ずっと雨だったこの週末、TVでローマ法王のスピーチを見ていました。
●ネットではこの週末、東大の非正規教員が差別発言で炎上、あっという間にこいつの講座のスポンサー、マネックス証券他が寄付を停止しました。良い傾向です。

ボクはキリスト教徒ではないし、むしろキリスト教にはかなり懐疑的です。事実として、神の名のもとに世界で最も多く人を殺した宗教ですから。ただ、この映画を見ちゃったんで、今のローマ法王にはちょっと印象が違います。
●感動的な映画です。法王を演じたロドリゴ・デ・ラ・セルナはゲバラの親戚
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アルゼンチンの神父だった当時は教会上層部の指示に背いて軍事独裁政権の暴力に抵抗し、その後 軍部に対して無力だった自分を恥じてスラム街で貧困者の救済に携わっていた。法王になってからもバチカンがずっと隠ぺいしていた聖職者の少年たちへの性犯罪を認めて謝罪、バチカンのマネーロンダリングの解明に努め、キューバとアメリカの国交回復の仲介をした。今も宮殿ではなくアパートに住んでいるっていうんでしょ。
なんでこんな人が法王に選ばれたのかという疑問はありますけど(笑)、話半分としても、立派な人です。マジもんで洗礼を受けているキリスト教徒の麻生が空港に迎えに行ったそうですけど、お前、自分が恥ずかしいと思わないのか。

内閣支持率、7ポイント減の50% 日経世論調査 :日本経済新聞
法王のスピーチの内容は率直で感動しました。
www3.nhk.or.jp
特に長崎のスピーチ。
『何百万の子供や家族が苦しい生活をしているのに、武器に金を費やすのはテロ行為』と明確に決めつけ、日本政府が批准しない核兵器禁止条約にも言及しました。
広島のスピーチでは朝鮮人やアメリカ人などの犠牲者にも触れました。さらに現代の『対話することのできない文化による破滅を前に目を閉ざしてよい人はどこにもいない』とまで言う。
ローマ教皇 「戦争のために原子力を使うのは犯罪」 https://t.co/VUx3uzo9kH
— 首都圏反原発連合 (@MCANjp) November 24, 2019
ある意味 世界中の人に良い顔をしなくてはいけない(笑)ローマ法王のような立場の人がそこまで明確に発言するのは大変なことでしょう。
【速報】
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) November 25, 2019
ローマ教皇は、将来のエネルギーに関して勇気ある重大な決断を促し、原発の廃止にも理解を示したhttps://t.co/w2c1xiOe2f
宗教者独特の言い方なんでしょうけど、『私を平和の道具にしてください』なんて、なかなか言えることではありません。仏教でいうところの『捨身』ですな。
そんなことなど露ほども思ったこともない我が身を反省しました。今の世の中『手に負えない分裂の中』にあるし、ボク自身も『恐怖と相互不信を土台とした偽りの確かさの上』で生きていますから(笑)、余計にそう思います。
と、いうことで、六本木で映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』

www.foxmovies-jp.com
舞台はメキシコ。未来から来た謎のターミネーター“REV-9”(ガブリエル・ルナ)が自動車工場で働いている21歳の女性ダニー(ナタリア・レイエス)に襲い掛かってくる。襲われる理由もわからず必死に逃げるダニーは、同じく未来からやってきた強化型人間のグレース(マッケンジー・デイヴィス)に救われ、 何とか工場から脱出した。さらに彼らをしつこく追跡してくるREV-9の前に現れたのはサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)だった
SF映画の金字塔『ターミネーター』、『ターミネーター2』の約30年ぶりの続編です。ジェームズ・キャメロンが作った、この2作はある意味 SF映画のみならず、世の中を変えた傑作じゃないでしょうか。
約30年前に描かれた、自律する知能を持った機械と人間との闘争、という世界観は偶然の一致にしろ、今や現実のものとなりつつあります。AIやロボットなどに人間の雇用は脅かされ、ドローンなど無人の兵器は実際に使われ、自律型の兵器も実際に投入されようとしている。『天井のない監獄』と称されているパレスチナのガザではイスラエルのドローンが絶えず上空を飛んでいて、人々を監視、下手すればミサイルを撃ってくるんでしょ。
巷間言われているように、2040年ころまでにAIが人類を追い越す『シンギュラリティ』が実現するかどうかは別にして、30年前に映画で見た悪夢はそんなに遠いものではありません。たいていの人は、安倍晋三やトランプみたいな奴に政治をやらせるのならAIのほうがマシ、って考えるはずです。
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『ターミネーター2』以降、続編は3本作られたそうですが、監督のジェームズ・キャメロンや主役のリンダ・ハミルトンなどのキャストが降りてしまいましたから、内容は全く知りません(笑)。
その3本の続編はなかったことにして(笑)、ジェームズ・キャメロン(制作)や主要キャストが戻ってきての、『正当な』続編が今作です。監督は『デッド・プール』で名を挙げた新鋭ティム・ミラー。
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ただ1、2があまりにも傑作すぎましたから、今作の前途は厳しい。一足先に公開されたアメリカでもヒットはしているものの、200億円という莫大な製作費を回収するには厳しいのではないか、という話も聞こえてきてはいます。果たしてどんな作品でしょうか。

お話はまあ、いいじゃないですか(笑)。次から次へとアクションが連発され、CGもすごい。アクションやセリフ、場面で過去のターミネーターを見た人を喜ばせるようなサービスもたんまり詰め込まれています。でかいトラックで延々追いかけてくる、というのはお約束なんですね(笑)。車を何台ぶち壊したのでしょうか。ただサービスがあまりにも多いので、ここまでやらなくていいんだけどな、とは思いました。とにかくお金がかかっています。
最初に悪い点だけ言うと、脚本が少し甘い。話を詰め込みすぎだし、2のエドワード・ファーロングが演じるジョン・コナーが出てきたのは驚きましたが、それ以外は意外性をあまり感じない。と、言うのは後述するように、この映画、結構いいんです(笑)。脚本さえ、もう少し良ければ傑作になったかもしれない。
あと、もう一つはてんこ盛りのアクションが凄すぎて、ちょっと煩い。それに動きが早すぎてよくわかんない(笑)。
これは今風なのかもしれないし、個人的な好みもあるし、ボクの眼の老化かもしれません(笑)。やりようによっては結構 深い話なんだから、もうちょっと重々しくやっても良かった。
●今度のターミネーターは分身もできます。

そんな欠点もあるんですが、この映画、ボクは心に残りました。それはこの映画が世代が異なる3人のヒロインの物語になっているからです。

リンダ・ハミルトンの迫力は健在です。顔に刻まれた深い皺と盛り上がった筋肉、元祖戦うヒロイン像は良い意味で年齢とともにアップデートされています。63歳だそうですが、年齢相応の深みも相まって、やっぱりカッコいい人はカッコいいんです。年齢を重ねたことで迫力を増している。
ここでのサラ・コナーは生きる目的を失い、ただ復讐を果たすことだけが生きがいになっています。ただ『絶望してアル中になっている』というのがセリフで語られるだけ、というのは演出としてはいただけません。彼女の深い皺があるから説得力はあるんですけど。
●60歳を過ぎてもFワードが似合う女性って素敵(笑)。63歳の盛り上がった筋肉にも注目。

ターミネーターに狙われるラテン系のヒロイン、ダニー(ナタリア・レイエス)もいいです。最初は頼りなげな21歳の女の子が逃亡するうちに成長していく姿は、結構感動的でした。良く見ると華があるし、他の作品で絶世の美女として出てきても驚きません。

そして未来から送り込まれる強化兵士、グレース役のマッケンジー・デイヴィス。ボクがこの作品を見に行ったのはこの人が出ているから。

この人は昨年 ジェイソン・ライトマン監督の『タリーと私の秘密の時間』
『相対性理論@六本木』と映画『タリーと私の秘密の時間』 - 特別な1日
で、シャーリーズ・セロン演じる3人の子の母親と友情を結ぶベビーシッター、タリーを演じていて、存在感がすごい、ただものではない、と思っていたんです。アカデミー賞女優のシャーリーズ・セロンに全然負けてなかったですからね。
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前作とは打って変わって、今作では伸びやかな肢体を生かした、しかし非常に痛そうなアクションをやっています。驚きです。スタントも使っているにしろ、見ていて可哀そうと思うほどです。
それにアクションだけじゃなく、眼の力が強い。強いだけでなく、なんと哀しい目をしているのか!
彼女の淡い青色の眼を見ているだけで泣けてきちゃいます。ジェンダーとかそういう話でなく、生物として純粋に美しい。やっぱり、この人の存在感はすごいなーと思いました。各方面絶賛らしいですが、素晴らしい。
存在感って言葉ではなかなか説明できない。一見にしかずです。

前作から30年たっているというギャップも面白かったです。前作までは一時的にしろ、追ってくるターミネーターから隠れることは出来ました。しかし、今は街中に監視カメラがあるし、ケータイの電波を追跡することもできる。ターミネーターがデータセンターをハッキングすれば、簡単に追いかけてくることが出来ます。
メキシコからの密入国など世相を反映しているところも良いと思いました。国境の上空にはドローンまで飛んでいる。また工場ではロボットに職を奪われて、人間がリストラされている。人間が機械に支配される世界は人間自らの手で作られつつあります。
そうそう、ここでのシュワちゃんは西部劇の主人公みたいです。なぜ彼が出てくるのか、納得できる話にはなっているけど、どこかで見たことがあるストーリーではあります。別に悪くはないし、ちょっとは泣けますけど、まあ、どうでもいいかな(笑)。

ターミネーター1や2のような大傑作ではないけれど、その続編としては十分に納得ができます。全然オッケー。
前作までにあった世界観、現実になりつつある暗い未来への予感はもう少し深堀りしてくれて欲しかったし、サラー・コナーの苦悩やグレースの強い想いも、もっと突き詰めて欲しかったとは思いますけど。
何より世代の異なる3人のヒロインの物語として、ボクは大変 面白く見ることが出来ました。
一人は自分を取り戻し、一人は自分であり続け、もう一人は自分を見つけだす。そこは結構感動しました。この映画でシュワちゃんが演じていたように、これまで世の中を滅茶苦茶にしてきた男にできることなんて、女性に未来を引き渡すことくらいかもしれません。
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