特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

分断はポピュリズムの最強の武器。

 立春というのにまだまだ寒いです。でも朝歩いていると日の出も早くなったし、春の気配を感じるようになりました。都会でも自然というものは確かに感じられます。
 春は春で花粉があるし、仕事でも株主総会だのめんどくさい行事も多いので好きな季節ではありません。でも温かくなって花が咲くのはやっぱりうれしい。
●丘の上から春を待つ@夕暮れ


 先日 ミート・ローフ氏の逝去の事を書いたばかりですが、人の死を取り上げることが増えてきました。ボク自身がそういう年代に差し掛かりつつあるのでしょう(嘆息)。
●これは名盤です。

地獄のロック・ライダーII~地獄

地獄のロック・ライダーII~地獄

Amazon

 今週 石原慎太郎が死にましたが、全く悲しくない(笑)。それより殆どの報道が石原の過去の差別発言に触れていないのに驚きました。日本の全国紙、朝日から読売までご都合主義、いかに信用が出来ないかを表しています。

 石原は女性に対して、身障者に対して、災害の被災者や公害の被害者に対して、外国の人に対して、様々な差別と侮辱的な発言をしてきました。
●こいつのドラ息子も福島の被災者に『金目でしょ』って発言、謝罪しました。差別体質は遺伝する(笑)?

 新聞はこのバカがどれだけ長い間 世の中に害悪を巻き散らしたのか本当に判ってるのでしょうか?
 そもそも文学的業績だって怪しい。あいつはボクの高校の先輩で、その高校を『教室の古い頑丈な柱が牢獄のようだった』と『太陽の季節』の中の『灰色の教室』で表現していました。確かにその通り、と思いましたが、後の世代からしてみれば小説自体は面白くもなんともなかった。その一冊しか読んでませんが普遍性もなければ、思想もない。あんなの芸術家でもなんでもない。
 所詮一時的なブームに乗った三文売文家でしょ。

 石原の死についてマトモな報道はこれしか見かけなかった。

 豊洲移転の件で都議会で証人喚問を受けたときの石原のみっともない、オドオドした姿が非常に印象に残っています。良くあるパターンとはいえ、マッチョを気取る差別主義者の本性そのものでした。所詮は気の小さい、臆病な男です。

www.asahi.com

 あとドラ息子への税金投入ね(笑)。強引にでっち上げた銀行税や新銀行東京で1000億以上の都税をパーにしたのも含め、私財で弁償させられなかったのが実に残念です。ディーゼル車の規制など功もあったにしろ、マイナスの方が遥かに大きい。

石原慎太郎のような恥知らずを公職に当選させてしまったことへの反省の弁が殆ど聞こえてこないのは、今の日本人の無知・判断力の無さを象徴する出来事だと思います。 

 でも差別主義者で卑怯者のバカウヨが一匹 消えたのは、春を迎えるための良いニュース、でした(笑)。


 先週来 菅直人が橋下の弁舌の巧みなことをヒトラーに例えたことを維新が問題にしたのをマスコミが騒いでました。
 ボクは『菅直人は能天気な大バカ。野党の足手まといだから、さっさと引退しろ』と思っています。けれど今回は本当のことを言っただけなので、何が問題なのかさっぱりわかりません。だから、こんなことで騒いでいるマスコミ連中は全く気になりませんでした。 
 
 ただ津田塾の萱野教授までがテレビでこういうことをコメントしたのは驚いたんです。

 10年以上前 この人が水野和夫氏と書いたこの本は、資本主義が曲がり角にきていることを説得力を持って描いた名著、だと思っています。ボク自身ずいぶん影響を受けました。

 2~3年前、この人を呼んで、4,5人で一緒にご飯を食べながら直接話を聞いたこともあるんです。ボクは宴会大嫌いですけど、こういうのは参加する(笑)。
 席上 彼は『自分は左翼的な考えだが、現実的な思考をするよう心掛けている』と言ってました。ウソをついたり、商業最優先の人とも思えなかったです。彼の思考経路は反米愛国の日本的な左翼ではなく、欧米流のリベラル、とは思いましたが。
 最近はウヨがかった発言をしているのは知ってましたけど、根拠のないデマを飛ばしている感じでもないし、彼なりの現実主義に立脚していると思ってました。

 だから、この発言はどういうことなんだろうと不思議でした。ボクは双方の言い分を聞いたうえで物事を判断することにしているので、一方的に決めつけるのは嫌なんです。

 TVでのコメントの後も萱野氏はこういうことをtweetしていて、おそらく本気で言っているであろうことが判りました。

 萱野氏は『仏独では元来のヘイトスピーチの定義には侮辱的なことも含まれる』ということを言っているようです。ヘイトというより侮辱である、と。それはそれで一理あります。
 しかし菅直人の発言はこうですから、ヘイトどころか侮辱自体が成り立つかも微妙なところです。

 それに萱野氏が留学したフランスでも侮辱罪とヘイトスピーチに関する法は別です。萱野氏は侮辱罪とヘイトスピーチを混同しているし、論理的に間違っています


 善意に解釈すると、萱野氏は法理的に語っているのではなく専門である哲学に即して言っているとは思いましたが、それで普通の人に理解してもらうなんてムリ(笑)。

 さらに言えば 侮辱は維新の専売特許ですから、TVで一方的に菅直人の発言だけを取り上げること自体、萱野氏の発言は維新びいきのマスコミに載せられたポジショントークと言われても仕方がない。
 彼には物事を歪めて伝えようとする悪意があったとボクは思います。彼の発言はデマと変わりない。

 今回の件は維新が注目を集めようとして菅直人に難くせを付けた、マスコミがそれを煽った、で、萱野氏のような一部の知識人もそれに乗った、ポピュリズムの典型的な構造です。学者である萱野氏は、物事を歪めて伝えて自らポピュリズムに加担したことを恥じるべきです。


 暴言やデマで話題を作って注目を浴びる。そうやって敵を作ることで、熱烈な味方を作って自分の立場を強めるというやり口はヒトラー石原慎太郎安倍晋三もトランプも変わりはありません。昔の学生運動もそうだったかもしれないし、共産党創価学会もそうかも。山本太郎が消費税を目の敵にして景気悪化や貧困の原因と決めつけるのも同じです。暴言やデマは分断を作り出す
 右左を問わず、分断はポピュリストの最強の武器です。

●こいつも相変わらず人間が軽薄です。頭は良いんだけど人間がバカ、っていう典型。
news.yahoo.co.jp

 分断というのは恐ろしい武器です。ポピュリズムが煽る分断にはオバマのように賢くて権力もあった人間でもどうにもならなかった。『人間は自分の聞きたいことだけを聞くもの』(カエサル)ですから、人間に分断を克服することなんかできるのか、とすら思えます。
 人間はポピュリズムから全く逃れることはできないとは思います。ポピュリズムは相対的な物です。しかしポピュリズムこそが、21世紀の人間が直面する最大の敵なんじゃないのか。

 実際は安倍晋三や石原のようなバカウヨや時代遅れの左翼爺さん連中には言葉は通じません。効率のために便宜上 そういう連中をバカと決めつけるのは現実的な対応ではあります(笑)。こちらの時間も資源も有限だからです。でも現実には社会が平和的に存続する程度には(笑)、ある程度の共通項を保たなければいけない。

 たぶん、個人のレベルでは右も左も、例えば基地反対も賛成も、改憲賛成も反対も正しいんです。個人には事情もあるし、考え方がありますから。そこから話し合って妥協していけばいい。相手の立場や言い分を聞き、その上で自分の意見や考えを主張すればいい。

 しかしデマや暴言は話し合いを成立させず、分断を作り出します。だから頭にくるんです(笑)。デマや暴言は民主主義の敵だし、それを武器として用いる人間は社会の敵です。
 分断と戦うためには(1)デマはつぶす、(2)自分の聞きたくないこと(笑)、自分の意見と異なる意見に耳を傾ける、とボクは思ってるんですが、どうでしょうか。