特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ラズベリーチーズケーキのソフト』と映画『ラストナイト・イン・ソーホー』

 もう12月も20日です。今年も速かったですねー。嫌なことは中々過ぎていかないのですが(笑い)
 今朝の東京の最低気温は0度。1時間半の徒歩通勤は手足がかじかんで、まるで冬山を歩いているみたいな気がしました(笑)。
●今朝の富士山。夕陽ではなく、朝陽です。

 冬と言えばアイスクリーム(笑)、店が空いてますから。北参道の日本一美味しい?ソフトクリーム屋の新作です。 

 自家製ミルクのソフトクリームにビスケット状のチーズケーキを振りかけ、ピスタチオやラズベリーのジャムを掛けたもの。カロリーは怖かったけど美味しかったです。

 GDPの偽造などこの国のタガが外れているのは相変わらず、だと思いますが、それでも庶民は日々の暮らしを頑張って生きていくしかありません。文句を言い続けつつ(これ大事)(笑)、何とか無事に過ごしていきたいものです。今年は1回もデモへ行けなかったなー(笑)。


 と、いうことで、六本木で映画『ラストナイト・イン・ソーホー』。

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 イギリスの地方部、コーンウォールで祖母に育てられたエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、かって自殺した母の影響で60年代のファッションや音楽に憧れている。霊感が強い彼女は度々母の幽霊を見ることすらあった。ファッションデザイナーを目指してロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学した彼女は、派手な学生たちばかりの寮生活に向かず一人暮らしをすることになる。新しいアパートで暮らし始めた彼女は、1960年代のソーホー地域にいる夢を見るようになる。エロイーズは夢の中で、歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)と出会い、彼女と一体化していく感覚を覚え始める。


 老人ホームの老人達がゾンビになって襲ってくる傑作コメディ『ホット・ファズ』、もうすぐ公開されるスピルバーグの’’ウェストサイドストーリー’’の主役の子を発掘した『ベイビードライバー』など、いかにもイギリスらしいお洒落でマニアックな感覚で人気のエドガー・ライト監督のスリラーです。

 主演は反ヘイトの名作『ロジャー・ラビット』で勇敢なユダヤ人少女を演じたトーマシン・マッケンジー

それにネットフリックスの大ヒットドラマ「クイーンズ・ギャンビット」の主人公役として注目されているアニャ・テイラー=ジョイ。
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 ジャンルで言うとサイコ・スリラーと呼ばれるものになるのでしょうか。怖いものは嫌いなのでスリラーやホラーは見ないことにしているのですが、非常に評判が高い作品だし、エドガー・ライト監督の映画はだいたい見ているので公開初日に出かけました。


 映画は60年代のポップスのレコードを掛けながら、主役のエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)が自分の部屋で過ごしているところから始まります。彼女は60年代の音楽やファッションに憧れています。
 その彼女を、中年女性が鏡の中から無言で見つめている。自殺した母親が幽霊になって彼女を見つめているのです。霊感が強い彼女もそれに気が付いている。ポップで華やかだけど、不吉なオープニングです。 

 田舎の祖母に育てられた彼女は夢だった服飾学校に合格、ロンドンへ旅立ちます。
●田舎育ちのエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)はファッションデザイナーを目指して、ロンドンに出てきます。

 ロンドンに出てきたエロイーズですが、派手好きの学生が多い中ではどうしても浮いてしまいます。
 寮生活に嫌気がさした彼女は、ロンドンのソーホー地区で老婆が暮らす古いアパートメントの屋根裏部屋を借りて一人暮らしを始めます。おんぼろな部屋ですが、60年代に憧れていた彼女にとって古いインテリアが残る屋根裏部屋も苦ではありません。
 夜になると彼女は60年代の夢を見るようになります。その中でエロイーズは歌手志望のサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会います。
●60年代の夢を見るようになったエロイーズは夢の中で歌手志望のサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)(写真左)と出会います。

 華やかな世界に憧れるサンディはポン引きの男に引っ掛かり、辛い仕事を強いられるようになる。心配するエロイーズはだんだんサンディと自分が一体化するような感覚に襲われます。文字通りの悪夢が連日連夜続くようになる。

●歌手志望のサンディはポン引きの男に引っ掛かり、搾取されるようになります。

 映画には60年代の音楽、ファッション、それに昔のミステリー映画などに関するうんちくが満載です。ボクはこの映画にも出てくるダスティ・スプリングフィールドはCDを持ってますが、それ以外は60年代の風俗やロンドンの繁華街であるソーホー、それに華やかな世界の裏で女性たちが搾取されていたことに対する知識は殆どありません。
 それでもお話には十分ついていけるから、良くできています。お洒落でどことなく懐かしく、そして不吉さがあふれている
●エロイーズは度々サンディの夢を見るうちに精神的に一体化していきます。髪型やファッションまでサンディのようになっていく。

 やがてエロイーズはサンディが男に殺されるシーンを目撃します。彼女は夢の中で懸命にサンディを救おうとしたが果たせなかった。やがてエロイーズは日中も幻覚に襲われるようになります。
●エロイーズはサンディの悪夢に次第に追いつめられていきます。

 まず脚本が大変優れています。導入から最後まで緻密に組み上げられた、久々に映画らしい映画、作り話らしい作り話を見たという感想です。
 作り話と言っても、60年代のソーホーに関する綿密な取材を重ねて作られたそうです。にも拘わらず、映画は女性への搾取など女性が置かれた状況を徹底的に告発する今日的な視点に立っています。この映画で描かれる男どもが如何に醜いことか。
 ところがクソ男どもへの怒りとは対照的に、映像は美しい。だから心に残る。

 あと、やっぱりトーマシン・マッケンジーちゃん。ジョジョ・ラビットで本気に好きになってしまったというのもあるのですが、圧倒的な存在感で追い詰められていく主人公を演じています。世間的には歌唱シーンまである、今が旬のアニャ・テイラー=ジョイが注目されるかもしれませんが、


 トーマシン・マッケンジーちゃんが演じる田舎娘が困惑したり、60年代の風俗に触れて夢見る様だったり、60年代風に変身したり、追いつめられても屈しないところなど、見ていて楽しかった。

 この人が出ているだけで映画が『特別』に見える。大した存在感です。


  と、言うことで、ボクは苦手なスリラーものでしたが、大変完成度が高い、優れた映画でした。お洒落なファッションやダンス、歌のシーン、幻覚が襲ってくるスリリングさ、性差別への怒り、そして最後の謎解きまで、今年屈指の完成度です。感情移入とかはしませんが、普通に面白かった、良い映画を見たな―と思いました。

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