特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『大津地裁の決定』と0311再稼働反対!首相官邸前抗議

言うまでもなく、今日は3・11です。被災地の人に比べれば、全然大したことなかったボクですら、やはり あの時のことを色々思い出します。
初めて電車が全面的に止ってしまったこと、早く帰りたかったけど『ここで頑張らなきゃ』と思って、まず勤務先の女の子たちの帰る手段&泊まる場所を確保したこと、そのあと真っ暗な夜道を3時間歩いて家に帰ったこと、家族が無事でほっとしたこと。地震で揺れている際もゴルフ練習場で球を打ち続けていた人が居たのも忘れがたい(笑)。
多くの人が忘れがたい体験をしたのだと思います。あれから変わったこともあるし、勿論変わらなかったこともある。今は思うんです。本当に我々は変わったのか。我々の生活は変わったのか。忙しい日常に紛れて、何か忘れてしまったままでいることはないだろうか。

                                               
今週 大津地裁が高浜3,4号機の再稼働を差し止めた決定は、正直(笑)意外ではありましたが、内容は非常に良かったと思います高浜原発、「運転差し止め仮処分」の重い意味 | 原発再稼働の是非 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
それは、避難計画を論点に取り上げていることです。
昨年 福井地裁が高浜原発の再稼働を差し止めたとき、ボクは良かったけど、危うい判決2015-04-17 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)とブログに書きました。決定が取り上げた規制基準、例えば基準地震動など議論の余地があるような問題、まして判決に引用された学者が事実誤認という指摘するような判決では、あまり説得力を持たないからです。
原発に限らず、たいていのことはそうですが、地震の強さだって、津波の高さだって、前提次第では何とでも言えるんです。前提を変えれば、たいていの数値は作れます。数字も基準も恣意的、主観的なものにもできるんです。それが官僚や専門家の『手』なんですよ(笑)。2審では裁判官が変わったことも大きいのでしょうけど、案の上 そこを突かれて決定はひっくり返りました。

今回の決定では 規制基準だけでなく、誰が見ても判断できる『避難計画』も論点になっていたのが良いと思います。福井の反省から訴訟団が裁判所から引き出したのかどうかは知りませんが、大津地裁が『過酷事故を経た現時点では、避難計画を視野に入れた幅広い規制基準を策定すべき信義則上の義務が国家に発生している』としているのはまさにその通り、原発に賛成の人だって、それは否定できないでしょう。一方 狂信的な反原発の人には、避難計画を論じるのすら許さない人もいます(笑)。稼働する可能性すら許さないんです(笑)。それじゃ、議論にすらならない。
再稼働を止める判決というのは素晴らしい。だけど滅茶苦茶な論理や論拠薄弱な根拠を振りかざしても、世の中を変えていく力を持ちません。 ただ反対するだけだったら ただのバカ(笑)です。犬だって嫌なことはソッポを向くじゃないですか(笑)。原発だけでなく、安保でも、他の問題でもそうだと思いますが、立場の異なる人の最大公約数を見つけていくのが政治、です。世の中を真剣に変えたいと思っているのなら、一人一人がそういう努力を続けていかなければならないと思います。ボクは今の政治家は我慢が出来ないほどアホが多いと思います。でも今回の野党共闘が良い例で国民が声を挙げていけば、それに長い目で見れば国民のレベルが上がっていけば、それは必ず政治家にも反映されていくはずです。政治は変えられるはずです。

                                       


                                                     
と、いうことで、今週も官邸前抗議、いや国会前抗議へ。今日は311から5年ということで拡大版です。いつもの官邸前抗議に加えて、国会正門前では大勢のゲストを迎えての集会が行われました。昼過ぎまで雨が降り、夜の冷え込みにもかかわらず、参加者は6000人。ヘリの空撮も出ていました。



                                                 
普段はくだらないスピーチなんか聞きたくないので集会はスルー、デモや抗議に専念するんですが、たまには良いかなと思ってスピーチ主体の国会前へ行きました。反対側の舗道(国会正門北側)では、降伏の、いや幸福の科学が6時まで原発推進集会をやってました(笑)。立派なスピーカーと街宣車を持ってきています。だけど言ってることが口汚いこと。何が宗教だよ。ホント、邪教だわ。今にオームみたいになるんじゃないの。
                                
開始は6時ですが、5分前には大勢の人が集まっていました。平日の6時ですから、最初はお年寄りが目立ちます。人ごみの中で他人の迷惑顧みず、リズムがずれまくった太鼓(笑)を無理やり叩いているジジイも居たし、ホントに訳の分からない団体の幟を担いでくる白痴ジジイも居たし、それは閉口しました。壊れたおもちゃみたいに太鼓をたたいていた爺さんは幸福の科学原発反対と思ってたみたい。完全にボケてる(笑)。国会正門前の右左でアホの競演かよ(笑)とも思いました。勿論 殆どの人はマトモなんですけどね。ボケ老人が来るのは自由だけど多くの人の参加を図ろうとするのなら、こういう連中の存在は逆効果です。アホだからと言って排除するわけにはいかないけれど、そこは問題点だと思います(こういう連中は今や普段の官邸前抗議には殆ど来ません。知性もなければ、根性もない(笑))
                                                   
気分を取り直して、反原連のミサオ・レッドウルフ氏の簡単だけど丁寧な言葉での挨拶から集会は始まりました。最初は福島で放射能を測っているNPOの女性。それから精神科医香山リカ立教大教授。その後 政治家が続きます。
●抗議風景(1)。3枚目は志位和夫以下 共産党3人衆
 


●照明で顔がテカってしまって、上手く写真が撮れなかったので反原連のtweetを借ります。





                    
社民の吉田とか生活の元議員とかが言ってるのは『脱原発の私の決意を申し上げます』とかでした。彼らも所詮 利益誘導なんですね。どうやって脱原発を図るかの戦略どころか、市民とどうやって連携するか、すらない。可哀想そうだけど、この人たちは311を経ても変わっていないんでしょう。全然だめ。政策は同意できるところも多い社民党ですが、こんな無能な人たちは要らない。どうせ今年の夏で彼らの政党要件は無くなるんでしょうけど、一刻も早く解散して他の政党なり、市民運動なりに合流したほうが良い。
その点 志位和夫とか民主党福山哲郎は言ってることがまともでした。志位は野党共闘の話を、福山は311の時の話をしました。福山は311の6時頃、丁度 電源車の手配に躍起になっていたそうです。『何もできなくて申し訳ありませんでした。お詫びします。でもこれから一緒にやっていきましょう』と声を詰まらせながら話していました。公衆の面前で政治家が自らの非を認めるのは初めて聞きました。福山はこの前の京都市長選で自民候補を応援して悪評を買いましたが、個人的には昨夏 国会前に出てきて以来、この人はある点ではまともになったんじゃないかとは思っているんです。違うかな?
●抗議風景2




                      
やっぱりボクは政治家より、上野千鶴子や中野晃一上智大教授の言ってることがしっくりきました。上野は『311で何が変わったんだろうかと自問自答してしまう』と言ってました。おお、ボクと一緒じゃん(笑)。更に彼女はこんなことを言ってました。
日本は何も変わってないようにも思えるが、少なくとも自分は変わった。40年ぶりにデモに出てくるようになった
18歳選挙権に私は希望を持っています。高校生デモをやった子たちに聞いたら、彼ら・彼女らは311当時小学生だった。その分だけ、彼らは私たちよりインパクトは大きい。既に若い人たちがあの!共産党を変えた(苦笑)。民主党も変えた。次は野党が自民と公明を変えてほしい
政治学者の調査では20% 投票率が高まれば、政権は変わるそうです。そのことを、ここにいる一人一人が普段の生活から呼びかけて欲しい。』

政治家より全然、戦略的だし、論理的ですよね(笑)。

                                   
その後、中野教授。
共産党民主党もどうしようもない野党だけれど 昨年来から若い人たちが中心になって変えてきた。ポンコツ野党だけど、我々が使い倒し、監視していけばいいんです。』

そう、野党共闘は最低条件でしかないんです。問題の本丸は我々自身が変われるか。我々自身が個人になり切れるか。ということなんだと思います。
                                
古賀茂明はこんなことを言ってました。
311当時 私はほぼ仕事を干されていました。民主党が官僚の天下りを復活させようとしたのに抗議して意見を出したら仙石に恫喝されて、最後は枝野に首にされた。そのあと橋下の脱原発を応援しようと思ったが、橋下は最後は寝返った。それは細野が原発を動かさないとだめだ、と橋下に頼みに来たからです。民主党原発推進政党です。2030年代までに脱原発なんて、それでいいのか。皆の力で民主を変えていくしかありません

これらは、この人の最初の著書『日本中枢の崩壊』にも書いてあったかもしれませんが、週刊誌的な意味では面白かった(原発ムラの既得権益団体、電力労連がある以上、民主党のかなりの部分は原発推進というのは同感ですが、この人の話はボクは100%は信じてないです)。

上野千鶴子、中野上智大教授、古賀茂明






志位和夫福山哲郎上野千鶴子や中野晃一など、皆 異口同音に言っていたのは、今日の野党共闘の道を開いたのは4年間続いている官邸前抗議があったからだ、ということです。組合や変な市民団体のマヌケな党派色を排し、『再稼働反対』という誰もが共有できる最大公約数に絞って抗議を続けたことで、一般個人の抗議からSEALDsなど若い人たちが立ち上がり、昨夏の国会前の盛り上がりになり、今回の野党共闘に繋がった。
                                                      
抗議の列の後ろの方には寒さにも関わらず、子供連れの人や大学生くらいの若い人たちを何人も見かけました。ボクも彼らに希望を持ちます。先週『保育園落ちた』の人たちが自然発生的に国会前に集まったように、何かあったら声を挙げることが当たり前になりつつある。確かに道は開かれました。あとは先に生まれた人間が若い人たちにむかって大きく扉をあけ放つことだと思っています。
●抗議風景3。2枚目、お父さんに抱かれた子供がローソクの炎をじっと見つめています。