特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

66年前とおんなじこと:8.6 東電前・銀座 原発やめろデモ

日比谷野音の『渡り廊下走り隊』のコンサートの入場待ちの列に迷い込みそうになりながら(わざと)、日比谷公会堂の脇の空き地へ。
8.6東電前・銀座 原発やめろデモ
http://86nonukes.tumblr.com/
暑いし二日酔いだったが、盗電、いや東京電力本社前を通るデモだって言うんで、そらあ、意地でも行ってやるぞ、と(笑)。
原発事故は発生時のセンセーショナルさは影を潜めたけれど、漏れ出した放射性物質の量にしても汚染範囲にしても事故の深刻さはますますはっきりしてきた。汚染地域の子どもたちにしても、自分たちの食い物にしてもマジ、やばいと思う。チェルノブイリのことを考えたら、フクシマの半分くらい立ち入り禁止でも不思議ではない状況だろう。



この日 集まったのは500人くらいか。最終的にはワカラナイが1000人は居ないと思う。6・11のときより人数は少ないが若い人が多いし、労組の奴もあまり居ないし、雑然とした感じが良かった。子供連れも居る。
デモ出発前の集会で司会をしていた『素人の乱』の兄ちゃん(結構、この人好きだ)がこう言ってた。
『日本は今日と同じ8月6日に原爆落とされて、今度は自分で原発事故を起こすオウンゴールをやってる』
確かにその通りだ。日本(人)にも良い点はたくさんあるけれど、これだけ酷い目にあっても同じ間違いを続ける『間抜け加減』は世界でも珍しいんじゃないだろうか。


スピーチに立った小熊英二氏が『広大な汚染地域の除染と住民の健康診断30年分と廃炉費用でざっと30兆』と述べる。金の亡者ゴールドマン・サックスが事故の初期段階で損害額は5兆と言っていたから、30年というタームで考えれば30兆でも不思議ではない。一体 原発のどこが安いんだって(笑)。
制服向上委員会の歌に送られて(可愛いけど、この歌はちょっとなあ)、デモが始まる。
●制服向上委員会(緑のポロシャツを着た女の子)

この日は音をガンガン出すサウンドカーの近くだったので、最初は歩いていて高揚感みたいなものすら、あった。へんなシュプレヒコールもないので気持ちいい。『うそつき〜』という大きな横断幕を掲げている若い子たちがいる。わかってるじゃん。日本の前途は明るいな(笑)。
●盗電前、風船を飛ばす。



だが 東京電力を過ぎてガード下に入った途端、警察官がデモの列になだれ込んできた。誰かを追いかけて強引に列に突入してきたが、程なく引き上げた。その時は誰もパクられてないと思った。本当に突然だったので冷や汗をかく。警察が突っかかってきたという話もあったが、現場は見えなかったので真偽はわからない。ただしデモ側から何かやってたら警官は絶対引き上げないだろう。
●納税者を妨害しようとする公務員

この日の警察は6・11のときより警備が厳しかったし、参加者に対する敵意みたいなものは感じた。それでも隙あらば参加者をパクってやろうという感じだった昔のデモ(そんなに昔じゃないぞ)と比べれば和やかなもんだ、とその場では思ってたんだけど、結論としては残念ながら どうも逮捕者が出てしまったらしい。

●飲み屋街を進む

人通りが多い場所に差し掛かると、何故か警察もおとなしくなる(笑)。ブランドショップの店員のねーちゃんたちが店の外で目を丸くして見ている。でもパリでもロンドンでもデモなんてよくあること、普通なんじゃない?
そう、同じデモ行進でも銀座のド真ん中を歩くというのはちょっと充実感みたいなものすらある。


こういう意思表明はどうせ何年も、下手すれば何十年も続けていかなければいけないのだから、物理的にも精神的にも参加しやすさ、みたいなものは重要だと思う。
この日のデモは赤ちゃんや子供を連れた普通の人(笑)も比較的多く、誰でも参加しやすい雰囲気があったし、楽しかったというのが率直な感想。正直、逮捕者の話を聞くまでは手放しで喜んでた。



主夫としてのお勤め=夕食作りがあるので、デモのほうは6時頃に切り上げて帰宅。
夕食後 NHKスペシャル原爆投下 活かされなかった極秘情報』を見る。
内容は、日本陸軍は原爆を搭載したB29が本土に迫ってくるのを事前に察知していたが、空襲警報などを一切出さずに一般人の被害を広げた、というものだ。

アメリカには原爆は開発できない、挙句の果てにはヒロシマに落とされてもアメリカは原爆を2発持っていない、といった根拠の無い希望的観測を強弁し続けた軍部の姿は、今の経済産業省文部科学省の姿と全く重なって見える。

番組でインタビューを受けた当時の日本軍の戦闘機パイロット、彼はB29を迎え撃つ出撃命令が出ないまま長崎周辺の基地にいて、地上で、原爆の地獄のような惨状を目の当たりにしたそうだ。この人は番組の中で、日本軍の上層部は原爆を積んだB29が迫ってきたことを投下の5時間前に知っていたのに空襲警報も迎撃命令も出さなかったことを聞かされて、驚き、うつむき、沈黙し、瞑目したあと、こう語っていた。
『これが日本の姿なんですかね。こんなことを許していたら、きっと、また同じことが起きますよ』
まったく、そのとおりだ。