特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『小泉純一郎の講演:日本の歩むべき道』(笑)と『0913再稼働反対!首相官邸前抗議』

 そっかー、今日は13日の金曜日~(笑)。台風明けの今週 月曜日、夕焼けがきれいだなーと思ってたのが、遠い昔のようです。
●今にして思えば、この綺麗な夕焼けの下で困っている人が大勢いたわけですが。
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 今週初めのマスコミは内閣改造のニュースばかり、週の半ばからやっと台風被害が報じられるようになりましたが酷いじゃないですか。
 千葉や神奈川の一部では停電になりましたし、未だに20万戸近くも復旧していないだけでなく、水、ゴミ収集、病院や福祉施設に影響が出て、死人まで出ている。

 そんな時に内閣改造をやってる方もやってる方です。かっての小渕内閣では『改造予定日の前日9月30日に茨城県東海村の核燃料工場で臨界事故が発生して、その時の官房長官野中広務さんの進言によって小渕総理大臣は改造の期日を5日間延期するんです。その間に官邸で危機管理を一手に引き受けてかつての手慣れた大臣で乗り切った』そうです
「報道ステーション」コメンテーター後藤謙次氏、千葉の停電に「政府の危機管理が見えてこない。いまだに官邸に対策本部すら設置されていない。これは異常」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

 被災地のことを報じる代わりに、内閣の人事ごときを臨時ニュースで出しているNHKもどうかしている。夜7時のニュースでは新大臣を『さん』づけしていやがったし。殆ど南米の独裁政権みたいになってきた。


 例えば今話題になってるのがIT担当大臣
 日本は、自分でスマホSNSに投稿できるらしい、ということで選ばれた78歳のジジイ(笑)、一方 台湾のデジタル担当大臣は38歳、中卒、トランスジェンダー、だけど天才プログラマーと言われる人物。

 片や派閥の順送りで選ばれた訳の分からないジジイ、片や学歴や年齢、性別に関係なく能力で選ばれたエキスパート。

 これが日本の為政者の意志・判断です。これで日本が国際競争に勝てますか?(笑)。政治家や国民の愚かさ故に一歩一歩、毎日 負け続けている。今の日本の現実です。

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 今回の台風を見ていれば、緊急事態が起きたらこの国の政府の対応はどうなるか、良くわかります。



 さて、この前、なんと、小泉純一郎の講演を聞いてきました(笑)。
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 某ITベンチャーが自社の箔付けのために開催した?、従業員1000人以上の企業のみに絞ったと言う(感じ悪い)講演会です。招待状をもらったので行ってきました。せっかくなので皆さんとシェアしたいと思います。
 ちょっと長くなりますが、色々裏話もある話そのものが面白かったので、要約せずに文字起こし、極力 忠実に再現します(青字)。途中の黒太字はボクの感想です。


演題:『日本の歩むべき道』
●世の中はうまく行かないものだ
・私は講演ではいつも、『世の中うまくいかないものだ』と話している。周りからは『やりたい放題やってきたでしょう』と言われるが、そんなことはない(笑)。

・例えば10月からの軽減税率。複雑さもさることながら、軽減税率は金持ちほど得をする税制だ。消費税導入前は贅沢品に課税する物品税というものがあったが、世の中が進んでくると何が贅沢かなんて決められないし、そこには利権が発生する。消費税はまんべんなく消費に課税するからこそ意味がある。
 低所得の人を助けるなら社会福祉で行えばよい。軽減税率で減る税金は2兆円もある。軽減税率なんか止めて、その分を社会福祉に回せばよい。しかし、私の意見は通らなかった(笑)。

 全くその通りです。どうしてこういう正論がでてこないのでしょうか。政治家だけでなく、軽減税率適用と引き換えに魂を売った朝日、東京、毎日、読売、産経、バカ新聞どもは爪の垢でも煎じて飲め!

・総裁選も思い通りには行かなかった。私が総裁になったのは3度目で、その前の2回はボロ負けだった。
 橋本龍太郎氏と争った1回目は出る気はなかったが、周りに『このままでは総裁選が無投票になってしまうので、傷がついてもよい小泉が出ろ』と言われて無理やり引き摺り出されたら、案の定(笑)。
 2回目は当時の最大派閥の田中派が小渕氏と梶山氏に分裂したので、少しは勝機があるかと思ったが、1回目より得票数が少ないボロ負け(笑)。
 3回目は4月、小渕氏が亡くなったあとの臨時選挙だった。また総裁選が無投票になると7月の参院選で党のイメージが悪くなるので仕方なく出たが、勝てると思わなかった。そしたら一般党員が街頭演説にどんどん集まってきて勢いがつき、最初は少なかった国会議員票も選挙目当てに集まって勝ってしまった。
 それでも9月の総裁選の本選挙までという裏約束があったのだが、7月の参院選挙も勝ってしまい、そのまま総裁続投となった。
 世の中、そんなもんだ。人間の考えは変わるものだ。

●日本の歩むべき道は原発を無くすことだ。
・私が総理大臣の時は、経産省から『原発は安全、安い、クリーンエネルギー』という説明を受けてきた。特に石油ショックの時バレル当たり2ドルが11ドルになったことを強調してきて、自分でも納得していた。
 しかし、2011年の事故のあと色々調べてみて、経産省が言っていたことは全てウソだったというのが判った。議員も引退していたので黙っていようかと思ったが(笑)、経産省に騙されたのは実に悔しい(笑)。だから黙っていないことに決めた。過ちは改めなくてはいけない
過ちを改めるには憚ることなかれ!』(笑)

 経産省に騙された』は本当に悔しそうでした(笑)。かって郵政民営化に燃やした執念と一緒じゃないでしょうか

・福島では3基が爆発したが、実はもう1基も危なかった。4基目が爆発すれば半径250キロ圏内は避難が必要だったが、その中には東北全域と東京などが含まれて人口は5000万人もいる。そんな人数が避難できるはずがない。311はたまたまこの程度で済んだだけだ。

・国会事故調の委員長、黒川東工大教授に直接話を聞いたが『あれは人災だ』と仰っていた。安全対策の不足を指摘する声は事故前もあったが東電が握りつぶしていたからだ。
 新聞ではあまり報じられなかったが、事故調の報告書にも『東電を監督すべき経産省が立場が逆転して、経産省が東電の虜になっていた』とはっきり書いてある。事実 経産省の役人は大勢 電力会社に天下りしていた。

・イギリスでは老朽原発廃炉に90年~100年かかる、としている。無事故の原発ですらそうなのに、大事故が起きた福島が40年で廃炉が出来るはずがない。

ここいら辺の話は平易だけど実に説得力があると思いました。

フィンランドの廃棄物処分場『オンカロ』を見に行った。廃棄物は10万年保管しなければならないが、岩盤の上にできたフィンランドでも無人島に作るということでようやく話がついて建設できた。しかしオンカロは2基分の廃棄物しか入らないので、残り2基分の廃棄物をどうするか困っている。原発4基のフィンランドですらこうなのに、54基も作ってしまった日本はどうするのか

・しかも日本には高速増殖炉もんじゅ』がある。85年着工、94年に完成したが全く発電できず、17年に廃炉が決まった。『3人寄れば文殊の知恵』と言う言葉があるが、もんじゅの知恵は出てこなかった(笑)。今まで1.1兆円も税金を無駄にしたが、今も毎日5000万円維持費がかかっている。これも税金だ。しかも廃炉費用はこれとは別に何兆円も掛かる。原発のコストが安いなんて大嘘

 ここもその通りです。『もんじゅ』のくだりは場内大ウケ(笑)。

・私が総理大臣当時『自然エネルギーは総需要の2%で、これで需要を賄うなんてムリ』と説明を受けていた。しかし15年には自然エネルギーは全体の15%になっている。原発は最盛期 電力需要の30%を賄っていた。大して力をいれなくても自然エネルギーはこれだけ普及したのだから、自然エネルギー原発の分の30%を賄うなんて10年もかければ簡単に出来るはずだ。
 事実 2013年~15年は原発がゼロでも全く大丈夫だった。やろうと思えば原発は止められる。

・福島の住民は未だに帰れないし、おそらくずっと帰れない。放射能は消えないし、事故処理に莫大な金がかかる。原発を再稼働させて、また事故が起きれば、今度こそ日本は大変なことになる。

・しかしピンチはチャンスだ。
 日本は地熱や水力など自然エネルギーは世界でもトップクラスだ。しかも水力も地熱も全然活用してない。
 少し前 猪瀬直樹のノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』という本を読んだ。戦争前に総力戦研究所と言うシンクタンクが『日米戦争をやったら必敗』という結論を近衛首相に報告したが握りつぶされた、その時点で敗戦は決まっていた、という話だった。
 原発も太平洋戦争と一緒だ。ムリなことは判っているのだし、逆に今こそ、自然エネルギーでやっていけるという国であることを示すチャンスだ。

・敗戦で日本は大変なことになったが、今は戦前より盛んな国になった。戦争だけは2度とやってはいけない
 終戦当時は食糧難で平均寿命は50年。だから長生きできる国にしよう、というのが我々の目標だった。その結果 今は食料も医者も衛生環境も改善できた。日本はそれが出来た国なのだから、原発だって止めなくてはいけない。日本の良さを捨ててはいけない。

まさか小泉の口から『戦争だけは2度とやってはいけない』という発言が出るとは思いませんでした。タカ派イメージが強い小泉と言えども、やっぱり戦中派ということなのでしょうか。

・以前 日英貿易交渉の際 サッチャーが『同じ蒸留酒なのに何でスコッチより焼酎の方が酒税が安いのか』とクレームをつけてきた。一方 『焼酎業界は税金を上げたら業界は潰れてしまう』と反対した。
 結局 スコッチと焼酎の税を近づけざるを得なかったが、今 焼酎は高級化を進めて業界は栄えている。日本にはそれだけの知恵がある。

・最後に私の好きな言葉を紹介する。今も揮毫が憲政記念館に飾ってある、憲政の神様と言われた尾崎行雄の94歳の時のものだ。彼と比べれば、私なんかまだまだヒヨッコだ。
『人生の本舞台は常に将来にあり』

 ここから脱線が始まりました(笑)。もう予定の時間なんか、とっくに過ぎています。 

・昔は寿司なんか外人は食べなかった。生魚なんて野蛮な食べ物、ワサビなんて狂気の沙汰と思われていた。でも、今は外人が争って日本に寿司を食べにくる。人間は変わるものだし、変えることが出来る。原発だって止められるはずだ。

 (笑)。しきりに時計を見る、司会のお姉さんの顔が曇ってきました。

・さらに江戸時代の佐藤一斎と言う人の言葉もお伝えしたい。

『若くして学べば、壮にして為す。壮にして学べば、老いて衰えず。老いて学べば、死して朽ちず。』

 私は今77歳だが、学ぶことに限度はない。皆さんはまだまだ若い。頑張ってください。
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 派遣の規制緩和や緊縮財政など在任中の小泉のやったことには賛成しかねます。いや、許し難い。が、この内容はマトモでしょ?(笑)。まさか小泉が『戦争だけは起こしてはいけない』なんて言うとは思いませんでした。 

 当人は 『老いて学べば、死して朽ちず』とか言ってるぐらいだから、野心も気力も満々(笑)、『原発廃止』という花をもう一花咲かせるつもりでしょう。演壇に登る際も足腰はしっかりしてるし、声も張りがあって、まだまだ元気でした。

 話自体は場数を踏んでいるだけあって、また裏話もあるので、滅茶苦茶面白かったです。1時間の講演で40分以上は原発のことを話してました。ビジネス・パースンばかりの原発に興味無さそうな連中ばかりの聴衆でしたが、終わった後は場内から万雷の拍手でした。

 大きな身振り手ぶりを交えた話は退屈させないし、何よりも本人が本気で話しているところが、客を惹きこむのでしょう。『おれは経産省に騙された』というところは本気で悔しがってました(笑)。当人にとってはそこがポイントらしい(笑)。

 ただし話し方は非常に工夫している。例えば難しい言葉を使っても必ず平易な言葉で言いかえる。大事だと思っていることは2回繰り返す、それに歌舞伎好きらしい間の取り方などプレゼンの仕方は非常に勉強になりました。
 集会などで聞く野党の政治家よりは一枚も二枚も上。もちろん国会答弁どころか、野次からも逃げ回る安倍晋三なんかとは比べ物になりません。


 最初は風邪気味ということで声もあまり聞こえないくらいの大きさでしたが、だんだん声も大きくなり、最後は話も止まらなくなって1時間の講演を15分もオーバー。主催者側も止めるわけにもいかず、困惑しきっていたのが面白かったです(笑)。

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 ということで、今週も再稼働反対の官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
 週末になって、やっと少し涼しくなってきました。助かるなあ。午後6時の気温は23度。快適です😁。参加者はやっぱり200人くらいでしょうか。
●抗議風景

今回の停電復旧が長引いている理由の一つとして、『原発事故で経営が厳しくなった東電が送電関連の設備投資を抑えたこと』が挙げられています。
www.nikkei.com

東電は送電や配電設備に1991年には約9千億円を投じていたが、2015年には約2千億円にとどまっている。耐久性があると判断した電柱への投資を先延ばししてやりくりした結果』だそうです。
 停電自体は天災ですが、復旧が遅れているのは人災じゃないですか!原発はこんなところにまで祟っているわけです。

 311の事故から9年、ずっと稼働出来ない柏崎刈羽原発にこだわってなければ、東電は設備投資を押さえる必要はなく、停電はおこらなかったかもしれないし、範囲も小さかったかもしれないし、復旧はもっと早かったかもしれない。

 ボク自身も、原発が台風の被害にまで影響があるとは思わなかったですが、こんなに天災ばかりの国なんです。やっぱり社会のためには一刻も早く原発をやめる方がいいです。