特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

あま〜いお話

先日 TVをつけたら、どこかで見たことがある中年男が画面の中で謝っていた。伊勢名物 赤福の賞味期限偽装に関する社長の記者会見だそうだ。記者に追及されているうちに段々 彼の目も潤んできている。
 いつも思うことだが、こういう記者たちって自分が何様のつもりなんだろう。自分たちは記者クラブや参入規制で守られた安全地帯に居る癖に正義の味方面ができるのは、どういう神経なんだろう。浅ましさを通り越して醜いよ。ミャンマーイラク、アフガン、ガザなど本当に報道しなければいけないことがある場所で取材するのはフリーのジャーナリストばかり、大手マスコミの記者が自分で取材しているという例は聞いた事がない。
それにしても会社に何かあったら、こんなハイエナのような奴らに相対しなければならないのは、僕も一緒だ。他人事ではない、トホホホ。
そんなことを思いながら、画面の中の見覚えのある顔を記憶の中から手繰ると、これは同級生のHくんじゃないか。画面に出た名前を見ても間違いない。赤福の息子さんだったのは知っていたが、いつの間にか社長を継いでいたんだ。
そのあとネットでニュースを調べてみると、返品再利用も賞味期限も原材料偽装も出るわ、出るわ。ただ、これらのごまかしも先代から始まったことで、社長就任間もない彼が変えるのは難しい、とは思う。彼は確かに運が悪かった。かといって経営者である彼の責任が軽減されるわけでもない、残念ながら。
しかし今回、もっとも不可思議なのはお役所だ。
今回の件は最初から地元の保健所はある程度知っていたわけだが、その責任はどうなっているのか。そのほうが遥かに悪質じゃないの?
伊勢市にある和菓子の老舗による製造日偽装問題で、三重県の保健所が、冷凍製品の解凍日を製造日と表示することについて「問題ない」と赤福に答えていたことがわかった』(10月19日 日テレニュース24)
そりゃあ、そうだろう。会長が、市の商工会議所の会頭を勤めるような地元の代表的な企業のことを役所がまったく知らない、なんてことがあるわけがない。
その伊勢市では赤福が街づくりに私財を投じた『おかげ横丁』が有名だが、今こんな話も進んでいるそうだ。
伊勢市は県営サンアリーナなどに、2010年度までに7面を整備する「フットボールヴィレッジ構想」を計画。総事業費は17億円から19億円で、うち同市の負担は約4億円。残りは赤福が整備して同市に寄贈。』(10月23日 毎日新聞)。
保健所の件も寄贈の件も、お役所さまは一体どうするのか?まさか責任は頬被りして、貰うものだけ貰っちゃうの?
僕らはそういう不可思議なところに生きている。
文字通り『あま〜いお話』だね。