特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『マンゴーアイス』と知性と痴性の融合:映画『グッド・ボーイズ』

 4月中旬のピークを越える勢いで感染が拡大しているというのに、この国の総理大臣は国会どころか、記者会見すら開きません(笑)。楽でいいよなあ。

 記者会見を開いても、何も実効性のある対策を打ち出さない小池や吉村だっていますから、どっちがマシなのか判りませんが、これだったらボクでも、いや、そこいらの犬や猫、パンダでも総理大臣が務まります。
 やっぱり全体の約半分にも及ぶ、選挙を棄権しているバカ国民の責任は大でしょう。

 日本では韓国の悪口を言う人は多いし、確かにおかしなところもあるとは思うけど、リーダーがこういう言葉を持っているだけでも安倍晋三の1000倍はマシなわけです。韓国の方が日本よりはるかに政治が機能している。メルケルやアーダーン、蔡英文とまでは言わないけど(笑)。


 映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の小川淳也議員がインタビューでこんなことを言っています。
有権者を教育することを政治家は当然やっていませんし、学校も親も誰も日本ではやっていないですね。親は政治の話なんてしたら駄目、変な人に思われるよと言い、社会の暗黙の了解として政治を忌避してきました。』

『国民と政治家が車の両輪としてお互いに頭を打ったり膝を擦りむいたりしながら、けん引し合って成長していくしかないんです。だから時間がかかるし、一筋縄ではいかないことを覚悟してほしい』

 そうなんですよね。コロナ対策もそうですが、政治にしろ、経済にしろ、外交にしろ、こんな複雑な世の中で明確な答えなんかあるはずがない。
 もうちょっと小川議員の言葉を借りましょう。

『我々が立ち向かう時代は、どの国も、どの歴史も経験したことない段階に入るので、明確に『これだ』という答えが簡単に出るほど単純じゃないと思うんです。だから国民もさ迷ってるでしょう? だからリーダーも自分は悩んでいますと、国民に対してはっきりと言っていいと思います。』

 今の日本のリーダーにはそういう自分の言葉がない。つまりリーダーシップがない。

『その人の責任において国民の決断を促す、一緒に移行するという形のリーダーシップ以外、本当の解決にならないんじゃないか』

 でも、それは自分の意見を持つ人が極端に少ない日本人の責任、とボクは思います。国民の側も、自ら現実から目を逸らすようなことばかりやっているからです。たまに意見をもっても、『原発即時ゼロ』とか『消費税廃止』のような安易で無責任な答えに直ぐ、すがりたがる。

『誰を批判するつもりはないけど、橋下徹さん、山本太郎さん、小池百合子さん、小泉純一郎さん、それぞれに熱狂したけど、それは本当の解決じゃないですよね。一時、気が紛れるかもしれない。一時目をそらすことで気持ちよくなるかもしれない。ただ本物の問題とか、本物の構造変化に正しくアプローチしているという確信はないはずなんです。これからは劇薬や偽薬じゃなく、漢方薬みたいな体質改善を緩やかに促していくリーダーシップが求められているんじゃないか』

 時間はかかるかもしれないけど、国民がもっと賢くならないと政治も変わらないでしょう。まず我々一人一人なんでしょうね。


 先週のこの話も面白いなーと思いました。天皇が『コロナ渦が路上生活者にどんな影響を与えているか知りたい』と言って奥田牧師を宮中に呼んで話を聞いたのは、新聞にも出てましたね。平成天皇は確かにリベラルでしたが、息子もそうなんだ。
 やはりICU繋がりなのか、キリスト教繋がりなのか、知りませんが、戦後の天皇家にはそういう知的伝統が根強くあるんだろうなーと思います。


 さて、こちらは2か月に1回と決めて通っている神宮前のソフトクリーム屋さん。この週末は、カロリーが怖いので土曜日のお昼ご飯の代わりにしました。
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 店主の親戚の牧場のミルクで作るというソフトクリームは砂糖控えめでコクがあります。その下にはマンゴーがどっさり。月替わりのフレーバー、今月はマンゴーでした。

 観光用の牧場で食べるものも含めて、この店のソフトは断トツにおいしい。いつもの事ながら、アイスを一口食べると『うまいっ』という声が思わず出てしまう。ソフトクリームマシンもきめ細かなものが出来るイタリアの特注だそうですが、ミルクと舌ざわりの違いでこんなにも違うのかなーと思います。
 また、太っちゃった(笑)(泣)。
 



 と、言うことで、六本木で映画『グッド・ボーイズ
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goodboys.jp

小学校6年生のマックス(ジェイコブ・トレンブレイ)、ルーカス、ソーの3人組はイケてない3人組として、いつもつるんでいた。そろそろ女性には興味を持ち始めている3人は。ひょんなことから、初キスパーティに参加することになる。興味津々の3人は、どうやってキスをしたら良いか、リサーチを開始する。そのためにマックスは父親が大事にしている仕事用ドローンを持ち出して女子高生の家を覗こうとするが、あっさり露見、ドローンを取り上げられてしまい- -


 主役のマックスはアカデミー賞にノミネートされた『ルーム』や『ワンダー 君は太陽』で天才子役と呼ばれているジェイコブ・トレンブレイ

 監督はさまざまな作品で脚本家として有名なジーン・スタプツニキーという人ですが、何といっても製作がボクの大好きなセス・ローゲン
 このブログでも度々取り上げてますが、この人の作品はマリファナと下ネタばっかり、宗教も差別も政治も権威もタブーなしで笑い飛ばすけれども、内容はいたって超リベラル。ゲラゲラ笑って、最後には泣かせるものばかりです。

 お尻の穴に隠した爆弾で金正日を暗殺しようとするおバカ映画『ジ・インタビュー』が米朝の国際問題になったことは有名です。大ヒットした『ソーセージ・パーティー』ではサイテーの下ネタ映画にもかかわらず、クライマックスではアラブ・ユダヤ連合軍が悪と戦うんですから、サイコーです(セス・ローゲンユダヤ系)

 今作も日本では地味な扱いですが、アメリカでは昨夏に興収1位の大ヒット、興行収入は120億円を記録しています。


 お話は思春期に入りかけた12歳の少年たちのドタバタコメディ。

 下ネタばかりのR指定なので、出演した少年たちは出来上がった作品を見ていないそうです。そのような下ネタの意味が分からない少年たちが背伸びして演じたら面白いのでは?というのが製作側の狙いだそうです(笑)。撮影中に子供たちから意味を質問されたら、制作側は撮影に同伴した『お母さんに聞け』と返したそう(笑)。しかもロケは実際にジェイコブ・トレンブレイ君が通っている学校で行ったそうです。

 露骨な描写はないんですが、本当に下ネタばかりなのにはびっくりします。

 ボクは下ネタはあまり好きじゃありませんが、今作はとにかく徹底しているので、笑えなくても失笑はできます。と言っても、それだけじゃなくて、性や人種の多様性を当たり前のように認めるリベラルな価値観に裏打ちされながら、笑って、最後には泣かせるように出来ています。

 下ネタばかりの映画で男女平等、性差別反対を訴えるのですから殆ど理解できないです(笑)。この脚本、演出は相変わらず大したもんです。知性も痴性も日本とはレベルが違う。今回は下ネタの意味が判らない子供たちが一生懸命に演じているから余計におかしい、と同時に可愛らしい。

 あと、アメリカでは、優等生やイケメン、体育会の学生が幅を利かすスクールカーストが日本よりきつい、ということはよく言われますけど、今や金持ちのアジア系の子が頂点にいるという描写も面白かった。

 女性も含めて外人が半分くらいを占める客席でしたが、最初から最後まで笑声が絶えません。コロナ対策としてはアウト(笑)。

 R指定のお笑い映画で、それ以上でもそれ以下でもありませんが、面白かった。良くできている。充分下品ですが、差別的な視点やデマのように品性下劣と言った下品さとは程遠い、優れた映画でした。

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