週末は良いお天気でした。
花粉もいっぱい出てきましたけど、すっかり春の陽気です。
●週末、赤い東京タワーと白い梅
それに伴って街には人も大勢出ていました。ま、ボクも恐る恐る映画を見には行ってるんですが、大勢で喋りながら歩いている人たちを見ると怖いです。マスクしてないバカも結構いるしなあ(若い人とボケたジジイです)。
そもそも本当に夜の店を閉めただけで感染者が減っているのかどうか。確かに発表される感染者数は減ってきていますが、現実には検査件数が減少しているだけでなく、
新型コロナウイルス 国内感染の状況
厚労省が1月下旬からPCR検査の感度を下げているって話もあります↓。
facta.co.jp
実際 実効再生産数は上昇基調にあります。この数字は検査数を減らしても操作できません。
今の状況はオリンピック対策のために国が意識的に感染者数が下がっているように見せかけているのか、確証はとれないんですが、報道される感染者数の減少を鵜呑みにしてよいのかどうか、ボクにはまだ判断できません。
台湾やNZのような国、都市でもNYのように、公的機関が数字に基づいた、きちんとした説明をしないから、人は疑心暗鬼になる。日本人は論理的な説明をそれほど求めないかもしれませんが(笑)、外国はそうではない。日本人は役人も政治家も国民もマスコミもまともな議論ができない、つまり公がないんじゃないか。
結局 この国で何か決めるのは外圧頼み、日本人は自治能力に欠けるんだと思います。
こちらは今日発表の楽しみなニュース。『サイタマノラッパー』、『22年目の告白』の入江悠監督が撮った連続ドラマが4月の日曜10:30から放送されるそうです。待機中の新作『シュシュシュの娘(子)』は自主制作、敢えて政治ものを扱う、と宣言する気概のある入江監督です。連続ドラマなんて久しく見てないのですが、これは楽しみです。
広瀬すずと櫻井翔が凸凹バディに、新時代の探偵物語「ネメシス」総監督は入江悠(コメントあり / 動画あり)https://t.co/Qg3Q3aazTF
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) 2021年2月21日
#ネメシス #広瀬すず #櫻井翔 #入江悠
と、いうことで、日比谷で映画『秘密への招待状』(原題''After The Wedding'')
afterthewedding.jp
インドの孤児院で貧しい子供たちを救おうと活動しているイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は、不足する資金を寄付してくれるという大企業の経営者テレサ(ジュリアン・ムーア)に会いに、彼女のいるニューヨークを訪れる。多忙のテレサから娘の結婚式に来てくれれば、寄付について詳しく話せると切り出されたイザベルは式に参列する。だが式で出会ったテレサの夫が自分のかつての恋人オスカーであり、新婦のグレイスが彼との間にもうけた娘であることに気づいてしまう。
2006年にアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた同名のデンマーク映画に惚れ込んだオスカー女優のジュリアン・ムーアが夫で監督のバート・フレインドリッチと一緒にリメイクしたもの。オリジナル版では男性二人が主人公だったが、今作は女性二人に変更されています。
元の作品はスルーしてしまったのですが、今作は3大映画祭で女優賞を獲得した唯一の女優、ジュリアン・ムーアとアカデミー賞4回ノミネートというミシェル・ウィリアムズの競演です。東京でも1館のみの公開と言う地味な扱いですが、スルーは勿体ないと思って見に行ってきました。
ミシェル・ウィリアムズが演じるイザベルはインドで孤児院を運営しています。恵まれない環境にいる子供たちの夢をかなえる手助けをすることに生きがいを感じています。若い頃から中年を迎えた現在に至る迄、社会の不平等と戦う理想主義者です。
●イザベル(中央)はインドで孤児院を運営していますが、お金はいくらあっても足りません。
一方、ジュリアン・ムーアが演じるテレサは、億万長者の会社経営者です。時には強引にも見えるやり口で自分が作った会社を大企業に育て上げました。ビジネス、愛、家族と、自分の夢をかなえ続けてきた人物です。
孤児院の資金難に悩むイザベルの元に大企業からの寄付の申し出が舞い込みます。条件はNYに来て事業のプレゼンを行うこと。子供たちを残してインドを離れることに抵抗を覚えるイザベルでしたが、背に腹は代えられません。後ろ髪をひかれる思いでNYを訪れます。
●寄付を得るためにイザベルはNYを訪れて大企業のオーナー、テレサに事業のプレゼンをすることになります。
大企業のオーナー、テレサに対して事業のプレゼンをしたイザベルでしたが、もっと詳しく話を聞きたいので再度プレゼンをするよう依頼されます。多忙なテレサは、普段は時間を作れないので数日後に迫った自分の娘の結婚パーティーに来て話をしてもらいたい、とイザベルに申し渡します。
早くインドに戻りたいイザベルでしたが、仕方なくテレサの娘の豪華な結婚パーティーに出かけていきます。そこには驚くようなことが待っていました。テレサの夫はイザベルが18歳で出産した際に別れた男、新婦はその時に生き別れたイザベルの娘だったのです。
住む世界も考え方も全く異なる二人が結婚式に出席するという偶然から、生みの親と育ての親という立場で絡み合うことになります。
●テレサ夫妻。テレサは経営者として成功しましたが、彫刻家の夫の連れ子をわが子のように慈しんで育ててきました。
日本のドラマだったら先妻と後妻、みたいなせこい話に矮小化されてしまうところですが、この話は全くそういうところはありません。そのこと自体は問題にすらならない。
イザベルとテレサにとっては精神的に不安定な娘の問題、そしてお互いのビジネスの話が一義です。当たり前と言えば当たり前ですが、そういうところは大人の感性で見ていて、ちょっと清々しさすら感じます。
お話が進むにつれて、全く違う二人に強烈に共通していることがあるのが判ってきます。意志が明確なのです。
●結婚パーティでテレサ夫妻と新郎新婦に写真に入るよう促されて、加わったイザベル。複雑な表情です。
イザベルが若い日に子供を捨てるに至った経緯には明確な意思があります。そこには後悔もあるけれど、その結果を自分で被ることを全く厭わない。半ば強引ともいえるやり方でビジネスに成功し、尚且つ夫の連れ子と自分の産んだ子供を一つの家族として慈しんできたテレサも同様です。
二人のスタート、思考の立脚点が自分の意思決定を明確に肯定しているところから始まっているのが大人だなーと思います。間違っていたかもしれないが、自分の意思決定は自分で責任を取る。
日本の凡百のドラマではそこにたどり着くだけで終わってしまうでしょう(笑)。それに加えて、世の中の不平等への視線が当たり前のように背景にある。如何にも北欧のドラマが原作と言う感じです。
そしてテレサは人生最後の意思決定をします。しかし、それだけでは生きていけない人間的なところが垣間見えてきます。そのほころびを演技で表現していくところが、この映画の凄いところです。
●一見、完璧な人生を送っているかのように見えるテレサも実は秘密を抱えていました。
或る時は若々しい経営者、ある時は疲れ切った老婆のように表情が全く変わって見えるジュリアン・ムーア、力強さの中で独特の憂鬱感を醸し出しすミシェル・ウィリアムズ、2大女優の演技はもちろん凄いのですが、
●二大女優の演技合戦は終盤で。タメを効かせています(笑)。
娘役(アビー・クイン)も旦那役の俳優(ビリー・クラダップ)も頑張ってます。このバランスの良さが映画に説得力を与えていると思います。
ネタバレしてしまうとまずい映画です(笑)。静かで地味な映画ではあるけれど、登場人物たちの精神面に焦点をあてた深みのある作品です。傑作というようなものではないけれど、見て損はないどころか、十分合格点の充実した映画だったと思います。