特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『老いぼれトランプ』と『法人所得と景気回復策』、それに『0930再稼働反対!首相官邸前抗議』

今週は暑かったし、ジメジメ、ジメジメ、ちょっと気持ちが悪い気候でした。今日になって秋らしい空気になって、気温も湿度もちょうどよくなってきました。今朝 目覚めた時は嬉しかった〜。だけど、こうなると朝ベッドから起きるのが辛くなってきます(笑)。とにかく食べているか、布団の中にいるか、が一番幸せ。早く定年にならないかなあ(泣)

                                              
今週 クリントンとトランプのTV討論会の様子がニュースで流れていました。政策や考え方は別にして、クリントンという人の喋り方って、ボクは好きじゃありません。画面を見ていても、嵩にかかったというか、居丈高な感じだし、画面の向こうから叱られている感じさえするんです(笑)。ここ数年 日本の役所が女性の活躍をしきりに言い出したのはヒラリー対策、という話も聞いてますが、日本の役人もかなりヒラリーにビビっていると思います(笑)。

                                         
アメリカの大統領選って、結構 好感度が重要だと思うんです。元三流俳優のレーガンは言うまでもなく、クリントン(旦那)VSブッシュ(オヤジ)、ゴアやケリーVSブッシュ(ドラ息子)、オバマVSマケインやロムニー、常に人に好かれそうなタイプが勝っている。特に息子の方のブッシュは頭はボンクラでやってることも酷い、経歴は徴兵忌避で元アル中、ゴアやケリーの方が頭脳も経歴も演説も遥かに立派なのにブッシュが勝った。あれは衝撃でした。確かにブッシュの方がバカだけど憎めない感じはしましたもん。もちろん、好感度だけで大統領が決まるわけないでしょうけど、結構大きな要素だと思います。

勿論 トランプが勝ってもらったら困るんです。トランプってバカそうに見えるけど、一流のビジネススクールであるウォートンのMBAを取ってますから、多分バカじゃないと思います(ブッシュみたいにカネでとったのかもしれませんが)。あの下品な態度や暴言は計算ずくの筈です。トランプとクリントンと、どっちが感じがいいかというと微妙なところです(笑)。良く言われる、嫌われ者同士の闘い、というのは確かにそうかもしれません。
●今回 トランプのことを取り上げたのは日本にとっても他人事ではないからです。

                           
約80年前 アメリカの大恐慌期に活躍した、フォークソングの始祖として名高いウディ・ガスリーというフォークシンガーがいます。ボブ・ディランの師匠みたいな人で『わが祖国(日本語訳の歌はインチキ臭いですが)は日本でも有名です。少し前 彼が作った、トランプの父親、フレッドをテーマにした『老いぼれトランプ』(Old Man Trump)』という歌が見つかりました。イギリスの学者が博物館で発掘したのですWoody Guthrie Wrote of His Contempt for His Landlord, Donald Trump's Father - First Draft. Political News, Now. - The New York Times。一時期 不動産業者、フレッド・トランプの借家人だったウディ・ガスリーは歌のなかで、トランプのオヤジは不動産を黒人には貸さない人種差別をしていたことを告発しています。トランプ本人も不動産を黒人に貸さないとして60年代に訴えられたことが今週の朝日新聞に載ってましたが、トランプの差別体質は親子代々ってことです(笑)。

ガスリーは歌詞でこう書いています。
老いぼれトランプは、自分が800世帯の住宅計画に人種差別を持ち込んだとき、どれほど多くの人種的憎悪をかき立ててきたのか、自分で分かっているはずだ
I suppose
Old Man Trump knows
Just how much
Racial Hate
he stirred up
In the bloodpot of human hearts
When he drawed
That color line
Here at his
Eighteen hundred family project


選挙に合わせて『老いぼれトランプ(Old Man Trump)』のシングルが発表されています。歌はフォークシンガーのライアン・ハーヴェイという人、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが格好いいギターを弾いてます。トム・モレロ、「レイプ犯みたいな奴を選ぶな」とトランプ批判ソングを紹介 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

                                            
討論会でトランプは『NAFTA(北米自由貿易協定)やTPPに反対し、中国やメキシコに盗まれた雇用を取り戻す』と言っていました。大変判りやすい話です。でも、それで雇用が戻ってくるでしょうか。誰が考えたって答えは明らかです。例えばiPhone。多くの部品は日本や台湾、韓国で作られ、中国で組み立てられています。それに重い関税をかけることで、アメリカで作るようになるでしょうか?そんなわけ、ねーじゃん(笑)。液晶にしろ、微細な部品にしろ、アメリカ国内では物理的に作ることができません。工場、いやメーカー自体が無いんだから(笑)。重い関税をかけて困るのは消費者です。
こういう話って世界中で溢れています。イギリスのEU離脱もそうだし、日本でTPPに反対している人の言ってることも、ほぼ それと同じです。例えばTPPを拒否しても高齢化が進む日本の農業の問題は解決しません、TPPに入ったって条文に何も書いてない国民皆保険に妨げが生じるとは考えにくい。ボクはTPPは中立、どっちでもいい(笑)ですが、反対でも賛成でも、きちんとした理由で議論しろよ、と思うんです。
TPPにしろ、経済問題にしろ、今の世の中の問題はとても複雑です。絶対的な正解なんか判りませんよ。でも扇動家どもそれに対して簡単な答えを用意する。正しかろうが間違っていようが関係ない。答えを提示することで自分の権力や政治勢力の伸長に利用するそれが連中の『お決まりの手段』です。
                                               
●『トランプは扇動家だ。経済的に不安定な人々がトランプに惹かれるのは、とても複雑な問題に簡単な答えを用意しているからだ』と今週 ブルース・スプリングスティーンが発言しました。彼は良くわかっています。ヒトラーも小泉も橋下も、安倍晋三もトランプも、扇動家のやることは皆一緒です。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016092600547&g=int
●こちらも大きく報じられています。ローリングストーン誌での発言。『人々がトランプのようなウスラバカの影響下にあるのは民主主義にとって悲劇だ。』

Bruce Springsteen Calls Donald Trump a ‘Moron’ – Rolling Stone

●今週 自伝/アルバムが出たばかり。読む方も忙しいです(笑)

チャプター&ヴァース

チャプター&ヴァース

                                
一方 ヒラリーは討論会で『(金持ちが豊かになれば皆が豊かになる) トリクルダウン経済はうまくいかない』と言ってました。確かにその通り。ちょうど今 クリントン(旦那のほう)の評伝を読んでるんですが、彼も92年のTV討論会で『(レーガン以来12年続いた)トリクルダウン経済はうまくいかない』と言ってるんです。それから24年。ちょっと虚しくなりましたね。

                                


 
さて、今週27日 国税庁が『2015年度に決算期を迎えた全国の法人の申告所得の総額が、前年度比5.3%増の61兆5361億円と過去最高だった』と発表しました。法人所得はリーマンショック以降6年連続の増加です。

法人所得、6年連続増加 15年度5.3%増 :日本経済新聞

これがどういうことか、GDPの統計と比べて考えてみました。
最初がこの図です。日本の名目GDPが過去最大なのが97年です。そこから2015年までGDP、法人所得、それに我々に廻る雇用者報酬の推移を比べてみました。97年を100としています。
●名目GDP(赤線)、法人所得(青線)、雇用者報酬(紫線)の推移(97〜2015年、97年を100とする

97年を100とすると15年の名目GDPは95、雇用者報酬は92、共に97年以下の水準です。GDPの推移に雇用者報酬はほぼ連動していますよね。まあ、会社も人件費の伸びをそれなりに考えていると言うところです(笑)。ところが法人所得は違います。2015年の法人所得は156と97年の1.5倍以上の水準になっています(笑)。それまでの経緯を見ても98年頃の金融恐慌、02年頃の小泉不況、08年のリーマンショックなど不況期を除けば、法人所得はGDPや雇用者報酬以上の伸びを示しています。
で、こんな状態なのに安倍晋三は更に法人税を下げましょう、と言っているわけです(笑)。アホか!

                                        
じゃあ、その結果がどうなっているか、日本のお金の使われ方から見てみましょう。要するにGDPの内訳です。GDPは大まかに言って政府の支出、公共投資、民間の設備投資、民間の消費支出を合計して、輸出入を差し引きしたものです。
                                                       
次の図で97年からの政府支出、公共投資、設備投資、消費の推移を見てみます。
●政府支出(赤線)、公共投資(黄緑)、設備投資(青)、消費の推移(紫)(97〜2015年、97年を100とする)

97年を100とすると2015年の政府支出は126、消費は100、民間の設備投資は90、公共投資は56となっています。97年より増えているのは政府支出だけです。これじゃあ、GDPが下がるわけです。
政府支出は増えていますから直ぐ行政改革!と言い出す人もいるかもしれません。でも政府の支出(歳出予算 合計97兆)では、政治家や役人の給料は約7兆と全体の1割以下、社会保障費用(約32兆)と過去の国債返却費用(約24兆)が全体の半分を占めています。我が国の基本的な支出と収入 :: 数字から調べる:: 調べる :: 日本の財政を考える。政府支出が膨れるのは医療などの社会保障給付費や過去の国債償還を考えると仕方ない面があります。
設備投資のほうは政府が『企業にもっとやれ』、と言ってるわけですが、将来の国内人口が減少し市場が縮小するのですから無理ですよ(笑)。下手に大型投資なんかしたら、シャープみたいに潰れるのが関の山(笑)。公共投資は色々考え方があるでしょうが、財政赤字の現在、効果があるものに絞ることは必要でしょう。
一番大きな項目は消費です。消費は2015年の名目GDP499兆の6割弱、285兆を占めますGDPを増やそうと思ったら、一番大きい項目である消費を増やすのが最も効率的に決まってます。景気を良くするには、ずっと横ばいの消費を増やすことを考えなくてはいけないんです。

                                           
消費を増やすには給料を上げていく、所得税や資産課税で再配分を強化する、のが有効だと思います。企業や金持ちはもっとカネ払え、と。だけど共産党なんかが言ってる企業の内部留保に手を付けるのはボクは反対です。そもそも内部留保は全てが現金で存在しているわけじゃなく(笑)、多くは土地や機械設備、製品在庫などに化けているんですからね。

                          
なんで今企業が内部留保を貯め込んでいるか。
1.小泉不況やリーマンショックなどの経済の急変に備えて、体質を強化している。
 今 上場企業の6割弱が無借金になっています上場企業の手元資金、最高の109兆円 56%が無借金 :日本経済新聞。経営者は銀行の貸し剥がしのことを良く覚えています。日本の銀行も役所も全く信用していないってことです(笑)。それは正しい。
2.成熟市場の国内市場で生き残る為に研究開発やM&Aなどの資金を蓄えている。
 例えば写真用フィルム。デジカメにすっかり置き換わってしまったこの市場で米コダックは倒産、富士フィルムは生き残りました。内部留保を貯め込んでいた富士フィルムは、そのカネで化粧品など他業界の会社をM&Aして方向転換できたからです。JTやサントリー、生保、今やみんな同じことをやっています。


なかには悪徳企業もいるし、モノには限度がありますが、基本的には内部留保はまともな話です。内部留保に手をつけて雇用が減ったら元も子もありません。麻生太郎が9月初め、法人企業の内部留保377兆に怒って『投資するか、給料上げろ』と言ってましたが、その気持ちは判ります(笑)。国が直接内部留保に手を付けるのではなく、給料という形で徐々に、また国ではなく消費者に還元するべきです。リチャード・クー先生がブレーンでついているだけあって、彼は経済はある程度判っている。民主主義や日本語の使い方は判ってないみたいですけどね(笑)。


                                                   
安倍晋三が大好きな共産主義社会主義の国有化みたいに企業に無理に内部留保を吐き出させるより、給料に還元させる。今朝9/30の日経の『経済教室』ですら、賃金10%アップを目標にするのはどうか、との提言が載ってました(スタンフォード大 星教授)。強制的に給料を上げるわけにはいきませんから、最低賃金を上げていく。税で所得再分配を強化する。(ある程度の)規制緩和で新しいサービス・製品を出しやすくする。そうやって消費を増やしていく。日本の景気を何とかするにはこれ、ですよ。数字を見れば明らかじゃないですか、っと(笑)。



ということで、今週も官邸前抗議へ。

今日の午後6時の気温は22度。気持ちいいです。参加者は主催者発表で800人。
●抗議風景





                                     
今日の抗議はちょっと変わったことがありました。いつも反原連がステージを置いている官邸の向かい側に右翼というか乞食みたいな連中が3、4人?居座っているんです。抗議が始まる6時半になっても座り込んで、みすぼらしい恰好で『再稼働賛成』とかやっている。時々 SEALDsのデモでも端っこで(笑)嫌がらせしていた連中です。
●右翼と言うより乞食みた〜い(笑)。年恰好共に過激派とそっくりです(笑)。

                                      
もちろん、参加者の人は怒ってます。近くの年配のおばさんが『高江みたいに引っこ抜いちゃえばいいのに』とか言っています。ボクも激怒していたんですが、『まあまあ、それじゃ、あいつらと一緒になっちゃうでしょ』と彼女をなだめなければなりませんでした(笑)。抗議が始まってしまえば、人数が200倍以上違いますからバカ共の声は全く掻き消されてしまうんですけどね。クズ共のおかげで抗議の声はいつもより、数段大きかったと思います。ごくろ〜さん(笑)。たまにはスパイスですな(笑)。
臨機応変に抗議の場所を移して抗議をしました。いつもより激しく(笑)。


今年 国は原発立地に対する新たな交付金制度を作ったそうですが、伊方原発を抱える愛媛県がさっそく申請するそうです。補助金で本当の意味で地方が振興したことなんかない、とボクは思うのですが(おこぼれをもらって、下請け仕事を押し付けられるだけでしょ。若い人は結婚だって差別されるし。)、自分の足で立とうと思わない人はどこにでもいるものですね。人のことをとやかく言うのもよくないかもしれませんが、みすぼらしく他人のカネにたかるのはやめてもらいたいものです。原発乞食の市町村に、盗人県か(笑)


伊方町長選もあるそうですが、共産党の候補じゃ箸にも棒にもかからないんだろうなあ。

                                                 
今週は日立、東芝、三菱の3社の原発燃料子会社が経営統合というニュースが流れていました。さすがにやっていけなくなったんですね。

                           
経産省のなかでは原発メーカーも統合、という話もあるそうですが、PWRとBWRと炉の方式が違うし、経営面で日立/GE、東芝/WH、三菱/アレバとバックも違いますからかなり難しいでしょう。仮に統合できたとしても、ロシア、韓国、中国などのメーカーに勝てるとは考えにくい。先週 前原子力委員会委員長代理の鈴木達次郎長崎大教授がTBSラジオ荻上チキの番組で『日本の原子炉メーカーには独自の技術はない』と言っていましたが、技術的な優位性がないとすると、ロシア、韓国、中国などのメーカーに勝てるはずがありません。
                                                   
前にも書きましたが、ボクは学生の時、反原発運動の草分け、高木仁三郎氏のお話を直接 聞いたことがあるんです。その際 彼が『日本の原子炉メーカーの力は凄いんですよ』と慨嘆されていたのを今でもよく覚えています。その原子炉メーカーがいよいよ落日を迎えています。残る原発ムラの構成員、電力会社だって電力自由化で親方日の丸体質からの脱却を迫られています。あとは一部のクソ役人とバカ政治家。昔のことを考えれば、世の中、多少はまともになってきたところもあると思うんです。