おかげさまで、楽しいゴールデンウィークを過ごしています。
仕事に行かなくて良いというだけで、どうしてこんなに気分が晴れやかなんでしょうか’(笑)。
まるで定年後の生活の予行演習をやっているようです。会社に行かなくて良いというのはこんなに楽しいものなのか。元々、ゴールデンウィークへどこかへ行くなんてことは考えたこともないし、家の周りで散歩でもしてれば充分満足です。
ただ家の周りは郊外住宅地なんで人が多い。駒沢公園は恐ろしいので行くのをやめました。マスクをしないでジョギングしてるバカはだいぶ減ったとは言え、マスクなしでゼエゼエやってるアホはまだ大勢います。あれはどういう発想なのでしょうか。ああいう輩は早く死んでほしい。
唯一 食べ物屋さんが閉まっているのはつらいなーと思います。特に自分では作れないトンカツとか天ぷらは食べたくなってきた(笑)。
2月「PCR検査体制を1日二万件を目指す」
— YELLOW_TAIL (@RedGolgo) 2020年5月4日
4月「PCR検査体制を1日二万件を目指す」
5月「PCR検査体制を1日二万件を目指す」
壊れてんのか?@AbeShinzo#俺たち自粛お前は辞職 https://t.co/djFyI6nFR2
様々な産業が影響を受けていますけど、飲食や旅行だけでなく洋服屋さんも厳しいそうですね。
店で不特定多数の人が触った服を試着して買うなんて今はあり得ないし、足りないものをネットで買うにしても徒歩通勤だから動きやすい恰好、ポロシャツとかユニクロで充分です。そもそも服を買っても今は着る機会がない。3月の初めに春物のスーツを買ったのが遠い昔のことのようです。今年は春物のスーツは1回も着ないで終わりそうです。
そりゃワクチンとか口走るあの吉村府知事じゃこうなる必然よね。
— 愛国心の足りないなまけ者 (@tacowasabi0141) 2020年5月4日
つか人口900万の大阪府で検査キャパ一日420件って舐めてんな
PCR検査、大阪で最長10日待ち 医師「保健所受け付けず」―民間委託で拡充急ぐ:時事ドットコム https://t.co/aMTFIa6gMu @jijicomさんから
今のような自粛体制(ディストピアですな)が解除されても、我々は長い期間 感染のリスクと共存していかなければならないでしょう。テレワーク・時差出勤は増えるでしょうし、都会に人が集中するのも多少は緩和されるかもしれません。
個人的には物理的にも心理的にも、人と人との距離をとるようになっていくのはちょっと嬉しいです。ソーシャル・ディスタンスはボクのような人間嫌いにはそんなに悪いものではない。満員電車も他人との世間話もウンザリですもん。これで飲み会や宴会、会食とかがこの世から消滅してくれればいいなあ(笑)。
やはり、今のような状態は長続きできません。経済的に問題が大有りです。今回の自粛で生じた国内の失業者約37万人が、もう1か月自粛が伸びることで40万人失業者が増えて77万人になる、という話まであります。
そうでなくても、ボクも含めて多くの人の収入は大幅ダウンするでしょうし、勝ち組は公務員と年金生活者か(笑)。もちろんそれは仕方がない。ともかく、オリンピック後に予想されていた不景気が特大の形でやってきた。
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今回の危機で、これから我々がどんな社会、どんな生活を選ぶのか。格差拡大や管理社会を選ぶのか、今感じている、頑張って働いている人たちへの感謝を生かせるような社会を選ぶのか。
そのためには政府やマスコミ、ネットに踊らされず、今起きていることを目を見開いて直視していかなければいけない、と思います。
●昨年の5月3日の憲法集会。京大の高山教授(憲法)がコスプレまでして頑張ってます。天気は良くて気持ちよかったですが、こういう集会自体は予定調和なのであまり意味がない、と個人的には思います。こういうのも変わらなくちゃいけないんでしょう。
●今年は国会前からネット中継だったそうですけど、これも正直どうか、と思います。少人数とは言え、わざわざ国会前に集まってるのですから、最初は目を疑いました。バカすぎて。
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ということで、これは昨年観たのかな。古い映画ですが、巨匠と呼ばれる川島雄三監督の傑作と誉れ高い作品。実際素晴らしい作品でした。
新宿で映画『洲崎パラダイス 赤信号』
売春防止法施行前の東京。勝鬨橋の上で、行くあてもない男(三橋達也)と女(新珠三千代)が行くあてもなく佇んでいる。やがて二人はバスにのり、遊郭がある洲崎の入り口で降りる。入口にある飲み屋で求人の張り紙を見つけた女はその店で住み込みで働き始め、男は飲み屋の女将(轟夕起子)の世話で蕎麦屋の出前として働き始めるが
以前 川島監督のフランキー堺主演の「幕末太陽傳」という映画を見て非常に感激したことがあります。幕末という激動の時代、品川の遊郭を舞台に、江戸時代から今に至るまでの文化の連続性や権力に屈しない庶民のエネルギーが生き生きと描き出された超傑作コメディだったからです。
それを撮った川島雄三監督の生誕100年を記念して上映されたこの映画『洲崎パラダイス 赤信号』は1956年の白黒映画、『幕末太陽傳』と並ぶ傑作と呼ばれているそうです。
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今まで全然知らなかったのですが、東京都江東区の東陽町、木場の辺りは1950年代は洲崎という地名でした。まだ海がすぐそこまで迫っていた辺りは戦後『洲崎パラダイス』と呼ばれる、吉原と並ぶ大きな遊郭があったそうです。
元来 根津にあった遊郭が、明治期に東大が作られるためにこちらへ移転したとのこと。戦争で焼け野原になったものの、戦後わずか半年で復興(笑)。2000人以上の遊女がいる歓楽街になったそうですが、1958年の売春防止法で遊郭は廃止、今は埋め立ても進み、そういうものがあったことは全く判りません。
●映画は実際の洲崎でロケが行われています。入り口にはこんなゲートがあったそうです。
お話は男と女が勝鬨橋の上でたたずんでいるところから始まります。
●勝鬨橋の上の新珠美千代と三橋達也。ボクは名前しか知りませんが、美男美女ですね。
舞台は洲崎パラダイスの入り口にある小さな飲み屋です。これがなんとも絶妙です。子供5人を育てるシングルマザーの女将さんがやっている飲み屋はその入口、まさにボーダーラインです。
橋を渡って洲崎パラダイスへ入れば奈落の底。ぎりぎり堅気で踏みとどまっている。そんなところに、新珠三千代と三橋達也が演じる、行くあてもない男女がやってきます。
●男と女は働き口を求めて、シングルマザーの女将さん(轟夕紀子 写真右)が営む、洲崎パラダイスの入り口にある飲み屋へたどり着きます。
女中募集の張り紙を見て入ってきた女はなぜか、客あしらいが異様にうまい。女将さんは彼女を雇うことに決め、飲み屋の2Fの屋根裏部屋に住み込むことになります。一方 男は無口で何も語らず、愛想も悪い。能無しの木偶の棒みたいな感じ。それでも人の良い女将さんは近所を回って、男に蕎麦屋の出前の仕事を世話します。
●女は客あしらいがうまく、景気がいいラジオ店店主(中央)のお気に入りになります。当時は普通の飲み屋でもこんな接客をしていたのでしょうか
]
『訳アリ』そうな二人です。映画では深くは語られませんが、男はサラリーマンをクビになり、女は元遊女、洲崎に居たようです。当時は遊女という職業があったし、サラリーマンの社会的地位も違う。飲み屋の女将さんには夫が洲崎の遊女に夢中になって家出して、女手一つで子供たちを育てているという因縁があります。それだけでなく 多くの登場人物は戦災など、様々な事情を抱えています。
遊郭を背景にしたお話し、それに女性が店や下働きでしか働くこともままならなかった当時の時代背景はありますけど、人物の描き方には女性へのリスペクトをすごく感じます。そういうところも川島監督なのでしょうが、この感覚は凄い。
●シングルマザーの女将さんは旦那が洲崎の遊女と駆け落ちしてしまった過去を持っています。
スクリーンで見る60年前の日本はまるで違う国の話のように見えます。
ちょっと、インド映画みたい。 毎日 東京湾を埋め立てる土を運んでいるダンプの運転手たちは車の窓から女将さんに挨拶して通っていく。というか、誰もが皆挨拶をしあっている。店に入ってくるお客さんも挨拶をするだけでなく、大抵が顔見知り。近所同士で流れ者の就職を世話するくらいの人情やつながりもある。ボクが子供のころの東京はそんな感じだった気がします。
それに店で働いている人がやたらと多い。小さな蕎麦屋でも何人も人を雇っているのは驚きです。今とは比べ物にならないくらい人件費が安い時代だったことが良く判る。その蕎麦屋の名前が『だまされ屋』(笑)。騙されたと思って食べて見ろ、ということだそうです。
そんな中でも川島監督は洒脱なユーモアを忘れません。
人々の挨拶にしても、人情やつながりにしても、人の数にしても、労働時間にしても、今からは全く想像もできません。誰もが今より貧しかったわけですが、自己責任なんてケチ臭いことを言う人なんか誰もいない。むしろ、現在の我々は彼らより精神的に貧しくなっているんじゃないか。
江戸末期の遊郭を舞台にした『幕末太陽傳』を見たときも思ったのですが、監督の描き方には江戸時代からの連続性みたいなものを非常に感じる。人々の暮らしぶり、人情、まるでシャイさが表れているような早口で聞き取れない東京弁。
戦後 日本は以前からの連続性を失ったとか、良く言われますけど、庶民の間では戦後も江戸時代からの伝統が色濃く残っていた、と思います。お祭りになったら急に元気になったり、大山参りに精を出す、江戸時代からのライフスタイルそのままで昭和まで生きたボクの祖父を思い起こしても、そう思う。むしろ高度成長期以降にこそ、庶民の伝統が破壊されたように思えてなりません。
●今ではぜいたく品の蛇の目傘が日常生活にあるんです。驚き。
多情な女は羽振りの良い、神田のラジオ店主の元へ出て行ってしまいます。男は必死になって女を探しますが、見つからない。やがて二人は思わぬ形で再会します。
●白黒映画ですが、構図、光、俳優さんの表情など画面の美しさは充分に味わえます。
名前しか聞いたことがありませんでしたが、新珠三千代は圧倒的な美人だし、三橋達也って彫りが深いハンサムなんですね。外国の俳優みたい。あと芦川いずみもきれいだったし、轟夕起子の演技力も素晴らしかった。
●蕎麦屋の店員の芦川いずみ
実際の洲崎や神田(秋葉原)でロケをしています。クレジットを見ていて驚いたのですが、この映画、なんと助監督が巨匠、今村昌平、です。小沢昭一が蕎麦屋の出前の若者役で出てきたのにはもう、びっくりします。口調はあの口調のまんま、するりとした渋い味を出していますが、異様に若い(笑)。
●出前持ちの小沢昭一!
誰もが皆、朝から晩まで働いている。これは驚きでした。
テレワークなんて彼らには理解できないでしょう(笑)。
画面の中で見る、かっての日本の活気は眩しいくらいです。これこそが別の国のように感じる最も大きな理由です。それだけでなく、ボクが生まれる前の東京の光景は見たことがなくても、なぜか懐かしさを感じる。
そして、何という大人な、深~い人間描写。たくましく生きていく庶民のパワーに加えて、人間なんてこんなものという諦めにも似た乾いた思い、それでも感じられる、人間へのほのかな愛情。
それが重くなり過ぎず、あっさりとした描写と軽妙な笑いのなかで80分の時間にするりと流れていく。この映画も本当に面白い。人間嫌いで世俗に疎いボクには社会勉強にすらなります(笑)。圧倒的な、だけど洒脱な傑作でした。人生で正気を保っていくためには川島雄三監督の作品はもっと見なければいけないのかも、と思いました。
洲崎パラダイス赤信号・解説
記録映画『赤線』・洲崎パラダイス 1958