この前の土曜日に放送されたTBSの『報道特集』で台湾の選挙戦を見ていて思ったのは、人々は民主主義を大事にしているなーということです。若者が続々と片道4時間の長距離バスに乗って、本籍地で投票するために帰郷している。
もちろんTVカメラに映るような人たちは政治に対する意識がある程度あるんでしょうけど、多くの人たちが政治を他人事にしていない。我が事として語っている。
それに対して政治家も応える。前回の地方選挙で敗北した台湾の総統、蔡英文は政策面での自分の間違いを認めたうえで『蔡英文2.0』として選挙に臨んだ。香港の問題はあるにしても自らの間違いを認める姿勢がなければ再選はおぼつかなかったでしょう。
日本では嘘と開き直りばかりの安倍晋三は勿論、民主党だって政権当時の自らの過ちをまともに総括してないのとは大きな違いです。
台湾にしても、香港にしても、知らない間に日本より遥かに民主的な国になっている。ボクにはそう、見えました。これじゃあ、日本が落ち目になるわけですよ(笑)。
●台湾では「与党の幹部が香港の運動のことをこう言うくらい、日本の政治家とは意識が違っている。番組は実に気合の入った特集でした。
昨日の日曜日は安倍晋三の退陣を求めるデモ、OccupyShinjuku(新宿占拠)0112へ行ってきました。
特に団体などの主催ではなく、ネット上で『怒りの可視化』などの個人有志が呼びかけたデモです。ちょっと寒いけど、心配されたお天気も大丈夫でした。ボクは真っ黒なパンツに真っ黒なコートに真っ黒なサングラスにマスク、一点だけオレンジのマフラーをして出かけました。寒いからなんですけど、我ながら怪しい格好です(笑)。
集合場所の新宿中央公園には前回より遥かに多くの人たちが集まっていました。呼びかけがあってから2か月近く準備期間があったのと、安倍晋三に怒っている人がそれだけ多いんでしょうね。
前回までのデモより年齢層が高い人が多かったけど、子供連れや若い人も車いすの人もちらほら見かけます。いい雰囲気です。
いつもどおり必要最低限のことだけ(甲州街道沿いの大学で入試をやっているということでその前はサイレント)主催者側から連絡があって、さっさとデモが始まります。団体主催のデモにありがちな、長ったらしくて内容のない挨拶はなし。それもいいですよね。みんな忙しいんだし。
新宿中央公園から甲州街道に出て、新宿駅前を通って伊勢丹前に出て花園神社に至る、いつものコースです。先頭は#渋谷プロテストレイブ、次が肉球新党(届出の際 警察にはどこの政党か?新党か?と言われたそうです(笑))、それから只管 安倍を罵倒する『怒りの可視化』。ボクは怒りの可視化の梯団に居ました。明快ですからね。
この日は出発前から雰囲気が結構盛り上がっていて(笑)、参加者の間から自然発生的に度々『安倍はやめろ』コールが出るほどでした。路上に出ると余計に声が大きくなります。参加者の一人一人が本気で声を出しています。やっぱり動員じゃない、個人の意思で参加するデモは雰囲気がいいです。なるべく参加者の顔は写さないように写真を撮ってますけど、笑顔が多い。
共産党の国会議員、吉良ちゃんや山添拓、社民党の福島みずほ、法政大の上西教授や作家の室井佑月氏らも参加していたそうです。みーんな1個人。
この日の参加者は主催者発表で3000人。ボクもそれくらいは居ると思いました。前回は1000人そこそこでしたから、圧倒的に多い。新宿だけでなく、名古屋、大阪、和歌山、札幌など抗議は各地で行われました。
自衛隊の中東派遣や「桜を見る会」の疑惑、公文書改ざんなど数々の問題に抗議し、安倍晋三首相の退陣を求めるデモ行進「#OccupyShinjuku0112」が東京・新宿でありました。オリジナル版は→https://t.co/9UcZ51eP2s pic.twitter.com/9yQ0mNNu58
— 毎日新聞映像グループ (@eizo_desk) 2020年1月12日
久しぶりにデモ取材!動画も出しました!
— 田崎 基(神奈川新聞 記者) (@tasaki_kanagawa) 2020年1月12日
新宿で首相退陣訴えデモ https://t.co/XsF6PROLY3 「「総辞職」「ねつ造、隠蔽、私物化、やめろ!」「自衛隊、中東派遣を撤回!」といったプラカ-ドを掲げ、約1時間にわたり練り歩いた。 pic.twitter.com/dwjhFmf641
御堂筋に響き渡る「安部は辞めろ」コール#御堂筋占拠0112 #OccupyMidosuji0112 pic.twitter.com/NKeuAycong
— ウエ♂ノ(※ 個人の感想です) (@uenoyade_) 2020年1月12日
名古屋栄#OccupySakae0112 #栄占拠0112 pic.twitter.com/KqwVpvsizl
— VZ_solo (@vz_solo) 2020年1月12日
1点だけ腹立たしかったのは朝日新聞が『自衛隊の中東派遣に反対するデモ』とフェイクニュースを飛ばしたこと。もちろん中東派遣に反対している人も居るけれど、別にそのためだけに集まったわけじゃない。主旨は『安倍やめろ!』
そもそもデモは自衛隊の中東派遣が決まる前に呼びかけられたんだし。
ちなみにボクは自衛隊の派遣はイラン大統領も承認しているのだし、イランの友好国のオマーンに派遣するのなら、反対じゃありません。別に賛成ではないけど、それでアメリカが納得するのなら仕方がない。日本はイランとアメリカと両方の顔を立てなければいけないんだから仕方がない。
相変わらず朝日は独善的で時代遅れのストーリーを勝手に作って他人に押し付けてるんじゃねーよ。バカ、クズ、ファシスト新聞!。だから朝日はダメなんだよ。
www.asahi.com
朝日のデマ以外は(笑)、実に楽しいデモでした。ホント楽しい。
普段は大声を上げる機会なんか少ないですが、路上に出て『安倍は辞めろ』って声に出すだけで、願望が本当に実現するかのような言霊の響きを感じます(笑)。それは大袈裟にしても、『安倍辞めろ』と夢中になってコールしているうちに喉の痛みを感じたり、お腹から声を出したりすることで自らの身体性を取り戻す気がします。
これから国会が始まります。香港や台湾のエネルギーには及ばないにしても、一応 日本にも少しは民主主義が残っている。
それに、この日のデモに現れているように、安倍晋三の私物化政治に対する不満って、今どんどん大きくなっていると思うんです。そのエネルギーをどうやって建設的な方向にもっていくか。消費税廃止のような空虚なポピュリズムや新党ブームなどに騙されないようにするか。野党にも市民にも、自分たちが民主主義を本当に欲しているかどうかが問われていると思うんです。
●デモが終わったあとはアルタ前にDJブースを設置して、アフターパーティ(笑)。
新宿アルタ前『広場』 の正しい使い方2020 #0112新宿プロテストレイヴ pic.twitter.com/ZlOhrkeX5c
— MRM - 首都レジスタンス運動 (@MetroResistMov) 2020年1月12日
#0112新宿プロテストレイヴ#新宿占拠0112#OccupyShinjuku0112
— Masayuki Kusakabe (@unclepaul_jp) 2020年1月12日
3,000って発表少ないなとは思ったけど、まあいいや。次5,000ね。
レイブ最高でした。肉球党員の底力凄かった。ウチはいつもありがとう。
またやるよ、辞めるまではね。 pic.twitter.com/hMj2ylZkXw
ということで、日比谷で映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』
longshot-movie.jp
体当たりでリベラルな記事を書いている新聞記者、フレッド(セス・ローゲン)は右翼の大資本に身売りした上層部と衝突、会社を辞めてしまう。失業中で友人と気晴らしに出かけたパーティで最年少国務長官として脚光を浴びているシャーロット(シャーリーズ・セロン)に出会う。実はシャーロットとフレッドは高校生の時 隣の家に住んでいた幼馴染だった。次期大統領選に立候補することを検討していたシャーロットは自身の好感度アップのために、ユーモアセンス抜群のフレッドを自分のスピーチライターに起用しようとするが- - -
本作の主演、コメディアン・俳優・脚本家のセス・ローゲンっていう人は日本では知名度はいまいちかもしれませんが、たいていの人はこの人の裸の尻は見たことがあるはずです(笑)。
なぜならセス・ローゲンが演じる主人公たちがお尻の穴に隠した爆弾で金正恩を爆殺しようとする2014年の映画『ザ・インタビュー』は本人の激怒を買い(笑)、制作のソニーピクチュア―ズが北朝鮮にハッキングされたことが世界中で大きなニュースになり、NHKの夜7時のニュースのトップでも流れたからです(笑)。NHK夜7時のニュース、それもトップに男性のケツの穴の映像(笑)が流れたのは今までこれ一回じゃないでしょうか。
ちなみに『ザ・インタビュー』は北朝鮮の脅しで公開が危ぶまれましたが、オバマ大統領の『表現の自由を守るべきだ』という後押しもあり、配信で公開となりました。その結果 ソニーピクチュア―ズの配信でのNO1記録を作る大ヒット(笑)。セス・ローゲンの勝ちです(笑)。
このことからも分かるようにセス・ローゲンのお笑いって辛辣です。正直 金正恩に同情しました(笑)。
だから(笑)、ボクはこの人、大好きなんです。大人になり切れないダメ男と下ネタ、薬ネタ、政治ネタを融合させ、辛辣だけど笑って泣かせるドラマを作り出す。まさに才人です。
今回の共演はシャーリーズ・セロン、監督は難病物の大傑作『50 / 50 フィフティ・フィフティ』などのジョナサン・レヴィンと再び手を組み、ペンタゴンペーパーの脚本家を迎え入れた政治コメディです。
映画はセス・ローゲン演じる新聞記者、フレッドがネオナチの集会に潜入するところから始まります。南軍旗をバックに頭の悪そうな男たちが『ユダヤ人をぶっ殺せ』とやってる。ところがセス・ローゲンってユダヤ人で、そのことを毎回ネタにしているほどです。ユダヤ人が『ハイル・ヒトラー』と、それもしつこく延々とやるのだから、相変わらず、ギャグがきつい(笑)。
●セス・ローゲンはかって自分が作った下ネタアニメ(大ヒット)の中でもアラブとユダヤが連合軍を組んで、悪に立ち向かわせていました。最高です。
バカウヨどもに腕に鍵十字の入れ墨を掘られそうになって、ほうほうの体で逃げ出したフレッドが自分が勤務する新聞社に戻ると、会社は右翼の巨大マスコミに買収されたことを知らされます。勿論これはトランプを擁護しているフォックス・ニュースがモデルです。超リベラルな記事ばかり書いてきたフレッドはフェイクニュースばかり流す右翼新聞に勤務するのは断固拒否、退社します。
失業したフレッドは起業家の友人と一発、クスリを決めて(笑)、パーティに出かけます。そこで史上最年少で国務長官になったシャーロット(シャーリーズ・セロン)に出会います。
●失業したフレッド(左)はパーティでかっての幼馴染で国務長官のシャーロット(中央)に出会います。右はフォックス・ニュースのルパート・マードックを模した大金持ちのバカウヨじじい。シャーロットに言い寄っているところでした。
実は彼女は高校生時代、フレッドのベビーシッターをやっていたのです。
折しもシャーロットは次期大統領選への立候補を検討していました。美人で聡明な彼女は好感度も高い有力候補ですが、唯一 ユーモアのセンスだけはいまいち、という世論調査を気にしていました。
●既に彼女はマスコミの注目の的です。トルドーを模した美男のカナダ首相(左)との食事もマスコミに追いかけられます。
幼馴染のフレッドがリベラルでユーモラスな記事を書いていた新聞記者、しかも失業中だったことを知ると、シャーロットは彼をスピーチライターに起用します。
シャーロットは大統領選の前に実績を作るため、地球温暖化対策の協定を各国と締結するための歴訪の旅に出ます(これもトランプへの当てこすりです)。フレッドも同行することになりますが。
フレッドが演じる記者は超リベラルな民主党支持者で理想家肌、大企業や政治家の悪事を暴く記事を書いてきました。国務長官という権力者に仕えるべきかどうか悩みますが、『現実を変えるために大統領になるんだ』という彼女に説得され、陣営に加わります。
一方 シャーロットは寸暇を惜しんで勉強と人脈づくりに励み、最年少の国務長官にまでたどり着きました。上司の大統領はただのバカ、次の選挙には立候補しないと言い出します。野心満々のシャーロットにはチャンス到来です。
●頭の悪い大統領(左)は映画界に進出したいから(笑)、次の大統領選には立候補したくないと言い出します。
金持ちに牛耳られる右翼マスコミや頭の足りない大統領など、トランプ時代のアメリカを露骨に当てこすった描写が続きます。金正恩の次はトランプ、というわけです(笑)。セス・ローゲンは全く懲りていない。
リべラルだけど幼稚な夢想家、大人になり切れないダメ男のフレッド、
野心満々で現実的だけど、そのままの自分で良いのかと内心不安に感じているシャーロット、政争渦巻くワシントンの中に放り込まれた二人の対比が面白いです。
特にシャーリーズ・セロンは見ているだけでカリスマを感じます。殆ど女神さまのように神々しい(笑)。超美しいだけでなく、身長も高い、なおかつ演技力がありますから、ほんとのエリート政治家に見える。その迫力はこの映画の見どころです。
そこにいつも通り、セス・ローゲンがクスリネタ、下ネタをぶち込んでくる。ある意味、立派と言うか終始一貫していると言うか(笑)。シャーリーズ・セロンのラリッた演技もお見事です。
お話が現実離れしているところが多少感じられる点など、脚本はやや甘いところもありますが、切れ味鋭い風刺と笑って泣かせるお話はやっぱり面白い。オチも実に美しい。
コメディのお手本という声も挙がっているほどの、まさに第1級のコメディです。素晴らしい。やっぱり、セス・ローゲン映画は大好きだなーと思った一本でした。
セス・ローゲン&シャーリーズ・セロン共演『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』日本版予告