良く晴れた日曜日、駒沢公園に散歩に行ってきました。
人の数は普段の日曜にもまして多かった。繁華街は人が減ってるかもしれませんが、郊外の住宅地には人があふれているんでしょうね。
穏やかな良い気候で心地よいんですが、ちょっと人が多い。
特にジョギングしてる人ってマスクしてないじゃないですか。アメリカみたいに2メートル以上距離を取ってる人も少ないですから、すれ違うのもおっかなくて仕方がない。まして集団で走ってる連中とかサイアク。走るクラスター容疑者集団って感じ(笑)。
普段もそう思うんですが、ああやってつるみたがる連中、集団行動をしたがる人たちって、如何にも日本的というか、頭がおかしいんじゃないか、とボクは思っています。口には出しませんが(笑)。
それでも咲き始めた紅白のつつじはきれいでした。季節の移り変わりは今年も美しい。
今回のコロナ危機をIMFは『グレート・ロックダウン』と命名したそうです。ちなみに1929年の大恐慌はグレート・ディプレッション、2008年のリーマン危機はグレート・リセッション。
今のような生活は連休明けどころか、もっと長引くと思います。まず5月6日に緊急事態が解除されるかわかりませんし、仮に緊急事態が解除されたり、感染が収まっても(例え政府が『アンダーコントロール』と言い張ったとしても)、感染者の増減は繰り返すから警戒は続けなければならない。
新型コロナ1年で収束せず 専門家は厳しい見方、五輪にも影響(時事通信) - Yahoo!ニュース
在宅勤務に加えて、来客との面会禁止で、通勤もジーンズ&スニーカーばかりです。今年買った春物のスーツなんか全く着る機会がない!(笑)
これから、かなり深刻な不況はやってくるし、テレワークや時差出勤は増えるでしょうし、我々の働き方も生活も変わっていくでしょうね。会食や宴会が減ってくれたら嬉しい(笑)。
でも飲食業や旅行関連は大変だし、それだけでなく、医療や介護や保育園、我々の普段の生活が如何にもろいものか、今回露わになりました。
竹中平蔵パソナ会長「世界は数年痛い目を見る」 いやあなたのせいですでに散々痛い目を見ています(藤田孝典) - Y!ニュース https://t.co/tvR5mYivxg
— ささきりょう (@ssk_ryo) 2020年4月20日
デジタル化で人間と人間とのつながりも一層希薄になるかもしれない。そういうと悪く聞こえるかもしれませんが、今の日本では元々人間と人間とのつながりなんて、希薄になっている。同質なもの同士がつるんで、くだらない会議やネット、宴会や会食などのなれ合いで利害関係を確認しているだけ。
「軽症者は自宅で寝てろ」と言ってた橋下徹が、安住アナにPCR検査を受けた経緯を問われ
— 君に届け!滑稽新聞@空気を読むな (@akasakaromantei) 2020年4月19日
「それね、安住さん生放送でやめてください。みんなが思っていることなんですから。腹の中でみんなが思っていることなんです」
と逃げる。橋下の卑怯さを如実に示す。
(世論の理性さん)pic.twitter.com/CQDcb0LpAG
組合の組織率低下や市民運動、自民党や共産党の地方組織が高齢化して崩壊しつつあるのも同じです。既得権者のなれ合いが徐々に滅びつつある。かといって新しいつながりができているわけでもない。良い意味でも、悪い意味でも、社会の分断が進んでいる。
今回のコロナ危機はそういう今、起こりつつある変化を一層加速させるんでしょう。
我々は今 どんな場所に立っていて、これからどこへ向かっていけばいいのか。ボクだって不安ですが、それ以上に考えることがいっぱいです。
コロナがあぶり出した日本の抱える問題について端的に小池さんが指摘していてすごく納得した pic.twitter.com/doJLIg1UCr
— emil (@emil418) 2020年4月18日
さて、昨日はストーンズやレディ・ガガなどが呼び掛けて医療従事者に感謝する自宅コンサートをやってました。ランランのピアノ伴奏でレディ・ガガやジョン・レジェンド、セリーヌ・ディオンが歌ってたのは面白かったなあ。
Celine Dion, Andrea Bocelli, Lady Gaga, Lang Lang, John Legend perform "The Prayer" | OW:TAH
でも、もっと面白かったのがこれ。NHKのBSで4月7日と16日に放送された『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「ロックが壊したベルリンの壁」』、これはもう趣味の世界(笑)。
www.nhk-ondemand.jp
ベルリンの壁の崩壊に大きな役割を果たした2つのコンサート、デヴィッド・ボウイとスプリングスティーンのコンサートを関係者の証言を交えながら追ったものです。
1987年、ベルリンの壁崩壊の2年前、あるドイツのプロモーターがベルリンの壁のすぐ脇でボウイの野外コンサートを企画します。
ボウイはかって70年代中盤 ベルリンに住んで麻薬中毒のリハビリ(笑)と創作活動を行い、『ロウ』、『ヒーローズ』というボウイのキャリア史上屈指の大傑作をモノにします。特にベルリンの壁を乗り越えようとする恋人たちをうたった『ヒーローズ』は不滅の名曲になりました。
- アーティスト:デヴィッド・ボウイ
- 発売日: 2018/02/23
- メディア: CD
そのボウイのコンサートは実はスピーカーの4分の1が東ベルリンに向けられていました。そしてコンサートは異例のラジオ中継が行われた。
.当然のことながら東ドイツの若者たちにも、音は届く。ユーリズミックスやジェネシスなど他の共演者はラジオ中継を渋ったのですが、ボウイが説得して中継を行わせたのです。
●西ベルリンのコンサート会場。スピーカーは東にも向けられています。
果たしてコンサートを聞こうと数万人の東ドイツの若者が壁の周りに集まり、警察も止められない大混乱が起こります。大勢の群集が『壁を壊せ』と叫びながら、壁に向かっていった。
●これがその時演奏されたヒーローズ
David Bowie Heroes - Live front of the Reichstag in Berlin 1987
秘密警察を駆使して人々を監視していた東ドイツ当局に人々がはっきりNOを突き付けたのは初めてだったそうです。たかがロックコンサート。すが、東ドイツの群集の間には当局に対する意思表示が成功体験としてはっきり残った。
●壁の周りには数万の若者が集まり、逮捕者まで出ました。
東ドイツ共産党は焦ったそうです。若者たちのガス抜きをしなければまずい。
そこで翌年 共産党は西側のアーティストを呼んで大ロックコンサートを開くことにします。白羽の矢が立ったのが当時人気絶頂だったブルース・スプリングスティーン。
●数十万人が集まった巨大コンサートです。
ボーン・イン・ザ・U.S.A.(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】
- アーティスト:ブルース・スプリングスティーン
- 発売日: 2012/01/23
- メディア: CD
実は歌手選びを任された共産党の担当者は西側音楽が禁止の東ドイツにテープを持ち込んで隠れて聞いているスプリングスティーンの大ファンでした(笑)。
彼は『スプリングスティーンは労働者階級の代弁者』と上層部に説明、アメリカ人歌手ということで渋っていた共産党の爺さん連中は、それを聞いて承諾、コンサートが開かれることになります。
●彼が共産党の担当者。スプリングスティーンファンの彼はロックのことなど判らない共産党の爺さん連中を丸め込みました。
共産党が用意したチケットは16万枚、あっという間に売り切れ。しかしそれ以上の人数、数十万もの人が集まったため会場のゲートが壊され、チケットなしの無料コンサートにせざるを得ませんでした。共産党へのガス抜きが目的なのに不満を増やすわけにはいかないからです。
当時の東ドイツの人口は1000万人ちょっとですから、日本で言えば一つのコンサートに200万人以上集まったことになるでしょうか。番組で放送されたフィルムではものすごい大群衆が記録されています。
ところがガス抜きどころか、スプリングスティーンは共産党の思う通りにはなりません。
確かに彼の曲は労働者階級の気持ちを歌ったものばかりですが、それは東ドイツにはない自由のための歌です。
最初は戸惑っていた観客たちも、政府に見捨てられたベトナム帰還兵を歌った’’BORN IN THE USA''では大合唱が起こります。共産国の国民が数十万人で『俺はUSA生まれだ。USAの敗残者だ』と歌いだす。観客たち自身にとっても驚きの体験でした。彼らは初めて自由を味わったのです。
●コンサートの模様。凄い人数です。そして凄い盛り上がり。
Bruce Springsteen - Born in the USA 1988
挙句の果てにはスプリングスティーンは大群衆に向かってドイツ語で『全ての壁がなくなればいい』とスピーチします。その一言で共産党のお歴々の顔色が変わり、周りはいつステージの電源が切られるか、ずっとハラハラしていたそうです。
とどめをさしたのが観客をステージの上にあげたこと。当時のスプリングスティーンはコンサートで女性客をステージに上げて一緒に踊る、という演出をしていました。世界中のどこの公演でもやっていた、ごく普通のことです。日本で最初にやったときは女性客が緊張のあまり腰が抜けて踊れなかったんですが(笑)。
しかし舞台の上に客が上がるというのは、東ドイツの国民にとっては意味が違いました。舞台の上で共産党が演説しているのをおとなしく聞いているのが当たり前だったからです。自分たちと同じ仲間が舞台に上がったのは彼らにとって衝撃だったそうです。数十万の群集は自分たちの気持ちを表現してもいい、ということが初めて分かったのです。
スプリングスティーンのコンサートはガス抜きどころか、東ドイツの国民にとって自由への渇望を高めるだけの結果になりました。数十万人もの群集が『自由』というものを味わってしまったからです。
その翌年 ベルリンの壁は崩壊します。番組はベルリンの壁の崩壊にはさまざまな要素があったが、ロックも大きな役割を果たした、と締めくくります。
ちなみに2016年にボウイが亡くなったとき、ドイツ外務省が『ベルリンの壁を壊すのを手伝ってくれてありがとう』とtweetしたのは有名です。
以前放送された『映像の世紀』で使われた映像の使いまわしもありましたが、さすがNHK、音楽関係者だけでなく、共産党の関係者や当時の通訳へのインタビューも含めて、実に充実した内容でした。
アーティストだけでなく、東ベルリンにスピーカーを向けてコンサートを開いたプロモーターとか、上層部を騙してスプリングスティーンを呼んだ共産党の担当者とか一人一人の小さな行動が大きな結果を生んだのが良く判りました。
日本には『音楽に政治を持ち込むな』とかいうアホがいますけど、この番組一つ見ても、そういうことを言っている奴がいかに低能なのか、が良く判ります。音楽、特にポピュラー音楽は元々政治に関係あるものなんだよ。政治だって人間的な営みなんだから。
そんなことを言ってるから連中がいるから日本人はダメなんだと思います。まるで、共産党の演説を大人しく聞いてるだけの30年前の東ドイツ国民みたいじゃないですか。
そうそう、NHKで今週23日21:00~にジャック・アタリ先生の1時間インタビュー『BS1スペシャル「欲望の資本主義2020スピンオフ ジャック・アタリ語る」』が放送されます。
先週17日に放送された経済学者、スティグリッツの1時間インタビュー(21日再放送)も面白かったけど、こちらも楽しみです。