特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ウィルスの拡散』と『社会の信頼(変わっていく世の中)』

 今朝の通勤の途上、桜はまだ満開でした。
●今朝の桜。朝陽を浴びる姿がきれいでした。今年の桜もこれで終わりかなー。


 しかし、世の中そんな感じじゃありませんね(笑)。
 なんと、全人類の半分が外出制限です。

 今週も金曜官邸前抗議は中止です。 

 今週 4月1日は安倍晋三がエイプリルフールに参戦とばかりに、『1世帯当たりマスク2枚配布』という強烈なギャグを飛ばしてくれました(笑)。これなら和牛券、お魚券の方がよかった(笑)。

 今朝の朝日によると『布マスク配布は経済官庁出身の官僚の進言(今井ですかね)
「腹案」布マスク、集中砲火 官僚提案「国民の不安、パッと消える」 新型コロナ:朝日新聞デジタル
だったそうですが、発表した翌日には首相官邸のホームページがダウンするくらい抗議が殺到しました(笑)。

●4/2,13:00頃の首相官邸ホームページ(笑)

 やっと呑気な日本人にも、安倍晋三が如何にアホで無策無能なのか、は明確になったらしい。キングギドラだって困ってる(笑)。

 マジに考えるとこういうことでしょう。

 東日本大震災原発事故の時は正直『民主党政権は無能』と思いました。でも少なくとも枝野は状況を説明しようとはしてました。下には下があったんです(笑)。
this.kiji.is

 今回は比較対象がありますから、安倍晋三の無能さは余計に際立つ(笑)。

●ドイツでは約70万円の現金を2日で給付。日本のマスク配布は再来週開始(笑)。



 しかも、失敗ってわかっても間違いを認めない。それで更に傷を広げる。補給なしの無謀な作戦で数万人の兵士が野垂れ死んだインパール作戦から原発、そして今も続く日本的伝統です。

 病床が足りないとか言ってる小池百合子だって感染者が発生してから2か月半も過ぎてるのに、今まで何をやってたんだよ。中国みたいに1週間で病院を作れとまでは言いませんが。


 日本ではバカリーダー連中による冗談のような悪夢が続いているわけですが、段々と増えている感染者数の推移をみていると今はそれどころではない、とは思います。

 TVが毎日 東京都の新規感染者数をセンセーショナルに流しています。でも、1日の発生者数をどうこうしたって意味ありません。傾向なんて均してみなければ判りませんから。

 そこで東京都のサイトでデータを拾って、1日あたりの新規感染者数の移動平均グラフを作ってみました。発生が始まった1月24日から4月2日まで、一週間単位の移動平均です。
f:id:SPYBOY:20200403141607p:plain
stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

 残念ながら、傾向値で見ても感染者の発生は加速しつつある。それは事実でした。
 しかし外出を抑えたのは先週末からです。今 増えている感染者は3連休の頃に感染したのでしょうから感染拡大を抑えられるかどうかは来週以降にならなければ判りません
 
 それにしても3月の半ばには感染者数の増加は収まりかけたのに、オリンピック延期宣言を出すまで外出を抑えなかったのは、政府や東京都の取り返しのつかないミスでした。
 当局の事務方は元来3連休前に外出自粛の呼びかけをするつもりだったそうですし、すべきでした。止めたのは小池百合子なのか、安倍晋三かは判りませんが、オリンピックと国民の生命・財産とどちらが大切なのか。

 確かに今は瀬戸際です。今は拡散が加速するかどうかの分水嶺。東京だけでなく、今は人の移動によって全国に感染が広がっているんですから。

 ウィルス対策についてはボクがちまちま考えるより、IP細胞の研究者、山中教授が納得できる話を発表しています。
 5つの提言『1.外出制限など今すぐ強力な対策、2.症状別の医療体制、3.ウィルス検査の徹底、4.国民への協力要請と補償、5.治療法開発への集中投資』。
www.covid19-yamanaka.com

 逆にこの程度の当たり前のことができないようなら、日本もこれまで、ということでしょう。更に言えばウィルスの打撃もさることながら、これからの経済的打撃の方が大きい。
●全国各地、こういう例が増えていくでしょう。


 日本にとっては、今回の経済対策が巨額な財政出動の最後のチャンスです。グリーン・ニューディールの方向へ日本の産業構造を変革する最後のチャンスかもしれない。国債残高を考えれば今後はもう、巨額の財政出動なんか出来ないはず。

www.newsweekjapan.jp



 危機の時こそリーダーの見識・判断力が明確になります。本質が露わになる。連中がどういう判断を下したかを国民はよく覚えておかなければならない。往々にして、日本人はそれを忘れてしまうから、ダメなんです。



 そして、判断力が問われたり、本質が露わになるのは社会のリーダーだけではありません。我々一人一人もそうです。
 先週末にかけて『4月1日から東京はロックダウンすると医師会が言ってる』というデマtweetが拡がりました。記者会見で菅がわざわざ否定したほどです。根拠が不明瞭だからガセとは思いましたが、確かにそういう情勢でしたから、ボクも多少ビビりました。

 実際 30日、31日とスーパーには大勢の客が押し寄せてました。それもお年寄りが多かった。買い物籠を持つのも億劫な、よいよいの爺さままでスーパーに繰り出していたんです。雰囲気がちょっと、ぎょっとするくらい普段と違ってた。
www3.nhk.or.jp

 ボクもその一員である中高年がフェイクニュースに騙されやすい理由は、記事にあるとおり『中高年は自分の考えに自信があるから』の他にも『その年代は不安が大きいから』、『情報リテラシーが低いから』など色々言われています。
 真の理由は判りませんが、フェイクニュースの存在とそれに惑わされることは社会に対する信頼を著しく損ねる行為なのは間違いない。社会を根幹からおかしくしている。


 今週半ばから ボクの勤務先もテレワークが始まりました。
 工場にしろ、販売にしろ、事務にしろ、どうしてもテレワークが出来ない人もいますから、勤務先もボク自身も、テレワークには消極的でした。

 だけど、今にも小池がロックアウトを宣言しそうな雰囲気になってきたので、急に押し付けられて混乱するより自分からやったほうがまだ混乱が少なくて済む、と判断したんです。もちろん従業員の安全上、リスクを無視できない状況にもなってきたし。

 IT会社や少人数のベンチャーなどと違って、殆どの会社はテレワークと言っても部分的にしか設備を持っていません。仮に業務的には可能でも、コストの問題があるから、全社員分の通信やセキュリティなどの設備をオフィス用と在宅用と2重には持てないのが現実です。
 例えば日本を代表する1流企業、●菱商事とかでも在宅勤務だとPCの通信速度が遅くて、社員がブーブー言ってるらしい(笑)。

 だから、テレワーク自体が危機対応
 色んなことの優先順位をつけたり、意思決定をしたりで、てんやわんやです。それこそ、311の時とそっくりでした。

 また、普段は他人任せにしてたPCでのTV会議やチャットの使い方を自分でも覚えなきゃならない。ボクは機械嫌いなんです(笑)。でも使ってみたら便利でした(笑)。

 前々からデモや抗議をしながらメールで仕事してましたけど、今日はスーパーで夕飯の買い物をしながら、スマホのビジネスチャットで会議ができた(笑)。流石にデモをしながら仕事のTV電話はできませんが(笑)。
●ワイドショーに出てくる奴らなんて、本当にバカぞろいじゃないですか。ウィルスよりバカの拡散の方が怖いわ。

 
 ボク自身はテレワークが始まっても、オフィスへ通勤しています。10分くらいしか乗らない電車も混んでないし、更に行き帰りに5駅分、毎日10キロ歩くのを日課にしているので健康のためです(笑)。それに殆どの人がいないオフィスは実に快適(笑)。

 しかし、ビルの管理や掃除の人は出勤して仕事をしてくれているし、郵便や宅急便の人たちだって普段通り仕事をしている。お昼を食べるレストランだってそうだし、交通機関も、スーパーもコンビニも、医療や介護の人も、みーんな現場で頑張っている。

 テレワークの代表例である大手IT会社だって正社員はテレワークでも、協力会社(下請けさん)の多くはテレワークの設備を持ってないので出勤している例が大部分、と聞きました。くだらない放送ばかり垂れ流しているTV局だって現場を回しているのは外注さんです。

 やはり何か危機があると、皺寄せは出てくる。リーマンショックでもそうでしたが、多くの場合、皺寄せは弱者の方へより強く出る。

 ただ、今回のウィルス騒ぎで世の中は確実に変わる。変化のスピードは一層早くなる。
 テレワークを機に仕事のやり方も変わるし、自動運転など自動化は進むし、医療や学校も遠隔化が進むでしょう。そうなると無くなる仕事もでてくる。運転だけでなく、例えば授業が下手な教師はお払い箱。印鑑なんてものも死語になるでしょう。


 新春NHKで特集が組まれた『サピエンス全史』の歴史学者、ハラリ氏が日経で良いことを言っていました。

 今回のコロナウィルスによって我々は選択を迫られている、というのです。
www.nikkei.com

 一つは『「全体主義的監視」か「市民の権限強化か」』の選択。もう一つは『「国家主義的な孤立」と「世界の結束」』の選択
 どちらの選択もキーとなるのは社会的な『信頼』です。

 ハラリ氏の母国、イスラエル中東戦争の時に始めたプリンの生産統制を、つい最近まで行っていたそうです。

 今回の危機でも、理不尽な統制が行われ、常態化される可能性はある。ハイテクが発達した現代だったら猶更です。

 かといって統制反対という単純な話でもありません。
 今 日本でも一部のリベラルバカが緊急事態宣言反対とか騒いでますが(リンクしませんが、こんな状況で19日に集会までやるらしい)、外出や一部の業種の営業に制限をかけるのは、ボクは賛成です。でなければ、どうやってウィルスの拡散を抑えるんだよ。

 ウィルス拡散が長引けば長引くほど経済危機も酷くなる。経済危機が酷くなればなるほど、皺寄せは弱者の方へ行くのに。
 しかし、統制・自粛は補償とセットでなければならない。人権の制限に対する償いであるだけでなく、補償があるからこそ、統制が常態化するのを防ぐことができるからです。

●今日になって小池がやっと補償を言い出しました。安倍晋三より遥かにマシですが、対象が狭すぎる。レストランだって、整体の先生だって、タクシーだって、み~んな困ってる。 
r.nikkei.com


 もう一つのやり方は市民を統制する代わりに、市民に情報を与えて力を与える方法です。例えばがんじがらめに監視するより、一人一人がせっけんで手を洗うほうが余程効果的にウィルスを防ぐことができる、とハラリ氏は指摘します。そのためには人々の科学への信頼、行政への信頼、そしてメディアへの信頼が必要です。


 今の日本では政治家は今回の事態を市民に説明しようともしないし、マスコミや市民も説明を求めようとしない。それでは社会に『信頼』なんて生まれるはずがない
 日本に新自由主義、『自己責任病』がウィルスのように横行するのは社会に信頼が欠けているのが大きな理由じゃないですか。今回のコロナ危機で、初めてわかった気がします。

 今回の危機は日本や我々自身の姿をより一層くっきりと浮き彫りにしていると、ボクは思います。