として)医療や介護、インフラ関連など生活に不可欠な仕事、いわゆるエッセンシャル・ワーカーは押しなべて待遇が良くない例が多い。正規・非正規の雇用形態の差、とは言うけれど、多くの場合 それを正当化してきたのが日本人が性差別を認めてきたからです。

 日本の民度は実はこの程度です。男女や国籍、人種を問わず、幅広い人たちの力を生かすことができないのですから、我々の社会がこんなに脆弱なのは当然のことかもしれません
●職員から10万円を召し上げようとした広島県知事ですが、これは納得してしまいました(笑)


 経済面でも 影響はどんどん大きくなってきました。3月、4月の売上減で資金繰りが煮詰まってくる5月、6月にかけて、これから更に悪くなってくる。小売や飲食だけでなく、製造業だって例外ではないでしょう。

 TVや新聞で大きく報じられましたが、今週 東銀座の歌舞伎座前にある創業150年のお弁当屋さん『木挽町辨松』の廃業、これはショックです。


headlines.yahoo.co.jp

 元々後継者難や老朽化で身売り先を探していたところにコロナで歌舞伎座が休業してとどめを刺した、と報じられています。倒産ではなく廃業ですから、まだマシですが(中小企業は周囲に迷惑をかけない廃業なんか中々できないものです)、それでも寂しい。

 一定の年齢以上の東京生まれの人しか判らないかもしれませんが、砂糖と醤油が炸裂する甘じょっぱい味はまさに東京、いや江戸の味です。
 辨松の卵焼きや煮物はボクにとって子供の時からのソウルフード。食べると、自分が江戸時代から続いている存在であることを実感できます。
 明治期に官僚がでっち上げたインチキな君が代や日の丸じゃなく、これこそが伝統です。
 しかも安い。卵焼き一折420円ですからね。

 しかも自分で作ろうと思ってもなかなか真似できません。甘辛いんだけどしつこくない、そして煮物は型崩れしていない。あれはなんなんだろう。

 ただ辨松の場合、ライバル店、創業160年の『日本橋弁松』が残っているのは不幸中の幸いではあります。ほぼ同じものはまだ食べられます。しかしコロナは経済だけでなく文化や伝統を、如いては社会をも破壊してしまう。


 アメリカの失業者は2200万人を超えているそうです。世界大恐慌の時は1300万人、リーマンの時は900万人です。
 一方 日本は2020年2月の時点で非正規雇用者が労働者全体の38%、パートとアルバイト併せて約1500万人、まず、この人たちの生活が危うい。他に約200万人の個人事業者もいる。

 3月末の時点で既に、派遣社員の2割弱が失業、約4割が収入減という調査もあります。
www.nikkei.com


 当初の所得制限付き30万円配布ではこの人たちはほぼ対象になりません。基準が間違っている。
 だから 一人一律10万円になったのは当然と言えば当然、です。この額ではとても足りないとは言え、今は誰が困っている、困っていないなんて判別できるわけがない。程度の差はありこそすれ、判別するには時間がかかりすぎるし、困っている人の数が多すぎる

 辨松どころか、あと4,5か月しかキャッシュが続かないというJALANAのような超大企業だって潰れかねない状態です。

 そして更に追加対策をしなければ、コロナで亡くなる人より、経済危機で亡くなる人の方が多く出ると思う。


 いつもグラフを挙げている東京都の感染者数推移(1週間移動平均)。 
 この1週間、感染者数の発生数は緩やかながら傾向は下がり始めました。外出を抑えることで効果は出始めています。
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 *今週 山中教授が『東京都の検査数は減少しているから、感染者数の増減はあてにならない』と警告を出しました。慌ててボクも検証したら検査数は傾向値では増加していた。彼は単日の数値で考えていたんです。数日で教授は間違いを認めて訂正しましたが(彼は誠実です)、ノーベル賞学者ですらそういうことがある。いかに自分の頭で考えることが大事か、と思いました。
www.covid19-yamanaka.com



 今、できることは更に一人一人が感染リスクを下げていくのと、政府に適切な対策を要求していくしかない。
●政府の無能無策を黙っているのは論外です。

 ワクチンや治療薬ができるまでは、自粛と緩和を繰り返しながら経済活動を適度なレベルに維持していかざるを得ないんでしょう。そして、損害を少しでも少なく、そして皺寄せを受ける人を一人でも少なくすることが後々の経済の立ち直りにもつながります。今こそ、弱い立場の人に寄り添わなくてはいけない

 命や職を失ってしまえば、経済もへったくれもありません辨松のような例を増やしてはいけません


 上のグラフを見ても判るように、努力をすれば感染は防げます。今 感染者を減らしておけば、経済が再び立ち上がるのも早くなります。我々にまだ希望があるうちに感染を減らさなくてはいけない、と思います。