楽しい楽しい4連休も終わってしまいました。盛者必衰の理あり、あんなに心躍っていた連休も終ってしまえば、虚しさばかり(泣)。
連休は青山へお昼ご飯を食べに行きました。ちょうど今回のエントリーはエビがテーマ?なので、その日食べた桜エビのパスタの写真を貼っておきます。
●桜エビとカラスミのパスタ(左)。右側はサマートリュフとマルサラ酒。
予定ではオリンピック開会式だったんですね。国立競技場から歩いて5分くらいの青山ベルコモンズは建て替えられて新しいホテルになってましたけど、人っ子一人いませんでした。国立競技場の辺りも閑散としていて、まるでゴーストタウンのよう、青山で暮らしたり、働く人たちも大変です。
それでも店の主人に『コロナはともかく、オリンピックが潰れたのだけは良かったですね』と言うと、かねがねオリンピックを迷惑がっていた彼は複雑な笑顔を見せました(笑)。
さて、毎日のウィルス感染者数で一喜一憂するのはどうかと思いますが、先が見えないのは不安ですよね。それに対する対策が見えないのはもっと不安です(笑)。
今の日本って殆ど無政府状態じゃないでしょうか。首相の安倍晋三は記者会見にも応じず、1か月以上 ステイホーム状態(笑)。
野党だけでなく、自民党内ですらウィルス対策を強化するために『感染症法』を改正しようと言う声も元厚労相の塩崎などから挙がっているのに、国会は閉めたまま。
随分と悠長な話に聞こえる。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) 2020年7月27日
政府がやるべきは国民へのお願いだけではなく
検査・隔離の体制をどう拡充させるか
業種を限定した休業要請や指示、万全の休業補償
をどう実現するかの具体策を示すことだ。
感染症法や特措法の改正も必要だろう。
速やかに臨時国会を開くべきだ。 https://t.co/o5InxbJGxE
政府も東京都も国民に注意を促すだけで、まともな対策をしない。何のために税金を払っているのか理解できません。
「小池知事は、(都知事選のために)感染拡大の兆候を隠蔽・改竄したに等しい。「選挙(自分)ファースト・都民二の次」と批判されても仕方ない。本来ならコロナ対策を強化すべき時期だったのに、東京アラート解除をした状態を放置した」
— 肉球新党「猫の生活が第一」 (@cat_pad299) 2020年7月27日
小池氏、都民の努力不足と責任転嫁か https://t.co/TGe6IkOlzb
名古屋市のPCR検査のキャパシティがたったの130人との報道。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) 2020年7月26日
この数字が事実なら危機的状況です。
名古屋市だけでなく、"1日3万件の検査体制を確保した"と発表した国が説明する責任があるでしょう。
テレビ塔を黄色に染めている場合ではないです。
特集 | 「PCR検査限界」https://t.co/Xo0df3TfyY
TVに出なくても、真面目に仕事をしている知事はいるんですけどね。そういう人こそ目立たない。バカばかりの国民は評価しない。
これから秋にかけて、景気の悪化は本番に向かっていくことが予想されています。
国民の政治への無関心が無能な政治家を跋扈させ、こういう結果をもたらしている↓。日本の場合、コロナ危機は天災というより『人災』ですね。
●東京都医師会会長。『日本はアジアに学べ』。いつから、日本はこんなにゴーマンな国になってしまったんですかね。
www.tokyo-np.co.jp
と、いうことで、青山で映画『誰がハマーショルドを殺したか』
第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルドの事故死をテーマにしたドキュメンタリー。1961年9月。動乱の調停のためにコンゴへ向かう国連事務総長のダグ・ハマーショルド氏を乗せた飛行機が、ローデシア(現ザンビア)で墜落する。乗員全員が亡くなったこの事故は未解決のままだったが、監督は調査を進めるうちに暗殺説もささやかれる事故の真相や、その裏に見え隠れする秘密組織の存在にぶち当たる。
サンダンス映画祭で監督賞を受賞したドキュメンタリー。監督は、アフリカの政治汚職や北朝鮮を取り上げたドキュメンタリーを作っているマッツ・ブリュガーというデンマークの人。7年の調査期間を要した力作です。
●葉巻を咥えるブリュガー監督。結構 お茶目な人です。
コンゴ動乱の最中に起きた国連の事務総長ハマーショルドの死は学校の教科書で読んだ記憶があります。飛行機が墜落しての死亡、というのはやっぱり何かありそうですもんね。
実際 当時からハマーショルドの死は暗殺ではないのか?ということはささやかれていましたが、原因不明のまま50年以上が過ぎました。
2015年に国連が再度調査を開始、17年に発表された報告では何らかの攻撃による墜落を示唆したものの、各国の情報開示が不足しており結論が出せない、ということになっています。現在も調査中です。
当時は世界各地の植民地が欧米から独立する機運が高まっていました。国連事務総長のスウェーデン人、ハマーショルドは、世界中の人は自分で自分の運命を決めるべきだ、という民族自決の原則を支持していました。スウェーデン語で俳句を作るような人でもあったそうです。
mainichi.jp
植民地に反対する彼の姿勢は旧宗主国のヨーロッパだけではなく、アメリカやソ連にも嫌われていました。ソ連に至っては解任要求まで出していたほどです。各国ともアフリカに莫大な利権があるからです。
●これが第2代国連事務総長ハマーショルド
特に豊富な鉱物資源を有するコンゴは独立後も各国が資源を巡って争っていました。
旧宗主国のベルギーは鉱山がある地域に傀儡政権を作らせて、コンゴ政府との内戦が勃発します。更にまた コンゴ政府内もアメリカ派、ソ連派で分裂しており、そんな中でハマーショルドは停戦に動いていた。左右関係なく、大国の目からすれば、ハマーショルドは邪魔だったのです。
●映画は監督が秘書に口述筆記させる形式で進んでいきます。
監督は父親が50年前に現地調査に加わっていたというスウェ―デン人、ヨーラン・ビョークダール氏と知り合います。ビョークダール氏は現地調査団に加わっていた父親が介護施設に入る直前、ハマーショルドの乗った飛行機の外板という銃痕らしき穴が開いた金属板を託されています。
コンゴへ向かった二人は、飛行機が墜落した現地で証言を集め始めます。
●監督とビョークダール氏(右)
50年前のことですから、まだ目撃者がいます。果たしてハマーショルドが乗っていた飛行機を戦闘機が撃墜したことを証言する人が複数見つかります。また飛行機墜落時のアメリカのNSA(アメリカ国家安全保障局)の通信傍受記録でも発砲が明らかになる。
やがて、ベルギー人の傭兵が戦闘機で飛行機を撃ち落としたことが判ってきます。監督たちの調査結果は後日 ニュースでも報じられています↓。でも、誰が、何のために命じたのでしょうか?
監督たちはベルギー人傭兵を雇っていたのは『南アフリカ海洋研究所』(サイマー)という調査機関だったことを突き止めます。サイマーのレターヘッドを使ったハマーショルド暗殺計画書が見つかったのです。でも、紙切れだけでは証拠にはなりません。
●これがサイマーのレターヘッド。人々を海に引き込む魔女セイレーン?が描かれています。
ここから舞台は南アに移ります。南アで証言を集めていた監督たちは既に亡くなっている一人の医師の存在にぶち当たります。常に白い服を着た一人の男がサイマーの中心人物だったらしい。
監督たちは証言や資料を探しまわりますが、サイマーも男の正体も謎に包まれています。
●監督たちは秘密組織の存在の証拠を見つけるために、証言してくれる元メンバーを探しまわります。
ここからネタばれです。
やがてサイマーのメンバーだったという男が証言に応じます。長年 前線で活動していたものの、組織に家族を殺されそうになり、脱退したというメンバーです。
海洋調査機関を装っていたサイマーの正体は長年アフリカ各国でクーデターや内乱を起こさせていた秘密組織でした。傭兵や殺し屋を雇ったり、毒ガスや細菌の研究所まで持っていた。ハマーショルド暗殺もサイマーの活動の一環です。
しかし、サイマーはもっととんでもないことをやっていた。
慈善団体が無料の予防接種を行うふりをして、アフリカの黒人たちの間にエイズ・ウィルスをばらまいていた、というのです。黒人の人口を減らし、白人至上主義の社会を守ることがサイマーの真の目的だったのです。
映画では元メンバーの証言に加えて、ウィルスをばら撒いていたことを暴露しようとして殺されたサイマーの研究員の遺族の証言も取り上げています。謎の死を遂げた研究員の死を警察はまともに調査もしなかった。複数の証言ですから、信ぴょう性があります。
それだけではありません。サイマーにはバックがいた。元メンバーの証言者はサイマーを操っていたのは、CIAとMI6(イギリスの諜報機関)ではないか、と言っています。南ア政府はサイマーの存在を知っていたけれど、その資金源も命令元も外国だった。
実際 ハマーショルドの死にはCIAが一枚かんでいたそうです。事故後 死体となったハマーショルドの胸元にはトランプのカードが置かれていました。スペードのエースでした。このことは公式発表されていませんが、監督たちは現地の人から言質を取り、その写真も持っています。
サイマーのことを証言した元メンバーは死体にカードが置かれていたことを知っているばかりか、トランプのカードの種類まで知っていました。CIAは仕事を終えた際、スペードのエースを残しておくのが通例だそうです。
サイマーの存在は今も闇に隠されています。南アのアパルトヘイトの崩壊後、サイマーの存在は闇に葬られ、一部の幹部は外国に逃れています。アパルトヘイトを洗い出す真実和解委員会で取り上げられてはいるものの 詳しい調査は行われていません。監督に証言したサイマーの元メンバーは国連にも証言したあと、身の危険を感じて身を隠します。
今も国連では調査が続いていますが、イギリス、南アフリカが情報提供に応じないため、未だにはっきりしたことは判らないそうです。また証言にある通り、予防接種の形でエイズ・ウィルスをばらまくことが本当にできるのか、そこも明らかになっていません。
映画は冷静な立場で事実を検証する姿勢に貫かれています。証言や証拠も複数集めているし、陰謀論で決めつけるようなことはしません。判らないことは判らない、と結論も無理に出しません。だからこそ、説得力があります。
まさにエビで鯛が釣れた、ハマーショルドの死を探っていたら、その100倍くらい大きな話にぶつかった、というお話です。最初は昔のこと、というつもりで見てたんですが、途中からどんどん興奮してくるのが自分でも判りました。まさに、知的な興奮です。滅茶滅茶面白いです。
驚くべき謎解きドキュメンタリー。青山で先行公開されたあと、これから秋にかけて全国で公開されるようですが、是非お勧めします。
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