感染は下火の傾向にすら、中々なりません。100年前のスペイン風邪は発生当初より変異した翌年の方が感染力も毒性も高かったそうですが、今回も同じ状況です。
そもそもオリンピックをやるとか言いながら、緊急事態宣言をしても説得力なんか全くない。オリンピックをやるってこと自体が政府や東京都は緊急事態と考えていない、って認めているじゃないですか。
映画館も一部を除いてお休みです。
映画館への休業要請には科学的根拠がない、と国会で文科相が証言しているにも関わらず、です。この国は端から合理的・科学的に動こうという気はない。
【今日の赤旗】映画館などへ休業要請
— 赤旗政治記者 (@akahataseiji) 2021年5月14日
科学的根拠はない
畑野議員に文科相答弁 https://t.co/0WWsn74Aos
それじゃあ、感染なんか収まるはずがない。
非合理的と言えば、五輪の記録映画を撮る予定の映画監督、河瀬直美がこんなことを言っていました↓。
今年1月27日の産経新聞(WEST)の記事。河瀬監督こんなことコメントしてたんですね:「コロナ禍を克服した証しとしての東京五輪の姿を後世に残すとともに、日本人が本来持つ精神性やアイデンティティー(同一性)の大切さを訴えたい」と語る。https://t.co/2NNVnH1WJL
— 早川タダノリ (@hayakawa2600) 2021年5月8日
何が『オリンピックで日本人が本来持つ精神性やアイデンティティー(同一性)を訴える』(笑)だよ。上級国民と一般大衆とに分断された日本のどこに同一性なんてあるんだよ(笑)。頭お花畑じゃねーの。
コロナ禍の下の東京オリンピックこそ、日本人の愚かさの象徴です。海外でも受賞歴があるこの人の作品は今まで見たことなかったんですが、こんな時代錯誤のボケ監督、要らね。
河瀬のように絆とか同一性とかありもしない観念論を感情的にもてあそぶ呑気な連中がのさばっている限り、なかなか日本も良くならないでしょうね。
アメリカの陸上チームが千葉県での事前合宿を中止したそうですが東京五輪の米陸上チーム、千葉県での事前合宿を中止 - BBCニュース、結局 アメリカの選手団あたりが参加を拒否しない限り、日本は五輪中止/辞退すら決められないのかもしれません。もはや属国なんてレベルじゃない、統治機構すら存在してないのかも(笑)。
さて、最近『マリトッツォ』というお菓子が盛り上がっているそうです。ローマ発祥のお菓子で、ブリオッシュにクリームを挟んだもの。
輸入食品を扱う専門スーパー、カルディが冷凍の輸入品で売り出して、あっという間に品切れになったのがブームのきっかけのようですが、
rocketnews24.com
今やディーン&デルーガやスターバックス、巷のちょっとおしゃれ系のお菓子屋などでも見かけるようになりました。
toyokeizai.net
ダイエットの敵、身体に悪そうだな、とは思いつつも、やっぱり味見はしてみたい。クリーム大好きなんです(笑)。近所のお菓子屋でも作り始めたので、週末に散歩がてら、買ってきました。
ブリオッシュの生地にたっぷりとクリームが挟まれています。クリームにはかなりコアントロー(リキュールです)が入っているのでしょう、オレンジの香りがします。シュークリームに似ていますが、クリームがカスタードよりしつこくないので、食感はもっと軽やかです。休日のおやつにはぴったり、幸せな気持ちになりました。
ただ、軽いとは言ってもカロリーが450キロカロリー(笑)。色んな店のものがあるので、味見したいんですが、あんまり沢山は食べられないなー。
その日の夕食に出したのは近所のイタリアンで買ってきたソラマメ。ファーべと呼ばれるイタリアのもので生食できるそうです。日本のものよりかなり細長い。
ペコリーノチーズと一緒に生で食え、と言われましたが、家にあったブルーチーズと一緒にオリーブオイルを掛けて食べました。生食はおっかなびっくりでしたが、日本のものより皮が薄くて、適度な青々しさと軽い苦みが初夏を感じさせます。
晴れた日の夕方、軽い白ワインか泡と一緒に食べたら美味しいだろうなーと思いましたが、翌日は出社なのでワインは我慢しました、残念(笑)。
日本の接種、世界100位以下 発展途上国の水準、欧米と差(共同通信)#Yahooニュースhttps://t.co/p5uo0vDkl8
— 特別な1日 (@giornata34) 2021年5月16日
さてさて、毎年ゴールデンウィークにはイタリア映画祭というイベントが東京、大阪で開催されますが、今年はオンライン、この週末から始まりました。例年のように大してスクリーンが大きくない会場でぎゅう詰めで見るより、オンラインのほうが明らかに快適です。これは却って良かった。
今年のイタリア映画祭の目玉作品。映画『靴ひも』(Lacci)
舞台はナポリ、1980年代初頭。息子と娘を持つ夫婦の平穏な暮らしは、ラジオ放送作家の夫が浮気を告白した事で終わりを告げる。夫は家を出てローマへ移ったが、妻と子供たちは不在の夫の影に翻弄され続ける。一方 40年後、ある夫婦が夏のバカンスから帰ってくると自宅は荒らされていた。40年前の出来事とどんな関係があったのか。
『ローマ法王になる日まで』、『ワン・モア・ライフ!』のダニエーレ・ルケッティ監督の最新作、ヴェネチア国際映画祭オープニング作品です。
原作の小説は「ニューヨーク・タイムズ」2017年“注目の本”に選ばれたという、これまた話題の作品。
- 作者:ドメニコ・スタルノーネ
- 発売日: 2019/11/27
- メディア: ハードカバー
舞台は80年代初頭のイタリア、ナポリ。そこからの親子4人、40年の物語です。
映画は父親、アルド(ルイージ・ロ・カーショ)が子供たちをお風呂に入れるシーンから始まります。一見子煩悩な仲良し家族の物語に見えます。しかし、母親、ヴァンダ(アルバ・ロルヴァケル)は何やらピリピリしている。不穏な雰囲気です。
●妻のヴァンダ。気性が非常に激しい。演じるアルバ・ロルヴァケルは売れっ子です。
アルドはローマのラジオ局で早朝の番組の放送作家兼コメンテイターをやっています。知的な男ですが、どこか薄っぺらい。一方 妻はナポリで専業主婦。そんなこともあって、生活時間帯も話題もいまいち、合わない。
やがてアルドは他の女性に心が移ったことを妻に告白します。
アルドは家を出ていきますが、ヴァンダは中々収まりがつきません。
ローマに移ったアルドはラジオ局の同僚、リディアと暮らし始めます。
知的なリディアは脚本作家のアルドにとって、一層 魅力的に見える。
しかしヴァンダの求めもあり、アルドは寂しがる子供に面会するために週末はナポリに戻らざるを得ません。そんな暮らしです。
アルドは優柔不断でエゴイストなクソ男ですが、妻のヴァンダも激烈な性格で常に相手を責め続ける。強烈な復讐心や執着を持つ人で、夫も子供もとにかく支配しようとする。男女にかかわらず、支配欲が強い人って居ますよね。正直アルドが妻を嫌になるのも判ります。どちらも非常に厳しい(笑)。
ここいら辺が、さすがイタリア映画、と言う感じです。どちらが悪いとか、そういう単純な話には収束しない。人にはそれぞれ、理由がある。人間はそうやって生きている。
タイトルの『靴ひも』は家族を結ぶ絆でもあり、束縛でもある。『罠』という意味もあるそうです。映画では絆、束縛、罠、これらの意味が全て、表現される。
原作小説は80年代と現在の話に分かれており、現在から過去を振り返ることで物語が語られる筋立てになっているそうです。
一方 映画では80年代と40年後が絶えず交錯するようにお話が進んでいきます。これが非常にスマートで切れ味が良い。お話がベタベタしないので、このやり方は凄く気に入りました。見事な構成です。
過去と現在が交錯して、いわば謎解きのような形で物語は進んでいきます。アルドにもヴァンダにも子供たちにもそれぞれの理由がある。歪んだ形の家族も、それぞれがそれなりに成長していく。
歳をとっても、人生にはそれなりに理由があるってことです。
お話のオチはお見事、です。人間というどうしようもない存在を突き放して描きながら、皮肉なユーモアと赦しで包み込んでいる。
家族の40年間を描いたヒューマンドラマですが、もう一段 高級な、大人のお話です(笑)。人間をこういう風に描けるのは、個人という意識が強靭に確立しているイタリア人だからこそ出来るのでしょう。ネタバレはしませんが(笑)、個に対する意識が我々とは全く違う。秀作と言うのが相応しい作品でした。
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