特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

これが本当の唯物論

出張の際 度々お世話になっている大阪の寿司屋の料理長F氏が上京、とのことで呼び出されて、渋谷へ。
この寿司屋も赤福同様、創業×百年だそうだが、お寿司はまあ、目の前で握ってくれているのだから(笑)。文字通り口の中で溶ける握りって、この人に教えてもらった。
すっぽんとマツタケがゴロゴロ入った土瓶蒸しはF氏が『今回は本気を出した』と自慢するだけのことはあった。毎度のことながらF氏が自分で目利きした魚の質は大したもので、特にほうぼう、マグロはおいしかった。大間のマグロとか何だか言われても普段は興味もないし、大枚払って食べたいとも思わない。が、今回のは脂がくどくなく、まるで若草のような香りがある。う〜ん、ごめんなちゃい(笑)。
ただ、食後のほうじ茶を『大変熱くてやけどしますから、しばらく置いてお飲みください』とか言いながら持ってきたマネージャーちゃん、確かに湯飲みは素手ではとても持てなかったよ。客商売とかサービスとか言う以前に、僕に危害を与える気ですか?(笑)。それとは対照的に今回 給仕してくれたお姉さんは感じが良いので話を聞いたら、ちょっと前に清涼飲料水のTV-CMに出ていたそうだ。取りあえずマネージャーの分まで、すごい、すごいと絶賛しておいた。

 食後 カウンターで隣席の女性に話しかけられ、へらへら応対しているうちに名刺交換を頼まれる。うん?と思ったが仕種に嫌味がなかったので、とりあえず名刺を出してみる。先方の名刺の裏を見ると、覚えがある芸能人の名前があったので どこかのプロダクションの社長さんらしい。
こうやって見ず知らずの人間と名刺交換をするという発想自体が僕の想定外で、大したものだと思う。こういう人たちは、そうやって『縁』やら『人脈』を作っていくんだろう。はいはい、人脈とかコネって大事ですね。お勉強になりますう。
 でも 僕にはとても真似できないし、しようとも思わない。まず、疲れるわ(泣)。そんなことより、とにかく、腹いっぱいで、美味しければいいんだ。
これが本当の唯物論(笑)。