今日は春らしいさわやかなお天気でしたが、世の中、そんな感じではありませんね(笑)。
昨日もずっとNHKが聖火の点火の中継を延々やってましたが、こういう煽り放送を見るたびに『オリンピックなんか潰れちゃえ』と思います。
311があった今週、そのNHKに女優ののんちゃんが3日連続出演していました。火曜朝の番組、水曜夜7時のニュース!木曜のE-TVです。
不愉快極まりない政府広報番組に成り下がった夜7時のニュースですが、録画して、のんちゃんの出演シーンのみに編集してから視聴しました。1時間番組が11分に短縮されました(笑)。
やっぱり、この人面白い。言葉は実にたどたどしくて、素人よりしゃべれない(笑)。けど、時折 鋭いことを言い出す。
『訛りがきつい東北の人間だと思われている自分こそ、東北に恩返しをしなくてはいけない』とか『「この世界の片隅で」のラストシーンで描かれたような(再生のための)笑顔を届けていきたい』とか。
TVによく出てくる、おざなりの言葉ではない、当人の気持ちが入った本当の言葉です。
以前所属していたプロダクションの圧力で干されていたのんちゃん、TVで目にする機会は滅多にありませんでした。
それでも、その間『この世界の片隅で』という不世出の傑作をものにしたし、高橋幸弘や大友良英など大物ミュージシャンのバックアップで曲を出したりステージに立ってましたから、大活躍といっても良い。
今回 NHKに異例の起用をされたのもそうですが、やっぱり映画界にも、音楽界にも、TVの世界でも、のんちゃんを放っておけない、と思う人がいるんでしょう。
のんちゃんは既に『あまちゃん』と『この世界の片隅で』という大傑作2つだけでも女優さん一生分の仕事をしたと思いますが(笑)、この人はまだまだ先が見たいです。
●最新作「星屑の町」の感想はいずれまた。映画の出来はいまいちだったんですが、岩手弁で喋っているこの子を見られただけでも満足です。ここでもラサール石井やでんでんなど周りのおっさん連中がのんちゃんを囲んで喜々としているのが印象的でした(笑)。
さて、新型肺炎はいよいよ影響が大きくなってきました。大スター、トム・ハンクス夫妻まで罹患したそうです。
www.cinemacafe.net
こんな時に、さいたま市は『(他の幼稚園には配ったマスクを)朝鮮学校の幼稚部(幼稚園)には配らない』なんて、呆れたバカもいたものです。幼稚園児相手にいい大人が何やってんだよ。そもそもウィルスは国籍に関係なく広まることすら判んないのか、この白痴。
this.kiji.is
まさか、こんなレイシズム丸出しの対応はさいたま市の方針ではなく担当者の忖度だと思いますが(と、信じたい)、そうだったら差別クズの担当者の指名を公表してクビにしろよ。あ、担当者だけじゃなく、さいたま市は責任取らなきゃだめか。
ニューヨーク市において差別は犯罪です。新型コロナウィルス関連のヘイトクライム、差別を経験した方は直ちに通報を。アジア系アメリカ人コミュニティーの皆さん、ニューヨーク市はあなたたちの味方です。
— ヒロ・マスダ / Hiro Masuda (@IchigoIchieFilm) 2020年3月11日
ニューヨーク市長 https://t.co/gVuKFW9ROG
とにかく、株がこれだけ下がったのには驚きました。1000円以上の下落は今日で今年5度目です。
日本もアメリカもバブっていたのは判ってましたから、社債なのか、土地なのか何かが引き金になって暴落するとは思ってました。うまく行けば、その前に逃げようと(笑)。
けれどロシア、サウジと石油価格のネゴができなかったのもきっかけだったにしても、株価崩壊の直接の引き金がウィルスとは正直、夢にも思いませんでした。
それはともかく(笑)、日銀が大量に買い込んでいる株(ETF)の今の簿価はだいたい1万9500円だそうじゃないですか。
jp.reuters.com
だから株価の下落で、既に日銀は大損害を被っています。日銀が保有するETFの簿価は29.6兆円、日銀の自己資本は4.6兆円、損失引当金を足しても9.3兆日本銀行、限界を迎えたファイティングポーズ | コロナショックの大波紋 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準。
損害額によっては日銀の自己資本自体が吹っ飛びかねません。株価が1000円下がると1.2兆の損失という説がありますから、株価が1万2000円~1万3000円になると日銀は自己資本割れ、破綻すると言われています(これは保守的な話で、ボク自身は1万5000円でパニック、1万4000円でアウトと思っています)。自己資本割れということは普通の企業だと債務超過、倒産状態ということです。
仮に政府が増資して日銀を救済しても(そういうことを言ってる、頭の悪い大学教授がいるんです)、中央銀行の信認が不安定になれば超円安が起きてハイパーインフレになることだって可能性は十分にある。そこまで行かなくても、円の信認が下がってドルが手に入らなくなるだけで日本はアウトです。石油も食料も買えなくなる。
今 まさにアベノミクスのツケがまとめて回ってくるわけです。日銀はいくらでも札をすればいいと言ってたMMT論者がいかに頭が足りないか、ということでもあります。
あ、こういうときこそ消費税減税とか言ってるバカが居ますけど、ただでさえ税収が大幅に減ることが予想されるときに減税とかしたらどうなりますかね(笑)。過去に幾つもの国であったように財政難を理由にした福祉切り捨て、それこそショック・ドクトリンが起きるでしょう。
株価の低落は年金資金を株に突っ込んでいるGPIFだって危ない。3月末の企業の決算にも大きな影響が出る。
給与だって減る。年金だって減りかねない。株とか言っても、そんなに興味ない人も多いでしょうけど(ボクもそうですが)、実は誰もが他人事じゃないんです。
ここまで来ると景気の悪化は相当長引くでしょう。リーマンショックどころじゃないかもしれませんよ。倒産も失業も増えるはず。非正規やフリーランスの人はどうするんだ。
少なくとも企業っていうのはこういう時のために内部留保を持ってるわけで、企業の内部留保を出せ、という共産党などの妄言に従わなくてよかった、と思ってる経営者や労働者も多いでしょう(笑)。
今後 株価の動きはどうなるか、もちろん判らないですから、今 パニックを起こす必要はないと思います。でも、とんでもないことが起きるかもしれないという慎重な態度はとっておかないとまずいかもしれません。
あと、政治の役割。ドカッとした緊急経済対策を野党はどうして提案しないのか。このタイミングが遅れたら、それこそ大変なことになる。逆にピンチはチャンスでもあるんだけどな。
今週も 金曜官邸前抗議は中止です。木曜日に当日分と併せて2日分、大慌てで夕食を仕込まなくて済むのも、たまには嬉しいといえば嬉しい(笑)。
最後に 読書の感想です。昨年ベストセラーになったみたいですね。『無敗の男 中村喜四郎 全告白』。
- 作者:健一, 常井
- 発売日: 2019/12/16
- メディア: 単行本
中村喜四郎は茨城県選出の衆院議員。戦後生まれ初の閣僚で田中角栄最後の愛弟子、自民党最盛期の建設族のプリンスと呼ばれたが、ゼネコン汚職で逮捕され、刑務所へと送られる。しかし検察の取調べには完全黙秘を貫き、検事には「男の中の男」と評される。出所後も当選を重ね、初当選から現在まで14戦無敗。出所後は無所属を貫きながらも自民党よりだったが、安倍内閣成立後は特定秘密保護法、安保法制には反対票を投じ、現在は野党共闘のために工作を続け、共闘の影の仕掛け人と言われている。
中村喜四郎という人は一度は汚職で逮捕された人、最近は何故か野党共闘を仕掛けている人、という予備知識しかありませんでした。代議士の評伝なんか殆ど読んだことないですが、ユニークな人なので読んでみました。
この本では彼の選挙の強さ、自民党内での暗闘、逮捕、そして現在、なぜ野党共闘をしかけているかということが数年がかりのインタビュー、調査で語られています。
何故 中村は選挙に強いのか。
初当選から70歳を過ぎた今まで彼は自らバイクにまたがり、年間数千軒も個別訪問を続けているそうです。そうやって喜友会という強固な後援会を維持している。通常 後援会は業界団体や組合、土地の有力者などで構成されるそうですが、喜友会は全くの個人の集まり、利権や仕事のあっせんなど利害関係は一切ないそうです。
彼が自ら身体を動かして自分を理解してファンになってもらっているから、利害の繋がりではないから、彼が逮捕されても後援会は殆ど離れなかった。
地元に何か利権を持ってくるわけでもないし(唯一 圏央道のインターチェンジだけのようです)、それを誇るわけでもない。それでも逮捕、出所後も彼は選挙に勝ち続けます。小選挙区制で無所属で勝ち続けているのですから、これは尋常な話ではない。
中村の逮捕についても詳しく語られています。
彼は戦後生まれ初の閣僚として建設大臣にまでなりましたが、鹿島建設から1000万を受け取って公取にゼネコンを追求するのを止めさせた、との収賄容疑で逮捕、有罪になりました。
その背景にはアメリカの圧力がありました。ゼネコンの談合はアメリカのゼネコンを日本に算入させようとする強い圧力があって、公取が動こうとしたそうです(アメリカから年次改革要望書として公的に要求されています)。しかし談合はある意味 必要悪のところもありますから自民党は大ぴらな談合を止めさせる代わりに公取の追及をやめさせようとした。
その際 とばっちりを食ったのが中村だったようです。面白いことに中村は1000万円の資金をもらったことは認めています。しかし、それは政治献金で業界の便宜を図ったことはない、という主張を押し通します。
確かに資金を受け取ったのは建設大臣になる前でしたから権限はない。逮捕されるなら、もっと上層部の宮沢元総理や金丸幹事長の筈です。なのに中村が逮捕されたのは当時激しい対立関係にあった小沢一郎の影響があるのではないか、ということが、この本では言外に書かれています。
保守寄りだった中村はなぜ野党共闘のために動き出したか。
彼は特定秘密保護法以降 野党寄りに立場を移します。民主主義に対する危機感を覚えたから、と当人は語っています。
そのためには野党共闘をするしかないが、中村 曰く『野党はまるで子供の集まり』だそうです。自分が正しいということは主張するけれど、国民のことはあまり考えていない。また政局の経験豊富な小沢一郎は上から押さえつけるのは得意だが、違う立場の人間を結びつけるのは全く不得意です。
例えば中村が野党共闘を調整しに行った京都(立憲民主と国民民主が対立していた)では、野党幹部から『これは準決勝だ』と言われて、流石の中村も愕然としたそうです。野党が組まなければ勝てないのに、本気で与党を倒そうと考えているのか。呆れた中村が京都の夜にやけ酒を呑みに行ったエピソードは面白かった。
それでも、中村は旧知の山崎拓などとともに共産党も含めて野党の党首間の間をつなぎ、小泉純一郎とも会い、石破とも会い、野党共闘を進めようとしています。新潟知事選では政治とは距離を置いている小泉純一郎に野党統一候補と一緒に写真を撮らせて話題を作り、与党候補をあと一歩まで追い詰めた。旧敵の小沢一郎とは会ってないそうですが、お互い立場は認め合っているそうです。
読み物として大変面白いです。夜は雀荘と料亭の宴会で人間関係を作り、義理と人情で出世していく昔の自民党の世界にもびっくりしたし、現在の『秀才なんだけど、自分だけが正しいと思っている』野党の議員の世界にも驚きました。こりゃあ、どっちもどっちです。ため息がでます。
著者は、中村をトランプと重なるところがあるとしています。トランプは私利私欲のためとは言え、政治から忘れられたラストベルトの労働者の支持で選挙に勝った。中村も開発から取り残された茨城県西部の一般の人々の支持で政治を続けている。
与野党問わず、一般大衆のために仕事をする議員があまりにも少ない、国民もそれを認めてしまっている。それが日本の政治の悪化の原因なのが良くわかりました。
ボクは読み始めたら止まらなくて、電車の中だけで3日で読んでしまいました。それほど面白い。図書館にあったら是非一読されるのをお勧めします。