特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

壊れる現実/新しい意味:凛として時雨@東京国際フォーラム

今日発覚した、資源エネルギー庁元次長のインサイダー取引疑惑といい、九州電力の『やらせ』メールといい、経済産業省も電力会社もまるですこしずつ壊れていくようだ(笑)。
これだけボロが次々に出てくるということは、個人の問題ではなく、地域独占の電力会社とそれを監督する経済産業省、というシステムの問題だろう。
『(根拠も明示せず)原発は安全』って宣言した後に『安全を確認するためにストレステストを行う』(笑)という今回の騒動で、海江田という経済産業省の大臣も、ただの役所の使いパシリだったのが改めて明確になった。システム自体の解体/破壊が必要なんだよ。海江田が辞めても九州電力の社長が辞めても、何も変わりはない。もちろん辞めるのが惜しい連中ではないが(笑)。


原発がないと電気代が上がって企業が海外に移転する、とか言ってるバカマスコミがいる。だけどね、企業経営の現実はこういうことなんじゃないかな。
スズキが浜岡原発のリスクを避けて工場を移転させる、という。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110706-00001182-yom-bus_all
スズキの社長はリーマンショックの際も事前に対策を講じていたという慧眼の経営者として有名だが、以前も浜岡原発の停止を歓迎していた人だ。こんどは工場を浜岡原発から離れたところへ移転させていく、という。
よく考えれば当たり前じゃん。まともな企業だったら同じように反応するはずだ。
原発があるような場所じゃ、危なくて企業なんかやってられるわけないだろ(笑)
原発がないと企業がやっていけないんじゃなくて原発があるからこそ、マトモな企業が逃げ出して雇用がなくなるんだよ。
どうして、こんな簡単なことがわかんないのかな。



さて出張先の札幌から直行して、凛として時雨』@東京国際フォーラム
ツアーのファイナルのせいか、ヴォーカルの二人の声は良く出ているし、演奏もなかなかまとまっていた。従来と微妙にアレンジも変わっていたし、TKのヴォーカルも時折エフェクトを掛けるようにしたのは表現の幅が出て正解。

ただ今回は2階席(泣)だったからしれないが、モコモコして音が悪い。ギターやドラムの音があんまり聞き取れない。 音圧を強調しているのは良いがPAの解像度の悪さはなんとかして欲しいもんだ。

大ホールらしく、抽象的な風景を描いたフィルムを流したり、タイミングがばっちりで切り替わるライティングは格好良かった。ストロボはいつもの2倍増しかな。


この日一番の聞きものはガットギターでの弾き語りで演奏された『シークレットG』。
普段の『凛として時雨』の音楽は演奏の音圧でライブは勿論のこと、CDですら歌詞は殆ど聞き取ることができない。 凛として時雨の音楽が時折、感情を押し殺したように聞こえるのはそのせいだ。そうやってでも時代に向き合う態度にボクはシンパシーを感じる。
その日の演奏では歌詞が聞こえるだけでなく(笑)、達者な演奏で脱構築された曲の骨組みが露になって提示されていた。そこには人間的な感情、一種の切実さすら感じられた。後半加わったバンドのミニマムな演奏は、そんな感覚にさらに力を与えるかのよう。この日の演奏前のコメントにあった3・11という出来事に対する想いだけでなく、聞き手に曲の新たな意味を発見させるようなものですら、あった。 凍っていた感情が溶け出す瞬間って言えばいいのか。ボクは希望なんてものは信じないが、それでも、そこには一種の希望のようなものが感じられた。
日常を乗り越えるために新しい意味を提示する、それが芸術の意義なんだよ。

<セットリスト>
1.illusion is mine
2.I was music
3.DISCO FLIGHT
4.Re:automation
5.a 7days wonder
6.this is this?
7.Sadistic Summer
8.想像のSecurity
9.鮮やかな殺人
10.secret cm
11.Tremoro+A
12.シークレットG
13.JPOP Xfile
14.Telecastic fake show
15.nakano kill you
16.a symmetry
17.24REVERSE
18.mib126