特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

雨水の候(お昼ご飯を食べながら考えたこと)

 今日は雨水。雪が解け始め、凍っていた土がゆるんで、草木が芽生える時期だそうです。
 先週は大雪警報でしたし、今週末も危ないようですが、朝歩いていると寒さの緩みをはっきり感じるようになりました。夜明け前の空気はまだまだ冷たいけれど、陽が昇ると直ぐ温かくなってくるのが判ります。

 3月は株主総会やら人事異動やら、うっとおしくて嫌なことばっかりですが、温かくなるのは嬉しい。今年の春の訪れは案外早いかも。
●昨日の朝焼け。今年見た中では一番きれいでした。光の勢いがあるからだと思う。


 ウクライナのほうは一触即発のようですね。
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 昨年から危惧されたことが現実のものになりつつありますが『敵基地攻撃能力』と『軽井沢の「チョウザメ」と「輝く森」』 - 特別な1日、実際のところは正直、よく判りません。
 ロシアだけでなく、ウクライナもドローンなどで挑発しているようですし、そもそも現代の戦争は軍事力だけで行われるものではありません。ロシアのサイバー攻撃は既に始まっているようですし、日本で流れているニュースもどちらかのフェイクニュースである場合もあり得るでしょう。やっぱりニュースは複数のソースを確認することが大事です。

 改めて感じたのは、軍事力があまりに不均衡だと却って戦争を誘発する可能性が高い、ということです。ロシアは2008年から少しずつウクライナの領土を併合してきました。正面切って戦わなくても、軍事力と謀略を背景に既成事実を積み重ねてきました。一方 アメリカも14年のウクライナの政変にCIAが関わっていたから、どっちもどっち(笑)。

 いずれにしてもロシアとウクライナとでは軍事力に圧倒的差があるから、ロシアにとっては侵略するチャンスができてしまう。だからウクライナNATOに入りたがる訳です。そうするとロシアは余計ウクライナを圧迫する悪循環になる。それが現状です。NATOにしても、カネもなければ大した軍事力もないウクライナが入ってきても迷惑らしいですが(笑)。


 日本は戦争を絶対にしてはいけないですがそれだけじゃただのバカ(笑)。そのためにはどうしたらよいかが問題です。
 もちろん外交がメインになるにしろ、それだけではムリじゃないでしょうかだって日本の外交が優れているわけでもないし、政治家が優秀な訳でもないし、日本人や理念が世界から尊敬されているわけでもない(笑)。経済力も陰りを見せている。もっと現実的になったほうが良いと思う。

 今の世界ではたぶん、軍事的な抑止力も必要なんだと思います。ウクライナ南シナ海も独島(日本名忘れた)も軍事的な空白の結果、こうなった。対米戦争に反対した最後の海軍大将、井上成美は『日本は戦争はしてはいけない。そのためにはBeing Fleet(存在としての軍事力)が必要だ。』と言っていました。

 平和国家として知られるスウェーデンは長年 武装中立を標榜し、NATOには加盟しないかわりに積極的に海外派兵して平和維持活動をすることを自国の安全保障にしていました。しかしソ連の脅威の増大で、近年は自国の軍隊をNATO軍と協働させているそうです。実質的にNATOに入って集団的自衛権を行使する、ということです。大変考えさせられる出来事です。

 小国こそ、集団的自衛権は必要かもしれません。
 残念ながら、日本の安全保障上のリスクは東シナ海、台湾、北朝鮮と世界でも指折りに大きなものになっています。
 なのにアメリカとだけ安全保障条約を結んでいるから、アメリカの力の弱まりとともに安全保障リスクが上昇するばかりか、アメリカに対して立場も著しく不利になっている。
 もっと安全保障を真剣に考えて、アメリカだけでなくオーストラリアやニュージーランド、タイなどと集団安全保障体制を作る、くらいの議論はあっても良いのではないでしょうか。事実 TPPの交渉では確か保険分野などでタイやオーストラリアが強硬に主張してアメリカの独走を抑えることが出来たわけです。
 中国の歴史書『戦国策』にあるように、小国こそ沢山の他国と組むべきです。アメリカ一辺倒の日本はやっぱり、傲慢なんだな。

 集団的自衛権の是非はともかく、日本で安全保障の議論がまともにないのはやっぱりまずい、と思う。敵基地攻撃能力なんてそんな単純な話じゃない(バカバカしい)。外交も含めて総合的にどうするかってことが問題なんです。
 これは与党だけでなく、野党にも国民にも責任があります。安全保障だけでなく、経済も含め、日本は政治家も国民も、自分たちのことを真剣に考えていない気がします。

●日本の購買力はこの10年間で50年前に逆戻りしました。円安誘導のアベノミクスの結果です。

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 さて、ひとりで昼ご飯を食べていると、やってくるお客さんが何種類かのタイプに分かれていることに気づかされます。人間に興味がないボクですら、そう感じるのですから、気になる人はもっと気になるのではないでしょうか(と想像します)。
 
 いつも書いているように、ボクがお昼に行く中華料理は場末の汚い店で、消費税もない、東京都の禁煙条例も守らない、日本語もお母さんにしか通じません。最近はやりのガチ中華(完全な郷土料理)とは違いますが、少し特殊なお店です(笑)。
 その客層は明確にいくつかのタイプに別れています。

 まず中国の人。何をしゃべっているのか判らないけれど、中年以上の人はお店の人と一緒に楽しそうにぺちゃくちゃお喋りしている人が多い。若い人たちは音楽を聴きながら、スマホで株を見ている。感染対策は皆 神経質なくらいです。絶対マスクをしているし、アルコール消毒も必ずやっている。この人たちは安心です。
白身魚と野菜の炒め物の定食800円。スープはちゃんと鶏ガラから取っています。

 次は日本のザ・労働者階級、肉体労働をやってる道路工事や建設現場のあんちゃんたちです。タバコは吸うし、マスク着用にも気を使わないし、他を顧みず店内で携帯で喋っていることも多い。ボクはタバコは大嫌いだし、何よりも感染が怖いから、彼らの近くのテーブルには絶対 近寄りません。
 彼らが選ぶメニューは保守的。ラーメンとかチャーハンとかニラレバとか良くある料理しか頼まない。彼らは普段と変わったことをしない、という嗜好が身体の底から染みついていると思う。たぶん政治的にもそうじゃないでしょうか。

●トマトと牛肉の炒め物。ボクにだけ手作りの水餃子がついてくる(笑)。

 でもこの人たちは礼儀正しい人が多い。格好は汚いけど、配膳されても、会計の時でも、たいてい彼らはお店の人にちゃんとお礼を言う。そういう光景って気持ちいいです。近寄りたくはないけど、ボクはこの人たちは結構好き。ただし、肉体労働っていうけれど、こういう人たちは60代、70代みたいな高齢者が多いのは気になります。
●地獄のような量の黒担々麺

 ボクが嫌いなのがサラリーマンの集団。特に中年以上。みっともなく膨らんだ腹の上に安っちい服を着てネクタイ締めて、男ばかり数人で無言で店に入ってくる。マスクはしているし、大声は出さないけど、仲間内以外とはコミュニケーションを取ろうとしない。連中がお店の人にお礼を言ったり、挨拶しているのを見たことは滅多にありません。その癖 尻が長い。店が混んできても気にしないで、食べ終わっても仲間内ででれでれと、たいていは会社の愚痴を喋っている。1000円以下の支払いに1万円札を出す奴が同じグループ内に何人もいて、店に嫌がられることも多い。

 こいつらが居ると雰囲気が壊れます。ネクタイ締めたサラリーマンという人種が不愛想で偉そうでクレーマーが多いのは他の業種、例えばコンビニの店員さんなんかも良くネットで嘆いています(慇懃無礼さでは銀行マンが最悪ってよく言います)。こいつら、人間として徹底的にダメだと思う。傲慢、なんですね。
 他人のことは考えず、仲間内だけの論理で動いているというのはサラリーマンだけでなく、政治家も一緒です。まさに日本のムラ社会を象徴している。そりゃあ、日本経済が衰退するのはムリもない。

 エリートサラリーマンが集う丸の内やお洒落な六本木の店では雰囲気はまた違うのかもしれませんが(もっと無機質だと思う)、場末の店でお昼ご飯を食べているだけでも今の日本の雰囲気が判ります。

 中国の人は人生を楽しむお喋りか、株で金儲け(笑)。とにかく元気です。
 日本の労働者階級は人間的には良い人が多いけど、考え方は保守的。高齢化し、身体にはあまり気を使わないから、先は長くないかも(笑)。ホワイトカラーは仲間内で生きている。全く楽しそうじゃないわりにやたらと集団でつるみたがる。集団の外のことは慮らないから、お昼を食べる時まで雰囲気は職場の延長です。元気もなければ、頭も使わない

 で、店のテレビではワイドショーの韓国や中国の悪口、それにオリンピックだの皇室だの、愚にもつかない話題ばっかり。
 何年か前 中国出張で見たCCTVのワイドショーでは人民解放軍をフィーチャーした愛国コーナーだけじゃなく(笑)、きちんとした国際ニュースも取り上げられていたのとは全く対照的です。
 これでは中国との差は開く一方どころか、日本人は自滅コースまっしぐらです。
●ニュースじゃなくてワイドショーでも、ちゃんと世界のことを取り上げている。

 じゃ、お前は何なんだって?(笑)
 ボクは世間話とかは一切しないけど、いつも相手の目を見て挨拶するようにしているし、おつりで店に負担をかけないよう常に1000円札を準備していくし、美味しかった時はやや大げさに『美味しかった~』と厨房にもお礼をいいます。日本語がまったく通じないコックさんにだって、笑顔を見せたりお礼を言えば気持ちは通じます。国籍も言葉も、人間の気持ちには関係ない

 向こうは『変な日本人』と思ってるだろうけど、そのほうがこちらだって気持ちがいいし、サービスで一品増えたり、メニューにないものがでてきたり、混んでいてもボクの注文が先回しになったりする。

 『変な日本人で上等じゃないか』と、思うんです。今までの日本の延長ではもう未来はないおそらく明るい未来はごく少数のやる気がある若い人(主に女性)だけのものでしょう。でも『変な日本人』でいれば、少なくとも美味しいものは食べられます(笑)。


 かってファシズムだった日本は占領軍から民主主義をもらいました。でも戦後80年も過ぎると国民は民主主義という贈り物を持て余して、今や弱肉強食の新自由主義か時代遅れのリベラル、フェイクニュースやデマ、頭の悪い言説など自分の聞きたいことだけを聞くポピュリズムばかりになった。国民の半数は選挙にすら、行かない。

 そうなると安倍晋三や維新の連中が典型で、自分は現実を無視して都合の悪いことは他人や他国のせいにする癖に他人のことは自己責任で片づける劣化した輩が幅を利かせるようになる。厳冬期の日本です。

 そんな日本でも、ごく一部だけ新しい芽がすこしずつ芽吹き始めているんじゃないか、という気もしないでもありません。
 例えば10代、20代の若い人は自民党支持者が多い、と言われますが、と、同時に若い人ほど男女選択的別姓や同性婚への支持は高い。
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 もしかしたら、今の日本も『雨水の候』じゃないでしょうか。新しい芽が根付くのはボクはもう居ない、50年後くらいかもしれませんが(笑)。