特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ポピュリズムの蔓延』と『0726再稼働反対!首相官邸前抗議』

 関東地方の梅雨明けは未だ、だそうですが、めっきり暑くなりました。
 今日は朝からサングラスをかけていても眩しいぐらいの日差しでした。こうやって夏が感じられるようになると、『自分はあと何回、こうやって夏を迎えられるんだろう』と思ったりもします。時間感覚は違うにしても、人間の一生も蝉と同じようなものなのかも。
●今朝6時半の朝陽、眩しいです
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 さて、選挙のあった翌朝のテレビ東京のニュース番組、『モーニング・サテライト』、どんな風に選挙結果が解説されるか、と思って、録画して見てみました。
 NHKの夜7時のニュースなんか酷いじゃないですか。自民の議席は減っただけでなく過半数も割っているのに『与党の勝利』と報じるだけでなく、それを毎日 連呼しているのですから。あれじゃ、まさに現代の大本営発表ですよ。

 『モーニング・サテライト』の方は開口一番、ちゃんと改憲勢力は3分の2を取れず』と報じていました。マトモというか、事実に優先度をつけて、きちんと伝えている。株式市場が絡むから大本営発表はできない、ということなのでしょうか。

 ただ、今後の政府の課題として挙げられていた3つの事を見て、改めて考えさせられてしまいました。
1.日米貿易交渉(TAGじゃなくFTA)
2.有志連合などの外交問題
3.消費増税

 安倍晋三だったら問題ないんですよ。1と2はアメリカの言うなり、3は財務省が準備万端整えてくれるし、増税対策のバラマキで国民に恩を着せることができる。まともな頭脳の持ち主だったら、増収額以上のバラマキをやるんだったら増税なんかしないほうがいいと考えるはずなんですけどね(笑)。
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 それはともかく、野党が政権をとってたらどうするだろうって思ったんです。安倍晋三と同じことだったらできますよね(笑)。それ以外に何かできるだろうか。
 仮に立憲民主を中心に野党が連立して政権をとっているとします。1にしろ、2にしろ、まともな対処が出来るでしょうか。

 アメリカの言うことは一切聞くな、って強硬論は簡単ですけど、現実的とは思えません。政治的な話だけでなく、日本のメインの商売相手はアメリカなんです。アメリカの言いなりにならないよう、なおかつ妥協点を探すというのが政治ですけど、現時点では政党も支持者も妥協点はまとまらないでしょう。
 そう考えると野党が政権をとるのは中々遠いなあ、と思ってしまうんです。
 
 ちなみにボクの意見は『貿易交渉はTPPのラインで交渉』『有志連合は出来れば金で話をつける、どうしてもだめだったら自衛隊派遣も仕方がない』『3は延期』です。これくらいだったら国民全体の、財界も含めてコンセンサスが取れると思いますが、野党支持者の間では絶対にまとまらないでしょう(笑)。

 勇ましく『日米貿易交渉も有志連合も頑としてはねのける』と口で言うのは簡単ですが、独裁国家じゃあるまいし、急にそんなことはできないと思います。
 まず、おそらく日本の中でもコンセンサスが得られない。少なからず居る与党支持者をどう説得すればいいのでしょう。
 次に、いくら日本が平和主義でいくと言っても、相手があることです。イランの強硬分子、もしくはCIAが謀略で丸腰のタンカーを襲ってくるようなことは充分 有り得る。日本の石油の8割がホルムズ海峡を通っているのに、一時的にでも石油が輸入できなくなったらどうするの?タンカーの船員さんに太平洋戦争の時みたいに丸腰で特攻輸送しろ とでも言うの?

 こういう勇ましい話って太平洋戦争当時 国民の間に膾炙した主戦論と同じです。現実を見ていない。相手を見ていない。中国への侵略を始めたのは軍部ですけど、新聞やアホな政治家、軍人が国民に米英への強硬論を煽って、穏健な政治家も後に退けなくなった。親英米天皇ですら、『革命が起きかねない』と国内の空気に逆らえなくなった。

 今の状況もそれほど変わりがありません。例えば韓国への半導体原材料の輸出『規制』にパブコメが3万件も来た、その9割が支持してる、って言うんでしょ。最近の反原発パブコメはえらい違いです(くっそ~)。
www.yomiuri.co.jp

 こうなったら韓国だって必死になって内作化を進めるでしょう。半導体だって作れる韓国です。多少時間はかかるかもしれないけど、やろうと思えばできるし、中国など他の国から輸入することもできる。日本企業だってサムスンやハイニックスは超大手のお得意先様!です。不買運動で日本の他の輸出企業にもとばっちりが来るし(泣)、サムスンのメモリーがなかったら日本だって困ります。

 輸出『規制』ではなく、中国やEUと同じように普通の手続きにしただけだ、という話もありますが補足解説3:誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」:日経ビジネス電子版、アホの世耕が記者会見で『元徴用工問題についてG20(首脳会議)までに満足する解決策が得られなかったため、信頼関係が著しく損なわれた』と徴用工問題に対する対抗措置と言っちゃったし韓国向け輸出規制/事実上「徴用工」への対抗措置/「禁じ手」で日韓関係壊す安倍政権WTOで日本がどう主張しようと、これを機に韓国が国産化を進めることには変わりがありません。

 この半導体材料の問題は長期的には、日本に残ってる数少ない、競争力がある産業の息の根を止めかねないような愚策です。政府だけでなく、国民も狂ってますよ。
www.newsweekjapan.jp


 アメリカのトランプに加えて、EUの強硬離脱を唱えるイギリスのジョンソンも首相になりました。Brexitは地方の中高年齢の庶民が支持しているそうですが、EU離脱で職が無くなったり物価が上がって最も困るのは庶民です。ついでにジョンソンは富裕層の減税も唱えている。庶民はわざわざ自分で自分の首を絞めるような方向へ進んでいるわけです。

 トランプ、ジョンソン、安倍晋三、3人の共通点は嘘つきです。そんな連中の嘘を少なからずの国民が信じてしまうくらい、それだけ既存政治への失望が高まっている。
●ジョンソンは政治家になる前の新聞記者時代も虚報で有名だったそうです。


 今回の選挙で日本でもいよいよ、ポピュリズムが可視化されてきたと言われています。『消費税廃止』、『TPP反対』、『原発即時撤廃』を唱える山本太郎に約200万票、N国党に約100万票、両党の 実現不可能な政策を掲げて有権者の注目を集めるという手法 はボクには正気とは思えません。が、集まった票の数は既存政党への不満の表れとして小さくない。それも事実。
 
 山本太郎は一見 良いことも言ってるように見えますが、例えば彼が言うように、国債を財源にして消費税を廃止したら、どうなるでしょうか。また貨幣が増えてバブルを作り出すのと同時に政府債務が拡大、インフレ、もしくは長期の低成長という形で将来ツケを払うのは庶民です。

 太平洋戦争による際限のない国債発行の結果は預金封鎖、消費者物価が3年で100倍になるハイパーインフレでした。消費税を廃止して国債で賄うようなことをしたら、いずれバブルが破裂して、日本はますます貧乏になる。
 ついでに言うと山本が依拠しているらしいMMTなんか、今やアメリカでも殆ど相手にされてないそうですよ。
diamond.jp

 確かに 6月末の民主党大統領候補の討論会でもMMTを唱えた候補者はゼロでした。かってMMTの提唱者、上記のケルトン教授がアドバイザーを務めていたサンダース議員だって、今は『福祉や奨学金拡充の財源は増税』と主張、MMTを全否定しています。当たり前です。


 また消費税には所得の低い人に対する逆進性がありますが、(金持ちの)高齢者から現役世代へ所得を移転して世代間格差を是正する効果もありますhttps://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=38696?site=nli

 もちろん消費税だけで世代間格差が是正されるわけではありませんが、消費税の廃止は若い人へのマイナスに働くことは間違いない。相続税100%が最良の策なんですよ。


 何でもそうですが、良い点と悪い点を両方睨みながらバランスを取る、と言うのが重要なんです。消費税率凍結や軽減ならともかく、消費税廃止という政策は庶民の首を絞めるBrexitと同じように見えます。*財政がこんなに悪くなければ、もしくは財源を相続税100%にするなら、消費税廃止も一考の余地もあるかもしれませんが。
●ボクも以前は消費税反対でしたが、この本で老碩学の消費税に関する論考を読んで目が覚めました。


 ポピュリズムは民意による変革をもたらしますが、このような狂った政策を進める、強いてはファシズムに陥るリスクもあります。戦前だって、度重なる政争で政党政治が無力化したことへの庶民の失望が大政翼賛会などの『革新』政治への道を開きました。


 水曜日 高プロの際 頑張ってくれた上西充子法政大教授がポピュリズムについて、同僚の政治学者の論考を引用する形でこう、ツイートしていました。もちろん、このツイートは山本太郎の事を指しています。

hbol.jp

 ブームに熱狂する『信者』(笑)はともかく、まともな市民は、かって山本がタッグを組んでいた三宅洋平と同じように熱狂的なポピュリズムが霧散消滅したあとのことを考えなくてはいけない
 


 社会への不満は溜まっている。しかし野党も国民、特に若い人に魅力的な政策を示し、変化の必要性を説得することが出来ていない。だから現状維持で良いと思ってしまう。少子高齢化の日本は現状維持なんかできないんですけどね(笑)。
 選挙にも行かなくなってしまう。自分で何とかするしかないと思ってしまう。この『自己責任』もまた、一種のポピュリズムかもしれません。
●NHK『クローズアップ現代』7/23放送分より

www.nhk.or.jp

 今のまま衆院選挙があったら、野党がいくら共闘しても惨敗でしょう。選挙前に泥縄で適当な甘いことを言っても説得力なんかあるわけない。かと言っておかしなポピュリズムに走ると、そのツケは庶民に回ってくる。その結果はファシズムか戦争、です。


 経済などの環境変化が厳しくなり、格差が広がってくると、人々は現実に目を瞑り目先の救いや慰めを求め始める。先進国でのポピュリズムの高まりはそういうことです。反知性主義と言ってもよいかもしれない。もちろん、一定数の人がそうなるのは仕方がない。誰でもそうなる可能性はあります。

 トランプもジョンソンも安倍晋三山本太郎答の安売りでポピュリズムを動員すると言う点ではあまり違いはありません。民主主義にポピュリズムはつきものだと思いますが、安っぽい答によるポピュリズムの害毒をどう防いでいくかは、まさに現代的な課題です。

 先行きが見えにくい、閉塞感が漂う世の中で、ポピュリズムに走ってしまう人にまで声を届かせることこそが野党の存在理由だし、そのためには、冷静さと知性がある市民が今の頼りない野党のケツをどやし続け責任勢力』へ育てていかなければいけない、と思います。




ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
 今日は暑かった~。気温と言うより日差しが強かった。午後6時の気温は30度。それでも夕方になると涼しく感じます。今日の参加者はやっぱり200〜300人くらいかなぁ。

●抗議風景


 今週は『福島県原発事故のあと行っている子供の甲状腺検査で、がんやその疑いがあるという報告に漏れている患者が少なくとも17人はいるということがNPOの調査で明らかになった』のが報じられました。
www3.nhk.or.jp

 17人の子供たちは県が行った検査以外で診断を受けたそうですから、仕方がないと言えば仕方がない気もしますが、一昨年にも13人の集計漏れがあったそうですから、やはり福島県の調査のやり方自体 信頼性に疑問符がつけられても仕方がありません。はっきり言って怠慢だと思います。仕事のやり方が判ってない。

 ただでさえ、この検査は疑問の声が寄せられており、現在『「現時点で甲状腺がん放射線被ばくの間に関連は認められない」とする評価部会の報告の表現を一部修正する』ことが検討されています。
www.minyu-net.com

 実際に52人も甲状腺がん患者が出ているのですから、調査の評価部会が『事故とガンとの関連は認められない』と断定するのはムリがあるでしょう。もちろん『関連がある』と断定するのも難しいのも判ります。
*結局 今日の夕方 報告書には『将来的な見通しに言及するものではない』と言う但し書きをつけるということが報じられました。なんだ、その言い訳。
www.kahoku.co.jp

 だからこそ、虚心坦懐に考えていかなければならない。後世の為にも、この検査はずっと続けていかなければならないのですから、ボクも、もっと関心を持たなければいけないと思いました。