特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ほぐしテトラ』(アホのスパイラル)と『総裁選のお話』

 気温30度を超えた昨日今日とまるで真夏に戻ったようなお天気でした。身体に堪えます。

 感染も減ってきたようです。PCR検査の数も減っているから、ホントかいな?と思わないでもないですが、8月20日のエントリー『東京は夜の7時(の感染地獄)』と『鮎のドーナツ』 - 特別な1日
で書いたようにワクチン接種が進めば感染者が減るのは他国でも起きていることなので、予想通りではあります。

 それより冬になって再び感染が増え始める前に崩壊した医療体制を再建してもらわなくてはいけません。総裁選なんかにかまけている場合でしょうか。
 28日に緊急事態宣言が解除されると言う話が出てきていますが、それで楽観ムードを演出して29日に決まる自民党の新総裁と連動させ、選挙になだれ込むのでしょう、ったく。


 この前、勤務先で肩凝りをほぐす道具を買ってきた人が居ました。題して『ほぐしテトラ』(笑)。

 仕事中の気分転換には結構良い道具だそうですが、これ自体は置いておきます。

 問題はこれ、製品についていた値札です。世界展開をしている無印良品らしく、各国での売価が印刷されています。
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 日本では税込みで490円です。
 一方 EUでは7.95ユーロ(129円換算で1,026円)、イギリスでは6.95ポンド(149円換算で1,036円)、香港では38香港ドル(14円換算で532円)、韓国では6,500ウォン(0.093 円換算で605円)、シンガポールでは8.9シンガポールドル(81円換算で721円)、マレーシアでは19.9リンギット(26円換算で517円)、中国では35人民元(17円換算で595円)。つまり売価は日本が一番安い

 安いって喜んじゃいけません(笑)。日本ではそれくらいの値段じゃなければ売れないってことです。EUは勿論、日本人の購買力は香港や韓国、シンガポール、マレーシア、中国にも劣る。つまり日本人が如何に貧乏になっているか、『ほぐしテトラ』(笑)からでも判るってことです。

 アベノミクスの円安は日本人の購買力の地盤沈下につながりました。円安になると輸出企業には有利ですが、資源の輸入代金は高騰します。
 国内では資源価格の高騰をそのまま価格転嫁したらモノは売れません。日本の消費者はお金を持ってないからです。じゃあ、どうなる?人件費を下げるしかありませんそうなると給料が減って、日本人の購買力はさらに低下する

 今や日本の一人当たりGDPは韓国より低い韓国は購買力平価で44,621ドル(27位)、日本は42,248ドル(30位)。ちなみに台湾は55,724ドル(16位)、香港は59,520ドル(9位)(民主主義を要求するわけです)
 それがアベノミクスの構造(アホのスパイラル)です。

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*正確には一部の製品では物価は上がってます。物価が上がるのも人件費を削るのも、実質賃金が低下すると言う点では同じです

*ちなみに。れいわのアホ連中は消費税を無くしてMMTで資金を供給すればいいと、言っています。でも、MMTは貨幣量を増やしますから、上と全く同じことが起こります。実質的に皆が貧乏になる。日本は資源を輸入しなければ生きていけないからです。
 水野和夫先生が仰るように問題は資源価格=石油などの交易条件です。そもそも消費税はたかだか20兆円くらいの話ですが、輸入は80兆円もあるんです。世の中にフリーランチ(タダ飯)なんてない。子供だって判ります。

  最近は魚や牛肉でも日本が、中国は勿論、中産階級が育ってきたタイやインドネシアにも買い負ける例が多々出てきているようです。アベノミクスとかMMTとか寝ぼけたことをやっていたら、こういうことは益々頻発する。
business.nikkei.com

news.yahoo.co.jp

 勿論、アベノミクスで日本が貧乏になるのは最初から判っていました。貧乏というのは外国と比べての相対的な物です。
 購買力平価だけでなく、一人当たり名目GDPは2012年の49,175ドルから2020年は40,146ドルに低下しています。生産性の低下もありますが、円安だからです。円換算では名目GDPは増えていますが、日本は外国から資源を輸入しなければ生きていけません。円安で儲かった業種もありますが、特に庶民にはデメリットも大きい。

 日本がこの、アホのスパイラルから抜け出すにはバイデンの政策をパクる。つまり最低賃金など給与を上げると同時に、有望分野に徹底的に投資していくしかないとボクは思います。
●給与を上げることで日本経済が縮小していく構造を逆回転させる。6月に報道1930で使われたスライド

 与党の総裁候補の一部は賃上げ策も考えているようですが、その他は今までの産業構造を温存する『公共投資の増額』、それに『アベノミクスの継続』、野党は『消費税減税』(共通公約では期間限定にはなりましたが)とかピントの外れたことばかり言っています。日本の先行きはなかなか暗そうです(笑)。



 最近は 自民党の総裁選の話ばかりですね。立憲が埋没しないよう、政権公約を小出しに発表しているのは以前に比べれば本当に頑張っているとは思いますが、いかんせん話題性には欠ける。
 政策論ならまだしも、本当にTVはくだらない話題ばかり取り上げているようです。どいつもこいつもロクなものじゃないと思っているので、ボクは全く興味がわきません。

 ただ、野党も含めて政策の方向性を整理しておくのは意味があると思います。TBS報道1930でこんなマトリクスを使って説明していました。

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 番組に出演していた岸田も枝野も否定しなかったですから、大方は間違ってない、と思います。もちろん方向性はこうでも、実行力の問題、また岸田のようにすぐ圧力に負けるブレブレの姿勢だったり、野田のようにいざとなると全く判断力がないケースがあるから、この表だけでは判断できません。でも、以下のような個別論だけ見ていても良く判りませんから、大まかな見取り図は必要です。

●各候補の政策比較。個別論は良いんですが、今まで何でやろうとしなかったの?


 ただ、個別論の中で、河野太郎が言いだした国民年金の税負担方式への変更(最低保障年金)は景気・格差対策にもなる素晴らしい案だと思います。年金の税負担方式への変更は民主党もかって唱えていましたが、いつの間にか雨散霧消してしまった。


 年金の保険料を廃止し税負担にするには10兆円以上の金がかかるそうですけど、税負担にすれば国民一人当たり1万2000円くらい毎月税負担が減って可処分所得が増えます。金持ちばかりが得をすると同時に大混乱を起こしかねない消費減税なんかより1億倍はマシです。しかも年金の税負担は無年金者の救済や専業主婦優遇の第3号被保険者の不平等是正にもつながります。

diamond.jp

 河野太郎がリーダーに不向きな人間であることは間違いありませんが、野党もこういう案こそどんどんパクればいいんです。いつも自民党にパクられているんだから。

 右にしろ、左にしろ、ネットでは過激な意見を吐く人の声が目立ちますが、国民の大多数は微温的だと思う。消費税ゼロとか敵基地攻撃とか極端な意見を言ってるような連中は相手にする必要はない。所詮バカなんだから。理屈自体が間違っているのだから、そんな極論がうまく行くはずがない。

 最大の政党である無党派層を掴むためにも、現実的な政策を積み重ね、国民と一緒に将来のビジョンを考える、そんな野党をボクは見たいのですが。