今日は楽しい三連休。
さっきまでベランダで寝転がって本を読んでました。気持ちいい。
一生ずっと三連休だったら良いんだけどなぁ。
先週末は久々にライブへ行ってきました。
東京国際フォーラムで「moonriders AMATEUR ACADEMY and more 2024」
日本最古のロックバンド(笑)、ムーンライダーズのライブです。
40年前に発売された問題作、『アマチュア・アカデミー』の記念ライブです。
このCDもまた!問題アリアリの作品です。
当時は80年代、化粧品会社のCMタイアップが大ヒットの早道でした。ライダーズは業界では評判のバンドだったし、当時人気絶頂だったYMOとはステージやCDで共演したり、繋がりも深かった。次にスターダムに上るのはライダーズではないか、という期待がありました。そんなこともあってか、このCDの収録曲から資生堂のCMタイアップが決まりました。
そんな資生堂さんのCMをムーンライダーズが!これはくるぞ!と思ったんだけど…。ムーンライダーズはムーンライダーズでした笑
— バムケロガラゴ (@Ipz3u1fJO2sNOcq) 2024年11月2日
ところが出来上がった作品は相変わらずの捻くれたものでした。全く売れなかった(笑)。資生堂のCMタイアップで売れなかったのはムーンライダーズだけだと思います。
そんな資生堂さんのCMをムーンライダーズが!これはくるぞ!と思ったんだけど…。ムーンライダーズはムーンライダーズでした笑
— バムケロガラゴ (@Ipz3u1fJO2sNOcq) 2024年11月2日
売れなかった理由はいくつもあるでしょう。
音も曲も歌詞もひたすら捻くれているのはいつも通りです。歌詞だって『ハッピネスはテレビでやってるとおりでしあわせなんてそれぞれのプログラム ゴミにぶちこめ権力』(B.B.L.B.)とか『自分の身体が邪魔になりだした』(Y.B.J.)とかそんな調子だし、音は全編パキパキしたデジタルドラムにフォークギターがちゃらちゃら鳴って、シンセや金盥をたたいた音や集会のアジ演説などの効果音が挿入される。訳がわかんないでしょう。
この作品が売れなかった最大の原因は曲名が記号化されて全く分からないことだと思います。
CMタイアップの『M.I.J.』を始め、『Y.B.J.』とか『S.E.X.』とか『G.Y.M.』とか、全て頭文字です。全然わからない。
この日も当人たちも判らないって言ってたし、今までも散々ステージで曲名を忘れたとか言ってます。自分たちだって判らないもの、ファンはどうしたらいいんだ(笑)。
こちらはオリジナルの岡田徹亡き後 キーボードを弾く若いサポートメンバー佐藤氏のツイート。
ムーンライダーズありがとうございました。
— 佐藤優介 (@satoyusukeee) 2024年11月1日
「S・E・X」(曲名)自分などは気を使ってエスイーエックスと呼んでしまうですが、メンバーのみなさん堂々とセックス、セックスと発音なさるので、70代の男性たちがセックスと連呼しあう現場も今後ないだろうと思い、童貞ながら思わず興奮してしまいました。 pic.twitter.com/tO9kmoSVZi
この日も資生堂のCMタイアップ曲『M.I.J.』をやりましたが、それがMade In Japanのことだって、今日のステージMCで初めて知りました。40年間 誰も知らなかったんじゃないですか(笑)。そんなのムリだよ(笑)。
M.I.Jがメイドインジャパンの略だと初めて知ったのだった #ムーンライダーズ pic.twitter.com/Kmuk2w1KOt
— 山吉絵日記 (@yamayoshiworks0) 2024年11月1日
www.youtube.com
『アマチュア・アカデミー』のコンセプトは肉体とデジタルの融合です。つまり記号とフィジカルのせめぎあい、です。
最近は『日本の活路はそこにある』という経済学者が何人もいます。日本が得意のモノづくりとデジタルを融合すれば独自の勝ち目があるんじゃないか、っていう話です。ボクもそう思います。
11/1東京国際フォーラム公演楽しみすぎてリハーサル写真からスケッチしました。40年前のアルバム再現なので、曲名入れました。&MOREは何が入るかな?
— 眼福ユウコ (@gampy) 2024年10月29日
moonriders
AMATEUR ACADEMY and more 2024 pic.twitter.com/AeVKyTih2y
だけど流石に40年前はそんなこと判らなかった(笑)。当人たちも判ってなかったと思いますが(笑)、いつもどおり、ライダーズがやってることは早すぎるんです。
ちなみにこの作品は竹内まりや大貫妙子などを手掛けた有名プロデューサーが自ら志願して担当しています。ライダーズにとっても唯一、自分達ではなく外部プロデューサーが担当した作品です。
結果 録音は500時間(笑)。ドラムの音を決めるだけでも1週間もかかったそうです。挙句の果てにプロデューサーは泣きだして、そのあとライダーズのメンバーが飲みに連れて行って慰めたって、MCで言ってました。
2024/11/01 アマチュア・アカデミー and more
— いちの (@ichino_x) 2024年11月1日
良明さんが話していた昔話
「プロデューサーを飲みに連れて行って慰めるアーティスト」のくだりは
誰か、きちんとインタビューして記事に残して欲しいと思いました(笑)#moonriders#ムーンライダーズ pic.twitter.com/1WRjnu0d8w
この日のステージには塀とドラム缶、鉄骨が散乱していました。
最初はアコースティック・ギター弾き語りで始まった『塀の上で』。これがいきなり素晴らしかった。元は70年代のフォークソング調の曲です。塀の上とは一時期 鈴木慶一と一緒に曲を作っていた松本隆(元はっぴいえんど、松田聖子などの超有名作詞家)の家の塀を指しています。
演奏は弾き語りで始まり、終盤はバイオリンとエレキギター、フィリッパートロニクス(ロバート・フィリップと言うギタリストが開発した奏法、高音と低音をカットして中音をブーストさせたもの)が絡み合って終わる。フォークでもなんでもない(笑)。
そのあとは『アマチュア・アカデミー』が曲順に演奏されます。
だけどアレンジが全然違う。ライダーズの曲はステージで聞くと『(CDとは違って)こんなに良い曲だったのか』と思うことが良くあるのですが、この日もそう。
演奏も年相応にテンポをゆっくりと落とすとかじゃない。もっと過激になってる(笑)。
70過ぎのジイさまたちです(笑)。これはかないません。絶対おかしい(笑)。
アマチュアアカデミー全曲演奏のあとは、2000年代、90年代、80年代の曲をやって、最後は『Don't Trust Anyone Over30』を『Over 70』に変えて演奏しました。平均年齢70を超えたバンドが、70歳以上は信じるな、と(笑)。
<セットリスト>
01. 塀の上で
02. Y.B.J. (YOUNG BLOOD JACK)
03. 30 (30 AGE)
04. G.o.a.P. (急いでピクニックへ行こう)
05. B TO F (森へ帰ろう〜絶頂のコツ)
06. S・E・X (個人調査)
07. M.I.J.
08. NO.OH
09. D/P (ダム/パール)
10. BLDG (ジャックはビルを見つめて)
11. B.B.L.B. (ベイビー・ボーイ、レディ・ボーイ)
(Encore)
12. タブラ・ラサ
13. ばらと廃物
14. 俺はそんなに馬鹿じゃない
15. Masque-Rider
16. 工場と微笑
(Encore 2)
17. GYM
18. DON’T TRUST ANYONE OVER 30
途中 ボーカルの鈴木慶一氏が『あと2年で結成50周年』と言ってました(笑)。『アマチュア・アカデミー』の次には『Animal Index』、『DON’T TRUST OVER THIRTY』、そして『最後の晩餐』と40周年アルバムはこれからいくらでもある(笑)。
とにかく、ボクが日本のバンドで本当に好きなのはムーンライダーズだけ。何故か判らないけど、高校生の時からずっとそう。まだまだ、人生の伴奏をお願いします。
と、いうことで、新宿で映画『HAPPYEND』
決して遠くない未来の日本。大地震発生が迫っている中 多種多様な人種の人たちが暮らすようになっていた。高校に通う親友同士のユウタ(栗原颯人)と在日朝鮮人のコウ(日高由起刀)は仲間たちとただ、楽しく毎日を過ごせればいいと思っていた。ある晩、学校に忍び込んだ二人は、ユウタが思いついたいたずらを実行するが、そのことが大騒動に発展する。
監督は坂本龍一氏のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto | Opus』などを手掛けた空音央という人。坂本の息子さんです。
初長編劇映画となったこの作品はベネチア国際映画祭で上映されたり、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が賛辞を寄せるなど結構評判が良い。特に元『水曜日のカンパネラ』のコムアイがこう言ってた↓のが決め手になりました。この子、慶應だし、ボクも高校の時からデモ行ってたし。
映画の設定は面白いです。
遠くない未来の日本。大地震の発生が迫っているとされ、テレビやスマホからはしょっちゅう警報が鳴り響いています。
政府は緊急事態を口実に改憲を進め、外国人へのヘイトが盛んになっている。社会ではハイテクを利用した管理が徹底され、学校も例外ではありません。
ありそうな話です(笑)。しかも、人々は自らそのような管理を受け入れる(笑)。日本人の気質をよく描写しています。
音楽好きの高校生、ユウタとコウは仲間たちとクラブへ出入りしたり、校長(佐野史郎)が大事にしている車に悪戯したり、毎日を楽しく過ごせればいいと思っています。
しかし卒業が近づくにつれ実社会の圧力を感じるようになってくる。学校には生徒たちへの電子監視・減点システムが導入されるし、自衛隊員の募集が公然と行われるようになる。
そればかりか在日朝鮮系のコウだけでなく、中国系、アメリカ系の友人たちも次第に深まる排外主義の圧力にさらされるようになる。コウは同級生のフミに引きずられる形でデモに出かけたり、学校への抗議活動を始めます。ユウタにはそれが理解できない。
ただ、お話はちょっとダメ(笑)。映画の不穏な雰囲気はいいんですが、それだけなんですよね。多国籍が当たり前の主人公の仲間たちや在日朝鮮人の在留許可証の話もいいんだけど、話の膨らみがない。
日本映画には珍しく、正面から政治を取り上げているのはいいんですが、必然性に欠ける。
ハイライトになる校長室を占拠するシーンはかって監督の親父の坂本龍一が元厚労大臣の塩崎と一緒に新宿高校の校長室を占拠したのをそのままなぞったんじゃないか、と思いました(笑)。それくらい、ひねりがない。
ちなみにコウを抗議運動に導くフミの名前は戦前 大正天皇を暗殺しようとして投獄、獄死した金子文子からとったそうです(笑)。だけど、それだけでした。人物像も類型的。
ロングラン上映されているし、評価はそれなりなんですが、ボクにはいまいちでした。高校時代を思い入れを持って振り返れる人にはいいのかな。
音響は素晴らしいし、映像のセンスもちょっと暗すぎるけど一理はあるとは思うんですが、脚本は他の人がやってほしい。