特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『不況は唐揚げからやってくる?』と読書『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』

 消滅した、と思ってた台風が、(地球温暖化で)東シナ海の水温が高くて復活、日本列島縦断に向かっているっていうじゃないですか。西日本を通って東京にも向かって来ます。皆さん、どうぞお気をつけください。

 さて、最近 ネットでたまに見かける共産党に関するデマのビラ、配っているのは国際勝共連合だそうです。

 そういえば勝共連合ってこういうビラを昔、よく配ってました。今はデザインが垢ぬけただけ(笑)。
 言うまでもなく勝共連合は、先日トランプと安倍晋三がオンラインでスピーチした韓国の極右カルト宗教、統一教会が母体です。統一教会と言えば、昔 桜田淳子も参加した合同結婚式や高額な壺売りで一世を風靡?した連中です(笑)。
●後追い報道が出てきました。これはもっと広めるべき。
lite-ra.com
安倍晋三事務所もスピーチを送ったことは認めています。

 共産党の味方をする気はありませんが、もちろん統一教会の方が1億倍はやばい、に決まっています。創始者文鮮明が地獄に落ちて最近はあまり目立ってなかった気がするのですが、地道な活動(笑)を続けてた。
 誰かが金を出してるんでしょうけど、なんでこんな邪悪な連中がこの世に未だに残ってるんだろう。タリバンどころの騒ぎじゃないですよ(笑)。


 
 これは結構やばい かも、と思ったニュースが今週 報じられました。
 セブンイレブンが『からあげ棒』という唐揚げの販売地域を制限する、と言うニュースです。
news.yahoo.co.jp

 理由は『唐揚げを作っているタイで感染が拡大して工場が稼働できない』から。ボク自身はコンビニの食べ物、ましてダイエットに悪い唐揚げなんて食べないですが(笑)、それだけでは済みません。

 コロナ禍の影響は日本企業の工場が沢山ある東南アジアでも広がっています。タイ、ベトナムインドネシアなど東南アジア各地でコロナ感染の拡大で工場を閉めたり、従業員が出勤停止になって思うように生産できない、という事態が起きています

 すでに先月トヨタは9月の生産を4割減らす、というアナウンスをしています。
www.sankeibiz.jp

 ウオシュレットなど住設機器も入ってこない。
jp.toto.com

 他にも家電など東南アジアの生産に依存している日本製品は幾らでもあるでしょう。今は在庫があって表ざたになってないから書きませんが、来年の春辺りまで供給が不足しそうな工業製品は結構あるみたいですよ。

 元々半導体不足だったし、コロナによるコンテナ不足で船便にも影響が出ている。そんなところにコロナ感染まで拡大すると、いよいよ物資や製品が思うように入ってこないだけでなく、景気が悪化するリスクもある。

www.asahi.com

 ある程度復活しつつある製造業でしたが、こんなことで足を引っ張られたら、日本経済はいよいよ厳しくなる。
●ちょうど今日、政府も同じことを言い出しました。


 東南アジアの方の感染も早く回復してほしいけど、こればっかりは何とも言えません。日本の方こそ危ないし。
 今や日本は日本だけでは生きていけない、ということを改めて実感します。資源だけでなく今や労働力まで他国に依存している日本は、中国や台湾、韓国など周辺国も含めて平和が続き繁栄していなければ生きていけない、んです。コンビニで唐揚げを食べる事すらできない(ボクは食べませんが)(笑)。

 不況でポピュリズムの病が進行して選挙で’’日本ファースト’’なんてバカが出て来なければいいんですが。トランプや安倍晋三小池百合子を見ていれば判るように、そういう連中は10000%、自分ファーストなのですから。


 先週 有名雑誌ビックコミックの表紙に立憲民主党小川淳也衆院議員が掲載されました。

 雑誌では、小川氏に17年間密着して昨年大ヒットした傑作ドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』のシナリオや井手英策慶大教授との対談が載っているそうです。映画の公開以来、小川氏のような政治家が注目されているのは、日本の政治における数少ない明るい話題です。
●東京でたった2館の上映から3万人以上動員する大ヒット。書籍版が出版されるまでになりました。

spyboy.hatenablog.com


●まるで映画の続編のようにルポライター小川淳也氏に肉薄した本。これも面白かった。小川氏の真摯さと限界が垣間見えるようでした。

●今週月曜のBS-TBS''報道1930''でも小川議員の選挙区が取り上げられました。相手の平井は地元のTV・ラジオ・新聞全てを持っている一族の三世議員です。自民党のネット工作担当。


 かくいうボクも映画を見るまで小川氏のことは良く知りませんでした。
 旧民主党では疫病神の前原の側近、国民民主の玉木の弟分だった人です。映画の中で『自分の政治スタンスは前原氏よりは左、枝野氏よりは右』と言っていました。

 しかし彼の言ってることにも耳を傾けてみたら、元総務省のエリート官僚だった彼は、スウェーデンのような社会を実現するために増税も含めた現実的でまともな政策を唱えていること、何よりも世の中を良くしようと本気で思っている、実に真摯な人柄であることが判りました。特に映画の中で『日本人が政治家をバカにしている限り、そういうレベルの政治家しか出て来ないだろう』と彼が言っていたのは『痛いところを突かれた』と思いました。

 旧民主党時代は政務ポストについた政治家は能無しばかり、数少ない旧官僚の政治家が実務を回したそうですが、さもありなん、と思いました。結局 或る程度頭がないと政策を実現することができない。役所の官僚を使いこなせないからです。現職、元職含め官僚もいろんなのがいますけど、小川氏みたいな頭と志を合わせもっている人も大勢いるはずです。

 しかし、そういうことは一般の国民には判りにくい。小川氏のように国民の負担増も含めた現実的な政策論を語る政治家より、どうしたってTVによく出てきたり、嘘八百の甘いことを言う政治家に投票してしまう。それは与野党の支持者を問いません。日本人のレベルはそんなものです。マッカーサーに『日本人は精神年齢12歳』と言われた当時と変わっていない(笑)。

 それに応えるかのような本です。『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。

sayusha.com

 音楽・相撲ライターの和田静香氏が私たちの暮らしを取りまく問題、具体的には政治、人口問題、税金、雇用、環境・エネルギー、そして民主主義について、小川淳也氏にストレートに疑問をぶつけたものです。

 和田静香氏は湯川れいこ氏のアシスタントから独立、音楽・相撲のライターになった人です。ボクが定期購読している雑誌’’ミュージック・マガジン’’でも名前は見たことがあります。しかし彼女が50代・独身、コンビニなどのバイトで稼ぎながらライターを続けている、とは全く知らなかった。

 彼女は官邸前抗議にも参加していたそうですが、自分は政治や経済のことは全く判らない、といっています。
 そんな和田氏が『なぜ君は』の映画絡みで小川議員と奥さんにインタビューしたのをきっかけに、
dot.asahi.com
dot.asahi.com

 今度はストレートに小川淳也氏に日頃の疑問をぶつけてみたい、ということで作られた本です。
 なんで50代・独身・バイト暮らしの自分の暮らしはこんなに苦しいのか。アパートを借りるのに何度も断られたり、コロナ禍でバイトの職を失ったりしなくてはならないのか。自分は政治のことはよく判らないけれど、なんでこんな生き辛い世の中なのか教えて欲しい、というのです。

news.yahoo.co.jp

 和田氏は本当にストレートに疑問をぶつけていきます。政治や経済のことは何も知らなかったという彼女は小川氏に課題図書を出してもらい、それを読んで議論に挑みます。知ったかぶりをしたり、見栄を張ったりせず、この世の中の仕組みを問い正していきます。
 小川氏もそれにストレートに立ち向かう。本の帯には’’デスマッチ’’とあるけれど、判りやすい言葉を選びながらも真っ向から、日本の抱える問題、人口問題や財政・税金、住宅問題や格差の問題について原因と解決策を語っていきます。


 これだけストレートに素朴な疑問をぶつけていく本というのも珍しいし、それに真摯に答える小川氏も立派です。
 意見が合わない部分もあります。例えば、和田氏は『原発即時廃止』を唱えますが、小川氏は『原発立地や温暖化ガス削減の観点からしたら今直ぐ全廃というのは難しい、10年、20年はかかる』と説きます。ボク自身は小川氏のいう通りだと思いますが、和田氏は感情論で納得しない。

 また賃貸アパートの申し込みを何回も断られたことがあるという和田氏が『日本は公営住宅など住宅へのベーシックサービスが足りない』と訴えるのに対して、小川氏は『(国が)家賃の信用保証制度を創ればよいのでは?』と反論した後、次の対談で『勉強不足だった。住宅のベーシックサービスはやるべきだ』と訂正する一幕もあります。小川氏は香川の家賃4万5000円の2DKのアパート暮らしですから、東京で暮らしている和田氏の方が家賃は高い筈ですけどね(笑)。


 結局、イージーな解決策なんかありません。人口問題、雇用、財政、税金、世の中はあまりにも複雑すぎて、皆が満足できるような解決策なんかない。例えば、福祉を向上させるにも財源は必要、減税との両立なんかムリ(笑)。当たり前です。

 だからこそ和田氏は『今回の会話のように、政治に参加し続けることが民主主義ではないか』と思うに至ります。どんな政治家でも足りない点もあるし、判断も誤ることもある。だから市民が議論を続けることが民主主義だというのですね。有権者は常に間違っていたら間違っている、判らなければ判らない、と言い続けるべきだということです。

 右左のイデオロギーに関係なく、有権者が政治家に任せて思考停止していたら民主主義なんか成立しない。議論とはまず現実を直視した上で(共通認識)、互いの意見と根拠を述べ合うことです。現実を直視できないという点では統一教会安倍信者のバカウヨも、史上最大の予算編成が続いているのに緊縮ガーと言い募るれいわの支持者も大した違いはありません

 小川氏も自分と全く異なる世界の、バイト暮らしで生計を立てている和田氏との会話を通じて学んでいきます。ハンカチで涙をぬぐいながら『政治家がもっと、普通の暮らしをしている市民に寄り添う言葉をかけられるようになれば、本当に社会を変えられるんじゃないか』と言うようになります。小川氏の涙に驚いた和田氏は『その時 自分が苛めっ子のジャイアンになった気がした』と書いています。
 お互いが現実を直視した上で本音で話しているから、二人の議論が見事にかみ合っている。こういうのを弁証法というのでしょう(笑)。


 この本は、二人の議論を通じて小川氏と和田氏が互いに成長する過程を描くドキュメンタリーになっています。二人の会話から、政治家も市民も互いに議論を続ける事こそが民主主義だ、ということが浮き彫りになってくる。和田氏が自分に全く知識がないことを逆手に取った戦術は実に賢かった(笑)。それにまた馬鹿正直に立ち向かった小川氏も偉い。非常に良い本でした。面白かった。
www.nikkan-gendai.com