特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『軽井沢ジビエの旅(2)’’王様のジビエ’’』

 いよいよ年末も押し迫ってきました。が、仕事に追われていると、全然そんな感じはしません。
 自分の胆力の無さが悪いんでしょうけど、季節が通り過ぎる情緒を楽しむ精神的な余裕がない。市場経済という『悪魔の碾き臼』(byカール・ポランニー)に剥き身で晒されている、とつくづく思います。

 岸田が今度は原発の新増設と運転期間延長を言い出しました。


 
 昨今のLNG不足に対応して短期的に再稼働する、なら判らないでもない。しかし新増設や運転延長は長期間の話です。長期的には人口減と省エネの進展で日本の電力需要は減少するし、何よりも原発の発電コストは再生エネに比べて高い、という問題がある。しかも新増設では温暖化ガスも大量に排出される
 原発の活用は長期に渡って日本経済全体の足を引っ張る負の遺産になる。
 もちろん事故や攻撃を受けるリスクは言うまでもありません。ソ連崩壊の遠因はチェルノブイリ事故、という説がありますが、日本の財政状況でもう一度福島みたいなことが起きたら耐えられるかどうかわからない。
 ミサイルの件と言い、ほんと、岸田はロクでもないことしかしない。


  
 その一方 今週も『少子化が一層 進んでいる』というニュースが流れていました。今年の年間出生数は80万人を割る見込みです。

 団塊ジュニアなどの世代では出生数は200万人もいた。ちょっと前まで100万人くらいでした。100万人から20万人減る、ということは、そのままだったら国内産業の売上が2割減る、ということです。企業の内部留保を責める向きもありますが、こんな人口減では企業が国内市場に投資する訳がありません。投資したらバカでしょう(笑)。


https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

 中国や北朝鮮、ロシアの脅威より、少子化の脅威の方が遥かに大きいのは誰にでも判る。社会のリーダー層からそういう声が出てこないのは不思議でなりません。

 リベラル寄りの層だって思考停止。
 相変わらず軍拡反対一辺倒で、外交の具体策もなければ、財政・人口政策・外交・軍備をバランスよく考える発想はない。内田樹あたりまで嘘拡声器に成り下がってる。ちょっと調べればわかることなのに、年齢で思考能力が低下しているのでしょう。

 少子化は男が家事をしないとか、教育や育児支援に国が金を出さないとか、アホが積み重なった結果です。『家庭重視』の名の下に保守的な男女役割を強調して戦後日本を壊滅させようとしてきた日本会議統一教会の目論見は見事に成功した。騙される方が悪いんだけど(笑)。
 今や日本は世界に取り残された人口の半分を有効活用できないんだから、世界に勝てるはずがない

 バカは死ななきゃわからない、とは言いますが、バカな国は滅びなければわからないのかも。大日本帝国もそうだったし(笑)。
 ここから脱する策は二つ。
子育て&教育支援の充実だけでなく、専業主婦を優遇する税制廃止や男女間の家事分担など国民の意識変革まで含めて女性の社会進出を加速させる』、
 もしくは
イノベーションで生産性を抜本的に高める』。

 このどちらかが出来なければ、日本の未来はベストなシナリオでも『安楽死』です(笑)。勿論 ハイパーインフレ資本流出による経済混乱やギリシャ夕張市のように年金や福祉などの社会インフラが崩壊するような、もっと酷い未来が待っていても不思議ではありません。
 個人的にはあと20年保てば知ったことではない、と思っているのですが、そこまで保つかなあ。
 


 さて、先週に引き続いて軽井沢ジビエの旅、本編です。

 最初はイトウのルイベ。日本最大の淡水魚で幻と言われていましたが、最近は長野で養殖しているそうです。アスパラのソースを添えた半凍のカルパッチョ。脂がのっているけど嫌味がなく、上品な味でした。

 こちらが前半のハイライト。『パテ・ド・ロア』(王冠のパテ)。
 最初に王冠の型に詰めて焼いたものを見せてくれます。

 今回の催しを店側が『王様のジビエ』と名付けている所以です。https://gibierto.jp/article/shops/restaurants/985/

 作り方は雉、鹿、猪などの具材を火が通りにくいものから詰めて味をなじませては一晩おき、また詰めては一晩おき、それから焼く。焼いたら冷やして、また味をなじませる。今度は肉とパイの間に出来た隙間にコンソメを流し込んで冷やし固める。作るのに1週間かかるそうです。
 
 勿論 王冠サイズを一人で食べられるはずがありません(笑)。一人分はこんな感じ。食べ応えがあるだけでなく肉ごとの食感も異なっていて、いかにも肉らしい味でした。普段だったら、これでお腹いっぱい。

 次はジビエコンソメ

 お口直しの山葡萄のグラニ。これもまた味が濃厚。

 冬の白身ということでヒラメのポワレ

 特別大きな実がなる種類という長野産の落花生がソースに入っています。

 これが今日のメイン。野兎のロワイヤル。野兎を何日もかけて煮たものの上に黒トリュフ、フォワグラが載っています。ソースは肉汁に香味野菜、赤ワインやチョコを煮詰めたもの。味は濃厚だけどバターが少ないのは◎。

 野兎は兎とは全く違うそうです。兎は鶏肉みたいな味ですが、野兎は普通だったら臭くて食べられないと言います。それを何日も掛けてパセリやセロリなどの香味野菜やワインで煮て、臭みを抜く。
 この肉は臭いどころか、とても美味しかったですが、食感はお酒で煮たコンビーフみたいになってたかな(笑)。

 近年 野兎はめっきり取れなくなってきているそうで、材料を日本中から掻き集めているそうです。来年は野兎はごく短期間しか出せないかもしれない、と店の人は言ってました。我々の食もまた、どんどん貧しくなっている

 チーズの’’デギュスタシオン’’。右奥のスティルトン(ブルーチーズ)以外はすべて長野産だそうです。ボクの好きな癖が強いチーズ、ウォッシュタイプや山羊なども最近は国産でも作っているんですね。

 お試し、ということで、先ほどのチーズがそれぞれ、様々に加工されて出てきました。左端のヤギのチーズで黒トリュフを挟んだもの。チーズにも香りが移って、感心するくらい濃厚なトリュフの香りがしました。

 リンゴの’’コンポジション’’。なんで再構成なのかと聞いたら、長野産リンゴを様々な部位をシャーベットやムースなど様々な料理法にしたから、ということでした。

 長野産栗のスフレ

 『これでもか』とばかりにお茶菓子。この頃ボクは酔っぱらって、椅子に座りながら半分寝むりかかっています(笑)。

 料理の味も量も満足しました。また食べたい。
 ただ、ペアリングにしてもらったお酒の量が多すぎた。料理にそれぞれ合わせて出てくるどころか、野兎にはブルゴーニュボルドー

 デザートには甘口のシャンパンとソーテルヌまで出てきた。

 一人分は全部で550CCだそうです。ボクにはムリ。途中からだいぶ残したのですが、それでも最後の方は眠くなって半死半生状態でした。


 食後は森のお散歩です。レストランの外にある森はこの時期 クリスマス用のライトアップがされています。凍てつくような寒さで酔眼が覚めました。


 あれだけ食べても、翌朝の食欲はバッチリでした(笑)。瓶に詰めた様々なサラダやスープ、それに焼きたてのガレット(ブルターニュ風の蕎麦粉のクレープ)の朝食です。

 特に軽井沢で行きたいところもないし用事もあったので、朝食を食べて直ぐ東京へ戻りました。東京駅までたった1時間で日常に戻ってしまう。
 また、来年!