いよいよ、冬の寒さを感じるようになってきました。
土曜日のTBS『報道特集』、久々に金平キャスターが出演して、改竄を強要されて亡くなった官僚、赤木氏の奥さんにインタビューしていました。スタジオでの出演は初めてだと思いますが、金平氏とは余程 信頼関係があるのでしょう。
きょうの #報道特集
— 報道特集(JNN / TBSテレビ) (@tbs_houtoku) 2022年11月26日
前半の特集は…
『森友事件~赤木雅子さん “2000日余りの闘い”』
森友学園の公文書改ざんで自殺した赤木俊夫さん。
「尊敬しているし大好きです」
妻の雅子さんがスタジオに生出演。
予告動画をアップしました。
是非ご覧ください。#JNN #TBS pic.twitter.com/c2nFfw4zfY
奥さんの話を聞きながら鬱が発症した当時の赤木氏の様子を見ると、改めて『なんと残酷なんだろう』と思いました。そこには文字通り組織の暴力で破壊された人間の姿が映っていました。あのフィルムを見ただけでも安倍晋三は人間として許せない。
改竄は安倍晋三当人は直接指示しておらず役人が阿ったのかもしれませんが、やはり安倍晋三には責任が大いにある。しかも隠ぺいにかかわった赤木氏の上司は全員出世した。組織としても腐りきっている。
TBS「報道特集」
— TVer【公式】 (@TVer_info) 2022年11月27日
赤木雅子さん2000日の闘い #TVer #報道特集 #膳場貴子 #村瀬健介 #上村彩子 #日下部正樹 #高柳光希 @tbs_houtokuhttps://t.co/dmaS9Ko5Vb
番組で、安倍晋三の偽国葬の日にわざわざ武道館周辺まで行ったという赤木さんの奥さんは安倍晋三の奥さん(名前忘れた)に『自分と同じ気持ちだろう』と言っていましたが、因果応報を感じざるを得ません。やはり真実を明らかにしなければ赤木さんだけでなく、安倍晋三だってスッキリ眠ることができないのではないか、と思いました。
赤木雅子さんの真相解明を求めた裁判は、いわば門前払いにあった。被告側の席には代理人の弁護士さえ出席していない。公務員倫理を遵守しようとした赤木さんの自死に対して、「認容」という異例の手段を使って詳細な説明を封じて裁判を「強制終了」させてきた財務省は、何を隠し守ろうとしているのか。
— 保坂展人 (@hosakanobuto) 2022年11月27日
森友事件にしろ、原発にしろ、結局 国がやっていることは国民の信頼を毀損し続けている、ということです。このツケはいずれ、利子が付いた形で回ってくるでしょう。今 史上最悪のペースで進んでいる少子化も国民がこの国の存在を拒否しているということだ と思います。
今年の出生数が過去最少ペースで「危機的状況」 松野官房長官(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
ということで、六本木で映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
アフリカの秘境にある超文明国家ワカンダ国には、平和な日々が訪れたかに思われた。だが、若き国王ティ・チャラを失ったワカンダは好機とばかりに資源を狙う欧米の魔の手に晒されていた。さらに謎のある事件が起きる。遺(のこ)されたティ・チャラの妹シュリ(レティーシャ・ライト)、母親ラモンダ(アンジェラ・バセット)、国王親衛隊を率いる女性戦士オコエ(ダナイ・グリラ)らの前に、新たな脅威が現れる。
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ボクなんかが言うまでもなく前作『ブラックパンサー』は映画の歴史を変えた大傑作でした。日本を除く世界中で大ヒットしただけでなく、黒人がほとんどすべてのキャストを占める映画で全米1位が獲れることを証明し、そしてヒーロー映画で初めてアカデミー作品賞にノミネートされた作品でもあります。
●1作目でブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマン(左)、2作目で演じた妹役のシュリ(レティーシャ・ライト)
実際、映画としての質も死ぬほど高かった。欧米の植民地主義から逃れた国がアフリカに存在していたらどうなっていたか、というシチュエーション。マルコムXとキング牧師の革命路線の対立を彷彿させるキルモンガーとブラックパンサーの対立。カリスマ性たっぷりの主役、チャドウィック・ボーズマンだけでなくひたすら賢く美しく自立した女性たちも魅力的でした。そして現代のヒップホップの第一人者、ケンドリック・ラマーがプロデュースした音楽。
何よりも監督ライアン・クーグラーの前作と連結しているところがサイコーでした。どういうことか。
ライアン・クーグラーの前作は『フルートべール駅で』というセミ・ドキュメンタリーで、サンフランシスコの地下鉄駅で白人の警備員に無実の黒人男性が殺された実話を描いた傑作です。居合わせた観客がケータイで撮影した、実際に男性が殺される実写が使われた衝撃の作品です。
『ブラックパンサー』では『フルートべール駅で』で殺された男性を演じたマイケル・B・ジョーダンが宿敵、キルモンガーを演じています。キルモンガーは黒人解放のために武力で戦うことを目指している。ブラックパンサーとキルモンガーとの戦いの結果、孤立主義だった超科学国家ワカンダは自らの主義を放棄し世界中の貧困にあえぐ黒人を援助するようになる。その結果 フルトヴェール駅周辺の黒人スラム地区はワカンダの手によって再開発される、という、まるで『フルートべール駅で』で起きた事件の仇討のような映画でした。
誰でも楽しめる第一級のヒーロー映画ですが、途中からボクは泣けて泣けて困りました。
●ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)(右)と宿敵キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)
これだけの作品の続編となるとハードルはもう、異常に高い。しかも主役のチャドウィック・ボーズマンが撮影途中 ガンで病死する。監督自身も完成をあきらめるどころか映画界からの引退を覚悟したそうです。
それでも脚本を書き直し、完成にこぎつけたのが今作。アメリカでは今のところ2週連続で興行収入1位を記録しています。
今作ではアフリカ系であるワカンダとラテン系の海の帝国、ネイモアとの対立が描かれます。人種間の対立を娯楽作品に反映させる、ここいら辺はさすが、としか言いようがない。更に平和主義の超文明国家、ワカンダと資源を狙う欧米、特にアメリカとの対立。『戦争ばかりやっているアメリカに資源の秘密を渡したら大変なことになる』ってセリフはアメリカの大資本の映画とは思えません(笑)。
また話し合いで解決しようとするもこじれて全面戦争に突入してしまうところはウクライナを始めとする現代の様々な紛争を思い起こさせます。メキシコ系の音楽を反映させた今作の音楽もめちゃくちゃかっこいい。
今回 チャドウィック・ボーズマン、いやブラックパンサーである若き国王 ティ・チャラ亡き後、お話は女性たちに引き継がれます。ティ・チャラの妹、天才科学者のシュリ(レティーシャ・ライト)、
母親である女王、ラモンダ(アンジェラ・バセット)、国王親衛隊を率いる最強の戦士オコエ(ダナイ・グリラ)。前作でもめちゃくちゃ魅力的だった彼女たちが全面的にフィーチャーされる。前半はワクワクしました。
●ブラックパンサー亡き後 国王を継いだ母、ラモンダ(アンジェラ・バセット)(右)と国王親衛隊を率いる戦士オコエ(ダナイ・グリラ)(左)
ただ、後半のお話がいまいち、消化不良です。なんでネイモアとの戦争が避けられなかったのか説得力がなかったし(ネイモアの方が道義的に見える)、ブラックパンサーを継承したシュリの精神的な成長ももっと突き詰めて欲しかった。
既に第3作の製作が決まっているからか、結末も中途半端です。ボクは前作では最強の戦士、オコエが大好きだったのですが、活躍がいまいちだったし、
●シュリ(右)とオコエ(左)。オコエのスーツ姿、サイコーです。こんな美女が世の中にいるのか、と思った。
女王役のアンジェラ・バセットも迷える君主として、まるでマクベスのような名演を見せるのですが、あっさり死んじゃうのはおかしい(笑)。
これは仕方ないけど、アイアンマンを継承したアイアンハート(アイアンマンの後を継いだ少女)の扱いも中途半端で
同じ天才科学者ということでシュリとキャラが被ってしまう。
それにしてもシュリのブラックパンサーの姿は生物として死ぬほど美しい造形でした。これは見るだけでも価値がある。
チャドウィック・ボーズマンの追悼作品としては傑作だとは思います。これだけ哀惜の念がこもっている作品も珍しい。まさに『挽歌』です。
映画としては水準以上ではあるけれど、スーパーウルトラ大傑作だった前作は超えられなかった。そんな感じでしょうか。第3作に期待します。