特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『人手不足の真実(笑)』と『0405再稼働反対!首相官邸前抗議』

 4月になって街中では、新入社員らしき若い人たちを良く見かけます。真新しいスーツで歩いている男女を見ると、自分たちもそういう時代があったなーと思います。あの時代には2度と戻りたくありません(笑)。それに新人研修などで一時的に東京に人が増えている分だけ電車も混む(笑)。朝から集団行動、うざいからやめて欲しいんだよなあー。

 とにかく4月もせわしい季節です。とにかくゴールデン・ウィークだけを心の支えに今月を耐え忍んで行きたいと思います。我ながら、耐え忍ぶばっかり(泣)。
●近所の桜も寒さを耐え忍んでいます?

●鶯が懸命に桜の花を散らしていました(笑)



 この前 某IT系ベンチャー企業の営業の人に逢ったんです。アラサーくらいの女性でしたが、前職はメガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)に居たそうです。ちょっと前だったら、メガバンクは就職希望者からは大人気でした。でも今は地銀も含めて、若い人が続々と銀行から転職しているそうです。文字通り沈みかけた船からネズミが逃げるかのようです。
 日本の銀行なんてもともと数が多すぎるし、社会に大した貢献をしてないんだから、こうなるのは当然ではあります。知識としては知っていましたけど、目の当たりにするとまた違います。メガバンクから若い人がIT企業に続々と転職する、そんな時代なんですね。
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 ということで、日本の現状がどうなっているのか、今回は『求人倍率』を元に考えてみたいと思います。
 近年は人手不足とよく言われます。安倍晋三アベノミクスの成果と、威張ってますよね。単に少子高齢化が進んだだけだと思いますが、デービッド・アトキンソン氏の本を読んだのをきっかけにもうちょっと考えてみました。政治家やマスコミが言ってることが如何に現状を反映していないか、そのサンプルにもなると思いますので。

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義

 元ネタは毎年リクルートが出している『大卒求人倍率調査https://www.recruit.co.jp/newsroom/pdf/20180426_01.pdfです。ニュースなどでネタになっているデータです。ちなみに求人倍率とは求人数を就職希望者で割ったもの。学生から見れば、大きければ大きいほど就職が楽というわけです。


 まず『平成が始まってからの大卒求人倍率(赤線)の推移』を見てみます。緑の線は就職希望者数、青線は求人数、人数の単位は千人です。
 確かにこの数年ほど倍率は上がっていますけど、過去に比べて凄く良いと言うわけではありません。長期的には求人率は低落傾向、つまり就職は大変になってきている。これがポイントの一つ目。
 更に求人数(青線)と就職希望者数(緑線)の推移を見ると、就職希望者数はあまり上下しないのに求人数はバブル崩壊や山一ショック、リーマンショックなどの度に大きく上下しています。新卒一括採用の歪みというものは確かに存在します。
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 次に『企業の規模別の求人倍率』を見てみます。従業員が1000人以上の大企業の求人倍率はほぼ ずっと1を切っています。やはり狭き門というか、人は余っている。一方 1000人未満の企業は常に1を大きく超える人手不足が続いていると同時に、景気の変動に応じて大きく変動しています。
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 特に山一ショックの98年頃、リーマンショックの2008年頃に中小企業は大きな人手不足になっている。で、今回もそれに近づいています景況感はそういう危機的な状況だってことです。経済の現場はそれだけ厳しい。経済が好調なんてどこの国のことでしょう。これがポイントの2つ目

 さらに『企業規模別の求人倍率推移』を見てみます。
 特に従業員規模300人未満の企業の求人倍率が9.91と極端な人手不足に陥っていることが判ります。一方 5000人超の超大企業の求人倍率は0.37と強烈な人余りです。これはびっくりしました。人手不足は中小企業だけ。他は人が余っているんです。。これが安倍晋三が言うところの『雇用環境の改善』です。改善が聴いて呆れます。
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 ちなみに このようなアンバランスが発生している原因は就職希望者が小規模企業を避けて、超大企業に殺到しているからです。
●昨年の企業規模別の求人数、就職希望者数の差異。単位=1000人
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 その原因は基本は経営の安定度を含めた待遇でしょう。小規模企業は賃金が安いから人を雇えない。最低賃金が安すぎることが人手不足を誘発している、とも言えます。
business.nikkei.com

 一方 従業員が5000人以上もいるような超大企業では今、大きなリストラが起きています。例えばNEC(3000人)、富士ゼロックス(1万人)、富士通(3000人)、東芝などの電機業界、それに冒頭に書いたようにメガバンクも3社併せて2万人以上の人員を削減する話は大きなニュースになりました。
 
toyokeizai.net

 経営好調な企業が多い製薬業界でも大リストラをやっています。
toyokeizai.net

 個人的には従業員が5000人を超えるような超大企業に就職して何が面白いんだ?とは思います。個人の権限も小さいし、今の時代 企業が大きければ身分が安泰、という保証はない。かといって、待遇が低かったり経営が不安定な企業もなかなか厳しい。いずれにても茨の道です。
 中小企業は猛烈な人手不足、超大企業は人余り。どちらも存亡の危機です。これがポイントの3つ目。
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 求人は多いが元々待遇が良くないことが多い小規模企業、リストラをやっている超大企業、どちらも雇用環境が厳しくなっていることは変わりがありません。これが結論安倍晋三がいう様に雇用環境が改善している、なんて全くあり得ないんです。
 良く最低賃金を引き上げると雇用が悪化すると言われます。そんなことはありません。雇用環境を改善するためにこそ、最低賃金を引き上げなければならない、と思います。


 いずれにしても厳しい世の中です。しかも悪政を乗り越えなくてサバイバルを図っていかなければいけない。共同体や組合など中間組織が劣化した現在、剥き出しになった個人が大した防御手段もないまま、資本主義と相対しなくてはならない
 そういう状態を有名な経済・社会学者のカール・ポランニー先生がうまく表現しています。曰く『悪魔の挽き臼』です。日本では、そういう問題意識すら持ってない人が多いんじゃないでしょうか。そういう問題意識があれば『自己責任』なんて、セコイ発想が出てくる余地なんかあるはずがないんです。やれやれ(苦笑)。
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ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
週末になり、やっと春らしくなってきました。午後6時の気温は18度。良い陽気です。参加者は330人。
●抗議風景


 東電の不祥事にはめっきり慣れっこになってしまいましたが、今週もまたこんなニュースがありました。福島第1、福島第2、柏崎刈羽、各原発が本社に送ったトラブルを予防するための情報を過去3年にわたって計33件放置したというのです。
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www.nikkei.com

 これはもう、企業の体質の問題じゃないですか。どんな審査や検査にだって漏れやミスはありますけど、この期に及んで規定違反を33件も放置するというのは企業そのものが腐っているとしか言いようがありません。と、同時にこういうミスを予防できない原子力規制委員会の審査だって欠陥品です。東電も規制委員会も全く信用できない。これで再稼働なんてあり得ないと思います。