特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『紅焼菜花』と『報道特集』(統一教会特集)、イタリア映画祭2022『スーパーヒーローズ』

 今日から8月。この週末は本当に暑くて、日中は外に出るだけで倒れそうでした。災害レベルの暑さは気候変動の影響でしょう。

 しかも感染は着実に広まっている。極力 外には出ないようにしていましたが、家に居てもクーラーをかけないと倒れそうになる。クーラーをかけたらかけたで風邪をひきそうだし、なかなか大変な夏です。


 週末のブランチは三軒茶屋のガチ中華、湖南料理を食べてきました。
 料理は『紅焼菜花』、豚肉の塊と菜の花を醤油で煮たものです。中華料理では、醤油煮を紅焼と言うそうですが、中国醤油は日本のものより色が赤いですから、言い得て妙だと思います。

 肉が柔らかく煮てあって、脂がいい具合におちて全然しつこくない。×万円の和牛霜降り肉なんかより遥かに美味しい。軟らかく煮た菜の花(日本の物とは種類は違うと思います)の苦みと軽やかな発酵唐辛子の辛みもマッチしています。肉と野菜のバランスが1:1くらいなのも丁度良かった。

 細長い湖南米と一緒に食べると実に美味しい。ダイエットのことを考えなければ、幾らでも食べられるような味でした。幸せ(笑)。


 さて、土曜日のTBS『報道特集』の『統一教会』特集、BSの『報道1930』と競うような内容でした。報道1930でまだ取り上げていない『統一教会が最近まで毎年百億円以上の莫大な献金を日本で集めていたということ』や

 また『統一教会は日本と同じようにアメリカでも政界工作をやっていた』を報じていました。

newsdig.tbs.co.jp

 政治家に運動員や寄付を提供して影響力を強めていたことや、米議会に乱入した群集のなかに統一教会の分派(文鮮明の息子が作った)が混じっていた話、また文春にも載った、安倍晋三統一教会系の団体でスピーチした経緯を統一教会の幹部が語っているビデオなどは大変興味深かった。
 この番組も、BS-TBSの『報道1930』と同じようにYouTubeにアップされています。TBS、頑張っているじゃないですか。

 こんな時期にも拘わらず、キャスターの金平氏がわざわざアメリカへ行って証言をとったのは気合が入っています。
 が、証言をしたのが脱会した幹部というだけで背景などは詳しく判らなかったし、実際のところ統一教会アメリカでどの程度勢力を持っているのかわからない、など事実の報道という面では物足りない部分もありました。

 例えば、ニューヨーク・タイムスによると統一教会は4700億円以上ものカネを日本からアメリカに送金して資金源にしているそうです4700億円以上をアメリカに送金済み…統一教会が日本人信者から徹底的に巻き上げた本当の理由(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース。そういう客観的な話がないと説得力が薄い。

 『報道特集』は数少ないまともな番組であることは間違いないのですが、最近は原発事故の被害報道などで訂正を強いられるTBS「報道特集」、番組内容を一部訂正 原発事故報道 : スポーツ報知など時折 詰めが甘いところが散見されるのも事実。
 番組で取り上げられた統一教会の幹部、梶栗氏の証言も、一人だけの証言では必ずしも信用できないから、こういう見方↓もあるわけです。

 最近は統一教会との関係を問われた政治家が開き直る姿が目につきます。安倍政権より前には考えられないことです。
 他国のカルト教団が総理大臣や防衛大臣国家公安委員長文科相とくっついてるって許されるのでしょうか。もう、国の体を成していないと言えるのでは?こんなことがまかり通るのは大多数のマスコミの変質だけでなく、国民の意識の問題です。

 『報道特集』や『報道1930』のようなまともな番組がいつまで続いてくれることやら、心配です。


 と、いうことで、今回の映画の感想はイタリア映画祭2022のオンライン上映の作品です。オンラインでの上映は終わってしまいましたが、有名監督が作ったというだけでなく捨て置くには勿体ない作品だし、これから日本で公開されるかもしれません。
www.asahi.com

 映画祭の人気ランキング2位、『スーパーヒーローズ』(Supereroi)


 世界中でリメイクされた『おとなの事情』のパオロ・ジェノヴェーゼ監督の新作です。パーティーに集まった男女が冗談でスマホの内容を互いに公開することにしたらどうなるか、を描いたコメディは、人物描写は辛辣でしたが質の高い映画でした。面白かった(笑)。

おとなの事情

おとなの事情

  • ジュゼッペ・バッティストン
Amazon
spyboy.hatenablog.com

 この作品、日本でも東山紀之などメジャーどころが出演してリメイク、TVの金曜ロードショーでも放送されたので、ご覧になった方もいるかもしれません。ボクは見てません(笑)。

 今作は論理的な物理学者、マルコと奔放な漫画家、アンナのカップルの約10年を描いた物語です。
●マルコとアンナ

 イタリア映画の常ですが、男と女の出会いは洒落ています。大雨が降った晩、アンナが建物の下で雨宿りをしているところで偶然一緒になったマルコはちょっと世間話をしたあと、名前も名乗らず、笑顔でアンナに自分の傘を差しだす。礼を言って傘を広げて去っていくアンナですが、その傘の布部分にはマルコの電話番号が大書されている(笑)。
 イタリア人は本当にこんなナンパをやっているのか(笑)。

 物理学者のマルコと漫画家のアンナ、キャラクターは本当に対照的です。極端に理屈っぽいマルコと自由奔放で情熱的なアンナ、それに宗教も無神論者っぽいマルコとカソリックっぽいアンナ。ここも面白い。

 仲良しカップルの二人は10年間も同棲を続けていますが、結婚や子供を作ることにはどうしても踏み切れない。この葛藤がポイントです。

 題名の『スーパーヒーローズ』は漫画家のアンナが連載している漫画から取られています。様々なトラブルを乗り越えて長年付き合っているカップルはそれだけでヒーローじゃないか、というのです。

 10年間の時間は楽しいだけではありません。もちろんケンカはあるし、イタリア人らしくお互い浮気もするし、浮気未遂もある。別れもある。

 映画は過去のエピソードと現在の話が並行して語られます。この語り方が本当にうまい。例えば同じ場所を歩いていても10年前と現在の主人公たちがすれ違ったりする。こういう語り方を見たのは初めてで、撮影、構図も含めて非常に感心しました。実にスタイリッシュです。
●マルコに髭が生えているのが現在。髭がないのが10年前(笑)。

 

 そういうこともあって、お話が進むにつれて中身にどんどん引き込まれていきます。と、同時に内容はどんどんシリアスになっていく。

 人生の喜び、切なさがとても瑞々しく、スマートに描かれている映画です。限りがある人生でも人はなんとかして希望を見出すことは出来る、そんな大事なことを思い出させてくれる作品でした。それこそがスーパーヒーローなんだと。
 正直 普段はそんなこと、ボクはすっかり忘れていました。『おとなの事情』と異なり、意地悪な視線もなく(笑)、素直に感動する。
 Aクラスの作品。面白かったです。


www.youtube.com