特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

半径1メートルの世界から: ★7.20緊急!大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議 & パブコメとデモ


昨晩のうちに鶏肉とソーセージのポトフを仕込んで、今日も官邸前へ。★7.20緊急!大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合 一応 主夫として述べておくと、ボクはインスタントなんか使ったことないし、今回もちゃんと骨から煮てスープストック取って作ってますから(笑)。圧力鍋で煮込めば大したことないし、味が全然違う。コラーゲン、ぷるぷるだぜ(笑)
                      
                                                      
さて、今日は天気も悪いし、ピークが過ぎて集まる人は少ないかなあと思ってた。ところがぎっちょん。6時に着いても官邸前なんかとてもたどり着けないくらい、国会議事堂前は先週より多く人がいた。今日は全国33箇所で抗議が行われたそうだ全国の金曜抗議を全て捕捉しよう!: .@demo_jhks 脱原発系デモ情報拡散(脱線中)

●風船は昼間から田中康夫などが配ってたらしい

                                
とにかく今までと違うのが、『熱気』。歩道に響く抗議の声は先週より全然大きいし、何しろ6時からずっと『再稼動反対』の声が途切れることがなかった常に誰かが声をあげているし、疲れてきて声が小さくなってくれば、他の誰かが引き継いでまた声をあげる。こんな風景もボクは見たことがない。正直 凄いなあと思った。
                                                      
●風船を持った老婦人

                                                     
●スーツを着た女性もワイシャツを着た男性も


                                  
●ボクのプラカード『野田やめろ1号(全天候仕様)』(もっとセンスが良いものに更新予定)(笑)

                                   
声を挙げている人たちの顔を見ると皆ボクと同じ普通の人ばかりだった。恥ずかしながら、ちょっと泣きそうになる。ボクが居た国会前で6、7万人は居たと思うから、官邸前を足したら10万人近いだろう。警官が『また、とてつもない量だな』と言っていたくらいだ。7時半を過ぎても抗議に新たに参加する人は途切れることが無かった。                                                      
●夜が更けても

                                                       
●7:30を過ぎても新たに参加する人は途切れなかった。



さて、今 募集が行われている『エネルギー政策のパブコメ』について、くだらない、とか、あの選択肢自体がおかしい、という議論がある。確かにボクもそう思わないでもない。でも、そういう議論って『選挙で誰も入れたい奴がいないから棄権する』のとよく似ていると思う。
政治家がカスばかりだから棄権、というのも、わからないではない。だけど現実的には棄権という行為にメリットはない。不満の意思は表明できるかもしれないが、それを汲み取る仕組みがないのだから、自分の意思とは逆の効用を発揮してしまう。つまり『棄権は組織票で当選しようとする候補(自民、民主、公明)を利するだけ、つまり自民党民主党に投票するのと同義』なのだ。
パブコメもそれとおんなじだ。役人や政治家に意見を聞く耳があるかどうかは疑問だけれど、何もやらないと役人のインチキシナリオを黙認することになってしまう。それなら少しの時間と頭を使って、自分の意見を送るほうがマシだ。おカネだってかからないし(笑)。
効果がなかったら、また別のことを考えればいいじゃん自分の周り1メートルの半径でやれることをやるしか、やれることはないんだもん(笑)。
パブコメに関する原子力情報資料室の呼びかけ
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もう一つ、最近の反原発デモに関して、『フクシマ論』で知られる開沼博がこんなことを言っていた。http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120719-00000732-playboyz-soci
デモに代表される原発の反対運動は原発に支えられている社会システムの建設的な代替案を提示していない。いずれ行き詰るだろう というものだ。

確かにデモが代替案を示していない、という指摘は当たっている。だってデモはそういうものじゃないもん(笑)。
デモなんか嫌いなボクがデモに行くのは野田のやり方に頭に来た、というのもあるが、もっと冷静に評価すれば自分の意思表示、黙っていたら自分が存在しないことになってしまうと思ったからだ。要するに自分のため、単なる自己満足だ。別に建設的な代替案を考えるためにデモへ行ったのではない(笑)
原発の代替案とか、具体的な脱原発の戦略、方法論は別の場、別のアクションで考えるべきなのはわかっている。だが 一度も代替案らしきものを提示していない開沼博(笑)がそんなことを言うと違和感を感じてしまう。指摘だけして何も建設的な議論をしない、我が身に置き換えた思考をしない、典型的な『東大話法』に見えてしまう。昨年 直接この人の話を聞いた際は至極まともな人だと思ったので、たぶんインタビューでぶった切られている部分があるとは思うのだけれど。
                                        
官邸前のデモに行くと現場には色んな人が居て、ヒステリックだったり、おかしな人も居ないわけじゃないが、自分のこの眼で全体を見回した印象はコラムニストの小田嶋隆が言っていることに近い。
国策や政府に対して、真正面から反対の意思を叩きつけるのではなくて、一応やんわりと受け止めておいてから、別の話をはじめるみたいな柔軟さが、この度のデモの特長だ。』 官邸前のデモは「無難」。だから効く:日経ビジネスオンライン
あれだけの人が集まって混乱も暴力もないのだから、その通りだ。
デモは明日にでも雨散霧消するかもしれない。でも原発の意思表示をするために10万以上の人がわざわざ集まったという事実は厳然として、残る。その事実は直視しないと。
                                                  
良くも悪くも現状の延長線から外れることがない開沼博に対して、7月19日の朝日朝刊に載っていた小熊英二の『金曜の夜、官邸前で』のほうが遥かに本質的な議論だと思った。 彼はこんなことを言っている。
自由参加のデモに踏み切る人が一人居れば、背景には100人居る。官邸前で収まっても、またどこかで出てくる

こんなしょうもないブログに暖かいコメントを下さる方のことを考えれば、この指摘が正しいことがわかる。気が弱くて組織大嫌いなボクは一人で行動するけれど、金曜の夜だけはボクのバックに100人居るのだ、スゲー(笑)。
さらに小熊は指摘する。
戦後日本で築かれた社会体制が限界に来ている。輸出製造業が引張り、男性正社員が安定雇用で家族を養い、国は地方に補助金や公共事業をあてがう。そんな仕組みにノスタルジーを感じる人もいるでしょうが、もう戻りようが無い

今更 一億総中流社会に戻れるはずが無い。ただ どんな風に変わっていくかは、まだ誰にも見えていないと思う。』
                                                      
そうなのだ。
現状の延長線上にはボクらの未来はないし、そんなのはもう御免だ。原発立地や商店街のように利権・補助金頼みで生きていくのも、お偉い学者や大企業といった権威に頼って思考停止する生き方も、もう先が見えている。それだけは判っている。
ただ、前途に続く道の見晴らしは今のところ、あまりよくない。だから、ボクは自分の周り1メートルくらいの半径を手探りで、声を出しながら進んでみよう、と思うのだ。 道の途中で転んだり、昼寝したり、酔っ払ったりするかもしれないけど(笑)。