5月も半ばも過ぎ、暑くなってきました。今週は最高気温が30度近くになりました。最近は春と秋が本当に短くなってきた、と思いませんか。
ボクは往復3時間の徒歩通勤になって、人混みでイライラすることも少ないし(マスクなしでジョギングや自転車に乗ってるキチガイには頭にきますが)、お腹も空くし健康的だし、景色を見るのも楽しいですが、それもお天気あっての物種です。真夏になったら往復20キロは無理(笑)。今のような生活は5月いっぱいが限界だなあ。
●通勤風景:朝のバラと人もまばらな夕方。
東京、大阪、北海道などを除く地方は緊急事態宣言が解除されました。
昨日も安倍晋三が延々と記者会見やってましたが、頭の悪い奴、仕事の出来ない奴って話が長いんですよね(笑)。仕事でも、デモや集会の挨拶でも、こういうことは一緒です。
都市部と地方の感染状況はずいぶん違うので、感染者が殆ど発生していないような地域だったら、経済活動を始めないと仕方ありませんよね。東京や大阪からの人の移動を防げば問題はない。
それでも経済の中心である東京や大阪が活動を開始しなければ、日本中が干上がってしまいます。
十三市民病院の人「合羽で仕事させないで!」
— 君に届け!滑稽新聞@空気を読むな (@akasakaromantei) 2020年5月13日
松井大阪市長「何も無いよりはマシ」
怒号が飛び交う中、松井市長、一方的に退席。尋常じゃない。大阪が大変な事になってるのではないか?
テレビに影響されて「大阪モデル凄い」とか「吉村知事寝ろ」とか言ってる場合じゃないpic.twitter.com/dLaPWMAHHZ
そのためにも我々にできるのはなるべく外出や移動をしないで感染者の増加を減らすことですが、それは効果が出てきている。
今までマスコミは無意味な1日の発生者数でバカみたいに一喜一憂してましたけど、やっと解除基準も週単位の発生者で議論されるようになってきました。傾向値で考えなければ意味がないに決まってるじゃん。
東京の新規感染者は減りつつありますけど、今週 外出した人が増えて結果がどうなるか。あと2週間くらい経たなければ判断できないです。
●東京都の新規感染者数(~5/15、1週間の移動平均):今日5/15現在の週平均は21人。ちなみに東京の解除基準は10人以下。
一方 病床や検査の拡充は政府や自治体のやることですが、こちらは情報公開も含めて全く心もとない。
保健所からファックス!で報告を受けていた東京都が感染者数を間違えていたことが発覚していましたが、空き病床数の増加具合、再生産数など大事な情報は依然 殆ど公開されない。
マスコミの能力不足、特に御用放送と化したNHK夜7時、夜9時のニュースの罪は重いとしても、日本の為政者は国民に説明しようという概念が甚だ薄いのでしょう。例の大阪モデル(笑)もそうですが、根拠も論理的に説明せず、ただ『こうやれ』の方が楽ですからね。国民もそれを受け入れてしまっている。
NHKニュースウオッチ9 野党が退席するキッカケとなったこの答弁は放送せず。その前の当たり障りのない答弁に切れて理不尽に審議拒否したかのようなニュース構成。そして締めは、自民・森山国対委員長の「武田担当大臣はしっかり答弁していた」とのコメントで締めくくり。pic.twitter.com/HiBx3AS3m9
— ユクサ・ターヤ@本当の国益を考える (@koueki2) 2020年5月13日
無能な政治家、知事、マスコミだけでなく、それを選ぶ国民の民度や社会のレベルも含めて、日本は既に発展途上国に転落しました。
仕事でもアメリカの人は勿論、中国や東南アジアの取引先にも『ファックス』と言うと笑われるどころか、マジで驚かれます。『日本はまだ、本当にファックスなんか使ってるのかって』(笑)
ワクチンの開発だって日米英中の感染症関連の研究開発予算(2018年)は米国は75億ドル(8000億円)、中国は53億ドル(5600億円)、英国は5億8000万ドル(620億円)、日本は5億3000万ドル(560億円)だそうです。
日本の研究開発費はちょうど中国の10分の1です(笑)。経済規模が日本の半分のイギリスより少ない。日本のレベルなんか、実はこんなもんです。
研究開発に占める感染症関連の割合の推移を示すこのグラフを見ると、10年代以降の日本の凋落とまさに重なっています。
新型コロナ:待たれるワクチン開発 未来への投資、今こそ (写真=ロイター) :日本経済新聞
きっとこれから感染は2波、3波と来るのでしょうから、そう思って自分で自分の身を守らなくてはいけません。ったく何のために税金を払ってるんだか。
ということで、読書の感想です。『ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来』
ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来 (インターナショナル新書)
- 作者:明石 順平
- 発売日: 2020/04/07
- メディア: 新書
著者の明石氏は労働争議、ブラック企業問題を専門とする弁護士。ですが、以前話題になった『アベノミクスによろしく』という著書で経済政策の失敗=「アベノミクスの大失敗」を指摘していた人です。その本はボクの意見と全く同じだったので、この人の著書は今まで敢えて読んでなかった(自分と同じ意見を追いかけても仕方ありません)。
- 作者:明石 順平
- 発売日: 2017/10/06
- メディア: 新書
しかしアベノミクスが失敗したことが明確になり、しかも昨今のコロナ危機で財政再建をどうするということがこれからはどうしても問題になります。
ということで、これからやばくなる日本の財政の事を考えてみよう、と思って読んでみました。著者はtwitterでは中々良いことをいってますし。
本の要旨はこんな感じです。
前半部は通貨の歴史やその性質が簡単に述べられます。後半でMMTの批判をするためです。通貨の歴史については『へー、そうなんだ』と思いましたが、個人的には興味ないのでスルー(笑)。
後半は日本の財政について以下のようなことが述べられます。
●現在、日本の国と地方を合わせた国債発行額は約1100兆円(GDPの2倍超)と最悪の状態。一方 アベノミクスの異次元の金融緩和にもかかわらず、需要は増えないから企業の投資(借入)も増えず、以前に比べて経済も成長しなかった。反面アベノミクス以降の6年間で物価は6.6%も上昇。2013年から‘16年にかけて実質民間最終支出は3年連続で減少している。
●一方 2018年から2025年までの間に、日本の生産年齢人口は345万7000人も減少する。これは第二次世界大戦の日本の犠牲者数〈約310万人〉を超える人数。
●したがって今後も経済(税収)の拡大は難しいが、その一方 高齢化で社会保障費は増え続ける。
●「MMT(現代貨幣理論)」は為替を全く無視しているし、インフレのリスクも考慮していない。通貨は無限に作り出すことができるかもしれないが、価値を無限に維持することはできない。通貨を増やしすぎると為替の変動で、その価値が下がってしまう。そして通貨の価値が下がると物価は急上昇し、国民の生活は苦しくなる。MMTは根本的に間違っている。
改めて指摘されると、18年から25年までに生産年齢人口が第二次大戦の犠牲者なみに減るってすごい話ですね。
著者は『財政あきらめ論者』で『日本経済はどこかの時点で、インフレや円安のような形で破綻せざるを得ない』。日本人はそれを直視した上で、増税など経済の再建を考えるべきだ、としています。
具体的には「税は権力者に取られるものという認識を変えていかなければならない」
つまり、『国家を運営するにはお金が必要で、お金は主権者である我々が出し合うもの。お金をたくさん使うのなら、それに応じて負担が増えるのは当然。』
『どれだけみんなでお金を出し合うのか、それを何に使うのか、決めるのが政治であり、みんなで支え合う政治にしていかなければならない。』
政治と経済は不可分、というわけです。
ボク自身は日本の将来についてはこう思っています。
積みあがった世界最悪の莫大な財政赤字は経済成長と増税で再建できれば良いのですが、コロナ危機でより一層難しくなりました。
もはや取れる手段は2つでしょう。
一つは『増税に加えて国債の棚上げで破局(超円安&インフレ)を避けながら数十年単位の長期不況に甘んじて更に貧乏国になっていく』、もう一つは『相続税100%で財政再建&景気回復&機会の平等で社会活性化』。
画期的なイノベーションとか、GAFAみたいな企業が日本に出てきて経済成長していけば話は別ですが、自粛警察を生み出したように、他人の足を引っ張る事しか能がない今の日本の社畜教育じゃムリムリ(笑)。
president.jp
まずは前者、マイルドな方から(笑)。
第2次大戦の戦費で莫大な財政赤字を抱えたイギリスは戦後 国債の棚上げをしました。永久公債(コンスル)と言って、国債は利払いのみで元金は償還しないことにしたそうです。その代わり利払いという負担が永遠に残り、経済成長の足を引っ張ります。それだけが原因ではないにしろ、イギリスは約30年 経済の低成長が続きました。
今後の日本は金融や資産などへの課税で再配分を目指すにしろ、消費税も含めた増税は考えざるをえないと思います。
累進課税強化や法人税を上げるのは当然ですけど、それで増える税収は数兆円程度ですから、借金を減らし、今後増えていく社会福祉の財源にするにはとても足りません。消費税も安定した税源として有用です。著者も指摘するように『高福祉国で消費税が低い国はない』
増税しないで何とかする方法はないのでしょうか。それがMMTなんでしょう。
MMTのように通貨を無限に発行すれば極端な円安になります。つまり円の価値が下がる。
昭和のように国内で生産して輸出する時代なら円安で良かった。しかも石油は安かった。
これからは少子高齢化が進み生産力が減っていく反面、資源が乏しい日本は輸入に頼らざるをえないのだから、日本にとって円安は著しく不利です。
アベノミクスの金融緩和と同様、MMTなんかやれば円安が進み食料品などの物価が上がり、庶民の生活は破壊される。外国の資産に投資できる富裕層はもしかしたら儲かるかも(笑)。アベノミクスがもっと極端な形になるんです。
MMTは結果として庶民の生活を外資と富裕層に叩き売ることになる。サイアクでしょう。
本当は相続税100%にするのがベストです。
今だったら世界最悪の財政赤字にも充分対応できる。1100兆の国債残高に対して、個人の金融資産はまだ1800兆円もある。現実的には遺族への控除は一人5000万とか若干は残すにしても、それ以外は高齢者の死亡に合わせて、少しずつ遺産を召し上げればいい(笑)。
相続税100%を導入するなら所得税の累進課税もやめて簡素なフラット税率にしてもいい。その方が導入への抵抗も和らぐし、もしかしたら(新自由主義者が言うように)労働意欲が湧いて生産性もあがるかもしれない。最後は相続税で取り上げるのなら結果は一緒ですからね(笑)。
個人金融資産1835兆円=10年連続増、国債は4割日銀-18年度末:時事ドットコム
更に相続税100%にすればお金を持っている高年齢者がお金を使いだすから、景気も回復する、ついでに機会の均等が実現して人材の有効活用、社会の活性化につながる、更に若年層への資産移転につながりますから少子化対策にもなる。万々歳じゃないですか。今の日本に足りないものって、若い人への希望ですよ。
しかし、ボクは政治家も国民も今の日本人にそれを受け入れるだけの知性があるとは思わない。だったら、こんな低投票率にはならないでしょ(笑)。
「興味深いのは、日本人は政治にそれほど関心がないのに政府に依存し、国からの発言を待っていること」「『自分ではない誰かがしてくれる』気持ちが強い」「サービスが整いすぎているのが日本の弱さで、知恵や能力を使う機会がなく、自ら考えて動くのが苦手で他責傾向」 https://t.co/qOvO1Rfcn4
— 町山広美 (@mcym163) 2020年5月14日
この本は通貨と税金、そして日本の財政状況や今話題のMMTなどの問題を問答形式で専門用語を使わずに、易しく解説してくれます。それだけでなく『通貨はお金ではなく、価値である』という著者の言は偏狭な経済学者にはとても及ばない、本質をついていると思います。
『日本の財政はいつか破綻せざるを得ない』という結論は厳しいですが、民主的な政治を取り戻さなければ経済の面でも日本の将来はお先真っ暗、ということが良くわかる本です。面白かったです。