特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

白井聡講演会『その後の永続敗戦論』と0710 再稼働反対!首相官邸前抗議

某大学の学部長に聞いたんだけど、最近はその大学の理系学部の学生はなんと75%が院へ進学するそうです。主な理由は、就職に有利だから、だそうだけど(笑)、さぞ学費負担は大変でしょう。この大学の場合6年で1000万弱、それでも私立では安いほうです。日本は教育への公的支出がOECDの中でも最下位だそうですが教育への公的支出日本は最下位 奨学金制度が鍵=OECD報告書 | HuffPost Japan、これからは裕福な家に生まれなければ大学、特に(就職に有利な)理系大学には進みにくくなるんだろうな。
その結果 一層 格差は広がり、社会の進歩は停滞する。 現代の戦艦大和と噂される、クソの役にも立たないオリンピック競技場に2500億も3000億も使ってる場合かっていうの。旗色が悪くなるとトンズラする安藤忠雄とかJOCや森喜郎がカネ出せばいいじゃないか。大体スポーツごときに税金出すくらいなら、奨学金を拡充するとかやることはいくらでもあるだろう(怒)ふざけんな、ボケ。
この国はギリシャのことなんか絶対!笑ってられないと思う。
●小説家 平野啓一郎のツイート

小田嶋隆氏のツイート
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
さて(笑)、丸の内で白井聡の講演会『その後の永続敗戦論『夕学五十講』講師紹介ページ

2013年に数十万部のベストセラーになった白井氏の『永続敗戦論』は非常に面白い本でした。内容は 『日本は太平洋戦争の敗戦を終戦と称している。日本は深層心理では敗戦を敗戦と認めていない。国内およびアジアに対しては敗北を否認し「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえにアメリカに対する)敗北が際限なく続く』というものです。

                                                                                                                 
先週書いた『日本は駐留米兵の経費負担の割合が世界でも異常に高い『下がり続ける賃金』と『駐留米軍の経費負担』、それに『戦争法案に反対する国会前抗議行動』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)は、日本がいかにアメリカに食い物にされているか、を良く示す事柄です。それでも安倍晋三なんか『日米同盟は片務的』とか言うんだから、もうマゾとしか言いようがない(笑)。対米従属は最近良く指摘されますが、白井聡氏の『永続敗戦論』はその嚆矢となったと思う。
当日のお話をメモしてきました。
                                                                                       
・今 日本の政治で起きていることはマルクスが言った、この言葉が当てはまる。『すべての偉大な世界史的事実と世界史的人物はいわば二度現れる、一度は偉大な悲劇として、もう一度はみじめな茶番として。』 安倍晋三が一度は総理大臣になったのは偶々ということもあるかもしれないが、二度も総理大臣になるのは個人の問題ではなく、国民のレベルを反映したものだ。マルクスはナポレオン一世と三世を対比して前記の言葉を述べたが、第一次安倍内閣と第二次安倍内閣の関係にも重なっているように見える。『戦後レジームを脱却すると言っているのにポツダム宣言を読んでないと言い張る(安倍)』、『憲法は法律に合わせるもの(中谷防衛相)』。このような発言に代表される茶番のような反知性主義が戦後七〇年の結果か、と思うと暗槓とした気持ちになる
                                                                            
・私は憲法改正は反対ではないが、今は改憲なんかできる状態じゃない。今の政治家はクズみたいな連中ばかりで、改憲してもロクなものにはならない。そもそも先の戦争のように滅茶苦茶なことをやった指導者の後釜のような連中に安全保障なんか語る資格があるのだろうか。
                                                                       
・私が永続敗戦論を書いた動機は二つである。一つは鳩山総理の退陣劇である。元来は日米交渉の問題であるのに、宇宙人とか鳩山の個人的資質に矮小化されて、肝心の日米関係の問題はまったく議論されなかった。もう一つは311。かって丸山真男が太平洋戦争について指摘した『無責任の体系』が今もそのまま存在している。莫大な金額が費やされ、役人もムリだと思っている『もんじゅ』が未だに廃止されないのが良い例である。かっての『国体護持』が今は『原発』に置き換わっている。
                                                                      
日本人が幼児化したのは、人々が敗北を直視しなかったからである。基地が身近にある沖縄は例外だが、本土の人間は見たくないものを見ないまま70年間過ごしてしまった永久敗戦レジームの根幹は『対米従属』と『東アジアでの孤立』だ。アメリカにペコペコし、代わりにアジアで偉そうにして自尊心を満足させる、というスキームだ。だが90年代以降 冷静の終結に伴い永続敗戦レジームは維持できなくなってきた。アメリカは国力が衰え、圧倒的な優位を保つことができなくなっている。今後起きることはアメリカの日本に対する『収奪』だろう。またアジア諸国が経済発展するに従い、日本の経済力も相対的に優位性がなくなっており、カネの力で黙らせることが出来なくなってきた。中国、韓国が良い例である。安倍がしきりに諸国を歴訪しているが、歓迎されているのはまだ日本のカネをありがたがっている新興国だけである。結局 日本のエリート層が出来ることはアメリカの買弁になるしかなくなってくる。日本には政権交代なんか存在していない。民主党も第2自民党みたいなもので、永続敗戦レジームのなかでくるくる回っているだけだ。
                                                      
・私(白井)は必ずしも対米従属を批判しているのではない世界で対米従属していない国がどこにあるだろうか北朝鮮キューバくらいか(笑)。しかし従属はビジネス(利害のやり取り)だが、日本の従属はビジネスを直視しない情緒的で特殊な体制である。日本にとって本当に得ならば対米従属しても良いと思う。
日本人はまるでアメリカが善意の国であるかのように思っているかのようだ。例えば昭和天皇マッカーサーと面談した際『私はどうなってもよい』と言う天皇マッカーサーが感動した、という話になっているが、日本ではこのように情緒的な話に置き換えられてしまうマッカーサーが面談する前から天皇を戦後処理に利用する方針は決まっていたし、昭和天皇はおそらく本当にそう発言したとは思うが、それは彼にとっても『私はどうなってもよい』が自分にとって最も得な発言だから、である。彼は単にクレバーな人間だったということだ。またアーミテージという人がいるが、彼は親日派ともジャパン・ハンドラーとも言われている。白井が見るところ、アーミテージは単にアメリカの利害のために動いているだけであり、親日でもジャパン・ハンドラーでもない。
                                                                      
安倍政権がやっていることは『永続敗戦レジームの死守』である。それは現実を見ないことでもある。その特徴は以下のようなものだ。
知的劣化:例えば軍事を強化すればするほど、日本の軍隊はアメリカに組み込まれ従属は隷属化する。戦後レジームというものを全く理解していない。
幼児性:軍事力=立派な国と思い込むような幼児性があるのではないか。
                                                  
・今の日本には目を覆いたくなるような『劣化』と『閉塞』がある。『劣化』という面では先日の大西(議員)の『マスコミを懲らしめる』発言に経済界は抗議もしない。政治家だけでなく経済界も劣化しているのではないか。また『閉塞』という面では、先日京都で行われたSEALDsのデモで女の子が『権力に逆らうことは怖いし、不利益を被るかもしれない。でも黙っていると後悔するから私は抗議をしたいと思う』と言っていた。私は世界各国でデモを見てきたが、デモに参加するくらいで不利益を被るなんて世界的に見たら全くありえない若者にこんなことを言わせる社会でいいのか大人たちは自分が何を怖れているか見ようともしない。この女の子は自分が何を怖れているか判ってるだけ大人たちより遥かにマシである。
この会場には企業勤務の人が多いと思うが、我々一人一人が持ち場で勇気を出していくしかない、と思う。
                                                       
白井氏がほぼ2時間話したあと、会場からはこんな質問が出ました。『白井氏は自民もダメだし、民主党もダメだと言う。じゃあ、どうしたら良いか』というもの。良い質問です(笑)。白井氏の返答はこう、でした。
                                                                   
アメリカは自民だけでなく民主にだって前原のような従属シンパを作っている。かといって共産党の政権などあり得ない。強いて言えば沖縄の状況が参考になるのではないか。翁長知事は『政府は戦後レジームの死守をしている』と問題を正しく指摘している。更に翁長氏は『政治家がようやく県民の意識に追いついた』と語っていたが、彼のように、闘っていく中で政治家が鍛えられていくということはあるのではないか。今や沖縄では右から左まで翁長知事を支持している。日本の現状は市民がダメだから、ダメ政治家がのさばっているのではないか。

・日本では戦争犯罪人は国内法ではいないことになっている。墓をあばくようなことになるかもしれないが、もう一回 責任者に責任を取らせるようなことを考えなければいけないのではないか。負けを認めないことこそ最も危険なことだ

                                                   
こんな感じです。『永続敗戦論』にも書いてありましたが、白井氏が『私は対米従属には必ずしも反対していない。対米従属していない国は北朝鮮以外にどこにあるというのか』、は重要なポイントだと思います。従属するかしないかは環境と自国の能力を秤にかけて、損得で判断すればいい。別に対米従属を止めたからって偉いわけじゃない(笑)。日本の場合は、従属しているのに自覚がないところが恐ろしい。と同時に、従属を止めれば自立が出来る、と言う単純な発想も恐ろしい(笑)。
安倍晋三は勿論、それに反対する日本の自立論者も日本の利害をあんまり考えていないと言う点では共通しているようにボクには見える。対米従属を指摘するのはいいけど、具体的に何がデメリットで、どんなところがメリットなのか。また、それはどういうメカニズムや法体系でそうなっているのか。そういうことを事実ベースで考えていかなければ、自立なんかあり得ない。
やや強引な論理展開もあるけれど、白井氏の話は刺激的で面白かったことは間違いない。ためになりました。ここから、どう考えていくか。それがスタートです。

●哲学者の國分功一朗氏のツイート

                     
                                       
                                                                             
ということで、官邸前へ。
今週は逃げられない宴会が2つもあったんです(泣)。うんざりするし、忙しかった(ボク基準)。だけど良い話も聞いた。自民党の議員勉強会(笑)の講師が『自民党は、安保法案不成立の可能性も覚悟し始めた』って言ってました。その場合は来年 衆参ダブル選で行くらしい。
成否にかかわらず 今は反対の声を挙げるときだと思ってる。安保法案に反対している学生(SEALDs)の諸君に対してネットにウジ虫が湧いているようだが、自分は何もしないくせに(できないくせに)、机の前でぐちぐち文句言ってる奴って、恥ずかしくないのか。仕事でもそうだけど、結局はやるかやらないか、なんだよな。机のまえで文句垂れてるだけのニートが世の中で最も下等な人種(笑)。日本にとって得なのか損なのかまともに議論もしないまま憲法違反の法案を通すなんて、そんなことがあっていいわけないだろ。
                                                    
東京は久方ぶりにカンカン照り。金曜が晴れたのは一か月ぶりかも。今日 ボクは友達をジビエを食べに連れていく約束があって(夏の鹿も美味しいんだよ)、SEALDsの抗議の方へは出られないので、官邸前抗議が始まる前にSEALDsの諸君のところへ行って『今日、ボクは参加できないんだけど、ドネーションだけさせてください。』、『ありがとうございます。』、『今日は申し訳ないけど、頑張ってください』というやり取りをする。最低限のことはやったつもりだけど、『頑張ってください』なんて言うのはちょっと情けなかったです(泣)。
●国会北庭。SEALDsの抗議開始1時間前。TBSが中継の準備をしていた


●SEALDsの抗議を伝える当日のTBS NEWS23。放送しないよりはいいけど、今日どれだけ多くの人が集まったか、くらい伝えろよ!

そのあと官邸前へ。時間は限られてたけど、目いっぱい声を挙げてきた。
●抗議風景








                                        
川内原発の再稼働準備が着々と進んでいるが、ボクはもっと大局的な流れを示すニュースが気になった。不適切会計というより、粉飾で揉めている東芝子会社の原発メーカーWHの株を売却しようとしている、という。東芝、米WH株の一部など資産売却検討 銀行支援にらみ | ロイター 

GEやジーメンス原発から足抜けを図っているし、アレバは潰れかかっている。だが東芝だけは原発事業への執着を見せていた。ニュースによると、従来から裏ではWH株の売却を図っていたそうだし(だが 売れなくて困っていたそうだ)、今回の経営危機でそれが表沙汰になった。全てを手放すわけじゃなく87%ある持ち株を減らすだけで、過半数は維持する方針のようだが、企業にとって原発事業がお荷物になりつつあることがいよいよはっきりしてきた。GEのイメルトCEOが言ってるとおり、市場原理に忠実に判断すればリスクがでかすぎる原発事業なんかムリなんだよ。結局 原発事業を張り切って(笑)続けてるのは中国やロシアみたいな共産主義独裁国家だけじゃん(笑)。原発安倍晋三が目指す日本の中国化にぴったりなんだろう。
天下り狙いの役人やバカ政治家が悪あがきしようと、世の中の大きな流れ、というものは確実にある。ちなみにボクは 昔 東芝が反原発ソングを含んだRCサクセションのCDを発売中止にして以来、東芝製品は全面ボイコットを続けています(笑)。
あ、言い忘れた。今日の官邸前抗議の参加者は2500人(主催者発表)。先週の倍だよ!


                                                       
追記:今日のSEALDsの抗議には先週の5倍、1万5000人以上集まったらしい。帰り道にそれを知って嬉しくて、少し泣きそうになった。我ながらバカだ(笑)。でも、まだまだなんだよ!