特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『数式には罪はない』(笑)と『6/13香港の自由と民主主義を守る緊急行動』&『0614再稼働反対!首相官邸前抗議』

 この前 神宮前でアイスクリームを食べたんです。数年前にオープンしたLAITIER(レティエ)という店はTVや雑誌などに掲載された後、店頭での行列や自撮りしてる奴が大勢いたので敬遠していました(笑)。最近やっと落ち着いてきたので勇気を出して(笑)、店のドアを開けてみました。

●店のお奨めという『はちみつと3種のナッツのアイスクリーム』
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 これが異様に上手い(笑)。味は濃いけど、それほど甘くない。ミルクの味が濃いから甘さを抑えることが出来るそうです。今まで食べたアイスの中でも、トップレベルの美味しさ。びっくりしました。マシンメイドのソフトクリームだから、きちんとしたレストランが手作りするふわふわのアイスとは食感は違うけど、また違う美味しさです(笑)。

 地元の人に話を聞いたら、個人経営のその店は市場を通さず親戚の農園から直接ミルクを持ってきているそうです。値段もちょっと高い(780円)けど、これなら納得です。『ダイエットの敵』ですけど、度々リスクを冒す価値はありそうです(笑)。



 さて、今週 自民党が雑誌ViViを使って行ったネット・キャンペーン↓が炎上してました。

www.huffingtonpost.jp

 また怒ってる連中もいるけど(笑)、今後 ボクはこの雑誌をボイコットするだけで(もともと買ったことないけど)、別に何とも思いません。発行部数がピークの4分の1にまで落ち込んでいるという落ち目の雑誌が自民党の広告資金に転んだ、というだけです。それも、これだけだったら、間に電通かましても精々2000万くらいのはした金でしょう。

 与党が金に飽かせて物量戦術をやってきているのではなく、創意工夫でゲリラ戦をやってきている、というのがこの問題のポイントです。

 以前 国民民主党の玉木が兜をかぶるCMをTVや映画館で見かけましたが、あまりのセンスの悪さに失笑する観客すらいました。こちらの方が金は遥かにかかっている。10倍どころじゃないでしょ旧民主党負の遺産=国庫へ返納もしないで残った政治資金の超無駄遣い)けど、効果は自民党の方が遥かにあると思う。ターゲットが明確な分だけ、広告として優れている。
●サイテーでしょ。これは票を減らす効果しかない(笑)

国民民主党 CM動画 : 「私たちの答え」篇

 このことで判るのは、自民党の方が野党より遥かにマーケティングに長けているということ。その差はどんどん開いています。ネット時代になって安価に効果的な広告・広報を打つことが可能になりました。自民党はそれをうまく利用している。
 広告の内容は『レイプ犯をかばったり、LGBTは生産性がないと言う議員まで居る自民党の内実』とは全く違うけれど、間違いなく自民党のほうが野党より国民の眼を意識している
 政治ってある意味 マーケティングです。政策を、誰に、どうやって(広報や演説、マスコミ露出)働きかけるか。野党の多くは人々に訴えかける基本的なスキルができていない。これは金とか、政治と媒体の癒着の問題ではない。

 これじゃ野党が選挙に勝てるわけがありません。企業に置き換えてみると今の野党って、倒産寸前(社民、国民民主)、将来の成長性がない(共産)、設立後間もないのに大企業病(立民)、インチキ健康食品や霊感商法の個人商店(山本太郎)のようなものだと思う。野党は頼むからもうちょっと頭を使ってくれ。ムリか(笑)。
●うまいですよ。その程度の国民、ということを自民党はよく理解している。野党より賢いです。



 それより金融庁の金融審議会市場ワーキンググループによる「高齢社会における資産形成・管理」、通称『貯金が2000万ないと95歳までの老後は厳しい』(笑)という報告書が物議を醸しています。
this.kiji.is


 試しに40ページ余りの報告書を読んでみましたけど、ボクは全く問題があるとは思いませんでした
●流し読みだったら10分で読めますよ。https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

 内容は『企業の退職金も減ってきてるし、若い時から貯金、運用しなくちゃだめよ』と言ってるだけです。そんなの誰でも判ってるはず(笑)。
 で、厚労省のデータを基に、と但し書きをして、『高齢無職夫婦の平均的な収支は平均で毎月5万の赤字、その赤字が毎月発生するなら20年で1300万、30年で2000万貯金を取り崩すことが必要』とは書いてある。それってただの計算結果です(笑)。5万×12ヶ月×30年≒2000万。数式には罪はない(笑)。
そもそも報告書には年金の事なんか何も書いてないんです!(笑)

headlines.yahoo.co.jp


 ネットでは国の責任放棄じゃないかって怒っている人が大勢いるし、それにビビったのか 所轄大臣の麻生太郎は報告書を受け取らない、とまで言っています。でも、報告書には年金の事なんか書いてない!(笑)。報告書に怒ってる奴らも麻生も、お前ら、報告書読んだのか(笑)。

 不思議です。この報告書に怒ってる人って、今まで年金だけで暮らしていけると本気で思ってたんですか(笑)。厚労省マクロ経済スライド制度を導入したとき、『100年安心』とか言ってましたけど、それを本気にしてたんでしょうか?(笑)。

 今までだって、年金だけじゃ足りないって報道は沢山あったし、それでなくとも自分がもらえそうな年金額だって、ある程度わかる。それで足りないか足りるかぐらい判るでしょう。今まで何も考えていなかったんですか?(笑)

 老後にいくら必要か、その人の住んでいる場所や健康状態、家庭環境、ライフスタイルによって全然違います。だとしたら自分で考えるしかありません。年金だけで足りるか足りないかは、自分で判断するしかない。当たり前じゃないですか(笑)。そこまで自分の人生を他人任せにするの(笑)?

 実際 老後資金は年金だけでは足りないと思ってる人が大勢いて貯金に励んでいるから、結果 景気が悪くなっているわけでしょ(笑)。


 もちろん 貯金も出来ないくらい生活が厳しい人の問題は有ります。非正規の人がこれだけ増えたんです。大きな社会問題です。でも、それは小泉の派遣社員規制緩和が大きな原因です。年金ではなく雇用・賃金政策の問題です。ましてや、この報告書には関係ない。関係ない報告書に怒ってるヒマがあったら、最低賃金上げろっていうべきです。

 100年安心とかデマを飛ばした厚労省無為無策のまま放っておいた与野党の政治家を責めるのならわかります。単に数式通りカネの計算をしたに過ぎない金融庁の報告書を責めるのはお門違いです。事実は事実なんだから。

 与党も野党も現実から目を塞いでいる。報告書を受け取らないという与党は確かにおかしい。

 それ以上にヒステリックに理不尽な言いがかりをつける蓮舫の国会質問なんか最悪でした。初めて安倍晋三に同情しましたよ(笑)。事業仕訳の時も感じたことですが、蓮舫って実は頭は空っぽなんじゃないか(実際に現物を見ると、いい人ではありますけどね)。
●年金の事に触れていない報告書のことで年金問題を追及されるんだから、たちの悪いヤクザの言いがかりみたいなもんです(笑)。


 まるで 紅衛兵ポルポト人民裁判みたいじゃないですか。ファシズムですよ。ファシズム安倍晋三のお株を奪ってどうすんだよ(笑)
headlines.yahoo.co.jp

 
 やはり社会に不満が溜まっているんでしょうね。為政者は金持ち優先の政策が中心、野党は国民の方を向いていないし、多くの市民運動は旧態依然としたまま。人々の不満のはけ口がないだから滅茶苦茶なことを言ってるアホの山本太郎に寄付が集まったり、『NHKから国民を守る党』から議員が当選する。 左右に関わらず、反知性主義が跋扈する。

 こういう状況は狂ったポピュリズム、やっぱり人民裁判って言った方が良いかな。右左関係なくムードに流されやすい、頭を使いたくない人々の鬱屈した感情が溜まってくると、それがファシズムに転化するまでもう一歩です。


 この週末にこの報告書に反対すると言う『年金返せデモ』があるけど、報告書を読んだらアホかと思いました。逆に『(安倍から)報告書を守れ』じゃないの。逆だよ、逆

 確かに年金は参院選前の大きなトピックではあるけど、取り上げる理屈が間違っていれば実効性はないし、長続きはしない。何よりもボクは理不尽なファシズム人民裁判に加担する気はないですよ~。

●数少ないまともな意見。『報告書を責めるのは筋違い、だけど麻生太郎が追及に反論せず適当に収めようとした対応は最悪だった』というもの。それなら理解できる。
diamond.jp


といいつつ、木曜は九段下の香港経済貿易代表部へ。
6/13 香港の自由と民主主義を守る緊急行動
 香港のデモに連帯する主旨は大賛成だし、信頼できる元SEALDsの子たちの呼び掛けです。雨傘運動の子たちは15年の安保法反対運動の時 国会前に来てくれていました。何も出来ないけれど、ボクは彼ら・彼女たちに連帯の気持ちくらいは示したいです。なお金曜日の今日は札幌、名古屋でも緊急行動が行われています。


この抗議が呼びかけられたの水曜の深夜、Twitterだけです。5時半からと言う普通のサラリーマンには不可能な時間帯(笑)しかも前日夜のアナウンス、特殊なサラリーマン(笑)のボクだって当日知って、急いで出て来たんです。それで300人も集まったのですから参加者は多いと思います。

●抗議風景。三枚目は呼びかけ人の元SEALDs、沖縄県民投票の会の元山君

●コールは香港頑張れ! 香港加油


 
 元SEALDsの子や香港の人、中国に留学してた人がスピーチしましたが、沖縄と香港のことを重ねて話す人が多かったです。香港に駐在したり、旅行することだってあるんだし、まったく他人事じゃない。何よりも安倍晋三中国共産党みたいな社会を目指しているじゃないですか!

www.asahi.com
 
●そのあと渋谷で抗議が行われました。こちらは参加者2500人

●昨年 習近平が『くまのプーさん』に似ているとネットで揶揄されたことで、ディズニー映画が公開中止になりました。忖度役人満載の日本だって今にそうなる。




 ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議へ
 当初 天気予報では雨だった☔️のですが、保ちました。午後6時の気温は23度。暑くもなく寒くもない抗議日和でした。参加者は300人くらい?先週よりは多かったと思います。
●抗議風景

『#AbeOut0608』&『#0609原宿デモ』、それに映画『嵐電』

 週末の土曜日は銀座で『#AbeOut0608安倍晋三内閣の退陣を求めるデモ。今年3度目です。
 主催は『怒りの可視化』、反原連や国会前や反ヘイトの抗議に参加している人たち、普通の市民(笑)がやっています。政党や組合などの組織の動員の奴なんか誰もいない。 
 年齢層も現役世代、若い人、年配の人とバランスが取れているし、来ている人はみんな個人、自分の意志で来ているから、やる気がある。なによりも活気がある。『総がかり』のようにプロ市民の意味不明で内容がないスピーチを聞かされて気分が滅入ることもない(笑)、参加して楽しいデモです。

 この日の天気予報では雷雨、ということでしたが、幸い雨も全く降らず、気持ち良いお散歩日和でした(笑)。

 集合場所の日比谷公園から東電前までは『安倍晋三原発やめろ』『東電解体』というコール。

 そのあと銀座4丁目の交差点を抜けて京橋までは『安倍はやめろ』のコール一択、判りやすい(笑)。くだらないことをぐちゃぐちゃ言ってるより、沿道に判りやすいコールの方が良いに決まっています。反応も良かったし。

●ウェスト本店の前。思わずシュークリームを買おうかと思いました(笑)

 参加者は400人と言っていましたけど、もっと大勢に感じました。参加者みんなが声を出しているし、太鼓もあるし、プラカードを振ったり活発だからかな。
●この日はNHKが3~4人来てました。普通の取材はどこのTVも沿道から少し撮るだけですが、今回は最初から最後まで並走してデモの中に入り込んで取材をしてました。放送されるかどうか知りませんが、現場は頑張ってる。


 そして、日曜日は#0609原宿デモ。SEALDsの後、頑張ってくれた若い人たち、『未来のための公共』と共産党系の若者憲法集会との共催です。この時期 恒例ですが、『未来公共』がデモを開くのはおそらく最後になるようです。本当にありがとう。

 集合場所の都立青山公園へ行くと、まだ共産党系の集会が行われていて違和感ありまくりだったのですが(笑)、まあ、我慢します。気味が悪いフォークソングを合唱しているジジババまでいて本当にキモかった。新興宗教みたい。iPodのヴォリュームを上げて雑音を遮断(笑)。
 共産党にもBPM100?以上(笑)のビートに乗せてコールできる若い子もいるし、50年前から脳みそとリズム感が変わらないキモいジジババもいる。玉石混合なんでしょう。

 この日は時折軽い雨がパサつくお天気、今年バーゲンで買ったマッキントッシュのレインコートが完璧に役立ちました!(笑)。
●軽い雨が降り出すお天気でした。出発地点に志位和夫が居るんですから、最初の雰囲気判るでしょ(笑)

 もちろんボクは『未来公共』のサウンドカーについていきます。共産党キモい!。大人だから我慢するけど(笑)
●六本木のアメリカ軍ヘリポートの脇を通る。一般の日本人は立ち入り禁止


 そういうこともあって、正直 最初はいまいち盛り上がらなかったんですが、青山通り、表参道と沿道の人が増えてくるにつれて気分も上がってきました。沿道の反応も驚くほど良くて、そうするとデモをやってる側のテンションも上がる。これぞ、弁証法です(笑)!
 こちらが楽しそうにしていれば、周りも楽しそうに感じるプロ市民運動や組織でやってる連中にはこの、簡単な真理がわからない(笑)。バカだから(笑)。
●六本木から青山通りヘ。2枚目、反対車線の車の中から山本太郎のポスターを掲げる人。デマゴーグのポスター掲げられて同類扱いされるのも嫌ですが、中指を立てるのは我慢しました(笑)。

●表参道。段々盛り上がってきました。


●さすが原宿、沿道の反応が異様に良い(笑)。もうノリノリ(笑)。デモをやってる方も盛り上がります!

 こちらのデモの参加者は1500人だそうです。毎日新聞のカメラマンが必死になって撮ってたから、これから、どこかに映像が上がるかも。

 東京ではこれから、来週は年金返せデモ、再来週はエキタスのデモ、国会前でも怒りの可視化の抗議をやると言ってます。とにかく今度の選挙はやばい。盛り上げようってことですね。選挙に行かないような人間はもともと救いようがないと思いますけど、こちらまでアホの巻き添えになるのはなるべく避けたいもんな~。




ということで、新宿で映画『嵐電
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www.randen-movie.com

 ライターの平岡衛星(井浦新)は嵐電京福電気鉄道嵐山線)の線路そばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話を収集している。彼には妻の斗麻子(安部聡子)と訪れた思い出が抱えながら、電車が走るのを日がな1日、眺めている。
 そんなある日 彼は、修学旅行中の女子学生・北門南天(窪瀬環)が8mカメラで電車を撮影している地元の少年・子午線(石田健太)に言い寄るのを目撃する。
 一方 嵐電沿線の太秦撮影所付近の弁当屋で働く小倉嘉子(大西礼芳)は、ひょんなことから俳優の吉田譜雨(金井浩人)に京都弁を教えることになる。台本の読み合わせで二人はひたすら恋人同士の台詞を繰り返し続けるが


 『ゲゲゲの女房』を撮った鈴木卓爾監督が自身が教職を務める京都造形大の学生たちと一緒に作ったという作品です。日経の映画評では星5つという高評価。

 なんとも不思議な映画です。
 妻との思い出を引きずりながら嵐電の線路そばに部屋を借りたライター、平岡(井浦新)、ひょんなことから太秦撮影所で撮影している俳優に京都弁を教えることになる嘉子(大西礼芳)、8ミリカメラで電車を撮影している少年と修学旅行中の女子学生、3組の話が並行して進んでいく群像劇です。
嵐電の脇の安アパートに鎌倉からライター(井浦新)がやってきます。嵐電のエピソードを集めるそうです。

 物語はダウンを着込んだ井浦新嵐電帷子ノ辻駅近くの部屋を月3万円で借りるところから始まります。嵐電にまつわる不思議なエピソードを集めているという彼ですが、仕事をしているより駅のベンチに座り込んでぼーっとしていることが多い。

 若松孝二監督を演じた昨年の『止められるか、俺たちを』とは打って変わって、柔らかな表情を見せる井浦新を見ていると、やっぱり、良い役者さんだなーと思いました。
●エピソードを集めるというより、日がなボーっとしているライター(左)。ある日 修学旅行中の高校生の女が地元の少年に話しかけているのを見かけます。

 嵐電って面白いですよね。2,3回しか乗ったことありませんが、不便だし、時間もかかる。でも乗っていて全然飽きない。特徴ある駅名も相まって、生活感があるというか等身大というか、人間にはこれくらいのテクノロジーでいいんじゃないか、と思わされます。大好き。沿線の街並みも含めて、時間の流れ方が違う。
 その、のんびりとした嵐電の走りがまるで河の流れのように捉えられている映画です。ここでは時間そのものが人間らしい速度で流れていく気がします。


 映画の実質的な主役は、太秦撮影所近くの弁当屋で働く小倉嘉子(大西礼芳)かも。弁当を届けに行った彼女はひょんなことから売れない俳優(右)に京都弁を教えることになります。
●嘉子(大西礼芳)(左)は東京から来た俳優に頼まれ、嵐電の沿線を歩きながら台本の読み合わせに付き合わされます。

 若い子同士のエピソードはかったるいというか、ちょっと鼻白む気がしたのですが、この女の子にはちょっとした存在感がある。彼女が出ていると画面から目を離せない。鈴木監督の京都造形大のクラスのOBだそうです。ボクは知りませんが、最近はTVドラマなどにも良く出ているそうですね。
大西礼芳は存在感があると思いました。いいです。

 お話はだんだん、過去と現在、現実と幻想が行き来するような方向に進んでいきます。監督自ら『良く判らない話』と言っていました(笑)。今時珍しい8ミリカメラで嵐電を撮り続ける少年が「このカメラ、好きなものを撮るために買ったつもりなのに、気づいたら、これで撮ったものを好きになっている……」と言います。起きるはずがないことが、起きる。登場人物たちの人間関係もいつの間にか逆転している。
 


 それでも、この映画の中で一貫して描かれているものがあります。それは『喪失感』です。過去の街並みなのか、今は無い人の想い出なのか、何が喪失してしまったかは具体的には提示されません。駅でぼーっとし続ける井浦新が『適わないことが起きるのを待っている』と独り言のようにつぶやくシーンがありますが、登場人物たちは誰もが起きるはずがないことを待ち続けます。
●お話は次第に過去、現在、幻想、現実が織り交ざっていきます。人間の意識そのものを描いているかのようです。


 そんな不思議な物語に、嵐電という、のんびりした生活感が溢れる電車がまるで流れる川のように、京都の町を走り続ける光景が説得力を持たせている。あがた森魚が担当したアコースティック中心の劇伴も雰囲気造りに一役買っています

 訳のわからないお話し、一貫してただよう喪失感、嵐電、音楽、京都の街並み、なんか、良く判らないけど(笑)、良い映画だったと感じる独特な雰囲気のある作品でした(笑)。
 
映画『嵐電』予告編
井浦新目当てに舞台挨拶も見てきました。やっぱりかっこいいな。2枚目左端が鈴木監督


www.cinematoday.jp

『ポピュリズムと物語』と『0607再稼働反対!首相官邸前抗議』

 この前 銀座で、松江の名物という鯛めしを食べに行ってきました。
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 普通は鯛ごと炊きこんで仲居さんにほぐしてもらうんでしょうけど、ここの店は炊立てのご飯に鯛のそぼろ等の具を載せ、鯛の骨の出汁をかけて食べる。

 ま、味はフツ―(笑)、です。まずくはないけど、すごく美味しいというわけでもない。出汁は良かったから、まあ、美味しい、そんな感じです(笑)。

 その鯛めしを食べに行ったのは、それを出す松江の旅館『皆美』が、戦前の自由主義ジャーナリストで戦中に亡くなった清沢洌が名著『暗黒日記』を書いたところだからです。

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)


sbc21.co.jp

 戦前 東洋経済などで外交や経済で自由主義的な言論を発表していた清沢は、治安維持法の成立後 軍部の弾圧で執筆活動を封じられました。雑誌側も本人も抵抗しましたが、配給制になった紙の供給まで止められてはどうしようもなかった。
 仕方なく清沢は東京を離れ松江の旅館『皆美』に長期逗留、そこで日本の敗色が濃くなっていく日々を綴った『暗黒日記』には『当時の軍部や政治家が如何に腐っていたか、国民が如何にアホだったか』が如実に書かれています。
●暗黒日記を引用して呟く『暗黒日記bot』より


 この本を読むたびに、今と比べてどうなんだろう、と思ってしまうんです。政治家や国民のアホさ、無関心、フェイクニュースまで、今とあまり変わらないんじゃないでしょうか。


今週末は『安倍辞めろ』デモもあります。様子は月曜日の更新で。



 少し前 311以降のさまざまな抗議に参加している社会学者の木下ちがや氏(こたつぬこ)が

「社会を変えよう」といわれたら

「社会を変えよう」といわれたら

こう言っているのを見て、なるほど~と思ったんです。

 『実現できないことを掲げないとつかめない層』簡単に言えばアホってことですが(笑)、BREXITやトランプに投票したり、小泉改革アベノミクスを支持した庶民はまさにそうだと思います。自分で自分の首を絞めているのですから。フランスの黄色いベスト運動もそうですよね。次第にただ暴れるだけの連中が増えて、それを極右・極左が煽ってた。

 前回の参院選では、ボクは東京地方区は山本太郎に投票しました。自民の武見と山本太郎が最後の議席を巡って競り合っていたからです。ボクの投票基準は、どちらがマシか、ですから(笑)。

 しかし判っていたこととは言え、当選後 山本太郎や周りの連中三宅洋平とか岩上安見とか田中龍作、中核派もどきも居た)はアホとデマばかりで流石にうんざりしました。
 山本太郎はたまには良いことをやっているとは思うけれど、原発即時ゼロ等の非現実的な発言はかねがね、嫌だなーと思ってました。自民候補を当選させるよりはマシですが、功罪を考えれば罪の方が大きい
 実現できないことを掲げるのは、むしろ現実の変革の足を引っ張ります。総理大臣当時の鳩山の『(米軍基地は)最低でも沖縄県外』が良い例です。

 山本は最近は『MMT』や『反緊縮』『財務省潰せ』とか言ってるらしい安倍晋三は史上最大の予算を執行して財政赤字が拡大してるのに何が反緊縮だよ(笑)。こいつは本当にバカだと思います。
 

 過激なことを言って大衆受けしても、まともな人には笑われるだけです(笑)。それでは現実的な力を持つことは絶対にできない。民主党政権がダメだったのは最初は官僚を排除するばかり、後半は官僚に頼りきり、結局 コントロールできなかったのが大きな理由の一つです。
 世の中を動かしているのはデマや空理空論ではない。実務の出来る『まともな人』です。少なくとも官僚は実務は出来る(はず)。腐りきった1割くらいは捨てなきゃいけないかもしれませんが、残りは使いこなさなきゃ。それが頭を使うってことです(笑)。


 しかし、国民の中には現実に理屈じゃなく判り易い信仰を求めている人も一定数 存在しています(笑)。一定数どころか、少なからずいるのかもしれない。ポピュリズムとも呼んでもいい。木下氏は『そういう層を取り込むには山本太郎は有効じゃないか』というのです。

 もし山本太郎が居なければ、信仰を求めている人は『維新』や『NHKから国民を守る党』、『日本第一党』などの極右に行く可能性は高い(笑)。信仰を求めている連中は自分の憂さを晴らせれば何でもいいんです。リベラルとか左とか言ってても、脳味噌が足りないところはネトウヨと大して変わらない。


 そういう層には、なかなか理屈は通じにくい。それだったらバカの票は山本太郎に吸い込んでもらうのもいいんじゃないか。確かに合理的な判断ではあります。ただボク自身はバカは嫌いだし、時間がもったいないので関わり合いになりたくないですけどね。

 世の中の常として、考えることができない層は一定量居るのは間違いないので、山本太郎のようにゴキブリホイホイの役割を果たす存在は当面 仕方がないことかもしれません。毒を持って毒を制す、アホを持ってアホを制す(笑)。ゴキブリホイホイは使い捨てですしね(笑)。
 ただゴキブリホイホイもマトモな人が副作用は極力抑えないといけないとは思います。



 もう一つ、関連する話題です。
 前々から書いている通り、元号というものは不便且つ不愉快な存在です。日本の伝統でも何でもない。日本人の井の中の蛙意識を増長させ、日本人の頭を悪くするだけの邪習でしかありません。勤務先でもボクが音頭を取って元号を社内の書類から完全追放したくらいです。

 その元号について、今週水曜日 作家の池澤夏樹が朝日朝刊でコラムを書いていました。
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www.asahi.com


 元号について述べた、以下の書き出しは当然として、

今回の皇位継承は諒闇(りょうあん)なき祝祭だったから世間がはしゃいだのは当然としても、お祭り総理の音頭取りでメディアをはじめ みなよく踊ったものだ。制定の過程を見ていてわかったのは、元号とは天皇制の権威を背景に官邸が国民に下賜するものだ、ということだ。

 末尾のこれはその通り、と思いました。

数ある祝日の中で最も無意味に思われるのが二月十一日
 中略
国民統合のためにどうしても必要と言うのなら、やはり今の「国体」ができた日本国憲法施行の五月三日がよかったと思う。
 いくたび元号を変えようとも、変わらない陰の元号がある。 「戦後」。


 池澤の言うとおり、日本国憲法施行の日が建国記念日だったら、我々の日本という国に対する意識もだいぶ違ったと思うんです。

 国家の成立には、国民の間で共有できる何らかの『物語』があります。イギリスの名誉革命フランス革命アメリカの独立戦争中国共産党の長征、ボクの知る限り、国民国家というものの存在には全て何らかの『物語』がある。国民の意識を統合するための物語、象徴です。それを具現化したものが『憲法』なんでしょうか。


 ところが戦後の日本は、国民の間で共有できる『物語』がはっきりしない。そこに不満を持つ人は左右を問わず、居るわけです。
『太平洋戦争敗戦による民主化』というのは戦後しばらくの間は国民の間で膾炙するものになっていましたが、GHQの力を借りたものですから、物語の力としてはどうしても弱い。『(日本人自ら)敗北を抱きしめた(ジョン・ダワー先生)で納得できない連中というのはどうしても、出てくる。

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

 そういう連中が、大日本帝国を持ち出す。連中の、美化や歪曲した歴史修正主義は最初は常識ある大人には笑われるだけでしたが、戦争の記憶が薄れるとともに多少は力を持ってくるのも理由がある。また自称保守派や丸山穂高のような連中が国家とか道徳とか家族観とか、実態は自分たちの私生活と相反するような規範を持ち出したがるのも(笑)、国民統合の物語がはっきりしないからです。

 嫌韓とか嫌中とか言ってるネトウヨ連中も物語を求めている。実生活が惨めだからこそ、それを忘れさせてくれる、自分のアイデンティティとなるような大きな物語が欲しいんです。ちなみに元事務次官に殺されたひきこもりの息子もゲームのドラクエ廃人であるだけでなく、ネトウヨでした(笑)。




 特に最近は戦争の記憶が薄れ、新自由主義の大波がやってきて格差が広がり、将来の不確実性が拡大し、日本経済は沈没しつつある。それに対する不安から、右左関係なく、国民統合の物語への欲求が高まっているのではないでしょうか。ナショナリズムですね。

 元々ボクは『ナショナリズムは愚か者の最後の隠れ家サミュエル・ジョンソンと思ってますけど、日本の場合は物語がはっきりしていない分だけ、ナショナリズムは不健全なポピュリズムに転化しやすい。だから、他国のものより悪質です。
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 そして、池澤が言うとおり、1945年以降 日本の元号はずっと『戦後』でした。昭和でも平成でもない。

 白井聡流に言えば、『アメリカ従属』という新たな天皇を戴く国体がずっと続いていた。安倍晋三などがやろうとしているのは『アメリカ従属という国体を守りながら、新たな国民統合の物語を作ろうとしている』です。それが改憲の意義です。まあ、アメリカに従属しながら国民統合をしようなんてもともと矛盾していますから、ムリ筋の笑い話かもしれないんですが(笑)。

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

 
 だけど、それに反対する側も厳しい。
『9条守れ』じゃ、物語としては全然ダメ。統合の物語が欲しいという人々の潜在欲求に応えることができない。立憲主義』じゃ意味がわかんない(笑)、統合の物語としては全くムリ(笑)。あとアメリカ従属反対』も物語としてはダメ(笑)。それだけでは別に何か建設的な話、新しい物を創るような話ではありません。アメリカ反対もいいけど、じゃ、どうするの?ってことになる。
 沖縄のように地域のアイデンティティを前面に出せば統合の物語に成り得ますが、日本全体ではありえない。そもそも『××反対』っていうのは、ワクワクしない。

 国民統合の物語なんか要らない、というのも一つの考え方です。ボクはそう思っています。日本なんかアメリ51番目の州になって解散しちまえばいい(笑)。経済でも政治でも安全保障でもその方がメリット大きいからです。天皇はどこかの神主にでもして、神棚の上で飾っておけばいい。


 でも大勢の人がサッカーやオリンピックに熱狂するのを見ていても、右左に関わらず統合の物語、シンボルを持ちたいと言う欲求に耐えられる人はそれほど多くないと思うんです。


 だとしたら民主主義を守ろうとする側も、改憲に代わる『物語』を提示していくことが必要になります。唯一可能性があるとしたら、『経済』、『福祉』でヴィジョンを作り出すということでしょうか。しつこいけど、立憲主義や9条守れ、アメリカ従属、じゃ全然だめ(笑)。コンセプトがずれてる。
 現状のかなりお寒い状況を考えると、いよいよ『戦後』という元号が終わろうとしているのかもしれません



 ということで、今週も官邸前へ
 今日は生憎の雨。西の方は大雨のところもあったみたいですね。でも抗議が始まる頃には殆ど止みました。
今日の午後6時の気温は18度、参加者は100〜200人くらい?。今までで一番少なかったかも😁
●抗議風景

 今週は原発関連で驚くべきニュースが2つ、ありました。
 一つ目は『横浜市でこの4月、放射能汚染土を敷地内に埋設している保育園で園児2人が白血病に罹患していることが判明』したという恐ろしいニュースです。
headlines.yahoo.co.jp
headlines.yahoo.co.jp
www.kanaloco.jp

 こういうのはガセネタが多いものですが、朝日、神奈川新聞と複数のマスコミが報道しているし、白血病が出た保育園で市が説明会を実施していますので、事実です。
 依然 横浜市は『安全性』を強調しているようです。もちろん、園児の白血病と汚染土の科学的な因果関係を証明するのは困難です。そんなことはできないと思う。だけど、安全という証明も難しい。だとしたら予防原則で対処するしかないと思います。
 そもそも横浜市が保育園や小中学校に汚染土を埋めているのか全く理解できないです。うーん。もともと中学校の給食を拒否する野蛮な自治体です- - -。横浜なんか、絶対住みたくないな。


 もうひとつ。こっちの方が大問題。日経産業が今週3回にわたって記事を載せた『サイクル政策の蹉跌』です。内容は11年の原発事故後、核燃料の再処理を見直そうとしながらも事実上、撤回した民主党政権を振り返ったもの
www.nikkei.com
www.nikkei.com
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 これが非常に面白い。勉強になりました。長くなりますが大事なことばかりなので、内容をご紹介します。

1.民主党は12年末の総選挙で原発ゼロを本気で公約に掲げる方針で核燃サイクルもやめるつもりだったが、青森県の反発で核燃サイクルを止めることが出来なかった。当時 ちょうどイギリスから再処理後のガラス固化体が輸送中で、核燃サイクルを止めるならガラス固化体を受け入れないと青森県に拒否されるとガラス固化体の行き場が無くなってしまう、のが理由だった。

2.米原子力協定に関する協議で、民主党アメリカに『原発ゼロ、核燃サイクル継続』と方針を説明したが、アメリカには『日本は核兵器の原料となるプルトニウムを作り続けるのか』と拒否された。同時に、『アメリカの原子力産業は日米合弁であり、日本が原発から撤退すれば米国の技術も衰退する恐れがある』、『日本が原発から撤退すれば、中東での資源獲得競争が激しくなる』との理由も提示された。

3.11年の事故直後 原子力委員会(当時)は『コストが高すぎる』として再処理を止める案を提案しようとした。しかし、その検討内容が『何故か』新聞やTVに漏れて『原子力委員会の秘密会議』として非難され、民主党政権は再処理放棄の案を採用しなかった。


 どれも非常に考えさせられる問題です。当時『電力労連がいるから民主党脱原発に本気ではない』とボクは思っていたので、民主党が本気で原発を止めるつもりだったが、出来なかったと言うのは意外でした。また、バリバリの保守派の長島昭久アメリカへ説得に行った、というのも意外でした。だから失敗したのかもしれませんが。

 民主党脱原発が果たせなかったのは、直接的には『1のように政治的手腕の拙劣さや運の無さ』、『2のように理論武装の不足』、『3のように原発村のリーク』などが理由です。が、原発を止めるということは困難だし、時間もかかることが良く判ります。間違っても山本太郎のように『原発即時廃棄』なんて、簡単に言えるわけがない。アホというだけでなく、鳩山元首相より無責任です。

 と、同時にこれらの事柄は解決できる問題でもあります。アメリカの言い分だって当時と今とでは事情は全く変わったし(シェールや東芝壊滅、自然エネ)、少なくとも理論的にはクリアできる。もちろんエネルギー安全保障や地元への補償など他の問題もあります。でも、時間と意志、知恵を持てば、我々は原発から脱却できる、改めてボクはそう、思いました。