特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

やっぱり他人事じゃない:映画『パーソナルソング』

フランスでは先日のテロに抗議する人たちが370万人も集まったという。フランスの人口は約6500万人だそうだから、日本で言うと倍くらいのインパクトだろう。極右のマリー・ル・ペンはデモに呼ばれなかったというのはフランス人、さすが(笑)。だが札付きのテロリスト、イスラエルの首相ネタ二ヤフがデモに参加していたのは違和感を感じないでもない。だが国に住んでいる人口の1割弱が抗議に参加したという事実だけとっても、宗教の名を借りて自分の考えを暴力で他人に押し付けようとする連中にとっては大敗北、奴らも少しはビビったのではないか。
とても感動的な話ではあるけれど、そこで万歳三唱してちゃダメなんだよな。
*「シャルリー・エブドの漫画家『私はシャルリー』を笑う」
田中康夫 - ✽松浦寛さんの投稿から これこそが真の弁証法よね!と我が家のロッタ❤♡も申しております。... | Facebook
犯人の兄弟はアルジェリアから移ってきた孤児、だそうだが、フランスの社会には彼らの製造責任があることも忘れてはいけない。そんなことを言ってもキリがないかもしれないが、フランスが過去にアルジェリアでやってきたことが今回の事件に影響を与えていないとは誰も言えないだろう。
何よりも『正義ってものは怖い』ということは忘れてはいけないと思うのだ。人間は自分が正しいと思いこんでしまうと、そこで思考が停止する。こういうことを言うからボクは嫌われるんだが(笑)、それは反原発運動も憲法の話だって同じことだ。この世の中にただ一つだけ正しいことがあるとしたら、絶対的な正しいことなんかない、ということだと思うな。勿論 今回の事件は日本にとってもやっぱり他人事じゃない。
社会の上位10%に富が集中するという点では、今や日本はフランス以上の格差社会なのだから。
●トマ・ピケティ氏のデータベースから。社会のトップ10%が社会全体の富のどのくらいを占めているかの比較(青が日本、赤がフランス)。勿論 色々な問題はあるだろうが、90年以降の20年間 フランスが懸命に社会の格差を広げないようにしてきたことが想像できるグラフだ。一方、日本はどうだろうか。今や上位10%が社会全体の収入の40%を占めている。

http://topincomes.parisschoolofeconomics.eu/
                             
●ついでに。今朝の東京MXTVでの田中康夫の発言。ボクは移民を受け入れていくしか日本の活路は無いと思う。
2015年01月12日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 『私はシャルリー』運動と移民受け入れ問題」 - 田中康夫 Speech To Text Online              

●もう一つ。沖縄の翁長氏が政府に塩対応されている件について、田中康夫が経験者として(笑)語っている。                             
2015年01月09日 J-WAVE 「堀潤 Jam The World Cutting Edge 安倍政権による沖縄県翁長知事への対応を巡って」 電話ゲスト 田中康夫 - 田中康夫 Speech To Text Online                                  
 
                                                                                                                                                                 
昨日は佐賀でも自民党が知事選に負けた。滋賀、沖縄、佐賀とこれで知事選3連敗だ。いくら日本人がアホでも、国民の多数が自民を支持しているわけではないことが良くわかる事実だ。あとは選択肢の問題なのだ。
先週ニュースを見ていたら民主党の代表選の記者会見で岡田が細野の維新との合流の密談?を記者会見でバラしていて、ちょっとびっくりした。岡田は頭が固くて政治家向きではないのは知ってたが、公の場で言っていいことと悪いことの区別すらつかないというのは政治家というより社会人としての適性すら問題なんだろう。勿論 細野が良いわけでもないし、長妻氏は大臣在任時のことを考えるとマネジメント力に?がつくし、民主党もなかなか厳しい、というか、国民の選択肢はなかなか増えそうもない(泣)。
                                                                                                                                                        
さて、青山でドキュメンタリー『パーソナル・ソング

主人公はIT業界で活躍して今度は老人ホームでボランティアを始めた男。認知症のお年寄りに自分が好きな曲をiPODで聞かせたところ、お年寄りたちは急に生き生きとした反応を示した。有名な神経学者オリバー・サックス(映画『レナードの朝』に出てきた人)によると音楽は知覚、運動神経、感情など脳のより多くの機能に働きかけるため、脳の一部の機能が後退した認知症の回復に効果があるのではないか、というのだ。そのことに驚いた主人公はアメリカの老人ホームに、音楽による認知療法を広めようとする。

厚生労働省によると『認知症の人が10年後の2025年に700万人に達する』と言う。それは『65歳以上の高齢者の5人に1人に当たる』そうだ。認知症 25年に700万人 65歳以上の5人に1人 :日本経済新聞
                                                                      
言うまでもなく、認知症の話も他人事ではない
映画の冒頭 94歳の老人男性が出てくる。彼は認知症を発症していて、老人ホームで暮らしている。日がな1日、椅子にぼんやりと座り込んで話しかけても目立った反応がない。だが、彼が若いころ好きだったというルイ・アームストロングiPODで聞かせると、途端に彼の表情がよみがえる文字通り目を輝かせ、腕でリズムを取り、歌いだす。
これは驚きだった。
映画では何人もの施設に入院している認知症の患者が描かれる。施設と言ってもボクから見たら、非常に明るくきれいだし、患者は丁寧に扱われている。暴れる老人も居るけれど、その人たちには薬が処方される。副作用もあるけれど、発作が文字通り暴力の域にまで達している人もいるから、これは致し方ないのかもしれない。日本の一部の施設で指摘されているような拘束もないし。自分がモノのように扱われたと感じて心を閉ざしてしまう人もいる。そうしていると感情も消えていき、やがて記憶や知覚も消えていく。映画は彼ら、認知症患者が音楽を聞かせると顕著な反応を示すところをとらえている。寝たきりの女性やヒステリー症状の女性、認知症の男性。施設で感情を失っていた彼らに大好きだった音楽を聞かせることで、彼らは感情や近くを取り戻す。子供の顔すら忘れていた男性が音楽を聞いたら、娘の顔を思い出すところはびっくりした。
                                
●このYouTubeの2分過ぎからに注目。認知症の老人に驚きの変化が。


さらに家庭で過ごす認知症患者の女性が描かれる。少し前まで夫婦で健康に暮らしていたのに、今は外に出ると迷ってしまうので一人で散歩もできないし、家では家電のスイッチすら入れられなくなっている。周りも大変だけど、本人の落ち込み様は見ていて痛々しい。さぞ悔しく、情けないことだろう。彼女は一日中落ち込んで、家の中でじっとしているようになってしまう。
だが、彼女に若いころ好きだったサイモンとガーファンクルを聞かせたら、表情が変わった。イヤフォンをつけたまま、立ち上がり、踊りだす。なんていい気分だ、と言うのだ。
他にも、夫がダンス音楽をたびたびかけることで認知症の妻の症状を緩和させ、依然二人で自宅で暮らし続けている老夫婦が出てくる。音楽は明らかに認知症の進行を遅らせたり、緩和することもあるようだ。
サイモンとガーファンクルを聞いて、感情を取り戻した女性

主人公は認知症患者向けにiPODを配って『音楽療法』を全米の老人ホームに広げようとする。だが多くの老人ホームは前例がないということで中々積極的に受け入れない。だが主人公が認知症患者に音楽を聞かせたときの様子をYouTubeで公開すると、受け入れるホームが続々と出てくる。そこでお話は終わる。ドキュメンタリーとしては認知症の人に音楽を聞かせたときの反応を驚くお話、という感じだろうか。
●音楽を聴くと、こ〜んな感じ


                                                                             
もう一度繰り返すが(笑)、認知症というのは他人事ではない。それどころか、他人とはあまり関わり合いになりたくないボクは今から危機感を抱いている。これはやっぱり、音楽を聴いたり、歌い続けるしかない!人間嫌いのボクにはそれしか希望がなさそうだ(泣)。

                                               
●おまけ。昨年のベストTVドラマ『アラサーちゃん』の主題歌を歌う『ゲスの極み乙女。』。ちゃんと聞いてみたら、上手くて感心した。