多くの人が書いているように、中村哲さんの死はショックでした。ボクは1度 講演会に行っただけですけど、お話だけでなく、小柄な体に柔和な表情を浮かべた人のどこにあんなエネルギーが潜んでいるのか、と思えるような人でした。
アフガンの治水や復興だけでなく、現地での体験を踏まえて『武力を使わないからこそ、平和を維持することができる』という彼の憲法9条の話は、非常に説得力がありました。と、同時に『本当の意味で憲法9条はまだ、守られたことがない。』という日本人に対する鋭い指摘も。
●SEALDsの中村さんへのインタビュー
ペシャワール会 中村哲医師に聞く。共に生きるための憲法と人道支援 <前編> | POSTsealdspost.com
ペシャワール会 中村哲医師に聞く。共に生きるための憲法と人道支援 <後編> | POSTsealdspost.com
更に中村さんは『どんな人にもある良心と手をつないでいく』と言っていました。ボク自身は『現実には全く話が通じない奴もいる』と思っていますが、それも含めて、なんで あんな立派な人が、というのが感想です(嘆息)。言葉もありません。
ちょうど昨日 来日中のアイルランド出身の世界的ロックバンドU2の日本公演で、中村哲氏への追悼の言葉と名曲『PRIDE』が捧げられたそうです。
『PRIDE』はキング牧師をテーマにした曲で、まさに中村さんを讃えるにはふさわしいと思います。人は亡くなっても、我々が彼の思いを引き継いでいるかぎり消えることない。野蛮な暴力に屈するわけにはいきません。
*クリックすると写真や映像を見ることが出来ます。
U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019
— MEG (@Benir3) 2019年12月5日
ボノが、アフガニスタンで殺害された中村哲医師について追悼のメッセージを捧げました。
追悼キャンドルならぬ、スマホのイルミネーションと一緒に、歌声が天国に届けられました。#U2 #U2来日 #U2tokyo #TheJoshuaTreeTour2019 pic.twitter.com/EJHbu00RDt
プライド (ライヴ・フロム・マジソン・スクエア・ガーデン、1987)
- アーティスト:U2
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2017/06/02
- メディア: MP3 ダウンロード
更に『人は全員が平等になるまで誰も平等ではない』と言う言葉とともに、緒方貞子氏や伊藤野江氏、伊藤詩織氏や石川優美氏のスライドが埼玉スーパーアリーナに映し出されました。
あんまりネタバレとかはアレなんですけど、U2のライブで伊藤詩織さんや石川優実さんが讃えられていました。うーん凄い。 pic.twitter.com/c9VC90BNeo
— 橋本宗洋 (@Hassy0924) 2019年12月4日
U2は初来日の時 前から3列目で見るほど好きだったのですが(自慢)(笑)、今のU2は大スターになりすぎて、国連だの政治家との会談だのが目立ちすぎてバンドとしては殆ど興味がありません。だから今回の13年ぶりの来日もパスしたのですが、わかっている人は判っている。元々北アイルランド紛争など政治的なことをテーマにしたヒット曲でスターになったバンドです。ロックに政治を持ち込むのはおかしいって恥ずかしげもなく言いだす日本のバカとは大違いです。
わかる人にはわかる、その言葉を手掛かりに我々はやっていくしかないと、思います。
●ブラッド・ピットも埼玉に見に来ていたそうです(笑)。
昨日はU2のライブ*\(^o^)/*
— ゆた之介@Restart広報&企画&人事部長 (@cube1007) 2019年12月4日
カッコ良すぎました…
名曲づくし!
いまだに余韻がすごいーー!
そして私のいた所から約5mの距離にブラピ様!!
イケメン過ぎて何度見したことか…笑
いろいろと思い出に残る最高な1日でしたとさ(*´ω`*)#U2 pic.twitter.com/VIJgFEv2VS
さて、9月下旬に合意された日米貿易協定が異例の速さで国会承認されました。
www.nikkei.com
内容はアメリカからは肉やワインなど農産品、日本からはエアコンの部品などの関税が撤廃されるそうで、かねてから問題になっていた自動車の関税撤廃というのは今後の協議課題、だそうです。国会での議論や報道のされ方を見ておかしいと思うことがいくつかあります。他の問題でも一緒で今の日本に当てはまる共通の問題だと思うんです。
1.基本的には日本に不利な協定
自動車はアメリカが示唆していた追加関税(25%!)を防いだものの、関税自体はいつ撤廃されるか全く見通しが立たないそうで、普通に考えて、アメリカの意のままになったということは言えると思います。が、一部で指摘はあるものの、国会では殆ど議論にならなかった。やはり、それは問題です。
『交渉事としては日本に不利な協定である』という事実認識は持つ必要があると思います。
2.じゃあ、アメリカと交渉できるか。
できるかできないか、やってみなければわかりませんが(笑)、著しく困難であることも間違いない。
交渉相手のアメリカのライトハイザーは名うての強硬派で、レーガン政権時代 日本は彼に鉄鋼輸出の自主規制という煮え湯を飲まされました。交渉の席で日本側の提案書を紙飛行機で投げ返した逸話もあるそうです。
www.bloomberg.co.jp
事情を知る役人や一部の政治家は今回のライトハイザーの復活に戦々恐々、という話を聞いていました。本当は交換条件としてアメリカが提示してきた自動車の25%追加関税なんてアメリカの消費者にとっても大損害、正に狂気の沙汰だと思いますが、アホのトランプは中国相手にすら、それをやっているから、可能性もないわけではない。基地外に刃物です。
そうなると、確かに交渉はなかなか難しい。例えば反TPP、日米貿易協定反対の山本太郎ごときが出てきたってアメリカと交渉できるわけがない(笑)。
もちろん来年の大統領選後まで交渉を引き延ばして条件緩和を狙うとか、長期的にはEUや中国と手を組んで絡め手から行く、という策はあると思いますが、日本の政治家にそのように長い目で考えた戦略があるわけではないでしょうから。
『日米貿易協定は日本に不利だけど、今の日本はそれを押し返すことは難しい』。こういう事実認識も必要でしょう。
3.消費者にとってはアメリカの肉やワインなどが安くなるのは良いこと。
アメリカの肉も美味しいものは一般の和牛より遥かに美味しいし、ヘルシーです。むしろ和牛でも牛のビタミンDを欠乏させて無理やり作った霜降り肉なんか不健康そのもの、でしょう。
●京都の某店の和牛。ヒレなのに霜降りが浮いています。キモい。
●赤身のアンガス牛のほうが遥かに美味しいです。
今どき和牛信仰、国産品信仰なんかバカげているし、そう考えたら農産品の関税が下がるのは悪いことではない。日本の農家はどうするんだという向きはあるかもしれませんが、関税があろうがなかろうが就業者の平均年齢65歳を超えた旧来の形の日本の農業は元々持続不能です(笑)。
素人考えでも、日本の農業は法人化や農協の流通支配を削いで新しい血を入れ、特徴ある農産物を作っていかなければ続けていけるわけがありません。既得権益を消費者の税金(補助金)で支える今の体制なんか原発と一緒です。食料自給率がどうのと言いますけど、もともと石油と外国人技能実習生がなければ日本の農業だってアウトです。
ましてカロリーベースの食料自給率の話なんて農水省の利権のための馬鹿げた話です。ボクだってダイエットしてますが、普通はカロリー高すぎて困ってるんだから(笑)。『日米貿易協定は消費者にとってはそんなに悪いことではない』という事実認識も成り立つでしょう。
ところが政府に批判的なマスコミや市民の間では、話題に登るのはせいぜい1の『不利な協定』ってことだけです。あ、日経は3『消費者には有利』ってことだけ言ってますね(笑)。本当は多面的に、1も2も3も同時に考えなければ現実には対処できない。しかし、そんな話は国会でもマスコミでも聞こえてこない。これは野党もリベラルな市民も悪い。
ついでに政府がオリンピック後の経済対策を出してきました。
www.nikkei.com
とりあえず金だけバラ撒けばいい、という感じの歳出13兆円、という内容はともかく、この支出一つとっても今の政府は緊縮どころじゃないし、反緊縮とか消費税廃止とか言ってる山本太郎や立命館の松尾匡などの連中が如何にバカか、ってことがわかる(笑)。
●『れいわ』の参院選候補者、渡辺てる子が『(消費増税で)ほっともっとのお弁当のチクワが半分になった』というデマをリツイートして拡散、その後 会社から事実無根と指摘され、あっさり沈没(笑)。渡辺がデマを飛ばしたのはこれが初めてじゃありません。山本太郎だけでなく、周りもそんなのばっかりです。
デマだよ。増税前から半分。あなたたちリテラシー低すぎ。正直迷惑。 https://t.co/wCek84Il4j
— mold (@lautream) 2019年12月3日
そういうことも含めて、野党も市民ももっと力をつけなくてはいけないと思います。
金融緩和がダメならMMTだの消費税廃止だの、非現実的なバカやデマゴーグにかかわりあっている暇はない。近道はないんです。
バカは安倍晋三だけで結構です。
ということで、今週も官邸前へ
天気予報では明日は関東も雪が降るかもしれないというくらい、寒々しいお天気でした。雨よりは良しとしましょう。
●有楽町のサンタ、クマちゃん付き。
今日の午後6時の気温は8度、参加者は200人弱くらい。
●抗議風景
今週 『21年から、福島第1のデブリ(溶け落ちた核燃料他)を取り出し始める』というニュースが流れました。
www.yomiuri.co.jp
一見 何か順調そうに聞こえる見出しです。しかし、良く内容を見ると日経ですら、こういうことがわかります。
『デブリの取り出しは当初予定の19年から2年遅れる』
『取り出し時期は決めたが終了時期は見通せない』
『デブリの正確な量や分布、成分はいまだ把握できていない。』
『政府が想定する廃炉費用は当初の2兆円から8兆円に膨らんでいる』
www.nikkei.com
デブリ取り出しの終了時期は見通せないのですから、現在8兆円としている廃炉費用だって見通せるわけがありません。8兆円と言えば、全電力会社の原発・核燃料をすべて合計した額(約5兆)の1.5倍以上になります。ただでさえ莫大な金額なのに、それがまだまだ膨らむ可能性がある、と同時にそれが電気料金に反映されてくる。
このこと一つとっても原発が安いなんて大ウソだし、電力会社連中のツケを我々の電気代に反映させる総括原価方式を見直すことの重要性を改めて感じました。
安倍晋三も酷いけど、こんないい加減な仕組みで原発を運営していたこの国は元々酷かったんですよ。中村哲氏が『本当に9条は守られたことがない』と指摘したのはそういう意味だと思います。