この週末、TVでは311を振り返る番組を数多くやってました。
あの時のことを思い出すのは良いことだと思います。自分もそうですが、日本人は少し謙虚にならなくちゃいけない。地震も津波も放射能もウィルスも、いくら泣き叫んでも、政治家が偉そうに命令しても、世の中には人間ではどうにもならないことがあるんだもの。
そんな中、TBS報道特集では、台湾が311を契機に原発廃止、自然エネルギーに舵をきったのを放送していました。日本はどんどん世の中の潮流から取り残されているのを感じました。こちらは100%人間の責任(笑)。
報道特集、今週は・・・、
— 報道特集(JNN / TBSテレビ) (@tbs_houtoku) 2020年3月6日
【脱原発を目指す台湾】
アジアで初めて脱原発に舵を切った台湾の蔡英文政権。再生可能エネルギーへの転換を図ろうとする戦略と苦悩に迫る。
是非、ご覧下さい。 pic.twitter.com/7nQuPrm2on
台湾も日本と同じ地震国で製造業中心の国、太陽電池などの部品は自国製です。つまり彼らは環境面だけでなく、自分たちの産業構造のことを考えて再生エネに取り組んでいる。これから伸びるのは再生エネルギーに決まっているし、いまのうちに手を出しておけば市場のシェアだって取りやすい。時代遅れの原発に固執している日本は実に愚かです。
それにしても今の雰囲気は311の時に少し似てますね。9年前の今頃は繁華街から人が全くいなくなったし、何より皆が不安を抱えてた。
今も似たような不安はあるし、街には人は少ないけれど、あの時のことを思い出せば大したことない、そう考えれば落ち着きを取り戻せるというものです。
ただ景気はこれから悪くなる。輸入も輸出も、製造業もサービス業も商業も、企業もフリーランスも殆ど全ての産業に影響が出ています。経済は311の時より悪くなるでしょう。既に売上げはどこも厳しそうで、早くも洋服屋がシークレットの春物セールを始めてます(笑)。
そういう不景気なときは、普段は入れないような店へ行くしかありません(笑)。
ということで、新橋のモンゴル料理へ行ってきました(笑)。繁盛店にもかかわらず、キャパが小さいということもあって中々予約が取れないらしい。でも、流石に今だったら空いてるだろ、と思って。
そもそも新橋なんかボクは殆ど行きません。薄汚いオヤジのサラリーマンがいっぱいじゃないですか。美味しそうな店があるのは判るけど、街の雰囲気が悪いだけでなく、道を歩いている客層が気持ち悪い。下品。あれは何なんだ。勿論 新橋を通り過ぎたりすることはよくありますけど、夜出かけたのは今回が初めてかも。
店は新橋の裏町にありました。お目当てはこれ↓。一見なんだかわからないかもしれません。
羊の塩茹で、です。モンゴル人の店員さんから『温かいうちに脂と一緒に食べろ』と言われましたが、見かけと違って異様にうまい(笑)。何時間かけたか判りませんが、骨ごとぶつ切りにした羊の肉をただ塩水で茹でただけ、だそうです。柔らかくて適度な肉の香りがあって、しかも臭くはない。どうしてこんなにうまいのか。
モンゴルから種を持ってきたというヨーグルトのお酒と一緒にパクつきます。
この羊の麻婆豆腐も超辛いけど、美味しかった~。砂漠系の料理は唐辛子味が多いですけど、中国の麻辣の複雑な辛さとはまた異なる、ストレートな辛さです。羊肉とよく合います。
これは卵とトマトを入れた羊のスープ。コクはあるけれど、優しい味です。
週末の金曜日、最初はボクらだけで貸し切り状態でしたが、次第にお客さんが入ってきて満席になりました。我々以外全員女性客(笑)。
そんなことを考えて店を選んでいるわけじゃありませんが、やっぱり女性が多い店は安くて美味い。これは普遍的な法則のようです。
●店の壁にはジンギス・カンの絵(ジンギス・カンの一族は狼の子孫という伝説があります)。因みにお酒もジンギス・カン印でした。
●新橋から神谷町へ歩いて帰る途中。これも河津桜でしょうか。浅野内匠頭が切腹した場所だそうです。
311を振り返るのは良いけれど、『FUKUSHIMA50』という原発事故を描いた映画が封切られました。これはいただけない映画のようですね。
映画「Fukushima50」ーよく出来ているが、誘導されてしまう危険性?:原発事故の悲劇を描いた映画「朝日のあたる家」監督日記:SSブログ
立命館大の大島教授も。
観る前に読みましょう。→映画『Fukushima 50』はなぜこんな「事実の加工」をしたのか? @gendai_biz https://t.co/bKEQ2337SZ #現代ビジネス
— 大島堅一 (@kenichioshima) 2020年3月6日
ボクは予告編しか見てませんが、不自然な絶叫調のセリフを発している出演者を見て『キモい』と思いました。恋愛ものだろうとアクションものだろうと日本の映画ってそういうの多いですよね。『××を守りたい』ってやたらと絶叫してるじゃないですか(笑)。基地外は煩いものです(笑)。
そもそも『Fukishima50』って、原作者が新型肺炎を『武漢肺炎』と言い募るバカウヨの門田隆将です。それだけでまともな人間が相手にするようなものじゃありません。
普段は『見もしないで映画の批判をするな』と思いますけど、さすがに『Fukushima50』は見たくない(笑)。時間がもったいないし、目が腐りそう。
上層部の責任に触れずにお涙頂戴で特攻隊をひたすら美化する『永遠のゼロ』の原発版と言ったところでしょうか(笑)。だけど騙されるバカは大勢いるんだろうな~。どうか映画が大コケしますように!(笑)
打って変わって、まともな映画のお話。
東中野のポレポレ座で『さよならテレビ』
sayonara-tv.jp
『やくざと憲法』、『人生フルーツ』など素晴らしいドキュメンタリーを作ってきた東海テレビのドキュメンタリー新作です。
- 作者:東海テレビ取材班
- 発売日: 2016/10/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
最近は『TVはもう終わり』という声が聞かれます。CM広告費は実際ダダ下がりだし、番組の制作費も減っている。番組内容もくだらない、ごく一部を除いて、9割以上はゴミみたいなものばかりです。TVなんてもう終わり、とボクも思います。
だが、そういう状況はTV局の社員も気にしていた(笑)。前述のような素晴らしいドキュメンタリーを作ってきた東海TVの社員である土方監督が『本当にTVに救いはないのか』と、今度は自社の報道部に2年間、カメラを向けたというもの。
●右が土方監督。彼もTV局の社員ですから、前途に不安を持っています。
東海TVの報道部の陣容は10人ちょっとでしょうか。その中に取材のカメラが入り込みます。
主な登場人物は3人。マスコミの仕事をしたいという、まだ20代前半の派遣社員(派遣会社経由の雇用)、ジャーナリスト意識旺盛な50代の契約社員(TV局の直接雇用)、番組のキャスターを務める30代の東海TV正社員。
TV局と言うと、独占という法規制に守られて平均年収1000万を優に超える高給をむさぼる正社員が思い浮かびますが(笑)、番組にかかわるのは恵まれた正社員ばかりではないわけです。
●これはホールディングス(持ち株会社)ばかりですから鵜呑みにはできませんが、それでも異常ではあるでしょう。
www.manpowergroup.jp
映画は土方監督たち撮影班と報道部が揉めるところから始まります。誰だってそうですが職場にカメラが入っているのは嫌なものですし、失敗など都合の悪いことだって起こります。報道部にしてみれば迷惑な話です。しかし、そこを拭ってしまえばドキュメンタリーになりません。
一旦は撮影中断。2か月後、撮影班と報道部で取決めをして撮影が再開されます。
そういうこともあるのでしょう。フィルムは報道の在り方というより前述の3人に絞ったドキュメンタリーになります。同じ仕事をしているのに立場も待遇も全く異なる、ある種のカースト制度の中で生きる人々の物語です。
正社員の男性キャスターは自分の意見を言うのが怖い、という人間です。それでキャスターになるのか、と思いますが(笑)、彼はかって東海テレビが福島のコメをセシウム君と呼ぶテロップを出して大炎上、番組打ち切りになったトラウマ(そりゃあ、当然)から、当たり障りのないことしか言えないんです。
TV局は若くてルックスの良い彼をメインキャスターとして売り出そうとする。しかし当たり障りのないことしか言わない&言えない彼はどうやって自分を出したらよいか悩み続けます。
一方 TVの仕事がしたいということで入ってきた派遣社員の子は自由闊達です。はっきり言って、仕事はできないし、取材に行っても失敗ばかりですが、休日には趣味の地下アイドル応援など、楽しくやっています。お金はありませんが、ある意味幸せそうに見える。
元は雑誌に勤めていた50代の契約社員はジャーナリスト魂に燃えています。TV局の直接雇用とは言え、1年契約の不安定な待遇ですが、グルメ情報だの、くだらない企画ばかりやっていないで、もっとまともなテーマを取り上げられないのか、真剣に悩んでいます。
自分で企画を考え、取材をして、特定秘密保護法や共謀罪の番組を作ったりもする。しかし彼は蟷螂の斧にすぎません。
報道部の幹部たちは視聴率競争に追われています。どういう特集を組めば他局に勝てるか。地域では東海テレビはどちらかというとマイナー存在のようですが、視聴率のプレッシャーは一緒です。
ボク自身はNHKとTBS報道特集、それにテレビ東京の深夜ドラマくらいしかTVは見ないです。時間がないのもさることながら、見る価値がないからです。そういうことはTV局の側も判っている。しかし目先の視聴率に追われて、斬新なこともできない。かかわる人たちも中々思い切ったことができない。八方ふさがりというか。
この映画で取り上げられていたTV東海のニュース番組も打ち切りが決まり、若い正社員キャスターも、60代の人間に交代になります。視聴者が60代ばかりだから、だそうです(笑)。
正社員キャスターは打ち切りが決まって初めて、自分の意見を番組で言えるようになります(笑)。派遣社員の子は1年契約が更新されず、他所のTV局へ移ります。相変わらずのドジ男です。現場を支えている50代の契約社員は1年契約が延長になりますが、カメラを握る土方監督に、これでいいのか、と彼が食って掛かるというところで終わります。
TVに救いはあるのでしょうか。
●この映画で描かれていたことがもっと大規模にテレビ朝日の『報道ステーション』でも起こっています。ボク自身は『報道ステーション』なんか、突っ込みが甘いインチキニュースとしか思ってないので、それほど感慨はないんですが。
www.huffingtonpost.jp
今後 TVは無くなることはないにしても、かっての隆盛を取り戻すことはない、落ち目の一方だと思います。規制に守られた独占企業が競争で力を削がれていくのはむしろ、健全な話です。圧倒的な影響力がある今までがおかしかった。
嘘だらけのネットが代替できるわけじゃありませんが、新聞にしろ、TVにしろ、ネットにしろ、メディアも多様化されていくことが望ましい。
今作は先に約1時間の短縮版が深夜にテレビ放送され、低視聴率に終わったそうです。
一方 2時間近い、この映画版はミニシアターとは言え、連日盛況で3か月のロングラン。このこと自体、TVというフォーマットはもう終わり、ということを示しています。TVを見るような人は真面目な作品を求めていないのかもしれない。
が、TV現場で働く人々を見ると、また感想は変わってくる。終わりが見えているとしても、ごく僅かながら、まだ巨大組織の中で苦闘する人々もいる。というか、多分大多数は悪意を持って作っているのではないと思うんですね。正社員という恵まれた待遇の人だって意識が高いわけじゃないですが、別にさぼっているわけでもない。
視聴率競争や予算削減という中で流されながら、良くも悪くも、その人なりに仕事をしている。程度の差こそあれ、我々も同じ、皆 組織の中で苦闘している。TVの将来はともかく(笑)、この映画の普遍性はそこにある。
今作もユニークで、大変面白いドキュメンタリーでした。低予算でも十分内容があるものは作れることを証明していると思います。
多分全国で巡回ロングランされると思いますので、機会がありましたら是非。
薄っぺらいメディアリテラシーはもういらない!映画『さよならテレビ』予告編