特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『戦場記者』

 今年もあと10日あまりとなりました。日比谷公園イチョウは今が盛りです。

 今年も忘年会がほぼなかったのは本当に嬉しかったけど、冷静に考えてみれば、今までは良くあんな疲れることをやってたなーと思います。ホント、無駄だった。
 こういうくだらない宴会も日本の生産性を落とす、衰退の原因の一つじゃないですか(笑)。


  岸田の支持率がまた、落ちました。当然と言えば、当然でしょう。

mainichi.jp

 国民の世論は防衛費増は賛成、

 でも増税は反対、のようです。意味が分からん(笑)。

 かと言って、野党にも受け皿がない以上 他に代替案がない。立憲民主の小川淳也氏も自分でそう言っている(笑)。

 安倍内閣を憲政史上最長にまで延命させた大きな原因は野党、でしょう。単に野党同士がまとまれないだけでなく、現実的な選択肢を国民に示すことができない。この期に及んでも消費減税とかインボイス反対とかトチ狂ったことを言ってる。

 ただ、日本がミサイルを持つにしてもアメリカ軍と一体運用のようなので、その点は不幸中の幸いです(笑)。日本人にミサイルを撃つ情報も判断力もあるわけがない。アメリカの下請けが分相応です。少なくとも連中は負ける戦争はしないでしょう、日本とは違って(笑)。

sp.m.jiji.com

 与野党含めて政治家のレベルの低さも民度の現れですから仕方がありませんが、困ったものです。このこと一つとっても日本に戦争なんかできるはずがない。政治家も国民もバカなんだから余計なことは考えない方がいい、ってなものです(笑)。


 と、いうことで、有楽町で映画『戦場記者

TBSの中東支局長であり、世界中の戦地を取材してきた戦場記者・須賀川拓が監督と出演を果たしたドキュメンタリー。ガザ、ウクライナアフガニスタンなどさまざまな紛争地に足を運び、一般市民が巻き添えとなって犠牲者が出ている現実を伝えながら、報道の意義を考える。
senjokisha.jp

 TBSの報道番組を見ていると時々須賀川氏が出てきます。彼はTBSの中東支局長(というか中東支局はロンドン支局に間借りしており、中東支局は彼一人)を務めながら、ウクライナなどの戦場取材を続けています。TWITTERで彼の意見を見ると中々骨のある、またバランスのとれた考え方をしている人なので、ボクは結構気にしている人です。かって『報道特集』の金平氏が受賞した「ボーン・上田記念国際記者賞」を昨年 受賞しています。

 映画は須賀川氏が取材したガザ、ウクライナ、アフガンでの取材が描かれます。その合間に須賀川氏が感じる取材対象への思いが述べられる、という構成です。

須賀川氏。TBSの中東支局はロンドン支局の中にある、この机の上だけ、だそうです(笑)。

 最初はテルアビブから。イスラエルハマスの11日間の交戦が描かれます。
 空襲警報が鳴ると須賀川氏はヘルメットをかぶり、テルアビブの部屋の外に出ます。ハマスが撃ってきたロケット弾をイスラエルの防空システム(アイアンドーム)が迎撃しているのです。命中率9割以上と言われているだけあって、ハマスのロケット弾をアイアンドームの弾が追いかけて爆発させています。

 アイアンドームを実際に撃っているのを見たのは初めてです。須賀川氏の頭の上で、ロケット弾を文字通り上下左右に追いかけて迎撃する。しかもパトリオットが一基数億円するのに対して、アイアンドームは一発辺り数百万と安価。凄いと思いました。アイアンドーム弾道ミサイルは落とせないみたいですが、巡航ミサイルはOKでしょう。これは日本も売ってもらうべきです(笑)。

 空襲警報が鳴ると人々は隠れたり逃げ惑う人もいれば、普段通りの生活をしている人もいる。寝ている人すらいる。弾が飛んでくるのは日常になっている。
 11日間の紛争でイスラエル側の死者は13人。そのうち軍人は1人。

 次に須賀川氏はガザに入ります。イスラエルは民間人を平気で撃ってきます。

 須賀川氏は、『寝ているところを爆撃されて4人の子供と妻が殺された』という人を取材します。もちろん彼らはハマスでも何でもありません。驚くべき、酷い話です。亡くなった子供が使っていたキティちゃんの服や歯ブラシが今も遺品として残されている。

 彼には生後5か月の赤ちゃんが残されました。爆弾の破片で負傷した赤ちゃんは妻の服に包まれると安心して眠るそうです。
●残された赤ちゃんを抱くお父さん。壁には亡くなった子供たちの写真が置いてあります。

 もちろん、これはイスラエル戦争犯罪です。11日間の紛争でパレスチナ側の死者は約250人、うち半分が民間人。

 イスラエルは極悪非道ですが、ハマスだって武器がショボいだけで民間人を標的にしているのは一緒です。イスラエルハマスも民間人を撃っている。
 須賀川氏はイスラエルの残虐性を非難するだけでなく、ハマスの問題点も指摘します。ガザに住む彼の友人は皆 本音ではハマスに不満を持っているそうです。
 彼は言います。パレスチナの問題はもう、当事者では止められないのではないか。報じ続けることで第3者が仲介するのではないのではないか、と。

 次にはウクライナでの取材光景が写されます。驚くのはここでもガザと同じ光景が広がっていたことです。民間人の建物にロシア軍のミサイルが命中、破壊されて犠牲者が出ている。ロシアはシリアでやってきたこと(市民の虐殺)をそのままウクライナで繰り返しているそうです。

 須賀川氏は実際に住宅地に打ち込まれたクラスター弾の残骸を見つけます。国際法違反です。

 更にチェルノブイリの石棺の脇の建物にロシア軍が土嚢を積んで陣地にしていたのを発見します。連中は汚染土を掘り返して塹壕も掘っていた。兵士たちが被ばくしただけでなく、周辺の空間線量が心配、と言われています。

 そしてアフガン。タリバンの外相にインタビューする須賀川氏はアフガン国内の貧困や麻薬の蔓延、それに女性の権利などにも切り込んでいきます。

タリバンの外相にも切り込んでいきます。

 と、同時に西欧による経済制裁がアフガンの人々にどんな結果をもたらしているかも忘れません。彼が取材した、タリバンも取り締まることを諦めた麻薬中毒患者たちの光景は確かに凄いものでした。橋の下の河原に死体と麻薬中毒の患者が折り重なっています。

 須賀川氏は『自分がやっていることは偽善』と断言します。彼は戦地で困難にあえいでいる人を取材しているけれど、やはり自分の家族が一番大事です。戦争や貧困で犠牲になっている人たちを彼は救うことが出来ない。しかし、出来ることを一人一人がやっていくことしか世の中の矛盾を良い方向にもっていくことはできないのではないか、と彼は言います。

 取材内容を映画で長時間見ると、彼の取材が非常に説得力あることが分かります。どちらかを一方的に悪者にするのではなく、ただ事実を見ようとする。TVとは全然違うんだなと改めて思いました。

 そしてリアルです。戦場へ出発する前、彼が同行する記者と救急用品の点検をするシーンがあります。どちらかが撃たれても、もう一人がすばやく手当てできるように、鞄の中に救急用品を入れる場所まで同じ場所にお互いセットする。こういうのは現場へ行く人でなければ判らない。
 ということで、考えさせられるだけでなく、かなり面白いドキュメンタリーでした。


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