特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『沈没する日本』と読書『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』、それに『0111再稼働反対!首相官邸前抗議』

 もう、完全にお正月気分は抜けて、また市場競争の修羅場の毎日です(笑)。
 それにしても朝は一段と冷えるようになりました。ちょうど小寒大寒の間、1年で一番寒い時期に差し掛かっているのでしょう。春は春で花粉がうっとおしいし、雑事も多くてウンザリですが、少なくとも温かいのだけはありがたい。あー、布団の国に生まれたかった(笑)。
●スーパーに珍しい物がありました。超巨大キャベツ『札幌大球』。1個3980円!(笑)
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●夕方 グッド・ニュースが飛び込んで来ました。コイツもゴーンと同じ代用監獄に入れば良いんです😄。あ、文明国のフランスにはないか🤑




 さて、このブログでも実質賃金や名目賃金厚労省の『毎月勤労雇用統計』は度々引用しています。今週8日に報じられた『毎月勤労雇用統計のデータが不完全なまま発表されており、長年偽装されていた疑いがある』というニュースは流石に驚きました。この国はここまで落ちぶれたか(笑)。
www.sankei.com

www.chunichi.co.jp

 まだ全容は判りませんが、本来、従業員500人以上の全ての事業所が対象なのに東京都では3分の1程度の事業所を抽出して調べていた。連中は2004年からデータを捏造しており、そのために失業手当などの雇用保険の過少給付が約2000万人、総額で567億円もあるそうじゃないですか。

 この統計は社会のベースとなるもので、これが間違っていれば、賃金の伸びや経済状況も正しく把握できません。例の高プロの1075万の基準とかもこれに基づいています。
jp.reuters.com

 そんな重要なデータをねつ造するのですから、厚労省の存在意義自体が問われます。しかも初犯じゃない。以前の年金データ、昨年の残業データもそうだったのですから、これはもう、厚労省はお取り潰し、解体したほうが良いですね。

東芝や東電のような親方日の丸や独占企業ならいざ知らず、普通の民間企業だったら、不正や事件などあまり変なことをやったら会社が潰れるという恐怖があります。それが歯止めになっているわけですが(なってない場合もありますが)、役人の場合はそれがない。責任者の役人は詐欺で牢屋にぶち込むべき!じゃないでしょうか。ゴーン氏のやったことが本当だとしても、厚労省の役人が与えた被害の方が遥かに悪質です。これじゃあ日本は、マジで北朝鮮や中国の事はいえません。

 やっぱり競争がないのはダメなんですよ。地方で現場のセールスマンに聞くと、商談をしていて人を人とも思わない偉そうな連中、態度が悪い連中はたいていは教師か役人、それに電力会社って話をよく聞きます。まともに競争がない連中ばかりです。

 残念ながら、競争がないと人間って腐ることが多い。安倍晋三は生まれたときから真正のアホで嘘つきかもしれませんが自民党がこんなに劣化したのも野党がバカすぎて競争がないからでしょう。ボクは競争なんか嫌いですが、やはり、人間がサボれるような仕組みは良くない。
 普通だったら最低でも大臣辞任、内閣辞任だっておかしくない話です。やっぱり、この国は沈没しつつあると思います。朴政権もろとも沈んだフェリー、セウォル号のように。




さてさて、お正月休みには珍しく、ベストセラー本を読みました。年末の本屋の店頭にどわーっと山積みされていた本です。
FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実

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 アメリカでもベストセラーになった、トランプ政権の内幕を描いたノンフィクションです。著者のボブ・ウッドワードウォーターゲート事件を暴いたことで有名な人。


 今作はホワイトハウスの関係者にインタビューを行い、それを基に書かれたものだそうです。だいたい誰が話したか、読んでみると容易に想像ができます。ちなみに本の冒頭には、トランプにもインタビューを申し込んだが断られた、という但書があります。


 良く言われることですが、本当にトランプも周囲の人間も、トランプが大統領に当選するとは思ってなかったようです。本気だったのは後に首席戦略官になった、ネトウヨの親玉、スティーヴン・バノンだけ。彼だけは本気で勝つための戦略を考えていた。バノンはヒラリーが手を抜いていた激戦州に力を注ぎ、選挙に勝つ作戦を立案します。それでも彼が陣営に加わったのは選挙戦の終盤、夏以降です。

 当選後 トランプ大統領のスタッフはいくつかのグループに分かれます。
 まずトランプの親族(娘のイバンカ、娘婿のクシュナー)。親イスラエルですが他の面ではリベラルな姿勢から、ホワイトハウス内では『民主党』と呼ばれ、嫌われているそうです。自分たちは他のスタッフとは違う、特別だと公言しています。

 次に軍人(陸軍中将のマクマスター国家安全保障担当補佐官、海兵隊大将のジョン・ケリー大統領首席補佐官、海兵隊大将のジェームズ・マティス国防長官)、それぞれ立場も考え方も違いますが、ルールや規律を守らないイバンカたちを苦々しく思っている、訳の分からない戦争は防ごうとする、という面では共通しています。

 ビジネス界からコーン国家経済会議委員長(元ゴールドマン・サックス)、ティラーソン国務長官(元エクソン)、ムニューシン財務長官(元ゴールドマン・サックス、元ヘッジファンド)など。彼らもそれぞれ立場も考え方も違いますが、コーンやティラーソンは自由貿易を堅持する常識的な経済人であることは共通しています。

 共和党どころかアメリカ社会からも非主流の変わり者たち本気で革命を起こしたがっている極右のバノンや世の中や学会からは相手にされていない経済学者のナバロ通商会議議長(元UCLA教授)。

などです。出身が異なるもの同士は勿論、出身が同じでも、お互いが助け合う人たちではなく、それぞれが自分のことしか考えない『捕食者』だったそうです。よく考えたらトランプ自身もそうです。部下も味方も平気で裏切ります。
●取材者の証言はアマゾンの本紹介ページから取りました。


 トランプが自分で連れてきたマイケル・フリン国家安全保障担当補佐官はロシアとのスキャンダルで辞任、「知恵袋」だったスティーブン・バノン首席戦略官もイバンカやクシュナーとの確執で辞任。
 トランプは就任当初から現在まで常に自分のロシア疑惑への追及におびえ続けているそうです。本人の一番の関心がそれ。この本を読んでいる限りではモスクワで売春婦を呼んで乱交パーティをやった(で、写真を撮られた)のは本当みたいですね。当人は疑惑を逃れること以外はあまり頭に入らない。同じ極右仲間のセッションズ司法長官が超法規的に捜査に介入しないことに対して就任当初から不満を述べ続けます。セッションズはやがて解任されます。


 トランプは毎日に6~8時間TVを見て、そのあとツイッターをやっている。従って、難しい報告書を読んだり、複雑な軍事や経済の状況を理解できないし、する気もない。関税をかけるとアメリカの消費者が余計なコストを払わなければならないということすら判らない。 スタッフの間では報告書は1ページ以内、不意な決定は正式な決定とみなさない、ということになっているそうです。

 エクソンのトップだったティラーソンやゴールドマン・サックスのトップだったコーンから見れば、トランプはバカに見えて仕方がない。ビジネスマンとして自分より格下という思いもあるし、実際遥かに格下です。これではうまく行くわけがない。
 おまけにトランプは朝令暮改どころか、嘘ばかりつく。さっきまで秘密と言ってた人事などまで、勝手にツイッターで発信してしまう。
 結果 コーンもティラーソンも堪忍袋の緒が切れて退任してしまいます。環境汚染で悪名高いエクソンリーマンショックで大儲けしたゴールドマン・サックス、資本主義のマイナス面を象徴する超極悪企業ですが、そのトップがトランプ政権の中に入るとまともに見えてしまう。ひどいもんです。

 軍人から見ても同じです。トランプは直接的なことでしか物事を考えません。例に挙げられているのが韓国。韓国に米軍が駐留していれば北朝鮮ICBMを発射すれば7秒で探知できます。しかし米軍が韓国から撤退すると、ICBMを探知するまで15分かかる。安全保障上 その差は大きい。それでもトランプは韓国からの米軍撤退に固執しています。韓国との同盟破棄にもつながる自由貿易協定も破棄しようとしています。

 ビジネスに失敗して6度破産したトランプは、政治も間違えたらやり直せばいいと考えているようだ、とコーンは言っています。だから北朝鮮との戦争のリスクを冒すこともいとわない。でも戦争はやり直しは効かない。意思決定論の名著『八月の砲声』が座右の書、というインテリ将軍マティスは偶発的な戦争が勃発するリスクを減らすのに大わらわです。
●誰もが数か月で終わると思っていた第1次大戦が双方の意志決定の誤りが折り重なって、泥沼になっていた経緯を描いています。ちょっと難しいけど、非常に良い本でした。

八月の砲声 上 (ちくま学芸文庫)

八月の砲声 上 (ちくま学芸文庫)

 トランプに『何で米軍が海外に基地を置くのだ』と問われて、軍人たちは『第3次世界大戦を起こさないために、我々は駐留している』と答えます。しかしトランプには理解できません。
 結果 マクマスター、ケリーが退任し、つい最近もシリアからの撤退に反対してマティス国防長官が退任しました。シリアから撤退すれば、トルコがクルド人勢力を攻撃し始める。クルド人勢力がISのようになるかもしれない。シリアも何をするか判らない。トランプはそういうことは考えません(この件は最近、流石にトーンダウンしてきましたが)


 トランプは理解力はありませんが、気ままに意思決定はしてしまいます。韓国との自由貿易協定を廃止する決定を下したことがありました。しかし秘書官とティラーソンが書類を隠して阻止します。書類がなければトランプは忘れてしまう。もちろん後になったら思いだしますが、その場を取り繕えば、また忘れてしまう。

 また自由貿易反対のナバロがトランプに強硬論を吹き込んで、トランプがそれに影響されるということもありました。ナバロはただ中国を敵視するだけの、ティラーソンに言わせると、世の中の99%の経済学者から相手にされないようなインチキ学者です。ティラーソンやケリーはナバロをトランプに直接会わせないようにしてしまいます。


 軍人、ビジネスマン、極右、親族それぞれが権力争いをするなかで、右寄りとはいえ、現実的な視野に立つ軍人やビジネスマンがトランプの気ままな意思決定を何とか抑えてきた、というのがこの2年間の政治のようです。1年前のように北朝鮮との間で一触即発の時にマティスが居なかったら、本当に戦争が起きていたかもしれません。


 しかし、その2年間で、この本に出てきたまともな登場人物は既に皆 退任してしまいました。特に面と向き合うと感情が出てしまうので、なるべく出張に出かけてトランプと会わずにコントロールしようとしてきたマティスまで首になってしまったのは大きい。

 この本を読むと、トランプは自分のロシア疑惑を逃れること、保護貿易、自分の再選、それくらいしか考えていないように見えます。残りの時間はTVとツイッターで時間が過ぎていく。バノンですら「毎日そんなことをやっていたら人間の頭脳はどうなるか」と呆れています。

 そんなトランプの思い付きや気まぐれを抑えることに能力を使ってきたティラーソンやマティスはもう、ホワイトハウスにはいません。彼らがやったことは正しかったのでしょうか。それともトランプの思いこみが正しいのでしょうか。


 この本はロシア疑惑とそれに対する司法妨害に関してトランプの弁護を担当する弁護士が辞任するところで終わります。弁護士はトランプに、特別捜査官への証言を拒否するよう進言しますが、トランプは受けてしまいます。トランプは『自分は巧みに証言できるので、証言すれば疑惑から逃れることができる』と信じているからです。進言が聞き入れられなかった弁護士は自ら辞任することを決め、ウッドワードにこう述懐します。

(トランプは)くそったれのウソツキだ

 読み物としては滅茶苦茶面白いです。400ページ超の本ですが、面白くてスラスラ2日で読んでしまった。
 この本を読んで何かを学ぶ、とかそういうものではないかもしれませんが、政権の内実を描いた話としてとてもユニークです。これだけ話が漏れてくるというのは閣僚もスタッフもそれだけ不満や危機感を持っているからです。
 いつか、安倍政権の内幕について、こういう本が書かれたとしたら、かなり似たものが書かれるんじゃないでしょうか。その頃の日本は文字通り、滅茶苦茶になっているでしょうけど(笑)。



ということで今年も官邸前へ #金曜官邸前抗議
昼間は暖かかったのですが、寒くなった夕方はプラカードを持つ手が凍えます。今日の午後6時の気温は8度、今年初めの抗議は参加者400人。

●抗議風景


 今日の昼間、日経のスクープ?が出ました。いよいよ日立のイギリスへの原発輸出を中断する方針が固まったそうです。
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日立、英原発事業を中断 2000億円規模の損失計上へ :日本経済新聞

前々から話に出ていたイギリスへの輸出の件、とうとう日立が諦めたようです。損害は2000億~3000億の見通し。でも東芝のことを考えればこれでも少ない。来週の役員会で正式決定するそうです。日本政府なんか信じるからですよ(笑)。
●今日の日立の株価。原発輸出中止が報じられた途端 激上げ(笑)。みーんな、原発なんか止めたいんです。
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 あともう一つ原発事故直後から、福島の安全性を発信してきた東大の早野龍五名誉教授が論文のデータを偽造していた件、これも驚きました。調査で福島県伊達市の住民の個人被ばく線量を3分の1にしていた、また論文に使用したデータのうち約2万7千人分は本人の同意が得られていなかった、そうです。


被ばく線量誤り論文修正へ 東大・早野氏 福島の住民データ :日本経済新聞

www.huffingtonpost.jp
www3.nhk.or.jp

詳細はこちらを(神戸大の教授が書いたもの)
hbol.jp

 福島事故の安全性を強調する早野は事故当時、TBSラジオの荻上チキの番組にも出演するなど積極的に情報発信していましたので、ボクもある程度はチェックしていました。政治でも原発事故でも異なる立場の意見を目にしたいからです。
早野の語り口は論理的でしたけど、証拠など言ってることの裏付けがとれなかったので、事故当時の自分なりの結論は『裏付けが取れないので判断保留=真に受けない』。で、その後 安全性を訴える糸井重里との共著を出した時点で、『こいつ、胡散臭い』と判断しました。ついでに糸井重里も。
●リテラは弱い者いじめのスキャンダル雑誌『噂の真相』の出身者がやっているので信用していませんが、この記事についてはその通り。
lite-ra.com

 ま、それは良いんですが、功成り名を遂げた?東大の名誉教授がデータの偽造までやるかよ、とは思うんです。定年後にそんなセコイことするのかよ、ボケじじい(笑)。孫に合わせる顔があるのかね。

プログラムのミスと当人は言い訳してるけど、データを3分の1にするようなプログラムなんか意図的な偽造に決まってるじゃないですか。もう、モラルも減ったくれもない。おしどりマコそっくりの詐欺師です。原発の危険を煽る側、安全を煽る側、どちらの立場でも詐欺師は枚挙にいとまがありませんが、民主主義を守るためにはこういうゴキブリは一つ一つ潰していくしかありません。
南京大虐殺はなかった、みたいな修正史観が広まったのもゴキブリどものデマを潰さなかったからです。象牙の塔に籠っていた学者の怠慢には大いに責任がある。


 昨年から今年にかけて、政府や役人、大企業、そして学者のデータ改ざんや偽造ばかりが目につきます。日本という国、社会の劣化はこんなところにも表れてきているのでしょう。こういう時一番ダメなのは現実を直視しないこと。ダメな奴はダメで仕方ないけれど、自分は自分なりに気を引き締めていかないとなあ、と思います。