特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

雨のお花見と映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

 今年ももう、4分の1が終わってしまいました。早いですね。
 新元号とか言ってましたけど、実にくだらないと思います。平成とかいう元号が出てきた時も、マーフィーの法則じゃありませんが『これは絶対に平静な時代にならない』と思ったものです。案の定 平成の時代は災害は多いは、経済危機は数年おきに起きるは、ロクなもんじゃありませんでした。
●NHK、菅の持つ元号に見事にワイプを入れました。まるで狙ってやったかのようです(笑)
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拡大↓(笑)


 今回も『和』の字が入ってますけど、まさか戦争でも起こすんじゃないでしょうね。
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 そもそも元号なんて馬鹿げた話です。これからの日本は今までより一層 外国とつながっていかなければ生きていけない時代なのに、元号だと世界の中の日本という視点がぼやけるし、そもそも長期の時系列で物事を考えにくい。元号なんて日本人をアホにする慣習ですよ(笑)。
●だーめだ、こりゃ(笑)。


 挙句の果てには改元のためにハンコを変えたり情報システムの改修をやってる会社もあるんでしょ(笑)。
www.sankei.com


 ボクの勤務先では、ボクが数年前に提案して書類からもシステムからも全て元号を抹殺してしまいました(笑)。実にくだらない。西暦でいいんですよ。元号なんて百害あって一利なし。
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 さて、週末は六本木へお花見に行ってきました。生憎 時折 小雨がぱらつく寒い夜でしたが、逆に人が少なくて良かったです。桜もほぼ9分咲きくらいでしょうか。
●ビルの上から見た桜並木

●ライトアップした桜並木は流石にきれいでした。

●お皿の上でもお花見(笑)。花びら状の大根のピクルスが載ったサクラマス(1枚目)。桜の葉で巻いて蒸した肉にサクランボのソース(2枚目)、桜の花を型どったミルフィーユ(3枚目)


ということで、日比谷で映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス

www.2queens.jp

時は16世紀 イギリス、テューダー王家の時代。18歳でフランス王に嫁いでいたメアリー・スチュアートシアーシャ・ローナン)は夫を亡くし帰国して、スコットランド王位に就く。一方 イングランドは傍流出身の女王エリザベスI世(マーゴット・ロビー)の施政下にあった。メアリーが、自分は王家の正統であり、独身のエリザベスの死後は自分がイングランド王位に就くのを主張したことで両者の間に緊張が生じる。もともとメアリーはカソリック、エリザベスはプロテスタントと宗派も異なることに加えて、それぞれの宮廷で生じた内部抗争で、二人の女王の地位は揺れ動いていく


 シアーシャ・ローナンマーゴット・ロビー、昨年アカデミー賞にノミネートされたトップ級の女優2人の時代劇です。監督のジョージー・ルークは初監督作品ですが、イギリス演劇界のトップ女性演出家だそうです。

 メアリー・スチュワートは歴史では、エリザベス女王に救ってもらったにも関わらず、反乱の陰謀を企て処刑された人物として知られている、いわば悪役です。
 観る前は昨年ビッチな(笑)トーニャ・ハーディングを演じたマーゴット・ロビーが演じると思っていたのですが、可愛さ爆発のシアーシャ・ローナンの役でした。冷静に考えればアイルランド系の彼女が演じるのが当然なんですが、つい先入観を持ってしまった(笑)。
マーゴット・ロビー演じるエリザベス一世イングランド)(1枚目)とシアーシャ・ローナン演じるスコットランド王(2枚目)。二人はいとこ同士です。
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 外国の時代劇なんて、敬遠する人もいるかもしれません。何度も映画化されたエピソードだけあって、これが面白いんです。
 この映画で起きた出来事は歴史に基づいていますが、女性監督だけあって男社会に生きる女性の物語として現代性も持った作品になっています。
例えば多様性についても配慮がなされた演出が行われています。高官の一人が黒人だったり、召使がアジア系だったり、旦那が同性愛だったりする登場人物像はやり過ぎにも見えますが、演劇的な演出なんでしょう。違和感を感じないくらいにお話しは良くできている。


 イングランドのエリザベス、スコットランドのメアリー、2人の女王はいとこ同士です。ともに、男社会の中で自分の権力を維持し、生き抜いていきます。ただ、やり方は違う。メアリーは王家の直系であることが最大のプライドです。自分が女性であることを捨てず、好きな男を自分で選び、出産をする。生まれたときから他人の顔色をうかがう必要がないから、自分が思うようにふるまう、良くも悪くも2世、3世の良くあるパターン(笑)。
●女王と言ってもメアリーは反乱を鎮圧するために軍の先頭に立つような人です。
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 傍系に生まれたエリザベスは現実主義です。自分が男になることを選び、愛人を何人も作っても決して結婚しようとはしない。自分の愛人をメアリーの結婚相手にまでしようとする。自分の王位を脅かす可能性があるメアリーの危険性を排除するためです。
驚くべき冷徹さです。メアリーは実際に美貌の女王だったそうですが、映画の中のエリザベスは天然痘で顔にあばたが出来てしまったことにコンプレックスを抱いている。そこも二人は対照的です。
●エリザベスは天然痘の罹患後は厚い化粧で顔を隠して宮廷に閉じこもるようになります。
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 スコットランドイングランド、女王の性格だけでなく、セットも対照的に描かれています。スコットランドは照明が少なく自然のシーンが多い。イングランドは明るい太陽光のシーンが多い。臣下たちの髪形や服装も違っています。
●メアリーは女性であることを捨てず、イケメンの男と結婚します。でも中身はクズでアル中、しかも同性愛者でした。
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●エリザベスは男性として生きることを選び、愛人は作っても生涯結婚はしませんでした。
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 対照的な二人が互いに共感を抱きつつも、対立する。どちらのやり方にしても、男社会の中で生き抜いていく困難さは変わりません。メアリーとエリザベス、どちらのやり方が正しいと言う明快な答えはありませんが、説得力のあるドラマが演じられます。
まして当時は女性の人権なんて概念は無かった。もちろん、男だって生きていくのは辛いんですけど(笑)、男社会のなかでの女性の困難さは我々には想像できないものがあるでしょう。ボクとしては人間関係を忌避して、竹林の中にこもってしまいたい(笑)。
●男たち。ある時はメアリーを助け、ある時は王位を奪おうとするメアリーの兄(1枚目)、カソリックのメアリーに反発するプロテスタント(2枚目)、黒人のイングランド大使(3枚目)は如何にも演劇的な造形です。
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 2人の女優の演技は素晴らしいです。
 メアリーを演じるシアーシャ・ローナン、やっぱり可憐で可愛らしい。男社会の中で成長し、生き抜いていく姿には感情移入出来ます。でもこの映画ではそれだけではありません。一本気なところや血筋にこだわる愚かさをうまく表現しています。、文字通り火を吐くような演技、とでも言ったらよいでしょうか。

 エリザベスを演じるマーゴット・ロビーの方は出番は少ないですが、病で美貌が失われていったり、未婚だったりのコンプレックスを抱いた深みのある役柄も説得力があります。この人、やっぱり演技うまい。監督が女王の男性関係も堂々と描いているのも相まって、二人の女優とも演技の新境地を開拓しているのではないでしょうか。
●特に後半の火を吐くような演技はグッときました。
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 メアリーは自分のプライドと愚かさ故に身を滅ぼします。一方 勝者のエリザベスは一生独身を貫きます。しかしエリザベスの死後 後継者はメアリーが生んだ男児になります。歴史上初めて、イングランドスコットランドは統一されるのです。
 皮肉な結末ですが、ある意味 エリザベスがそれを選んだようにも解釈できるところが話が深い。あと、あんまりお話がドロドロしてないところもボクは良かったです。

 一見地味そうな話ですが、イギリスでは何度も映画化されている有名な話というだけのことはあります。この映画、エンタメ時代劇としても、女性の生き方を考えさせるという意味でもかなり、面白かったです。

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』予告編(90秒)