特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

 読書『チャヴ 弱者を敵視する社会』と『1027再稼働反対!首相官邸前抗議』

昨日 歌手の遠藤賢司氏が癌で亡くなったのはショックでした歌手の遠藤賢司さんが死去、『20世紀少年』ケンヂのモデル - NAVER まとめ。一般的な知名度はそれほどないかもしれませんが、大ヒットした漫画『20世紀少年(ボクは知らないです)(笑)の主人公の名は彼の名前にちなんでいるなど、一部ではとてもリスペクトされている人です。
20世紀少年の作者の追悼ツイート

宇宙防衛軍

宇宙防衛軍


ボクは彼の大ファンというわけではありませんが、彼の『東京ワッショイ』はJ−POPでは屈指の大名盤だと思っているし ステージも4,5回は見たことあります。元はフォークの人ですが、エレキを持った時の彼はめちゃめちゃカッコいい。彼が渋谷でやっていたカレー屋『ワルツ』で名物のピラミッドカレー(笑)も食べたことある(自慢)。残念です。

東京ワッショイ

東京ワッショイ

●『東京ワッショイ』。この怪作『ヘリウッド』を始め、『20世紀少年』、それに昨年公開された園子温の『ひそひそ星』まで、彼は様々な映画に出演しています。

●名曲『不滅の男』、この人は死なないと思っていたんですが。



さて、株価がものすごい勢いで上がっていますけど大丈夫なんでしょうか。外人と選挙対策で年金基金(GPIF)が買っていたんでしょうけど、選挙が終わっても上昇はまだ続いています。どこかで暴落があると思いますが、暴落のきっかけはアメリカの利上げか、戦争か。


木曜日 突然 アメリカ軍が空母を三隻体制にするというニュースが流れました。

米軍はイラク戦争では空母4隻を揃えたそうです。アメリカ軍が朝鮮半島アメリカ人退避の演習を始めたというニュースが先週流れました『選挙前のニュースあれこれ』と映画『僕のワンダフル・ライフ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)が、いよいよきな臭くなってきました。アメリカの民主党議員は『北朝鮮への先制攻撃は議会の承認なしには禁止する法案Dems to introduce bill barring Trump from preemptive strikes without Congress approval | TheHillを出すそうですけど、くだらないニュースにかまけている場合じゃないのではないでしょうか。


と、言っても属国日本にはできることは大してなくて、戦争か平和かはトランプと習近平との会談次第なんでしょう。だけど属国と言えども、少しはやれることはあると思いますよ。少なくとも外交努力を推進するべきだし、一文の得にもならない兆発なんかもっての外。
そもそも軍事だって日本は真剣に検討してないんです。陸上自衛隊なんか大リストラして、防衛用の戦闘機やミサイルを山ほど買えばいいのに。狭い日本に戦車なんかいるわけないじゃん。重量が重すぎてまともに道路を移動できないような戦車を高い金かけて自主開発してるんですよ(笑)。この国の多くはまともに安全保障なんか考えてない。北朝鮮が残ることが、日本にとっても中国にとってもアメリカにとっても、利益です。



えーと、ご多分にも漏れず、ボクもこの前の選挙はなんだったのだろう、と考えているんです。一般的に言われている『組織政党を助けるだけの50%そこそこしかない低投票率』に加えて、『野党の分裂』、『希望の化けの皮がはがれた』、『立憲が反安倍の受け皿になった』、『大量の死に票がでる小選挙区制の弊害』、どれも間違いじゃない。

【衆院選】「選挙割」で選挙に行こう 若者優遇、投票率アップと地域振興の一石二鳥(2) - 産経WEST
●『未来のための公共』の大学生、馬場さんのtweet




でも 気になるのはこのことなんです。
・若い人ほど自民を支持した。また投票率も低い
荻上チキのラジオ番組に出演した小林良影慶大教授(政治学学会元会長)によると、当座の生活への満足感に加えて、『彼らが政治に目覚める時期(一般に10代前半だそうです)は民主党政権だったので民主党はダメ』、という刷り込みがあるそうです。
・少なくとも東京に限っては、区民の所得と投票率は比例したように見える
朝日新聞の東京版に載っていた区別の投票率では、高所得の千代田区や港区(平均世帯年収1000万近い)などの地域は投票率が約65%近くと高かったが、低所得の地域は投票率が45%前後と投票率が低かった。

小泉改革に賛成したのはいわゆるB層、つまり『テレビが好きで、物事をあまり考えない人たち』自民党が雇った代理店のネーミング)で、小泉改革で打撃を受けたのはまさにこの人たちでした(笑)。
今回もそれに近いことが起きていると思うんです。アベノミクスを簡単に言うと『お金持ち優遇』、『財政負担の後伸ばし』です。今回 自民党を支持したり、棄権によって自民・公明を間接的に支持した人たちにとって、あまり得な路線だと思わない。これはなんなんだろう、と思うわけです。



さてさて、それと関連するのが今回の読書の感想です。『チャヴ 弱者を敵視する社会

チャヴ 弱者を敵視する社会

チャヴ 弱者を敵視する社会


オックスフォードで歴史を選考した著者のデビュー作で世界各地でベストセラーになり、2011年にNYタイムスの『今年のノンフィクションベスト10』に選ばれたそうです。話題になっていた本ですが、邦訳はやっと今夏でたばかり。アマゾンの解説をコピペすると、
サッチャー政権の誕生から今にいたるまで、イギリスで推し進められてきた新自由主義
緊縮財政、民営化、規制緩和、自己責任の大合唱、はイギリス社会とそこで生きる人々の生活をどう破壊していったのか?
怒れる二十代の若者が、 労働者階級の生活の「虚構」と「現実」を調べ上げ、 支配層を厳しく糾弾し、現代イギリスの不平等と階級憎悪を ぞっとするほど克明に描き出した力作。


書名にもなっている「チャヴス」CHAVSは、蔑視されているロマ人の子供を表す言葉''CHAVVY''から作られた言葉だそうです。近年イギリスで多用されている言葉で“労働者階級全般”を意味していますが、保守政治家や上流階級、中流階級、それにメディアから 侮蔑的な意味を込めて使われているそうです。
労働者階級は、酒浸りでまともに働かない、粗暴で子だくさん。麻薬が蔓延している。公営住宅に住んで、生活保護の不正受給、福祉のばらまき、彼らには特別な利権があるなど、ガセのイメージを保守党の政治家やマスコミが広げているそうです。


まるで国内に敵がいるかのように、労働者階級に対するネガティブなイメージを政治家やメディアが自らふりまく。そういう風潮はサッチャー時代から目立ち始めましたが、こういうことってイギリスだけじゃありません。アメリカでもレーガン生活保護をやり玉に挙げていました。日本だって、同じです。例えば生活保護の不正受給なんて全体のごくわずか約1%程度しかないのに、何故か政治家やマスコミがやり玉に挙げる。時にはフェイクニュースを流す。そして、頭の悪い大衆がそれに乗っかって、生活保護たたきをする生活保護だけでなく外国人犯罪も同じです。
●最近 内閣府と取引がある求人会社がネットで右寄りの意見を流すよう求人広告を出していたのが見つかっています。投稿ひとつにつき報酬が払われます。


著者はこれは意図的に行われている『上からの階級闘争』と指摘します。社会の弱者に対するネガティブなイメージをでっち上げて福祉や公共投資を切り捨てる。金持ちや大企業を減税し、財政危機を煽って消費税など一般大衆から増税する。一方 持家政策などを進めて中産階級に財産意識を植え付けて労働者階級と分断させる。その持家政策で儲かるのはローンを扱う金融機関、それがリーマンショックにつながったことは言うまでもありません。多くの人が差し押さえで持家を無くしました。そしてリーマンショックで危機に陥った金融機関は税金で救済される。


一方 経済面では製造業が衰退する、サービス業が増えるなどの産業構造の変化とともに組合の組織力も減っていきます。それに伴い左翼政党も力を失うだけでなく新自由主義的なイデオロギーに毒されたり、一般大衆から遊離していく。労働党のブレア元首相のニュー・レイバーがその典型です。左翼政党からも切り捨てられた労働者階級は自分たちの声を反映させる道を求めて、極右政党に走る。そして外国人や難民、女性やLGBTへの差別をはけ口にするようになります。卑怯者のクズ!に成り下がるわけです。
●これが難民への憎しみを煽る手口です。


イギリスの話ですが、ボクには今の日本で起きていることと重なって仕方がありません。ボクは日本でも『上からの階級闘争』が起きていると思うんです。それは英米と同じように消費税が導入された時から始まっています。お金持ちの累進課税キャピタルゲインは減税される一方、消費税が導入されて、一般の人からより多く税を取るようになった。マスコミも政治家もそのからくりは殆ど指摘しませんでしたよね。
●80年代末期には60%だった所得税最高税率は現在45%。お金持ちには15%も減税されています。消費税を2%上げるかどうかなんて笑っちゃう話です。ついでに主にお金持ちが持っている株式に関する税率(キャピタルゲイン)も低下傾向。


変な陰謀論は嫌いですけど、今の世の中 お金持ちや政治家が自分たちの有利なようにルールを決めている。そういう一面は確かにある。人々の不満をそらすために外国人やせこい汚職に目くじら立てたり、生活保護や身体障碍者など社会的に弱い立場にある人に関する敵意を掻き立てる。バカな国民がそれで騒いでいる間、お金持ちや政治家は自分たちの有利なようにゲームを進めている。
これが良い例です↓。
●今の税制は年収1億円を超えると実効税率はどんどん下がる仕組みになっています。

●年収10億の人(右端)は税率たった17%ですよ!

*以上の元ネタ。財務省が言ってるんだから(笑):https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r118/r118_04.pdf#search=%27%E5%8F%8E%E5%85%A5%E5%88%A5%E5%AE%9F%E5%8A%B9%E7%A8%8E%E7%8E%87+%E7%B7%8F%E5%90%88%E8%AA%B2%E7%A8%8E%27


この本はイギリスで起きたことが描かれていますけど、日本で起きつつあることと大差はないと思います。お金持ちは黙って自分たちに有利なルールを推し進め、下々のものは自分より弱い者に対して敵意を掻き立てる。ボクは日本人は少しは階級意識を持った方が良いと思います。慶応幼稚舎出身の奴と話しているとわかりますが(笑)、世襲のお金持ちと我々はお金だけでなく、教育の機会や人脈などスタートラインが全く違うんです。もちろん世襲のお金持ちでも立派な人はいますけどね。
問題はそれだけでなく、技術の進歩や産業構造の変化などもあるんで、共産党みたいに全てお金持ちが悪い、大企業が悪いと言い切るのは間違いです。物事は色々な視点から見なくてはならない。でも、この本は世の中がどのような仕組みで動いているかを考えるにあたって、有益であることは間違いありません。







と、いうことで 今週も官邸前抗議へ。#金曜官邸前抗議
3週間ぶりの晴れです。今日の午後6時の気温は18度。気持いいなあ。参加者は650人。天気が良くなれば参加者は増えます、ていうか、選挙が終わったからこそ、デモへ行かないと(笑)。

●抗議風景








今朝のニュースによると日本原電は運転開始後40年が過ぎた老朽原発、東海第2の運転延長を申請するそうです。


311の際 東海第2は津波が押し寄せて、電源喪失の一歩手前まで行きました。周辺の人口は100万人。もちろん避難計画は全くできていません。交通手段だけ考えたって、100万人も避難できるわけありませんよね(笑)。
でも 日本原電は老朽原発を運転しようとする。原電は東海第2しか原発を持っておらず、それがなければ潰れるしかないからです。そして原電が潰れたら、損害は出資している電力会社に及ぶ。
でも、連中のカネと我々の命とどちらが大事なんでしょうか原発を続けようとする連中の論理がこんなところに集約されていると思います。


柏崎刈羽原発の再稼働に関するパブコメ:来週3日まで。選挙も終わったし、今週末書くつもりです。エクセルやワードで前もって書いてからコピーして、応募フォーマットに貼りつけると楽ですよ。
パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

*ご参考:ちょうど昨日も柏崎刈羽で不備が発見されました。

柏崎刈羽原発、「水平分離板」不適切に設置 :日本経済新聞