特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『都議会選挙の結果』と映画『ローマの人々』(Gente di Roma)(イタリア映画祭2021)

 いよいよ今年も半分が終わりました。
 週末に行われた都議選は、自公が過半数を割ったのは良かったと思います。


www.nikkei.com

 特に自民は事前予想では50議席以上、悪くても40とれるのではないか、と言われていたのに33しか取れなかったのですから、大敗北です。

 時系列でみても前回17年に次ぐ議席数になりました。


 でも、手放しで喜ぶような結果ではありません。
 まず投票率が42%と異様に低かった。ワースト2番目だそうです。

 大阪よりはマシにしろ、東京都もコロナの検査も感染対策も休業店への補償もまったく不十分なままです。それでも選挙に行かない奴がいるのだから呆れます。そういう奴は北朝鮮にでも行けばいいんです。
 邪教集団、公明党がゴキブリのようにしぶとく全勝したのも棄権したバカ連中のせいです。

 政府、都知事への批判勢力である立憲民主と共産党議席が増えたのは良かったです。1人区で立憲民主の候補が前市長の娘の自民候補に勝った武蔵野市が良い例で、野党共闘は有効に作用した。
 ただ、議席はもっと取れるかと思ってました。与党への不満は根強くても、批判勢力はその受け皿にはなり切れなかった。

 朝日新聞によると、無党派層の投票先は都民ファが25%(前回は35%)、共産は16%、自民15%、立憲15%(前回は民進10%)だったそうです。
www.asahi.com

 立憲も民進よりはマシになったとは言え、無党派層への浸透はまだまだ足りない。共産党との共闘をしなければ選挙に勝てないことははっきりしましたが、さらに勝つためのターゲットは組合でもなければ、リベラル層でもない。無党派層です。

 ボクは未だに小池を支持していたり、都民ファに入れる人の発想が全く理解できないのですが(笑)、むしろ立憲民主はやや右側にウィングを拡げなければ支持は広がらないかもしれません。

 一方、れいわだの国民民主だのは議席ゼロ。そればかりか他の足を引っ張るだけの結果に終わりました。例えばボクの暮らす世田谷選挙区では、れいわや国民民主の泡まつ候補がいなければ、リベラルな地域政党生活者ネットの候補者が自民の候補を蹴落として当選できたのに。
 事実として、連中は自民党の応援団にしかなっていない。

 今の自民党が民意を得ていないことも改めて浮き彫りになりました。とりあえず、五輪は無観客を選挙公約にしていた都民ファ、五輪に批判的な立憲民主、共産、生活者ネットが66議席と定数127の都議会の過半を占めたのは事実です。
 今の政治を変えて行くには、野党が共闘していかなくてはなりません小選挙区制では、野党共闘すら出来ない野党なんか存在自体が意味がない。

 アホが政権に居座ると生命の危険すらある。というのが今 起きていることです。そしてコロナ禍からの経済回復も他国に差を付けられて、今 この瞬間も日本は相対的に貧乏になりつつある。
 趨勢は変えられないにしてもボクが生きている間だけでも(笑)、持ちこたえて欲しいんだけどなあ(笑)。


 ということで、オンライン開催のイタリア映画祭2021で映画『ローマの人々』(Gente di Roma)

 ローマの街で暮らす人々の暮らしを綴ったオムニバス。失業しているのに家族には言い出せず毎日出勤している中年男、バスの中のおかしな人々、ホームレス同士の喧嘩、ビンゴ会場の人々、養老院に入る年老いた父親と夕食を共にする息子など、左翼の政治集会に参加してはぐれた親子、など早朝から深夜までの20以上のエピソードが語られる。

 このブログのネーミングにもなっている名画『特別な一日』(1977年)の巨匠エットレ・スコーラが、ローマに生きる普通の人々を描いた喜劇です。2003年の作品。今年はオンラインで行われているイタリア映画祭2021の過去作品リバイバル上映です。

 映画はミュートを利かせたトランペットが特徴的なクールなジャズ(最近珍しい)に載せて、現代のローマに暮らす人々の様々なエピソードが語られます。失業者、ホームレス、老人と息子、親子、LGBTQの恋人たち、老貴族。一見脈絡がない、それらの話をつないでいくのはローマ市内を運行するオレンジ色のバス。見事な構成です。

 この映画の主役はローマという街そのものです。
 3000年前からの様々な歴史的建造物が現代と共存する様子。その朝、昼、晩を描いているだけで、十二分に立派な絵になります。ローマという街が主役となっている傑作はフェリーニの作品から最近でもアカデミー賞を獲った『グレート・ビューティー』に至るまでいくつもありますけど、これは卑怯です(笑)。画を取れば映画になっちゃうんだもの。

 日本でいえば、京都という街をテーマに映画にしたら面白いような気もしますけど、これだけ重厚なものが撮れるかどうか。
 石を主体とした文明と木と紙を主体とした文明の違いはあるかもしれませんが、やっぱり日本人は古いものを大事にしない、尊重しないように思えます。

 この映画は人間はどうでもいいのかもしれません(笑)。敢えて言えば、登場人物は様々な国籍、人種であることが非常に強調されています。

 征服したり征服されたり、3000年前から異民族を取り込んで反映してきた、ローマとはそういう街であるのでしょう。そして移民問題などでその多様性が脅かされている。それが現在のローマでもある。

 後半 様々な立場の左翼が集まった集会のシーンが挿入されます。その中でイタリアを代表する映画監督、ナンニ・モレッティの『団結とは皆が同じ意見ということではない、異なる意見を持っている人間がまとまるから団結は貴いのだ』という印象的な演説が流れます。それこそがローマであるのでしょう。

 美しい画面とクールな音楽に彩られた散文詩です。様々なエピソードをつなげていく流れのような構成もお洒落です。
 すごく感動するとかではないですが、結構好きな映画でした。日本でもこういうお洒落な映画を誰か作らないのか。TV原作の安っぽいものより、遥かに面白いものが出来ると思うんだけどなあ。

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