ああ、また月曜日(笑)。
サミットでこれなんだから、オリンピックもこうなりそう。
G7が開かれたコーンウォールでは、新規感染ケースが2,450% 急上昇…この地域にとっては「スーパースプレッダー」イベントとなった…街の人たちにとっては、ほんといい迷惑。。。😰
— Miki Hirano (@mikihirano) 2021年6月21日
G7 was ‘super spreading’ event in Cornwall as cases go up 2,450% after Johnson summit https://t.co/xIiVHde0L0
この週末、青山を歩いていたら、国連大学の前でミャンマーの人たちが集会をやってました。
今のミャンマーの状況は深刻なものでしょうし、それ以前に彼らが何をしゃべっているのかも判らなかったですが、多くの参加者は女性だけでなく男性も頭に花を挿していて、とても和やかでした。参加者も、特に女の子たちは普通の女子高生みたいな若い子たちばかりで、雰囲気も非常に『開かれた』ように見えました。この『開かれた感じ』がひたすら自己満足に勤しむ日本のバカ左翼の集会と違うところです。
街を出歩くのは好きじゃありませんが、時には自分の知らないことに出会うことがある。認知症の予防というだけでなく、まだまだ知るべきこと、学ぶべきことが沢山あることを実感します。
今 スプリングスティーンがThe Killersと一緒に吹き込んだ’’Dustland''(ゴミだらけの地)がI Tunesで1位になっています。若いバンドと組んだこともあって渋さはありませんが、齢70を過ぎて未だに畳みかけるように初期衝動を刺激してくるところがカッコいい。
ボクも新鮮なものに触れ続けないとやばい。世の中が腐っているからといって、自分まで腐る必要はない。
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と、いうことで 六本木で映画『アメリカン・ユートピア』
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NYのニューウェイブバンド、トーキング・ヘッズのメンバーで、現在はソロ活動をするデヴィッド・バーンが2019年から行っているブロードウェイの舞台を映画監督のスパイク・リーが映像化したもの。
トーキング・ヘッズの83年のコンサートを故ジョナサン・デミ監督が映像化した『ストップ・メイキング・センス』はスコセッシ監督の『ザ・ラスト・ワルツ』と並んで、コンサート映画の金字塔として知られています。この映画のデヴィッド・バーンの巨大なスーツ姿は日本でもサントリーのCMに使われ、お茶の間にも知名度がありました。
今回の舞台を映画化したスパイク・リーは『ドウ・ザ・ライト・シング』やアカデミー脚色賞を取った『ブラック・クランズマン』などお洒落な映像と人種差別を告発するメッセージ性の高い作品で知られています。
●デヴィッド・バーン、69歳も踊るってよ。
ボクはデヴィッド・バーン、あまり好きじゃありません。トーキング・ヘッズは嫌いじゃないし、『ストップ・メイキング・センス』は超カッコいいと思います。でも彼のソロ作は美術学校出のインテリの嫌味がどうしても鼻につく、うっとおしいんです。
この映画も評判は高いのですがいずれ配信で見れば良い、と思ってました。しかし、各方面から絶賛の嵐、あまりにも評判が高いので劇場に見に行った次第。
舞台は特に装置もなく、左右と後ろに金属製の簾がかかっているだけ。人間が最も関心を持つのは人間だから、敢えて装置を排することで人間そのものを表現したかったそうです。シンプルな空間の内外を使って、デヴィッド・バーンと11人のバンドが縦横無尽にショーを繰り広げます。
メンバーはおそろいのグレーのジャケットにパンツ、そして裸足。シンプルな舞台と簾を効果的に使った演出は実にスタイリッシュです。
舞台の上にいるのはボーカル&ギターのデヴィッド・バーンとダンス&コーラスの2人、ギター、ベース、キーボードが一人ずつ、それにパーカッションが6人!というのが特徴です。それぞれの楽器はワイヤレス。国籍はアメリカ、ブラジル、フランス、カナダ、性別も人種も様々です。
12人が立ち位置迄 完璧にそろったダンスをしながら、見事な演奏を繰り広げる。あまりにも隙が無い演奏なので最初はテープだろう、と思ったのですが、途中でデヴィッド・バーン本人も言うようにテープじゃなく生演奏。踊りながら演奏する、それも完璧な演奏をするってこれは凄い。
映像は舞台をシンプルに捉えただけです。これが退屈しない。舞台の上下左右から、観客席上のショットまで、視点が多彩だからでしょうか。メンバーの立ち位置までばっちり決まった振付の見事さにも感心させられます。
それにコンピュータ制御もしてないのに生演奏の曲の展開に応じて縦横無尽に変化する照明はどうなってるんだとしか言いようがない。
実はワイヤレスの楽器も照明も超ハイテクが使われているそうですがそんなことは観客にはみじんも感じさせない。肉体性だけが浮き彫りになっている。
また、映像にはピーター・バラカン氏の訳詩がついているのも非常にありがたい。
冒頭 デヴィッド・バーンは『我々は歳をとるにつれ、脳から人と接触するためのシナプスが失われていく。今はアホのプラトー状態にある。』と説明します。トーキング・ヘッズ時代もそういう曲が多かったですが、デヴィッド・バーンはコミュ障、人間が嫌いなんでしょうね。そして似た者同士だから、ボクは彼の作品があまり好きじゃないのでしょう(笑)。
とにかく、『我々はアホのプラトーにいる』という前提のもとに、舞台では曲が展開されていきます。デヴィッド・バーンはもともとアジるような歌い方をする人ですが、69歳にもなって声が一層たくましくなっている。演説をしているかのように歌っています。
一見 脈絡が無いショーのように見えますが、次第にトーキング・ヘッズ時代の名曲も含めて、政治も含めた明確なテーマがあることがだんだん判ってくる。何故ユートピアなのか、ユートピアの文字がさかさまなのか。謎解きと言っても良い。その過程が非常に感動的です。自分の内にしかユートピアはない。終盤は涙が出てきました(笑)。ショーが演じられたのが大統領選挙前という事も勿論影響しています。
見事な演奏、スタイリッシュな舞台、ダンス、そしてメッセージ性とAクラスのパフォーマンスを味わうことができます。ロックコンサートというより、現代美術を鑑賞しているような感じです。客席の中をバスキングして回るというのは10年前にムーンライダーズもやってましたが、ここまでの意図的なスタイリッシュさはない(笑)。
これからコンサートや映画、舞台だけでなく、CMなどでこれを真似するアーティストは日本でも山ほど出てくるでしょう。ただ、このパフォーマンスは政治性があるから感動的なのであって、上っ面だけパクっても全く意味がない。
お洒落でスタイリッシュ、躍動感にあふれ、尚且つ政治的。そして、最後に感動する。肉体性と知性の融合がハイテクによって裏打ちされ、政治性を帯び、人間の存在を考えるモノにまで昇華されている。
今年見た映画では『あのこは貴族』と並ぶか、
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それを抜いて暫定ベスト1かもしれません。
それだけでなくコンサートを収めた映画としては約40年前の『ストップ・メイキング・センス』を越えている。ということは、史上最高のコンサート映画ということです。
それくらいAクラスの体験、時間を過ごさせてくれる素晴らしい映画でした。これは映画館で見るべき作品です。音楽映画と言うより、美術鑑賞と思って見るべき。
宣伝文句にトーキング・ヘッズの名曲をもじって『一生に一度の体験』(Once In A Lifetime)とありますが、それは嘘ではない。デヴィッド・バーンがあまり好きじゃないボクが言うのですから、間違いありません(笑)、終演後、楽屋から出てきたデヴィッド・バーンが自転車で帰っていくのも笑いました。参った。
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