特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ロサンゼルス・フィルハーモニック <創立100周年記念ツアー>』(ドゥダメル+ユジャ・ワン)と『貧者のサイクル』、それに『0322再稼働反対!首相官邸前抗議』

 東京も桜の開花宣言が出ました。長かった冬もやっと終わりなのは嬉しいです。
 TVでは相変らずくだらないことばかり放送しています。その一方で統一地方選が始まるようですがあんまり期待できない。
 この前 話を聞いた元政務秘書氏の話では、選挙対策であてにしていた外交が全くダメなので、安倍晋三は消費増税の延期を検討しているそうです。W選挙どころじゃなさそう。でも野党の体制も数年前と殆ど変ってないし、なんであんなにやることが遅いのかな。世の中が酷い分、可憐な花に慰めてもらいたいような気分になります。

●さすがにこれはびっくり。厚労省で賃金を担当する前は内閣官房の参事官をやっていたそうです。安倍晋三は周囲の官僚までネトウヨで固めていたんですね。ネトウヨでもキャリアになれるというのも驚き。やっぱり、この国はもうだめかも(笑)。


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 今週はサントリーホールへ行ってきました。このコンサートを見に行ったのです。
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http://amati-tokyo.com/performance/pdf/LA_PHIL_web.pdf

 ボクはオーケストラの音楽は好きじゃありません。大仰でうるさい、しかも硬直しているように感じる。まるでヘビメタみたいに聞こえるんです。
 しかし今回は前々から興味があったドゥダメル、大好きなピアニストのユジャ・ワン、それに演目が昨年 映画『君の名前でボクを呼んで
ハンサムくんの映画2題:映画『さようなら、僕のマンハッタン』と『君の名前で僕を呼んで』 - 特別な1日
で印象的に使われていて好きになった現代音楽家ジョン・アダムズ、という3拍子が揃っています。いそいそと六本木へ出かけました(笑)。

君の名前で僕を呼んで [Blu-ray]

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 指揮者のグスターボ・ドゥダメルという人はベネズエラの出身。ベネズエラには犯罪などに走りがちな貧しい子供たちに音楽教育を行うエル・システマ』という『音楽の社会運動』があります。彼もそこの出身。子供たちを集めた『シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ』ボリバルとは有名な南アメリカの革命家)の監督として注目を集め、ラトルやアバドなどの大家から評価され、現在はLAフィルの音楽監督を務めたり、ベルリンフィルでタクトをふるっている世界的な指揮者です。

魂の教育 エル・システマ ?音楽は世界を変える? [DVD]

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世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ: エル・システマの奇跡

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 ちなみにチャベス政権以降 エル・システマには政権からの圧力がかかっていて、なおかつ今のアホ大統領、マドゥロ政権をドゥダメルが批判したことで更に圧力がかかってツアーをつぶされたりしています。
www.bbc.com
今週 彼は日本でも記者会見してマドゥロを批判しました。
r.nikkei.com
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www.asahi.com

 余談ですが、子供たちのオーケストラにまで圧力をかけるべネズエラの左翼政権は安倍晋三そっくり。やはり安倍晋三は保守じゃなく、自分で社会をコントロールできる、自分だけが正しいと思い込んでる点で典型的な左翼でしょう。一方 LAフィルはドゥダメルのような人をわざわざ音楽監督に招く。もちろんアメリカも問題ありますけど、良いものは認める懐の深さは全然違います。現在はLAフィルの団員がベネズエラで子供たちを指導しているそうです。
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 最初はユジャ・ワン嬢がフィーチャーされたアダムズ。現代音楽ですが、スティーブ・ライヒみたいに反復や冷たい音、ユニークな音階が強調されたものです。テクノみたいなんですよ。だから面白い。
 今回はピアノの低音域が強調されていたのは意外でしたが、異音階と変拍子、インダストリアルな感覚にジャズやクラシック、色々な要素が混じっている音楽。ユジャ・ワン嬢の力強い音+超人的な早弾きとオーケストラの効果音の組み合わせは面白かったです。ピアノの低音をガンガン叩いてオーケストラの音を打ち返すアンサンブルというより格闘みたいです。これ、レコード欲しいなあ。

 演奏も盛り上がったし、最後は当人も弾ききった、という表情、作曲者のアダムズ本人も客席から壇上に上がって彼女を讃える感動的なステージでした。何でもアダムズが彼女のために書き下ろしたらしい。
 演奏はストイックなのに、口の悪いニューヨーカー誌で『ストリッパーのよう』と評されたこともあるユジャ・ワンの衣装+ピンヒールはいつもの通り(笑)。面白い人です。32歳とまだ若いですが、元々超人的な技術の持ち主だったのが、今は天才に変化しつつあるのかも。
●この日もこの衣装でした。こんな靴、どこで売っているのでしょう(笑)。

www.rochestercitynewspaper.com


 続くマーラーの方も面白い演奏でした。ダイナミックだけど、全然押しつけがましくない。うるさくない(笑)。しかも音は自由奔放、テンポも速い。指揮もパッションが籠っていて、オーケストラからもロックやジャズみたいなノリまで出てくる。自分でCDを持ってるアバドの演奏とは全然違う。マーラーっぽくないと感じる人もいるでしょうけど、ボクはそれだからよかった。自由で押しつけがましくない、伸びやかな音楽。オーケストラの音楽もこういう感じだったらいいなあ、と思いました。

 終わった後、ドゥダメルは指揮台には登らず、団員たちと同じ高さに立って一人一人を紹介する。民主主義です(笑)。客席からも熱狂的なスタンディング・オベーションの嵐が起こりました。

 休前日の夜をシャンパンを飲みながら(さすがにサントリーホールシャンパンは美味しいんです。もうちょっと座席がゆったりしてるといいんだけど)、良い演奏を聴いて過ごすのは楽しかったです。

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ちょうど 先週のエントリーで、デービッド・アトキンソン氏の『少子高齢化が進む日本は、最低賃金を上げることで、日本の生産性を引き上げるしか、経済を救う道はない』という『日本人の勝算』という著書をご紹介しました
spyboy.hatenablog.com

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義


今週 19日の火曜日、日経1面!に同内容の記事が載っていました。
www.nikkei.com

 日本の給料は他国に比べて地盤沈下を起こしている。この20年間 主要国では日本だけが平均時給が低下している、
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 今や日本の最低賃金は欧米各国どころか、台湾や韓国よりも低い、そんな内容です。
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 この結果は明らかに経営者と政策に責任があります。
 記事の中でデビッド・アトキンソン氏は『低賃金の仕事や企業を温存するから生産性の低い仕事の自動化・効率化が実施されず、付加価値の高い仕事へのシフトが進まない。その結果、生産性が上がらずに賃金も上がらない。いわば貧者のサイクルに日本は陥っている』と述べています。

つまり
低賃金労働の仕事・企業を温存、保護する→生産性の改善が進まない→給料上がらない→消費増えない→不景気

 という訳です。

 今日22日の日経にもアトキンソン氏のインタビューが載っています。1週間のうちに2回も取り上げられるのは何か意図でもあるのか(笑)。

www.nikkei.com

 流石に日経ですから、『日本の生産性が低いのは経営者がバカだから』とは書いてませんが(笑)、大企業、中小企業問わず 無能な経営者を温存していたために日本全体の生産性が低くなっていることが良く判ります。労働者はアホの巻き添えを食っているわけです。


 かって リーマンショックの時に亀井静香が中小企業の借金返済を猶予するよう銀行に求めた中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)を推進しました。



 この法律は多くの企業も救ったと同時に、救うべきでなかったゾンビ企業を延命させた という副作用もあります。今になって、それらの企業が倒産して地銀の足を引っ張っている。『モラトリアム法で救済された後に倒産した企業は17年に480社、負債総額は約3600億円』さらに『モラトリアム法での救済後に実質的な債務超過を解消できず、業績も回復しない企業への債権額は7000億~8000億円』。
www.nikkei.com

 リーマンショックのような非常時だったら、企業の救済は必要でしょう。
 しかし人手不足と言われる今は違います。当時とは転職事情が違う。最低賃金を引き上げ、それに耐えられないようなクソ企業、生産性を上げられないような無能な経営者は市場から退出させて、労働者はもっと生産性の高い仕事・企業へ移ればよい。で、なければ労働者の給与なんか上げられません。そうじゃなかったら、経営者の善意か(笑)、日本を共産主義と勘違いしている安倍晋三に頼るのでしょうか(笑)。

 保護しなければいけないのは国民一人一人であって、企業や企業の社長じゃありません。そこを混同している人が多いんじゃないでしょうか。国民も与野党の政治家も判ってない。ほんとは今が日本経済の体質を変えるチャンスなんです
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 ということで、今週も官邸前へ。#金曜官邸前抗議
午後6時の気温は14度、参加者は320人。
●抗議風景

 北海道、福井、福岡、原発がある県でも知事選が行われますが、いずれにしても保守系の選挙です。残念ながら原発は選挙の争点にはなりえないようです。それが現実ということを認識しなくてはいけないし、だからこそ、市民が声を挙げ続けなければいけないと思います。
●外務省の桜はもうこんなに咲いていました。