特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『黙食ステッカー』とNHK-BS『最後の講義 上野千鶴子』

 いよいよ4月、1年の3分の1が終わりました。桜の花びらが舞い散る4月の始まりも気分が変わって良いものです。何よりも温かくなってくれたのが嬉しい。
●近所の桜はまだ頑張ってくれています。


 3月には何かとある宴会も送別会も殆どなく、あっても15分くらいの最低限だったのはラッキーでしたが、それでも苦痛は苦痛でした(笑)。
 4月から今まで全くやったことがない仕事に異動なのもウンザリです。ボクの異動ももう、20回近い(笑)。あと1か月、なんとか我慢して、まるで逃げ込むようにゴールデンウィークで何とか一息つく、そんな感じでしょうか。
 早く定年になって、ゆったりと一息つきたいものです。


 大阪などではまた飲食店の営業制限をかけるそうですが、それだけで感染防止になるのでしょうか。満員電車はそのままだし。

 遅すぎるとは言え、聖火リレー中止や飲食店の補償金が規模別になったり、マスク会食やアクリル板設置を呼び掛けるのは半歩進歩しましたが、急に言ってもどれだけ徹底されるのか、甚だ疑問です。
 そもそも大阪市内だけ制限しても、営業時間制限がない隣の市にアホな酔っ払いが流れたらどうするのでしょうか。感染防止は夜8時とか9時とか時間の問題じゃありません。

 これは先週 北参道のソフトクリーム屋さんの壁に貼ってあったシール。渋谷区で配布しているものみたいですが、要は『黙って食え』という話です。


 この時節 カラオケもそうですが、食事時に集団で来てべちゃくちゃ喋っている連中を見ると、文字通り頭がおかしいんじゃないか?と思います。夜9時前だろうがなんだろうが、べちゃくちゃ喋っていたら同じです。
 この期に及んでも国がやってることって論理的におかしい。だから感染が減らない。大阪で起きていることは東京にも飛び火するだろうし、オリンピックに固執していること自体がおかしい。

 以前はソフトクリームは2か月に1回と制限していたんですが、最近は我慢ができなくなって2週間に1回は通うようになってしまいました。朝昼のご飯を我慢すれば大丈夫という事に気が付いたからです(笑)。
 一部では日本一美味しいと言われる自家製ミルクで作ったソフトクリームは、最初の一口を食べるといつも、『ああ、幸せだなー』と思うから(笑)大したもんです。ソフトクリームの国に生まれたかった- - - -


 木曜日の朝日朝刊1面に昨年の日本のジェンダー指数が世界120位というニュースが出ていました。


globe.asahi.com

 じゃ、朝日新聞の社内はどうなんだ、と言うことは置いておくにしても(笑)、日本はG7ではもちろん最低、健康以外の要素はどうにもならないレベルです。
 企業の管理職は本人の意識やスキルもあるから一朝一夕には作れないにしても、歩みださないといつまで経っても増やすことはできない。

 人々の意識を変えるためにも、まず素人やバカ、芸能人が大勢いる政治家からでしょう。国会議員はさっさと男女半分のクォーター制にすればいいと思います。
 ついでに地方議会も含めて、議員なんか抽選でも質は大して変わらないでしょう。もしかしたら抽選の方が全体的には議員の質は上がるかもしれない(笑)。試しに参議院だけ抽選制にして衆議院と競争させるのも良いかも。

ちなみに男女平等が進んでいる上位国はこんな感じ。

120位近辺の国はアフリカのギニアが118位、アンゴラが119位、韓国が102位、中国が107位。これが日本の民度じゃないでしょうか(笑)。
www.gender.go.jp


 厚労省によると各国の男女の家事時間はこんな感じだそうです。
f:id:SPYBOY:20210402094619p:plain

 一方 今や専業主婦なんて少数派です。時を経るにつれ、結婚しようと出産しようと仕事を続ける女性はどんどん増えている。
f:id:SPYBOY:20210402095208p:plain

 だけど日本人の意識は低い。現実とは異なり、意識だけは半分近くの男女が前時代的な性役割に囚われている。
f:id:SPYBOY:20210402100300p:plain
business.nikkei.com

 その結果は、男は家庭を顧みず、全体主義的なホモソーシャル奴隷労働、女性は仕事と家事のワンオペ奴隷労働(笑)。今の日本の生きずらさはこんなところにもあります。


 先週 土曜日 NHKのBSで『最後の講義 上野千鶴子』が放送されました。と、言っても東大での最終講義ではなく、学生から中高年まで10人ぐらいの観客の前で上野が講義をして議論をする、というもの。本人は『最後の講義とか言って、私を殺す気か』と相変わらず憎まれ口をたたいていました(笑)。

www.nhk-ondemand.jp
www.tvu.co.jp

 内容は、京大を卒業しても就職口がなかった上野が20数回目の応募で当時は珍しかった女性学を京都の女子大で教え始めたころから、やがて介護などケアの分野に研究対象を広げていった軌跡が中心です。

女性学は家事労働という無償労働を問題視したが、最も反発が来たのは’’家事労働は愛情である’’という専業主婦層からだった

介護も介護保険が出来る前は主にお嫁さんによって担われる無償労働であり、共通の事象を扱っている
と言っていたのは面白いと思いました。

 ボクの知り合いで、仕事をしながら自宅で80過ぎの老親二人を介護していた人が最近、命を落としました。良い人だったので結構ショックでした。かねがね余り無理しない方がいいよ、とは話していたのですが、事情や心情は当人にしか判りません。

 『お嫁さんなど家庭の女性によって担われる無償労働』しか選択のオプションがない、なんてことが良いわけがありません。高齢化社会になるのは避けられないのですから、夫々の事情に応じて、在宅でもプロの力を借りたり、在宅でなく施設も利用することだって出来るようにすることが益々重要だし、まして嫁が自宅で看取らなければいけないなんて因習を押し付けるのは論外です。そもそも今時『嫁』って何なんだよ(笑)。


 『講義』を聞いていたのは学生さんから中高年の男女まで10人くらい。上野と彼らがディスカッションをするシーンで、未だに専業主婦になりたい、と言っている学生さんが居るのは驚きました。その女の子は専業主婦の母親が居る幸せな家庭に育ったそうですし、相変わらずの男社会を見ていたら、そういう発想になるのは理解できない訳ではありません。

 が、現実にはムリ(笑)。それだけの稼ぎがある男性はどんどん減っているし、専業主婦を望む男性もどんどん減っている。そもそも、これだけ不景気やリストラが蔓延する世の中で、片方だけしか稼いでいないなんて、いつ露頭に迷うか判らない。と上野が優しく言い聞かせていました(笑)。
 専業主婦なんて戦後一時期だけのファンタジーに過ぎないという歴史を知らなくても、一人の男に経済的に依存するなんて今の貧乏国日本ではクレージー、としか言いようがありません。

 


 上野の言っていることで出色なのが、育児や介護を権力構造からも捉えていることです。これは真実だと思います。愛情というと聞こえは良いですが、事実を冷静に直視すれば、育児にも介護にも、そこには必ず『権力』(力関係)というものが横たわっている。これは善し悪しの話ではない。
 
 『育児は親と子という権力関係で成り立っているが、介護(ケア)も同様である。育児はいつか親子の関係が逆転することはありえるが、介護(ケア)は永遠に変わらない。

 そこから、上野は『介護(ケア)は権力の乱用を抑制し続けたプロセス』と喝破します。

 そして『ケアという非暴力の実践に男を招き入れるのが女の役割』という論理に昇華させるのです。

 ボクは上野の意見に全て賛同するわけじゃありませんが、こういう冴えた論理はこの人の意見には触れておかないとな、と思わせられます。

『家事をやらない男が諸悪の根源』(生活という世の中の半分を判ってないから)というのがボクの持論ですが、それこそ世界の平和のためにも、男がどんどんケアに積極的に関わっていかなければいけないのかもしれません。

 番組のお約束なんでしょう。最後で、上野はこんなことを書き残していました。
 『こんな世の中にしてごめんなさい、と言わなくて済む社会を手渡したい。

 女性学を通じて自分たちは世の中を少しでも変えてきた、という彼女の自負でもあるし、更に世の中をましなものに変えていかなければいけない、という彼女の願いでもあるのでしょう。


 実は今年は新入社員の入社式で挨拶をしなくちゃいけなくて(それもユーウツの原因)、これをパクったんです(笑)。

『会社は社会に貢献することで利益を稼ぐ存在です。ボクたちは義務として少しでも良い形で会社や社会を君たちに引き継げるよう努力する。君たちは自分たちの後の世代にもっと良い形で会社や社会を引き継げるよう頑張ってください』って。

 ウケましたよ(笑)。