今回の台風には全く肝を冷やしました。一晩中 地域の危険を知らせるスマホの警報メールがバンバン来て、眠れなかったし(嘘)、防災無線の放送を聞いたのも初めて。窓を閉めてたら聞こえませんけどね(笑)。
東京直撃だろうと思って、気象レーダーを見ながらヤキモキはするものの、出来ることは殆ど何もない。時々家の外へ出て下水の排水溝が落ち葉でふさがってないか確認するくらいしかできません。
●中国古代の伝説の皇帝、堯や舜は黄河の治水に成功したことで何千年も民衆から崇められました。今の日本は3000年前よりレベル低いってことでしょうか。
「もう堤防には頼れない」 国頼みの防災から転換を:日本経済新聞 https://t.co/U3eKWEiYoW
— アオイ模型:コミ1 G07a (@aoi_mokei) October 13, 2019
古代から治水は国家事業の根幹そのものなのに、それすら頼れないなら国いらないじゃん
幸いボクの周囲は被害はありませんでしたが、家から徒歩圏の二子玉川や武蔵小杉など、最近はやりの(笑)街が多摩川の水が浸水したのも衝撃的でした。もともと川沿いの低地で如何にも危ない と思うようなところでしたが、真新しい商業施設やビルが立ち並ぶ街が浸水して泥水・汚水・下水が入り込むなんて、まさか現実になるとは思わなかった。
●台風の翌日の目黒川。この川も氾濫水位を超えていました。
警戒していた東京周辺だけでなく、甲信越や東北まで被害が広がってしまったのも驚きでした。むしろ、そちらの方が被害が大きい。これだけダムの緊急放流が相次いだのも治水や町の在り方など、我々の考え方自体が問われていると思います。
例えば外人観光客が多い台東区は観光客は受け入れたのに、ホームレスは避難所から締め出していました。恥知らず!
「風が強く、雨も降っていたので受け入れてもらいたかった」
— 青木美希 (@aokiaoki1111) October 14, 2019
台東区は風雨の強まる中、避難所にたどり着いた路上生活の男性(64)を「区民対象ですので」と受け入れませんでした。男性は、路上にビニール傘を置き、その影で身を縮こまらせて一晩過ごしたと私に話していました。
本日全国版でも。 pic.twitter.com/oKGhL48EUu
渋谷区や北区、練馬区では避難所にホームレスの人も普通に受け入れていたそうですし、世田谷区はさすが保坂区長で、前日に多摩川の河原で暮らすホームレスの人たちにチラシまで配ったのとは圧倒的な違いです。
台東区では受け入れなかったが、世田谷区では事前に台風情報と避難所情報をチラシにしてホームレスの人々に配付していた。この違い。
— jsm (@gibsonflyingv66) October 13, 2019
路上生活者の避難拒否 自治体の意識の差が浮き彫りに 専門家「究極の差別だ」 - 毎日新聞 https://t.co/gk9vRey9ro
台風のコースはコントロールできませんが、巨大台風が起きやすい環境を作り出しているのは海水温度の上昇です。どうしたって地球温暖化に関係がある。人災ですよ。
牛肉が環境負荷が大きいことも考えもせず、『ステーキだったら毎日食べたい』とほざくようなバカを環境大臣に選ぶような民度がこういう災害を引き起こしたといえるでしょう。
●そもそもこういうバカどもが公職についているのがおかしいのですが
今回の台風はたまたまではない。こういうことがこれからも続くんです。環境対策だけでなく、それ以前に国民の命を心配する、まともな政府を取り戻すことが大事だし、
デマゴーグに騙されないように国民の民度がもっとまともになる必要があるし、
それ以前に我々の心の中にもある、愚かな自己責任病を退治することが先決でしょう。
今 自分が暖かい部屋にいるとしても明日は我が身、という想いを、ボクはどうしても拭うことが出来ません。
ということで、六本木で映画『ジョーカー』
舞台は架空の都市 ゴッサムシティ。スラム化したアパートで年老いた母の介護をしながらコメディアンを目指すアーサー(ホアキン・フェニックス)。障害を抱えた彼は世の中になじめないアーサーだが、心は優しく、母の「どんなときも笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を心に刻み、ピエロのメイクをして大道芸を披露しながら暮らしている。しかし貧富の格差は広がり、人々の心は荒み、公共予算は削られ、役所の福祉の手もアーサーには届かなくなってしまう。深夜 地下鉄の中で女性に絡んでいる証券会社の社員に襲われたアーサーは偶然持っていた銃で彼らを殺してしまう。
DCコミックスのバットマンの悪役『ジョーカー』の誕生を描いた作品。漫画を原作とした作品で初めて、ベネチア映画祭で最高賞を取った話題の作品です。監督はお笑い二日酔い映画『ハング・オーバー』シリーズのトッド・フィリップス。
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お笑い映画を作っていた人がどうしてこういう映画を作れるんでしょう(笑)。
映画が始まると昔のワーナー映画のマーク『W』が出てきます。舞台は架空の都市、ゴッサムシティですが、70年代の荒廃したニューヨークがモデルになっている。ファッションや世相など非常に忠実に再現されている。
しかし描かれている内容は紛れもなく『今』のことです。
主人公のアーサーはピエロのメイクをした大道芸人ですが、「余計なことを口に出す」「関係ないところで笑ってしまう」というトゥレット障害という神経の病気のために社会から「不適合者」とされています。周りからは孤立し、さげすまれている。
電車の中で子供を笑わせようとすれば、子供の母親から『気持ち悪い』と避けられる。
一般の人たちだけでなく、芸人仲間の間でもバカにされている。そんな中でアーサーは文句ひとつ言わず、母親を介護している。極貧の中でも、いつか人を笑わせることでスターになりたい、TVの有名司会者(ロバート・デニーロ)にあこがれている。
アパートの隣人のシングルマザーにほのかな想いを寄せていたりもします。
しかしアーサーは不器用な人間です。世の中でうまく立ち回ることができない。ふとしたことから芸人もクビになり、その帰途 電車の中で女性に絡んでいる酔っ払い3人に暴行を受けて、思わず持っていた銃で撃ち殺してしまう。
殺された3人は『ウオール街の証券会社の社員』でした。しかも証券会社の経営者は迫っている市長選の有力候補、大金持ちのトーマス・ウェイン。彼は犯人を非難するばかりで人々の気持ちに思いを寄せようともしない。治安対策の強化と犯人への厳罰を訴えるばかりです。彼はのちにバットマンになるブルース・ウェインの父親です。
映画の舞台は架空の都市、ゴッサムシティですが、ここだけはっきり、ウォール街と名指しされる。何を指しているか明快です(笑)。そして不景気に苦しむ人々はその事件に刺激され、『KILL THE RICH』(金持ちを殺せ)を合言葉に各地で暴動が起きるようになります。
設定までそっくりな『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』などのロバート・デニーロ作品、過去のバットマン作品、チャップリン、様々なモチーフが使われています。
しかし、この映画を傑作にしているのは、まさに『今の映画』だからです。世の中を覆う絶望的な格差、福祉の切り捨て、弱い者いじめ、のさばる金融関係者、人々のことを理解しない金持ちや政治家。
不満を抱えた人々がピエロの仮面をかぶって街頭に繰り出すところは、香港のデモでマスクを禁止された人々がガイ・フォークスの仮面を被っているのを直接的に連想させます。人々が『金持ちを殺せ』と連呼するスローガン、それに警官をリンチにかける群衆のポピュリズムの恐怖まで、まさに、今を描いているとしか言いようがない。ちなみに後のバットマン、幼いブルース・ウェインの父母は彼の目の前で暴徒に殺されます。
しかし、群衆の怒号の中でアーサーがとうとうジョーカーになるシーンでは美しさすら感じてしまいました。この美しさは生涯忘れられないかも。
まさに問題作です。アメリカでは観客がこの映画に刺激されて、乱射事件や暴動が起きるのではないか、と懸念されているそうです。
www.cinematoday.jp
news.yahoo.co.jp
この群衆はトランプの支持者たちじゃないか、という見方もあるし、とうとう民主党の大統領候補で支持率トップに立ったマサチューセッツ州上院議員エリザベス・ウォ―レン氏の元に集まる若者たちと重ねる見方もある。
「ドル安志向」のウォーレン上院議員が急浮上 (2ページ目):日経ビジネス電子版
courrier.jp
以前からボクは、ハーバード大の破産法の権威でウォール街の天敵と言われているエリザベス・ウォーレン氏を、知性と志が両立する数少ない人として応援してるんですが、年齢(70歳)もあるし、この人では勝てないと思ってました。
バーニー・サンダースは自分を’’社会民主主義者’’と評していましたが、エリザベス・ウォ―レン氏は’’自分を骨の髄まで資本主義者’’としています。いち早くGAFA解体を唱えている人ですが、更にこの政策は↓(笑)。
こういうラディカルな人が大統領選の有力候補になっている。それくらいアメリカは追い詰められている。
ボクが破産法の権威であるウォ―レン氏に期待するのは、彼女は資本主義を熟知しているからです。企業の手口をよく知っている(笑)。資本主義のメカニズムを知らなければ、世の中を変えることはできません。アホはダメ(笑)。
ボクは殆どオバマ氏を尊敬してますけど、現実主義の裏返しなのか、ウォール街出身者を財務長官に起用するなど金融界には甘かった。専門知識が必要なのはわかりますけど、泥棒に泥棒の番をさせるのは無理というものです。リーマンショックの時は破産法の権威として議会でウォール街に関する監督委員会の議長に起用されたウォーレン氏だけがウォール街と闘っているのか、と思いましたもん。
インディアンの血を引く貧しいシングルマザーが苦学してハーバード大の教授になり、ひょんなことから議員になって、わずか2期務めただけで大統領選の有力候補になる。2世3世4世の議員ばかりが跋扈する日本とは違って、アメリカのダイナミズムは素晴らしい。それでもトランプに勝つにはウォ―レン氏より若い候補が出てくる方が良い、とは思うんですけどね。
閑話休題。
この映画は暴力を肯定しているわけでもないし、金持ちを殺せ、と言っているわけでもないと思う。格差社会に対する怒りを描きつつも、ポピュリズムの恐ろしさやバカらしさ、人間の冷酷さや優しい気持ちを描いている骨太な叙事詩です。おそらく、我々の目の前には大格差時代が迫っている。
安倍晋三は、
— 議員と役人の天国極楽『日本』 税金を蝕む国家『日本』に怒れ❗ (@round_round2016) October 10, 2019
アベノミクスを加速させたら、
『戦後もっとも好景気』
『お給料が上がりました』
『雇用が増えました』
って言ってなかった?
人口減少による需要減少が加速する
日本。
2020年以降は、史上最悪の企業倒産とリストラの嵐ですよ
https://t.co/Cg6ZoHRRwg
だからこそ、この映画には恐ろしさも感じます。それはテーマやモチーフの問題、それにホアキン・フェニックスの名演だけではなく、それだけ高い完成度、映画としての力を持っているからです。我々の周りにも、そして我々自身の中にもジョーカーは居ます。
日本に住んでいる我々も含めて、今の時代に生きている人はこの映画と無関係に生きていくことはできないと思う。素晴らしい傑作であるだけでなく、驚くべき映画。今年最強の作品のひとつであることは間違いありません。
『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁