特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『ルーム』と『ミラクル・ニール』

今日はゴールデンウィークらしい、気持ちの良いお天気でした。と言ってもボクは出社だったんですが(泣)。1ドル106円まで行って、流石にビックリしました。いよいよアベノミクスも断末魔と言ったところでしょう。アベノミクスが始まった頃、各新聞はひたすら太鼓持ちに徹してました。日経の記者に『なんでバカな記事ばかり書いているんだ?』と尋ねたことがあります。記者曰く『これが財政破綻前の日本経済の最後の賭けだから、社としてサポートしろ』と言う指示が上層部から出ていたそうです。
で〜も〜、案の定、こういう結果に成ったわけです(笑)。これは日本経済はもうアウト?ってことでしょうか(笑)。

                   

帰宅して7時のNHKニュースを見ていたら、2007年から続いている憲法に関するNHKの調査で憲法改正に反対する人は今回が最多だった、というニュースが流れていましたhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160502/k10010506971000.html。同じような結果は共同通信でも流していましたhttp://this.kiji.is/99062143339054588?c=39546741839462401

                                 
安倍晋三がムキになればなるほど、国民は不安になる、ということなんでしょう。と言っても世論の風向きなんか何か起きればコロッと変わります。所詮 多くの人は政治に関心がないんだし 関心があっても冷静に物事を考える人は護憲派も含めて、もっと少ない。憲法を改正して何の得があるのか、ボクにはさっぱりわからないんですが、恐ろしいものです。



新宿で映画『ルーム

5歳の男の子、ジャックは母親のジョイ(ブリー・ラーソン)と一緒に「部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼く、母親と子供の普通の暮らしだった。だが部屋には窓がなく、扉も開かない。TVと天井の天窓だけが部屋の外に通じる窓だった。 ジャックが5歳になったとき、母は「自分は7年間この部屋に監禁されてきた。この「部屋」の外に本当の世界がある」と打ち明ける。混乱するジャックを説き伏せて、ジョイは決死の脱出を図るのだが。

無名に近いブリー・ラーソンが今年のアカデミー主演女優賞をとったことで話題の作品です。監督は男前のマイケル・ファスベンダーにずっとお面をかぶせた音楽映画『フランク』を撮った人。2014-12-22 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
●監督の前作『フランク』ではマイケル・ファスベンダーはずっと、このお面を被ったまんま。

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前半はジャックと母親、ジョイとの『部屋』での暮らしが描かれます。狭い部屋の暮らしですがジャックは楽しそうです。彼にとっては『部屋』が世界の全てなんですね。確かに生まれた時から、ずっとそういう環境ですから。
●狭い部屋と母親がジャックにとっての世界の全てです。

                                            
ですが、それだけではありません。週に1回 食料などを持って、男が現れます。勿論 母子を監禁している男です。その間はジャックは部屋の片隅にあるクローゼットの中にいるよう、母親から命じられます。
                                                 
描写は注意深いし、過不足もありません。ブリー・ラーソンとジャックを演じる子役の演技もすごいです。映画としては素晴らしいです。でも、不愉快です。映画が悪いんじゃなくて、ここで描かれている『監禁』という行為自体が非常に不愉快なんです。見ていて冷静ではいられませんでした。こういうクズはさっさと死刑にしろ、ボクはそういう感想しか持ちませんでした。
●天窓とTVだけがジャックに部屋の外に世界があることを教えてくれます。

                                                             
ジョイはジャックを説き伏せて死んだふりをさせ、誘拐犯にカーペットにくるんだまま外へ持ち出させます。誘拐犯がピックアップトラックで死体を捨てに行く最中、ジャックは始めて本当の空を見ます。非常に感動的なシーンです。ここは素晴らしい。ジャックを保護した婦人警官が非常に優秀で、わずかな材料で犯人を見つけ出すところは胸のすく思いがしました(笑)。
                                         
●ジョイはジャックをカーペットにくるんで脱出を図ります。

                                          
この映画は後半が面白いです。自由の身になったジョイとジャックですが、簡単には幸せになれません。実家に身をよせますが、既にジョイの両親は離婚しています。彼女が夢見ていた、元の温かな暮らしは既に存在していないのです。
●やっと解放された母子にマスコミガ殺到します。

●ジョイが監禁されている間に両親は既に離婚していました

                        
外の世界に始めて触れるジャックは更に大変です。まず外部の細菌になれるまでマスクをしていなければなりません。鏡を始めて見た時の彼の驚きも面白かった。昔 ボクも犬を飼っていたのですが、映画の中でジャックは犬に始めて鏡を見せた時と同じ表情をしていました。ちなみにボクが飼っていた犬は、始めて見る自分の姿をしばらく訝しげに見つめたあと、鏡に向かって『ワンッ』と軽く吠えていました(笑)。そうやって自分の姿は認識したみたいです。そんなジョイとジャックが、少しずつ日常を取り戻していく姿は感動的です。

この映画を観た人は誰もが、ブリー・ラーソンと子役の子がすごい、というのを感想にあげると思います。確かにその通りですが、ですが、ボクは昨年観た、ブリー・ラーソンが『ショート・ターム』で不良少年の矯正施設の指導員役を体当たりで演じた姿のほうが印象に残っています2014-12-22 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
                             
ルーム』はショッキングかつ不愉快な題材ですが、俳優の演技は素晴らしいし、描写も洗練されている、そういう意味では安心してみることができる、良くできた映画だと思います。全体的なテイストとしては『6歳のボクが大人になるまで』を思い出すところもありました。     

                                                                                 
こちらは ほのぼの笑える対照的な作品です。渋谷で映画『ラクル・ニール

舞台はロンドン。独身男ニール(サイモン・ペッグ)は愛犬と二人暮らし。アパートの階下に住む女性キャサリンケイト・ベッキンセール)に憧れていたが、お人よし過ぎて知り合う切っ掛けすらつかむこともできない。一方 遠い銀河のかなたから地球の様子をうかがっていた宇宙人は地球人の出来の悪さに、地球を抹殺することを検討する。そのためには地球人をテストしなければならない。宇宙人はそのために全知全能の力をニールに与えるが、彼は犬をしゃべれるようにするなど、ロクなことにしか能力を使わない。果たして地球の運命は?

サイモン・ペッグって人、何となく好きなんです。この映画でも犬だけが友達の内気な男を演じてますけど、人がよさそうな顔をしている。彼の顔を見るだけで、ほっとするようなところがあります。さらにこの映画は犬の声を大好きなロビン・ウィリアムスが演じています。彼の遺作だそうです(泣)。監督はモンティ・パイソンテリー・ジョーンズ


                                     
冒頭 主人公が晴れやかに表彰されているところに、犬たちが大勢 バンケット・ルームに押し掛けてきて、主人公が押しつぶされるところから始まります。それは南柯の夢だったのですが、映画の全体のトーンもそんな感じです。
●犬たちに押しつぶされるサイモン・ペッグ。こういうシーン、大好き。

                                 
サイモン・ペッグと美しいヒロイン(ケイト・ベッキンセイル)、それに犬が大活躍する楽しい、楽しい90分。アメリカでもウィル・フェレルの『俺たちシリーズ』のようにひたすらクダラないコメディがありますけど、同じような題材でもイギリス映画だとウェットな感じがするのが面白いです。『ホット・ファズ』や『宇宙人ポール』などいつものサイモン・ペッグの映画より、犬が大活躍するぶんだけ描写がマイルドだったのは意外でした。

                                   
ロビン・ウィリアムスの達者な話芸(泣)も相まって、犬のキャラクターをばっちり表現した、犬映画として出色の作品だと思います。地球を救うのは主人公じゃなく、犬なんです。監督は良くわかってます(笑)。とにかくボクは人間より犬の方が好きなんです。笑ってるだけの話ですが、とても面白かったです。