8月になりました。今年はセミの声が一段と大きく聞こえます。静かな夏です。今更ですが、夏のウキウキした感じはありません(笑)。
これだけ感染が広がってくると、週末は流石に街へ出かけるのはやめました。映画にも出かけず、家でじっとしていた。
今週金曜でワクチン接種後2週間になるので、免疫が出来るまでは安全運転です。
見たい映画が溜まってしまうのは問題ですが、それ以外は徒歩圏での暮らしは結構楽しい。街や不愉快なTVの喧騒には触れないようにしながら、散歩して、料理して、本を読んで、音楽聞いて、それだけで忙しいし、充実しています。良い意味で時間が長く感じられる。大金掛けたバカの運動会=オリンピックごときにボクの静寂な生活は邪魔させません(笑)。
雑事や人間関係に煩わされない、こういう毎日が一生続いてくれたらいいのに。
個人的に楽しみなニュースが流れてきました。
8月13日からアマゾンで『モダン・ラブ』シーズン2が配信されるそうです。
[動画]「モダン・ラブ」シーズン2:フルトレーラー映像 https://t.co/ldWkUgUmLv
— シネマトゥデイ (@cinematoday) 2021年7月26日
これは嬉しい。ニューヨーク・タイムズ紙に連載された恋愛に関する実体験をもとにしたコラムを『はじまりのうた』や『シング・ストリート』のジョン・カーニー監督がドラマ化したもの。シーズン1は驚くようなレベルの圧倒的な名作で、30分×8の全エピソード、感涙の嵐でした(笑)。
シーズン1はアン・ハサウェイなどの有名スターが出演していましたが、今作もシング・ストリートのルーシー・ボイントンなどが出演しているようです。いやあ、これは楽しみ。生きる希望です。
もう一つはブルース・スプリングスティーンとオバマ元大統領のポッドキャストが書籍化されること。10月末発売が決まりました。
renegadesbook.com
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年初から二人の対談がスポティファイで流れていたのは知ってたのですが、1時間×8本の放送はボクのヒアリング能力では無理なので、本が出るのを待ってました。
内容はアメリカの文化、分断された政治、結婚、男性性、人種、社会から疎外されて生きてきた者同士のアイデンティティについて二人が語ったもの。
話題の本らしく、英仏独伊ポルトガル、スペイン語の6か国語で同時出版されるそうです。他の言語はともかく、イタリア語翻訳が出るなら日本語版も出てもいいだろうとは思うのですが、やはり世界的には日本は後進国。この国の文化状況はそんなものなのでしょう。
こういう精神的な楽しみを見つけて、耐え忍んで(笑)過ごしていくしかないかな。
これまで学歴詐称都知事風おばさんと呼んでいたが、学歴詐称日本人大量惨殺ごっこおばさんに改めよう。 https://t.co/YdFapXDjFa
— r_tkt (@r_tkt) 2021年8月1日
と、いうことで、銀座でドキュメンタリー『83歳のやさしいスパイ』
83spy.com
妻を数か月前に亡くしたばかりで、新たな生きがいを探していた83歳のセルヒオさんは、高齢者のスパイを募集する風変わりな求人に応募し、採用される。依頼内容は老人ホームの内偵で、虐待や設備面での問題があるのではないかと疑う依頼主のため、ホームでの様子を毎日報告するというもの。老人ホームに入居した彼は人生初となるスパイの仕事に奮闘するが。
南米チリのドキュメンタリーです。第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされるなど、世界各地で高い評価を得ています。
チリの首都、サンチアゴの新聞に奇妙な求人広告が載ります。『急募 80~90歳のスパイを募集。未経験可。詳細は要相談。』
奇妙な新聞広告に集まった人たちから採用されたのは83歳の男性、セルヒオ氏です。数か月前に妻を亡くしたばかりの彼は、何か生きがいを見つけたい、と応募してきたのです。
内容は老人ホームで虐待が行われていないか調査してほしい、という依頼です。そのホームにソニアという母親を入所させている家族からの調査依頼でした。
●セルヒオ(左)と依頼主のロムロ
見る前 ボクは劇映画だと思っていたのですが、これはドキュメンタリーです。マイテ・アルベルディ監督はホームの許可を得て、セルヒオがスパイであることを明かさずに3か月間撮影したものだそうです。
潜入する前にセルヒオは毎日の報告のためにスマホや眼鏡に仕込んだ隠しカメラの操作を覚えなくてはなりません。まず、それが一苦労です。
潜入したホームの入所者は女性が40人、男性が4人。やっぱり女性の方が長生きなんですよね。
セルヒオはターゲットとなるソニアを探さなくてはならないのですが、それ以前に女性たちの間でモテモテになります(笑)。
●ソニアを探すために、不自然にならないように部屋の名前を確認していきます。
日本でも老人ホームでの恋愛やそれにまつわる三角関係などの問題は非常によくある、と聞きますが、ラテン系だから余計そうなんでしょう。
ホームでは度々パーティーみたいな華やかな催しも行われます。男女が仲良くなる機会は事欠きません。
そんな騒ぎの中でホームの中の実態をセルヒオは探っています。虐待が行われていないか、衛生状態は大丈夫か、変なクスリが投与されていないか、ホーム内で盗難はないか etc
図らずもセルヒオの良い点は人の話しを聞ける、という事でした。家族と離れてじっくり人と話す機会がなくなった入所者たちはセルヒオに真情を打ち明けるようになります。
また、入所者たちの実態も判ってくる。例えば、この女性(写真右)は、認知症気味で自分は子供で母親にホームに捨てられたと思い込んでいます。
認知症になった人は知能は衰えていても感情は衰えていない、と上野千鶴子が言っていたと思いますが、確かにそうなんですね。喜んだり、悲しんだりする機能はむしろ活発になっているのかもしれない。
当初はセルヒオの探偵業の調査結果に注目していたアルベルディ監督は、取材を進めるうちに方向転換します。探偵事務所に舞い込む多くの依頼が依頼主とその家族のコミュニケーション不足によるもので、映画はその相互理解の欠如に焦点が当たっていきます。
●面会に来たセルヒオの家族。それを見ている、後ろの入所者の動きや表情。これは劇映画では出せません。
話がある意味うまくできすぎていると言うか、滑らかに話が進みすぎていて、やっぱり劇映画かと勘違いしてしまう人も多いと思います。でもクレジットにはドキュメンタリーと書いてある。
老後を描いた映画を見るといつも思うのですが、やっぱり他人事ではないんですよね。
誰でも歳をとる。ボク自身は集団生活はとても出来ないと思いますが、認知や体の衰えで施設に入らざるを得なくなる時はくるかもしれません。覚悟はしておこうとは思いますが、認知症になったら覚悟もへったくれもないかもしれない。劇中の女性や他の多くの人のように老人の精神は次第に子供の時に戻っていくのかもしれないし。
そうなったらそうなったで仕方ありません。文句や不平ばかり言ってないで、今の日々をもっと大切に生きなさい、ということなんでしょうか。ボクのように、仕事がある平日はひたすら早く時間が過ぎていくのを願っているようなのは罰当たりなんでしょう(泣)。
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