特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『感染の拡大』と映画『クライ・マッチョ』

 今年もあっという間に1か月が過ぎてしまいました。ですが、感染の拡大でそれどころではない、という感じです。
 出社したら感染と濃厚接触者発生の連絡ばかり。勤務先も殆ど保健所状態です。とにかく子供経由の感染が多くて、最近は道端ですれ違うのも子供が一番おっかない。子供はワクチンをしていないわけですから、今や保育所や学校は感染リスクが最も高い場所でしょう。

 他には花粉症と思って医者へ行ったらコロナ陽性だった、という例も聞きました。既に濃厚接触者の連絡など殆ど機能していないようですが、保健所はさぞ大変でしょう。 

 ただ実効再生産数は1月初旬がピークであとは低下傾向です。現在は全国の値で1.49とそれほどは高くありません。来週あたりには感染のピークを迎える可能性はある。


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 アメリカにいる人に話を聞くと、あちらでは感染しても症状が収まれば2日くらいで外出しているみたいですね。もちろん普通の風邪と違って、重症化リスクがあるし、手ごろなクスリがあるわけではありません。何が正しいのかよく判らん。

 

 ただ何が正しいのか判らなくても、先行している他所の国の例を見れば、ある程度のことはわかります。日本は他国から学ぼうとしないし、対策は依然 後手後手に回っている。
 ワクチンもモデルナの在庫はあるようですが、接種間隔を厚労省がバカみたいに厳密に管理しているから、接種券が届かなければ希望者でも打つことができない。役所がノロいだけで、民間では職域接種の準備はできている。接種者が増えれば感染だって減るのに、実にバカバカしい話です。

●これから国家公務員のテレワーク対応を検討するらしい(笑)。結論が出るのは来年の6月(笑)。

 検査キットの不足もそうですが、濃厚接触者の隔離期間を柔軟に運用することすら日本は中々出来ないんですから、この融通の利かなさには呆れます。要は、役人も政治家も頭が悪い、なおかつ国民も怒らないから連中はつけあがる。


 このこと一つとっても日本は有事に対応できない。戦争なんか絶対にやってはいけない国ってことがよく判ります(笑)。国民も政治家も判断力がないんだもん(笑)。 

 そう言えば、立憲民主の辻元元衆院議員が参院に鞍替えするそうです。地元の支持者相手に最初に発表したのは良いですが、筋が通った理由があるのかどうか。
 この人には国政に復帰してほしいし、この言い分もまったく理がないとは言わないけど、ボクはあまり納得できない。短期的な視点に立った選挙戦術で当選しても、立民にとっても辻元氏にとっても良いことはないんじゃないか。

 今夏の選挙は現行憲法下で最後の国政選挙になるかもしれません。もうすぐ選挙なのに野党がこんな状態で良いのか。とにかく、いつも仕掛けが遅い。公明党なんて年明けからそこいら中にポスター貼りまくってますよ。

 憲法だって時代に合わせて変わっていくものだし、例え憲法9条がなくなっても日本が滅びる訳でもない。憲法は単なる道具に過ぎません。だが今の政治家や国民、マスコミがこんなレベルでは憲法なんか変えてもロクなことにならないと思います(笑)。

 今の日本全体に言えることですが『身の程を知れ』。今の日本人の多くは単に頭が悪いだけでなく、傲慢だと思う。アメリカの属国なら属国らしくしていればいい。その方が怪我はないってなもんです(笑)。



と、いうことで、 新宿で映画『クライ・マッチョ

 舞台は1970年代、テキサス。ロデオ界の元スターのマイク・ミロ(クリント・イーストウッド)は、落馬事故後、アルコールとクスリで身を持ち崩し家族とも別れて、競走馬の種付けの仕事をしながら孤独なで暮らしをしている。ある日、彼は元雇用主に元妻と一緒にメキシコにいる息子のラフォ(エドゥアルド・ミネット)を連れてくるように頼まれ、単身メキシコに向かうが。
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 今年91歳のクリント・イーストウッド監督・主演の新作です。最近はさすがに劇場へ行くのも躊躇してしまうのですが、ま、イーストウッドの新作なら仕方がありません。 
 老人と少年のお話というと彼の過去の傑作『運び屋』とか『グラン・トリノ』と言った作品を思い起こさせます。

 最初に時代は1970年代、ということわりが入ります。どこか奇妙な感じもしたのですが、話が進んでいくと成程~と思わせられる設定です。
 テキサスで、かってロデオのスターだった主人公は今は身を持ち崩し、天涯孤独な老後生活を送っています。

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 そんな彼の元にかっての雇い主が主人公に、メキシコへ行って妻の元にいる雇い主の息子を連れてくるよう頼みに来ます。

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 元雇い主の話になにやら裏がありそうなことは主人公にも分かりますが、かって恩を受けた相手の依頼を断ることができない。おんぼろ車で国境を越え、メキシコシティに向かいます。

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 息子は雇い主の別れた妻の元にいます。彼女は何やら裏社会にいるようで、強面な部下が屋敷にたむろしている。息子は母親と折り合いが悪く、虐待すら受けている。家に居られない彼は10代前半にも関わらず闘鶏など裏稼業に足をふみいれています。もう、誰も信じない人間になっています。

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 主人公は荒んだ息子を何とか説得し、父親がいるテキサスへ向かいます。しかし、それを追って妻の手下が追いかけてきます。

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 主人公がロデオのスターというのはイーストウッドにぴったりというか、ずるいですよね。カウボーイハットを被って馬に乗る!姿はどうしてもかっての西部劇スターだったイーストウッド本人と重なってしまいます。さらに天涯孤独な主人公の身の上と言い、ギャングもどきの雇い主やその妻といい、お話はいかにもイーストウッドらしい、不吉なにおいがプンプンしています。

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 しかし、不吉な香りはするんだけど、画面に映る光景はどこか牧歌的です。老人と旅を続けるうちに意固地だった子供が次第に心が開かれていくところはほろりとさせます。
●少年は飼っている闘鶏を’’マッチョ’’と名付けて大事にしています。
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 しかし少年だけでなく、頑なな老人も徐々に変化していきます。

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 というか、この歳にして新たな自分を発見していく。長年 共和党支持者(トランプ支持はしていません)のイーストウッドはある意味 右翼的、リバタリアン的な人だし、そういうキャラクターを演じることが多いですが、異文化と触れ合って自分を理解できるようになることを判っているのが、凡百のバカウヨとは違うところです。

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 旅の途中で出会うメキシコ国境の村の未亡人とのエピソードも美しい。お互い言葉は通じないんだけど、眼と何気ない仕草で心を通わせていく。

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 不吉な香りがする割には、この映画では穏やかに時間が過ぎていきます。格調高い悲劇に終わるいつものイーストウッド節より、ボクはこういうほうが好き(笑)。
 しかしこれは70年代の物語だから、でしょう。麻薬ギャングが軍隊以上の力を持って人々を支配している今のメキシコではたぶん、あり得ないお話です。
 メキシコだけの話でなく、生き馬の目を抜く新自由主義が広まった現代ではこういう話は寓話にすら、見える。

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 4年前の『運び屋』では本人のベッドシーンがあって『なんというジジイだ』とビックリしたのですが、今作でもイーストウッド翁、とにかく元気です。


 歩いていると時折足がふらついて見えるところもあるのですが、表情に生気はあるし、演技も映画の出来栄えも衰えていません。
 傑作とかではありませんが、良くできた映画ではあります。普通に面白い。
 世の中がこんな有様ですから、こういう穏やかなドラマの方がいいじゃないですか。まして90を過ぎた翁が演じる物語です。人生にはこういう面があっても良いな、と思わせるような佳品です。
 

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