特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

チョムスキー先生の新著『アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理』と『0126再稼働反対!首相官邸前抗議』

比較的暖かかった先週とは打って変わって、今週の東京は大雪は降るわ、48年ぶりの大寒波が来るわで、大変でした。火曜日は目が覚めて窓を開けたら、こんな風景が広がっていましたからね。

●寒さにめげず、見回りご苦労様です。


当初出席を渋っていた安倍晋三のアホがオリンピックの開会式に行くのはどうでもいいですが、悪いことではありません。これもアメリカさまのご指示だそうですね。ペンスが行くのだからお前も来い、と呼びつけられた(笑)。


中曽根弘文など自民党の一部議員が訪韓に抗議してましたがアリバイつくり、ポーズでしょう。従軍慰安婦問題の日韓合意は安倍晋三のほとんど唯一の功績だと思っているんですが、これもオバマ大統領の斡旋でした。安倍晋三が勝手にふるまっていたら、韓国と国交断絶くらいにはなっていたかもしれませんし、頭の悪い日本人もかなりの数はそれを支持するでしょう。だからアメリカ様から安倍晋三にご指示をいただいて良かったんです(笑)。


財界など日本のエスタブリッシュメント層や役人はアメリカに盲従していればいい、と思っているとボクは思いますが、確かに一面の真理ではあります。だって、日本のネトウヨもどきの政治家に勝手なことをやらせるより、アメリカの属国になっている方がどう考えてもマシですもん(笑)。ボクは『日本はアメリカの属国』とか言って悲憤慷慨しているような人は右でも左でも信用しないんです。それ以前に日本人がもうちょっとまともになること、代用監獄の問題とか安全保障とかを自分の頭で考えられるようになること、まず、そっちだと思います(笑)。

●この前 日本酒の店で食べた塩大福アイス。お酒より遥かにうまかった


今週 ラッパーのECD氏が亡くなりました。この人のことは当ブログでも度々触れていますが、日本のヒップホップ界の草分けだったこの人は、原発や安保法案に対する抗議でも先頭に立っていた人でした。デモや集会で度々コールされる『言うこと聞かせる番だ、俺たちが』は彼のライムです。先頭で彼がコールをやっているというだけで末端の参加者のボクも心強かった。まだ57歳。非常に残念です。

●この写真の数分後 右翼のバカ街宣車がデモに突っ込んできました。それに対してECD氏(右)とSEALDsのUCD君(左)、それに参加者のコール&レスポンスで、笑顔で対抗する様子はTBSのドキュメンタリー「報道の魂」でも放送されました。ボクは2〜300メートルくらい後ろにいました。




さて、読書の感想です。『アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理

MIT教授、ノーム・チョムスキー先生の新著です。言語学の大家として有名ですが、アメリカの欺瞞をラディカルな立場から追求してきた人です。現在88歳。これが最後の本になるのではないかと言われています。原題は『Requiem for the American Dream

アメリカは建国以来 以下のような原理で動いてきた、というのが、その内容です。
原理1 民主主義を減らす
支配階級に対して国民が不満を持たないよう、自由を極力制限し、不平等を増やす。不平等を煽ることで国民の団結心を減らす
原理2 若者を教化・洗脳する
学費を値上げさせ若者が大学に行く機会を奪う。奨学金などの負担を負わせ、政府非難など余計なことを考えさせなくする
原理3 経済の仕組みを再設計する
金融機関、多国籍企業に儲けさせるとともに人件費削減競争を行い、更に儲けさせる
原理4 負担は民衆に負わせる
金融機関の救済は国民負担で行わせる仕組みを作る
原理5 連帯と団結への攻撃
福祉の削減や教育・医療の民営化により貧しい人々への敵意を煽り、貧しい人々へのサービスを削減する。
原理6 企業取締官を操る
政界と官界・学界の天下り回転ドア)や、企業を取り締まる規制の削減を行い、企業をやりたい放題にさせる
原理7 大統領選挙を操作する
人間より法人格を優遇する仕組みと企業献金の上限撤廃により、大統領を支配階級の意のままに操る
原理8 民衆を家畜化して整列させる
スト破りの合法化などで労働組合を排除し、影響力を下げる。
原理9 合意を捏造する
マスコミ、広告業界を活用し、国民の判断を歪める。
原理10 民衆を孤立させ、周辺化させる


内容自体はそれほど目新しくはありません。アメリカに限らず日本だって、世の中は確かにお金持ち・支配階級が有利になるようなルールでできています。例えば所得税日本では所得が1億を超えると、税金の負担率はどんどん下がっていきます
●所得階層別 税負担率:所得1億円/年を境に税負担率は下がり始めます。


見にくかったらこちらをどうぞ。民進党が作ったダウンロードデータ:http://www.minshin.or.jp/download/32385.pdf


理由は労働に対する所得税率(所得695万超23%、所得900万超は33%)より株式の譲渡・配当所得の税率(20%)の方が低いからです。株なんか持ってるのはお金持ちですから、お金持ちほど税金は優遇されていることになります。もちろんアメリカの方がもっとひどい訳ですが。


アメリカは建国の時から、無知な民衆に判断をさせてはならないという思想が支配階級の間にあったそうです。イギリスの支配階級の発想です。チョムスキー先生曰く、現在はその延長であると。先生が『学生が社会に関心を持つ余裕を与えないように学費を上げてきた』『民衆が正しい判断をしてしまうからこそ、(民衆をだますために)広告産業がある』という指摘をしているのは鋭いなーと思いました。

ただ、それをどう打開するか。チョムスキー先生は組合に重きを置いているようですが、それはボクには理解できません。まだ労働者の集団経営のことも触れていますが、現在のような複雑な世の中でそんなことをするのは自殺行為です。が、先生は結局のところ 一人一人が日々の営みを積み重ねていくしかないという結論に達しています。そこは同感です。間違いを犯しながらも一歩一歩進んでいくしかないのでしょう。


この本の訳者も言っていますが、アメリカの今の姿は日本の10年後、いや、5年後かもしれません。日本はアメリカと違い、超大金持ちとエセ宗教(キリスト教原理主義)はありませんけど、強固な世襲制日本会議に代表されるエセ国家主義歴史修正主義があります。
ボクはチョムスキー先生が言うほど、企業や金持ち、役人が支配原理に従って動いているとは思いません。前川喜平事務次官が良い例で、まともな人だって大勢います。正確に言うと、国民を支配しようとする原理で動いている連中はわずかにいるということでしょう。あとは多数である我々が連中に騙されないようにする。言うほど易しいことではありませんが、それしかないでしょ(笑)。




ということで、今週も官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
寒い〜と言っても温かくはなりませんが、寒い〜。午後6時の気温は0度😄。「(抗議をしている)5年間で一番寒いかも😨」と言っている人も居たくらいです。今日の参加者は500人。

●抗議風景





今週23日の日経朝刊にこんなニュースが載りました。IHIが原発向け機器を作っていた工場の一部を転用して航空機向け部品を作り始める、というのです。

原発向け工場で航空部品 IHI、成長分野に設備転用 横浜の一部で生産 :日本経済新聞


もちろん受注が激減している原発より、需要増が見込まれる航空機に経営資源を振り向けようということです。記事では三菱重工原発を作っていた神戸造船所で航空機向け製品を増やす、と報じられています。民間企業では当然の判断でしょう。日本の原発産業はただでさえコストが高いのに加え、受注の激減で採算が苦しくなっています。この状況で中国、ロシア、韓国の企業と競争しなくてはならない。誰がどう考えても日本の原発産業は存続不能です(笑)。


それを税金で延命させようというのがイギリスへの日立の原発輸出への政府支援、ということでしょう。しかし日立が建設しようとするウィルファ・ニューウィッド原子力発電所の発電コストは同時期に建設予定の洋上風力発電所の1.5倍程度という莫大なものになる可能性があり、撤退に追い込まれる可能性も高いそうです
これでも「日立」は英国「原発事業」を強行するのか:杜耕次 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト *新潮社『フォーサイト』より。良記事だと思います


この原発輸出が失敗すれば日本の原発産業は文字通り壊滅的な状況になります。
日本だけではありません。世界的にも福島の事故だけでなく再生エネルギーの高まりで文字通り、原発産業は風前のともしび。今朝の日経一面によると、2016年の世界のエネルギー投資は再生エネルギーへの投資が30兆円と火力+原子力の14兆円の2倍以上だそうです。世の中は既にこうなっています。



火力にリストラの波 三菱日立パワー、独で人員3割減 再生エネ台頭映す :日本経済新聞


未だに原発固執する経産省安倍晋三も一部の日本国民も愚かとしか言いようがない。日本なんかどうなってもいいんですが、やっぱりバカの道連れは嫌ですよね〜。