特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『緒方貞子氏としんゆり映画祭』、それに『1101再稼働反対!首相官邸前抗議』

 ああ、もう11月ですね。今年もあと2か月。
 不順な天候で災害続きの10月でしたが、厳しい冬が来る前に少し穏やかな気候になってほしいものです。
●先月オープンしたホテルオークラのロビー。秋らしい生け花を大勢で飾っていました。1週間~2週間で取り換えるそうです。維持だけでも大変。
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 今日 大学入試への民間英語試験の導入が延期になったことが報じられました。最も高いもので1回5万円もする民間試験がダイレクトに入試になってしまうのですから、試験を何度も受けられる金持ちが有利になるに決まっています。予備校の模試とは話が違う。

 そんな理不尽な制度をとりあえず延期させたのは、萩生田のチョンボ(失言)もあったとは言え、導入に反対するシンポやロビーイング、それに文科省への抗議などが組み合わさっての成果だと思います。声を挙げれば物事は変えられることもある。少なくとも声を挙げなければ何も変えられない。そういうことでしょう。

●今回の件は学生さんの抗議から始まりました。

●柴山の暴挙に対して行われた8月30日の文科省前抗議。ボクだけでなく皆、怒ってました。

●10月4日の文科省前抗議。左端のプラカード『大学入試をB社(ベネッセ)に売るな』


 ただ、世論の風向きを見て、さっと物事を変更したり、尻尾切りをする。それは権力維持と改憲以外には興味がない現政権のうまいところです。野党が遥かに及ばない点でもあります。油断は出来ません。


 さて、今週 元国連難民高等弁務官緒方貞子氏が亡くなりました。
www.asahi.com

 5,6年前、サントリーホールポリーニの公演で、ボクのすぐ前の席に座っていた緒方氏をお見かけした事がありますけど、椅子に深く腰掛けたまま2時間 ぴしっと背筋が伸びたままでした。当時は80半ばのはず。恐るべき鍛え方、集中力。

 このこと一つとっても、我々のような凡人とはまったく違うなーと思った事でした。
●自由が丘に、田園調布在住の緒方氏が良く来るレストランがあると聞いて出かけたら、こんな庶民的な店でした。安くて美味しいです。


 緒方氏が高等弁務官になるまでは、国連は国を逃れた難民のみを支援対象としていましたが、緒方氏が方向転換させて、国家によって生命と安全を保障されない国内避難民の支援にも踏み出しました。

 それだけの大きな路線変更は、さぞや大変なことだったと思います。国の中にまで入り込んで難民を救援するというのですから、それがもとで武力衝突だって起こりかねないような事柄です。

 日頃 立派なことを言っていても、大きな組織の方向性を変えるというのは誰にでもできるものではありません。反対だってあるし、失敗したら自分が責任を取らなくちゃいけなくなる。そういう変革ができる人なんて正直5人に1人もいないと思う。与野党含めた政治家だってそうだし、企業で仕事をしていてもそう。
大日本帝国だけでなく、サンヨー、シャープ、東電、関電、真の敵は無能な上層部です。それだけですべてが解決するほど世の中は甘くないけれど、日本に不足しているものの一つは『階級闘争』意識だと思う。


 緒方氏が大きな変革をすることができたのは強い想いと理論武装があったからだと思います。


 まず、想いという面では、緒方氏には、自分の立場はどうなっても良いから理想を追求したい、という強い想いがあったのではないでしょうか。

 ボクが緒方氏を意識したきっかけは、海岸に追い詰められたカンボジア難民に国連が救援船を派遣したとき、難民の飼い犬を置き去りにしたことに緒方氏が激怒、出航した船を戻らせて犬も収容させたエピソードを知ってからですagenda-note.com

 緒方氏は『難民は自分の食べ物さえも削って犬や猫を養っている。家族の一員を連れていけないなんておかしい』と激怒したそうです。
 このことを新聞で読んで以来、ボクは緒方氏を尊敬するようになりましたが、これは大組織だったら足元をすくわれかねないような判断でもある。どんなところにでも他人の足を引っ張る奴っているでしょ。犬も救援するなんて格好の餌食じゃないですか。日本だったら袋叩きになるかも。

 それでも彼女はやった。この人には、リスクを背負ってでも理想を追求したいという想いがあった、のだと思います。


 今週 川崎市が加わっている『kawasakiしんゆり映画祭』でドキュメンタリー『主戦場』の上映が中止になりました。映画に出演したバカウヨどもが監督を訴えていることを川崎市が懸念している、という理由を主催者側は説明していますけど、この映画を見れば、そんなおかしな取り上げ方をしているような映画ではないことは余程のバカでない限りわかるはず。
 『主戦場』はこの半年以上、今でも普通の映画館で絶賛ロングラン上映中です。映画祭で上映することに大したリスクがあるわけない。そんなことすら考えられない映画祭の主催者は、映画に対する思いもなければ、論理的思考力もなかった、ただのアホ、間抜けです。

 ま、主催者がアホである、ということは個別事由なので置いておきます(笑)。

 上映には、何かあったら自分が責任を取る、という行為が必要になる。それにはリスクが伴います。言論の自由を守れ、とかきれいごとを言っても仕方がないです。結局自分たちが責任を取るという覚悟を映画祭の主催者も川崎市も持っていなかった連中には自分たちの仕事に対する思い、リスクを恐れない思いがなかったんです。基本的に仕事に対する態度がなってなかったんですね(笑)。


 上映中止に抗議して、若松プロは映画祭で上映予定だった『止められるか、俺たちを』など2作の引き上げを決めました。なおかつ近くの会場を借りて、映画祭と関係なく無料上映会をやりました。流石です。
 そもそも『止められるか、俺たちを』は、まさに忖度とは正反対の人たちを描いた映画です。この映画をその年のベストに選んだボクとしてもバカにされているような気がしましたよ。



 更に是枝裕和監督が映画祭で上映する自作の上演時に急遽 井浦新と一緒に登壇、こう言明しました。
今回の事態は映画祭を主催する人としてあってはならない、あるまじき判断だ。これは作り手への敬意を欠いているし、皆さんから作品と出合うチャンスを奪う行為

作品を上映することに伴ういろいろなリスクは主催者だけでなく、映画祭を作っている人たち皆で背負っていくもの

(映画祭は)ただ楽しんでいれば持続していくものではなく、主催する側、参加する側、皆さんの努力が続けられて初めて実現できるもの



www.huffingtonpost.jp
 
 それに対して映画祭の主催者NPO法人「KAWASAKIアーツ」の中山という代表はこの問題を巡るティーチインで『これまで口出ししなかった市の『難しい』という言葉を重く受け止めた』、「嫌がらせや脅迫など見えない恐怖におびえた」と言い訳しました。スタッフの中では上映すべきだと言う声もあったのに、です。

 更に中山という代表は『上映しろという圧力に屈するわけにはいかない』とまで言っています。最初に圧力に屈したのはお前だろ。ここまで救いようがないバカって、久々に見ました。


 是枝監督の言う通り、映画を作る、映画を上映する、それに見るという行為だってリスクが伴います。そのリスクを背負ってやるからこそ、良いものができる。良い体験ができる。映画祭の主催者はその真逆だった。映画祭を運営する資格なんかありません。また、黙っている連中は観客も含めて同罪。

 映画祭だけじゃなく、東電や関電、日産などの超大企業、それに政権に忖度している官僚やマスコミも一緒で、今の世の中 自分の頭で判断するリスクから逃げている連中が如何に多いことか。自分で判断できない/しない、誰かの指示待ちなんです。

 それだけではない。相変わらず旧態依然とした市民運動だって同じことじゃないでしょうか。自分の頭、自分の意志で判断しないから変わることができないんですよ。夏目漱石の時代から言われていることですが、『個』が弱い。体制・反体制関係なく、それが日本の諸悪の根源でしょう。
●この、小汚いジイさんが前面に出た旧態依然としたポスター見ても、普通の人(笑)は来ないと思う。オールド左翼の面々も変わることが出来ないんです。

 話を緒方氏に戻します(笑)。

 世の中を変えるには想いだけでなく、理論武装が必要です。物理的法則というものがあるから、バカじゃダメなんです(笑)。
 緒方貞子氏はそのような活動を裏打ちする理念として、『人間の安全保障』という概念を提唱しました。

難民つくらぬ世界へ (岩波ブックレット (No.393))

難民つくらぬ世界へ (岩波ブックレット (No.393))

 国家や社会の枠を超えて『人間個人の安全を保障していくことが最優先。国際社会の責務』という考え方はまさにその通りだと思うし、右左の枠や宗教を超えた普遍的な理念だと思います。そういう考え方を前面に出しているからこそ巨大組織を動かせたのでしょう。

 ボクは世の中のことを考える基本的な基準として『助けるべきなのは困っている個人であって、(大小を問わず)企業や産業ではない(例えば商店街や農業だからと言って美化するのはおかしい)と思ってますけど、緒方氏のこの理念にはずいぶん影響を受けました。
東京新聞の望月衣塑子記者がデマブログを拡散しています。これが初めてじゃありません。政権を追及する姿勢は評価するけど、この人は根拠が甘いことが多々ある。新聞記者として驚くくらい情報リテラシーが低い望月氏を過度に美化するのはやめたほうがいい。官邸や官僚も周りの新聞記者も『飛んで火にいる何とか』、腹の中で笑っていると思う。やっぱりバカはダメ。


 同時代の日本に緒方氏のような人がいた、というだけでも勇気が出る話です。学者だった緒方氏は、60歳を超えて初めて国連に入った、つまり新しい仕事を始めました。
 遥かに及ばず、ではあるんですけど、この人の1万分の1でも良いから、自分も普段の生活・仕事で少しでもマシな方向を目指していきたい、と思います。
●この本も買ったまま、床に『積ん読』だったんですが、読まなきゃなあ。

聞き書 緒方貞子回顧録

聞き書 緒方貞子回顧録



ということで、今週も官邸前へ。#金曜官邸前抗議
 秋晴れの陽気の今日、やっと冬服に替えました。晴れてればアイロンの折り目も長持ちするから(笑)。
午後6時の気温は18度。抗議日和です😊。参加者は200人弱?
●抗議風景


 11月3日、どうしようかなあ。

 絵にかいたような無能の集まり=オールド左翼の総がかりの集会だからなあ。相変わらず、連中の呼び掛け文「11・3憲法公布記念日」を安倍改憲に反対する全国的な統一行動としてたたかおう! | 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動を読んでも全く意味わからないし(笑)。正直、このジイサマたち、安倍晋三よりバカなんじゃないか。
 だけど、連中が動員で大勢集めたところに一般市民も参加して盛り上げようという話もtwitterでは出ています。声をあげないと何も変わらないから仕方ないか😊。